調停者   作:零乃 功望

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プロローグ

とある世界──

 

この世界にはゴブリン、エルフ、アンデッド、魔獣、亜人、ドラゴン……人間以外の生物が溢れ、魔法が当たり前に使われている。

 

そんなファンタジーな世界にはいくつもの伝説が伝わっている。特に有名なのが次の三つだ。

 

 

『八欲王』『六大神』『十三英雄』

 

 

この三つの伝説は小さな子供でも知っているものだ。世界を我が物にしようと竜王たちと熾烈な戦いを繰り広げた『八欲王』、人類を保護しようと様々な知識をもたらしたとされる『六大神』、世界を守らんと魔神たちの討伐を行った『十三英雄』。これが大多数の者たちの一般知識である。

 

しかし、この三つの伝説全てに関わりながら限られた者の間でしか語られていない存在がいる。

 

 

調停者(ワールドルーラー)

 

 

幾多の伝説の中心にいながら、今を生きる者たちのほとんどがこの者を知らない。いや、名前だけなら多くの人々が知っているだろう。しかし、その者が『調停者(ワールドルーラー)』であることは知らない。そもそもこの世界で『調停者(ワールドルーラー)』という肩書きが持つ意味を知る者はほとんどいない。

 

 

──では、誰ならこの意味を知っているのだろうか?

 

 

答えを言う前に確認しておこう。先程語った三つの伝説だが、そこに登場する彼らはもともとこの世界の住人ではない。ある決まった周期でこの世界に現れる、いわゆる異世界人なのである。そして調停者も彼らと同じ世界からやって来た存在。もう分かっただろうか?

 

そう。『調停者(ワールドルーラー)』の意味を知る者は異世界の住人だ。

 

 

さて、答えが分かったところで、次は調停者たちがもといた世界──『YGGDORASIL』の中での『調停者(ワールドルーラー)』について語っていこう。

 

そもそもの大前提として『YGGDORASIL』とはゲームだ。つまりは八欲王や六大神はゲームのアバターの姿で異世界に飛ばされてしまったプレイヤーであるということ。閑話休題。

 

オンラインゲームをしたことがある人は分かるかもしれないが、この手のゲームはゲームバランスを守るためにチートなどに対して規制が厳しくなっており、もし違反すると強制的にBANされることになる。例に漏れず『YGGDORASIL』もそうだ。「運営は腐っている」と多くの批判を貰っていたこのゲームだって一応のモラルはある。あるったらある。

 

まあ、腐っているというか型破りである運営だからこそ『調停者(ワールドルーラー)』生まれたといっても過言ではないのだが。

 

つまり、違反者を強制的にBANするのではなく、運営側が用意する『調停者(ワールドルーラー)』という執行人によって違反者にペナルティを与えることになったのだ。

 

また、『調停者(ワールドルーラー)』は、その当時最も強かったプレイヤーから選ばれることとなり、「同じプレイヤーなら勝てるかもしれない。勝てる可能性を残すとは、くそ運営にしてはよくやったじゃないか」とプレイヤーたちから少し見直すコメントもあった。まあ、運営から『調停者(ワールドルーラー)』に渡されたアイテムが壊れすぎていて、速攻非難の嵐が起こったのは言うまでもないだろう。

 

つまり、『調停者(ワールドルーラー)』とは『YGGDORASIL』において運営から壊れアイテムを多数渡された最強最悪の処刑人であり、ゲームバランスの秩序を守る者として恐れられた存在である。

 

 

皆さん、『調停者(ワールドルーラー)』については分かっていただけただろうか?

 

結局のところ、早い話、その調停者が異世界に渡っていろいろやりましたということなのだが、それは追々話していくとしよう。

 

 

 

これは『調停者(ワールドルーラー)』として名をはせた人物がオーバーロードの世界を生きていく物語──

 

 

 

 

 

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