「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………っ!!あぁもうッ!なんでこうなるんだよ!」
俺こと
俺たちの後ろには言い様のない化け物共がどしどしと追いかけてくる。この化け物共は
「あぅっ!!!!」
「っ士郎!?」
「大丈夫かっ!?男なら泣かずに立て!!絶対に3人とも生き残るぞ!!」
俺たちは背中合わせにして化け物共を睨むも、化け物共はジリジリと寄って来る。
「朱兄ごめん、ボクが転けたばかりにこんな事になって……」
「バカを言うな!朱爀が言ったであろう、我々は絶対に生き残ると!」
「ッ!?澟!!!!」
士郎が挫いた足を解しながら化け物共を睨みつつ俺に謝って来た。それを澟が
それを隙と見た化け物共のうち1匹が澟に飛びかかり、澟は俺の呼び声に反応し、化け物が飛びかかってきたことに気づき青ざめた。
俺は襲われる恐怖より大切なものを失うことに恐怖し、澟を右腕で士郎の方に押し退けて、俺も反対側に動く。
しかし、子供と化け物の差は歴然としており、俺は右腕を喰い千切られた。
「グァァッ!!!!!!!!」
「朱兄ぃ!?!?!?」
「朱爀っ!?」
俺の腕が喰われたことに澟と士郎は頭の中が真っ白になったのかフリーズしてしまった。その間に化け物はそのまま通り抜け、他の化け物が俺を喰らいに飛びかかってきていた。
フリーズから立ち直った2人が俺に手を伸ばす。
その手を見ながら俺の頭の中には走馬燈が駆け抜けていた。
初めて澟と出会った頃からの毎日。
親子喧嘩で飛び出していた士郎を窘めて家族の仲を取り持った日。
父と母がこ、子作りをしていた瞬間。
幼稚園でのわちゃわちゃした暮らし。
そんなありふれた日々を長らく見続けた。
ん?ギリシャ?錬鉄?英雄?聖杯?……姐さん?
ふと、駆け抜けていく走馬燈の中に知らないものが浮かんできた。
それは、奇しくもこの状況を打開出来る力だった。しかし、それを成せば
人間のまま喰われ死すか、人間を辞めてでも助かるか。
普通の人間ならどうする?大抵は
しかし、ここには俺の大切なものがある。
だから、その言葉を紡いだ。
「…………霊器…………解放」
燦嘹朱爀side out
───────────────────────
咫藍弖澟side
「…………霊器…………解放」
ゴウッ!!!!
「わわわっ!?」
「んなっ!?!?!?」
朱爀が小さく呟いた途端、莫大な
士郎は何が起きているか分からず慌て、私……咫藍弖澟は
しかも、
朱爀は槍を左手で持って、振り翳す。すると、飛びかかってきていた化け物共は
「……
さらに、朱爀が何かを呟いたと思えば喰われた筈の右腕には
槍を今の私では視認不可な速さで振るい、化け物共を蹂躙する朱爀。その姿は嘗て大戦で目にしたそれそのもので、私は思わず見入ってしまっていた。
しばらくしたら化け物共は全滅しており、朱爀は気まずそうに私を見続けていた。
………………まさか、私が
私と朱爀が見つめ合っていたら、士郎が声をかけた。
「ねぇ、いつまでそうしてるのさ!?速くここから離れなきゃ!!また来ちゃうかもしれないでしょ!!」
全く士郎の言う通りである。私と朱爀は“あぁ”と異口同音で答え、謎の気まずさで迷いの森を脱出するまでは終始無言であった。
無事に家に帰りはしたものの、3人とも両親にドヤしあげられたのは間違いない。
朱爀は、帰りが遅い・右腕の喪失・卑屈な言い分で
私は、帰りが遅い・夜は危険・
士郎は、帰りが遅い・道場の無断欠席・幼児殺人鬼の噂で
叱られたのであった。