筆が乗れば連載にしようと思います。
懐かしい夢を見てる。
まだ自分が幼く、世界は自分を中心に回ってるなんて馬鹿げた事を本気で信じてた頃の夢。
そんな夢の中に懐かしい男が現れる。
背は高く、白銀に輝く髪が風に揺れている。
私の知る限り最も偉大な魔術師。
『キングメイカー』なんて呼ばれるほどの男は小さい私の視線に合わせ語りかけてくる。
ーーわたしが君を見るのも今日で終わりだ。後はわかるね?
いつもの様に優しい口調で残酷な事を、平然と告げられた。
これが別れだなんて耐えられない。
そんな意味も込めて目の前の幼い私は首をいやいやと、横に降っている。
そんな私の様子に男は「困ったな」と言い苦笑しながらではあったが私の頭を撫でた。
彼の胸に頭をグリグリと擦りつければ彼は「まさか君にこんな一面があるだなんて思いもしなかった」なんて笑いながら背中を叩いてくる。
……だからそれだけ。
あの時もその前の時も、彼は私の気持ちを察してはくれなかった。
いつもヘラヘラとしてるこの男はもし私が胸の内を口にしたならばその貼り付けた笑みを少しは崩したのかもしれない。
だが、そんな勇気が出ずにいた自分が悔しくて仕方がなかった
ーー君は、君はきっといい王様になれる。私ができることはもう終わった、後は君が頑張るんだ。
そんな無責任な言葉をかけられた。
でも、普段なら怒るような言葉もこの時ばかりは嬉しくて仕方がなかった。
この人に認められた。
それがたまらなく嬉しくて、その時の彼の顔をちゃんと見ておかなかったことを後になって後悔した。
彼が戦争に巻き込まれた。
神と神、人と人、が起こした戦争。
戦火は広がり、ついには死んだ者の数を数えた方が早い所まで行った。
彼はそんな状況を嘆いた。
彼の理想を考えれば彼がその結論に至ったのは当然なのだろう。
誰もが笑顔を迎えて終わるハッピーエンド。
それこそが彼の望む結末だった。
だから……
だから彼は自身の魔力を使い果たした。
その結果、死を待つだけだった兵士達や戦争に巻き込まれ重傷を負った人々は回復した。
たった一人の魔術師を犠牲に戦争は終わったのだ。
「リヴェリア、君もいつかエルフの森を総べる時が来る。それは君が王族として生まれたきみの義務だ。だけどね」
頭を撫でられた。
「辛かったら逃げ出してもいい。逃げ出すことは悪いことじゃないのだからね」
それが最後の別れだった。
突如としてこの世界に現れ、数々の王を作りだした偉大な魔術師の最後。
「おかえりなさい、マーリン様……師匠」
その男が今目の前にいる。
もはや涙を止めることは出来ず、それでも飛びっきりの笑顔で迎えてやろう。
そう決めていたから、自然と笑えた。
好きだったから。
どんな時でも自分のそばにいてくれた、どんな時も守ってくれたのだ。
そしていつか、私も彼のような魔導師になろうと。
「うん、久しぶだねリヴェリア。元気そうでなによりだ」
彼が何故ここにいるのかは分からない。
どうやって帰ってきたのか、なぜ連絡してこなかったのか。
問い詰めたいことは山ほどある。
それでも待ち望んでいた時が現実となった。
その日は、暑い夏だった。
茹だるくらいの夏のど真ん中だったのだ。