幸せですか、異世界で普通に暮らすアラサー女   作:木桜 春雨

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ヒロイン復活、そして思いも寄らぬ方向へと


数日後、城へ

 心配する事はない、森の入り口に布でくるんだ女性を置き去りにしたものの、二人の男は落ち着かない日々を過ごしていた、魔法使いを信用していないわけではない。

 様子を見に行くだけでもギルドマスターのフランク・アスガーは翌朝、森の入り口に様子を見に行った。

 ところが、女は消えていたのだ。

 魔法使いの元を訪れて、どういうことだと責める様に問い詰めた、だが、それはいいことだと言われてしまい、会話が途切れてしまった。

 「死んだのか」

 その言葉に魔法使いは、何故と問いかけた。

 「長生きできないと、聞いたんだ」

 帰って来たのは一言、昔ならという答えだった。

 「北の土地では異界や国から来た者が多いと聞く、ここに迷い混んで来たのは運が悪かったとしかいいようがないが、その為に証書を持たしたのだ、オリハルコンの剣に」

 「どういうことだ」

 城の権力者がオリハルコンの剣を、ただの平民が持っているのはおかしい、見聞の為に城に来いとアルバン・ガーラントに声がかかったことを魔法使いは笑いながら話し始めた。

 どういうことだ、それが関係あるのかと不思議に思ったのは無無理もない。

「あれは、元々、彼女が受け取るはずのものだと言ったら、まあ、これは忠告だと思っておくれ」

 魔法使いというというのは何故、こんなもったいぶった言い方をするのだろうかと、わかりづらくて困るとアルバンは渋い顔で、どういう意味だと半ば脅す様に声をかけた。

 だが、相手が答える事はなかった。

 それから数日、彼女が戻って来たと連絡があったのは。

 

 何故、この男がと思ったが、それは向こうも同じ気持ちなのだろう。

 アルバン・ガーラントは数日前に有ったときとは違う、服も伸びかけていた髭もそり上げた随分と、こざっぱりとした姿だった。

「ほう、よくなったようだ、それに」

 魔法使いは近寄るとベッドの橋に腰掛けて手を伸ばした。

 「髪が伸びたのは時間の流れのせいだな、肌の色もだが、顔つきが少し変わった」

 「顔が変わった、ですか」

 魔法使いの言葉に女が不安そうな顔をした、すると相手は笑いながら伸ばした手で女の頬に触れ顔を寄せた。

 「ハーブ、魔物、血、ドラゴンの血か、何があったか覚えているか」

 「いいえ、ずっと眠っていて何も」

 「それは残念だ、しかし、これで誓約は確実なものとなった、私も少しは認められたというわけだ」

 まるで独り言の様な呟きだった。

 「ところで、また城から来るようにと言われたそうだな」

 「ああ、今度ばかりは断れそうにはない」

 浮かない表情で答える男に魔法使いは行けばいいと言葉を続けた。

 「ただし、彼女もだ」

 その言葉にアルバンは驚いた、何故と聞き返したのも無理はない。

 「しかし、一人では心許ないな、もう一人、護衛が必要だな」

 そう言って魔法使いは部屋の中にいる、もう人の男にそっと視線を向けた。

 「ギルドマスターは、お忙しいようだ」

 

 

 女が元気になったのはいいことだ、魔法使いの顔が変わったという言葉にフランク・アスガーは無言だった。

 確かに変わっていた。

 黒い髪は男の様に短かったのに肩口まで伸びていた、それに肌の色は白く、顔つきもだ、以前、気晴らしに大金を出して買った娼館の、いや、比べるのはいかがなものか。

 じっと、見ることができなかったのは。

 ギルドに戻り受付の女性に三日後の予定を確認する、その日の予定は全て断ってくれ、城に行くことになったとアスガーは伝えた。

 

 

 どうして城にとアルバン・ガーラントは魔法使いに問いかけた、前は行く必要はないと言っていたのに、気が変わったのか、それとも何かあるのか。

 「オリハルコンの剣の事、城の事を聞いておらんのか」

 「何かあったのか」

 「剣が暴走を始めたぞ」

 意味がわからず男は自分の腰の剣を見た、だが、何を言えばいいのかわからず無言になった。

 

 

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