英雄とはこれ如何に   作:星の空

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第2話 英雄のスペック

 

燦嘹朱爀side

 

 

あの日帰宅後は本当に忙しなかった。

家に帰ったらドヤしあげられ、俺は今になって迫害されることに恐怖したが、両親はそんなことなく迎え入れてくれた。

次の日に、俺は色々と整理したのだ。

まず、俺がこの世界とは異なる世界から来た転生者であること。

転生特典が英霊としての最速の英雄・アキレウスの全てと魔法使いとしてのエミヤシロウの投影魔術。そしてデメリットの撤廃。

その結果、本来の宝具とはかなり違う宝具があった。

その前に補足しておくと、英霊とサーヴァントは同一人物であれ、存在は違う。

英霊とは英雄その者が逸話を素に精霊に昇華、軽く物理法則を越えるため、英霊の座に招かれる存在。

サーヴァントとは英霊を顕現させる時に、クラスという(抑止力)でギリギリ物理法則に入る範囲で現れる存在。

その抑止力を利用して出来た儀式が聖杯戦争だとか。

では、宝具の状態を語ろう。

 

疾風怒濤の不死戦車(トロイアス・トラゴーイディア)

アキレウスが戦場で駆った3頭立ての戦車が宝具として昇華したもので対城宝具並の対軍宝具である。

不死の神馬たるクサントスとバリオス、ペーダソスの3頭は、俺が転生時に会った神から話を伺っていたため、すんなりと認めてくれた。

バリオスとペーダソスは無理だが、クサントスは喋れるため、両親が留守中の時によく話し相手となってくれる。記憶としてアキレウスを知っていても第三者観点からのアキレウスは羨望に値する部分と“えぇ”と呆れてしまうところがあった。

 

彗星走法(ドロメウス・コメーテース)

アキレウスの最速という逸話を昇華した宝具。

疾風怒濤の不死戦車が光速を叩き出すとしたら、この宝具は亜光速と言ったところだ。

1度、全力で走ったら、太陽系外縁天体に衝突してしまい、急いで戻ってきた程だ。

本来なら弱点たる踵を晒さなければならないのだが、デメリットの撤廃により、弱点たる踵を隠すことが出来る。

アキレウス本人か師のケイローン、兄弟子のアルケイデスでなくば恐らく弱点をやられることは無いだろう。

 

勇者の不凋花(アンドレアス・アマラントス)

アキレウスの母たるテティスがアキレウスに与えた不死の肉体なのだが、父ペーレウスの強い要望により、踵のみ人間となった。

この宝具は不死であるが、神の血を引く者(神性持ち)や神造兵装での攻撃は不死が効かない。

しかし、これまたデメリットの撤廃により、踵を()で穿たない限り、神の血を引く者(神性持ち)や神造兵装だろうといかなる攻撃も受けなくなった。

しかし、踵を()で穿たれた場合は不死性も無くなるし、彗星走法も消滅する。

これは、施しの英雄カルナの日輪よ、具足となれ(カヴァーチャ・クンダーラ)日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)の関係と同じようなものだ。

 

宙駆ける星の穂先(ディアトレコーン・アステール・ロンケーイ)

アキレウスの師たるケイローンが造った槍。擬似的な世界を上書きという形で創る世界。

この空間の効果は「一対一で敵と公平に戦うこと」、ただそれだけ。この空間内では神の加護は働かず、第三者は無論、幸運すらも介入させず、時間も静止している。「まぐれ」すらも起こり得ない、究極の実力勝負。

この空間内ではあらゆる加護や魔術、宝具に至るまで使用不能となるが、武器の使用は可能。治癒能力があろうとも通常と異なり負傷は治らず、蘇生系のスキルや宝具も効果を発揮せず、敗者は現実に戻っても死亡する。

この効果はアキレウス自身にも適用され、ここでは『勇者の不凋花』の不死は働かなくなる。あくまで相手と「公平」に戦うための領域であり、必ずしもアキレウスにとって有利になるとは限らない。つまるところこの闘技場の効果は、ただ己の培った武技・実力のみで相手を打ち斃す「公平無私の一騎打ち」の強制である。極めて単純でそれゆえに堅牢な空間である。

この空間は文字通り“己が肉体のみでぶつかり合う決戦場”。固有結界1歩手前の宝具である。

しかし、この槍では女性を穿てず、されど最愛の女性を必ず穿つ呪いを持っている。この最愛の女性を必ず穿つという呪いのデメリットしか撤廃出来ないので、女性相手だと使えないのだ。

だが、投槍による対軍宝具としての面もあるし、不治の傷を与えることが出来る。しかも、投げたら戻ってくる機能付き。

 

蒼天囲みし小世界(アキレウス・コスモス)

アキレウスの持つ唯一の神造兵装。彼の生き様を魅せる世界であり、世界を消す攻撃以外の全てを捩じ伏せる力を持つ。

カルナの必滅の槍を完封する程だ。

さらに、極小世界で対象を押し潰すことすら可能なのだ。

1度しか使用できないというデメリットを撤廃しているため、何度も使える代物だ。

 

無限の剣製(unlimited blade works)

エミヤシロウにだけ許された固有結界のため、世界の展開は不可能。その代わり、なんでも本物そのものを投影出来るのだ。宝具であろうと、肉体であろうと、神造兵装であろうと可能なのだ。

その代わり、実物をこの目で見なければならないデメリットがある。これだけは撤廃出来なかった。まぁ、知りもしない物を造れる訳がない。

いや、転生前の世界で見ているものも適応しているため、実質全てできるという事だ。

あぁあ、エアとインドラの槍と黄金の鎧を造れちゃったよ。

てか、俺の固有結界の中有名所の武具防具が散らかっちゃってるよ。

 

俺自身のスペックは異常の一言で済んだ。

Apocryphaでアキレウスが旅客機を手で押すシーンがあるのだが、俺はダンプカーを振り回せちゃう。

Apocryphaでアキレウスがケイローン追って行く時に地面が抉れるシーンがあるのだが、俺は地面が蒸発してしまう。

握力500キロ、持久走24時間、シャトルラン全クリ、長座体前屈50センチ越え、反復横跳び30秒9000回、こんなもんだろう。

ね、異常でしょ?

 

 


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