ガンダムSEED 白き流星の軌跡   作:紅乃 晴@小説アカ

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第126話 エースたちの戦い1

 

 

 

「オーブ軍、戦闘開始しました!」

 

オーブ軍司令部のオペレーターが発したその言葉を皮切りに、オノゴロ島近辺では侵攻してきた地球軍と、オーブ軍による激しい戦闘の火蓋が切って落とされた。

 

「グリフィス隊、敵機と交戦開始!!」

 

まず地球軍が足がかりにせんとして侵攻したのが、ムウたちが任されているエリア、ダフだ。オノゴロ島の南西部に位置するダフエリアには、地球軍の上陸部隊が展開し、敵防衛網を突破するための爆撃が苛烈さを増していた。

 

「とりゃああああ!!」

 

そんな爆撃の中をムウのストライクが先行し、上陸しようとしている先遣隊を各個撃破していく。

 

「アサギ!」

 

「任せて!」

 

敵の船から降りてくる戦車や装甲車を、海岸に釘付けにするように配置された迎撃砲と連携して、アサギたちもムウに続いて上陸しようとする船をビームライフルで撃ち抜き、撃破していく。

 

この船を大量に上陸させてしまえば、物量で負けているオーブ軍の目と鼻の先に、地球軍の即席拠点が展開されてしまう。そうなれば、沿岸部を占拠されたと同義だ。

 

ムウたちの任務は何としても沿岸部を死守し、地球軍をオノゴロ島に踏み入れさせないことだった。

 

「マユラ!左!」

 

ハッとマユラが横へ目を動かすと、そこには輸送船から出た数台の戦車が起動を終えて、マユラのアストレイに照準を向けている光景が見えた。

 

すると、背後から頭上を飛び去ったムウのストライクが、上空からビームライフルで戦車部隊と輸送船を一掃していく。

 

「グリフィス3!ボサッとするな!地球軍のモビルスーツ部隊が来るぞ!」

 

「りょ、了解!」

 

先遣隊の生き残りはまだ沖合にウヨウヨとひしめいている。今まで秘匿されていたオーブ軍のモビルスーツの性能を目の当たりにした彼らだ。すぐに地球軍のモビルスーツ隊へ援護の要請をしているに違いない。

 

歴史に名を残すことになろう、壮絶なモビルスーツ同士の戦いがすぐそこまで迫っていた。

 

 

////

 

 

モビルスーツを乗せた巡洋艦から、いくつもの影がオノゴロ島へ向かって進行していくる。その光景を見つめながら、M1アストレイを駆るPJは回線越しに各部隊へ指示を出していく。

 

「アンタレス隊は東に展開する!!各機、敵の足を止めろ!ここを通すな!!」

 

「了解!!」

 

飛行能力が乏しいモビルスーツにとって、海上での戦闘は困難だ。先に迎え撃つために、PJたちの頭上を地球軍とオーブ軍のパイロットで構成されたオーブ軍のカラーリングをしたスピアヘッドの編隊が飛び抜けて行く。

 

「戦闘機隊も攻撃開始だ!」

 

「雁首揃えて来やがったな!」

 

沿岸部を抜けた彼らは、そのままオノゴロ島へ向かってくる輸送船へ攻撃を仕掛け、輸送船を守る護衛艦とも交戦を開始する。

 

こちらも、沿岸部から届く特科射撃隊からの援護射撃をして行くが、物量で言えば地球軍が圧倒的に有利だ。

 

「アンタレス隊、遅くなったが我々も攻撃に参加する!」

 

その通信が届いたと同時に、別方向から上がってきたザフト軍パイロットが操る攻撃ヘリ部隊も合流し、戦闘は一気に激しさを増していった。

 

「やっと軍隊らしくなってきたな!」

 

誰かの通信が聞こえる。戦闘機部隊の攻撃を抜けた輸送船から飛び立った地球軍のモビルスーツが見えると、PJたちも沿岸部へ前進し、モビルスーツ同士の戦闘が苛烈さを増していった。

 

 

////

 

 

「ガルーダ隊は南側からくる敵艦とモビルスーツの相手だ!!各個に迎撃せよ!!」

 

イザーク指揮のガルーダ隊は、オノゴロ島の沿岸都市部からモルゲンレーテの工廠エリアの防衛を任されていた。

 

オノゴロ島の防衛施設としても、このエリアが1番堅牢だった。その理由としては、このエリア自体が、地球軍が目標とするモルゲンレーテ社に最も近いエリアの一つだからだ。

 

イザークを中心に、モビルスーツを操る部隊も手練れが多く、防衛部隊の守りも固く構築されている。

 

「アラスカとパナマではやられっぱなしだったが、ここからはペイバックタイムだ!!」

 

ジンを操っていた古強者のパイロットたちは、乗り換えたアストレイを難なく乗りこなして、上陸しようとしてくるモビルスーツや敵艦を迎撃して行く。

 

その先頭に立つのは、ディアッカのバスターと装いを新たにしたニコルのブリッツだった。

 

「このぉ!!」

 

「数だけ揃えたってねぇ!!」

 

装備は標準的なものになったブリッツだが、元よりステータスの高いG兵器だ。ニコル自身の経験値も相まって、圧倒的な機動力と反応性を見せながら地球軍のモビルスーツを蹴散らしていく。

 

バスターに乗るディアッカも、両腰に備わる砲塔でモビルスーツをなぎ払い、離れた場所にいる護衛艦を連結したビーム砲で撃ち抜く。撃破した船の残骸を踏みつけながら、隊を率いるイザークは次の目標を倒すためにデュエルを飛翔させた。

 

 

////

 

 

交戦開始から変化はすぐにあった。

 

「敵モビルスーツ部隊、イザナギ海岸に上陸!グリフィス隊とアンタレス隊、交戦開始!」

 

最初に来た上陸部隊はまるで小手調べと言わんばかりに、今度はモビルスーツの大部隊がオーブへと押し寄せてきていた。

 

「第8機甲大隊をグリフィス隊の援護に回せ!」

 

「オノゴロ上空に大型機接近!」

 

司令室にいるカガリが不安げに隣にいるウズミを見上げる。海、そして空からも降下してくる地球軍のモビルスーツ。

 

地球軍とザフト軍の援軍が加わってるとは言え、オーブの人員は限られている。そのわずかな戦力で、地球軍が展開する圧倒的な物量戦にどこまで耐えられるか。

 

ここからが苦しい戦いになる。

 

ウズミは動いて行く戦況を見極めながら、この先に自分がとるべき道を見定めようとしていた。

 

 

////

 

 

「物量が……!」

 

「これが実戦なの…!?」

 

海から。そして空からも敵がやってくる。倒しても倒してもキリがない。そんな絶望感すら感じる地球軍の物量戦に、アサギたちは驚愕していた。

 

こちらが四機いるのに対して、向こうは10機は優に超える量を投入してくる。

 

そこまでして、オーブの技術とマスドライバーが欲しいのか!そんな思いが頭をよぎった時、空から大きな翼を広げた二つの影が舞い降りてきた。

 

あっという間の出来事だった。

 

ほんの僅かの閃光が迸った瞬間、周りにいた地球軍のモビルスーツの四肢や頭部が両断され、いくつものビームが他の敵を穿って行く。

 

「ライトニング2!次行くぞ!」

 

「はい!!」

 

嵐のように現れたフリーダムとホワイトグリントは、そのまま何事もなかったかのように飛び去って、別のエリアへと進んでいった。

 

「凄…」

 

「おーおー、かっこいいねぇ。どうせ俺は新米だけどさ!ボーっとしてると次が来るぞ!お嬢ちゃん達!」

 

 

////

 

 

ライトニング隊が任されているチャーリーエリアは、オーブのマスドライバーを守備するエリアであり、沿岸部にも隣接しているため、海洋からの敵の侵攻をもろに受け止めるエリアとなっていた。

 

「バリアント、てぇ!」

 

「右舷より敵フリゲート艦、接近!」

 

アークエンジェルを含めた守備艦隊は、侵攻してきた地球軍の艦隊と小規模ながら艦隊戦を繰り広げることになった。

 

「面舵20!敵艦隊をオーブに近づけるわけには行かないわ!我々が先陣を切って、敵艦隊を切り崩します!行けるわね?ナタル」

 

「おまかせを!」

 

マリューの指示に答えたナタルは、CICでアークエンジェルの火器管制官へ指示を発して行く。

 

「6番から12番、ウォンバット、てぇ!弾幕!敵戦闘機部隊を寄せ付けるな!ゴットフリート照準!目標、敵艦隊!我々は敵艦隊を切り崩す!」

 

そんなアークエンジェルが相手をする艦隊の中から、四機で編成されたモビルスーツ隊が海面を飛び迫ってくる。

 

「アークエンジェル!?なんでオーブに……!?」

 

その隊長機であるリベリオンの中で、リークは見間違えようのない特徴的な戦艦を目にして驚愕していた。

 

「兄貴、あれやるよ?白いの!」

 

「同型戦艦か、それとも……!!」

 

クロトのレイダーを先頭に、四機のモビルスーツ隊はフォーメーションを崩さないまま、オーブ艦隊の先陣を切るアークエンジェルを捉えた。

 

「敵モビルスーツ、いや、モビルアーマー接近!」

 

「おらぁぁぁ!!」

 

射撃範囲に捉えた瞬間、オルガのカラミティが全身の火器砲塔を撃ち放っていく。

 

「回避!」

 

マリューの的確な判断で、アークエンジェルはビームを避けたが、その攻撃は後方にいたオーブ艦の上空すれすれまで届くほど強力であった。

 

「チィッ!」

 

「外れ!下手くそー!」

 

アークエンジェルが横へ逸れたと同時、カラミティの脇に赤と白の閃光が着弾する。上空を見上げると、そこにはランチャーストライカーを携えたトールのスーパースカイグラスパーが姿を現していた。

 

「地球軍の新型か?!アークエンジェルはやらせない!」

 

アグニと機体下部に設けられたバルカン砲を放ちながら急降下するスーパースカイグラスパーは、リベリオンの編隊を乱した後に、海面ギリギリで旋回して空へと舞い戻っていく。

 

「でぇりゃああああ!!撃滅!!」

 

その隙を逃すまいと、レイダーはモビルアーマーから変形して、即座に片手に持つ鉄球を上昇するスカイグラスパーめがけて撃ち放つが。

 

「そんな単調な攻撃で!!」

 

上昇していたはずのスカイグラスパーは、突如として鋭く機体を回転させ、白い空気の膜を作りながらマニューバを行う。

 

機体は滑るように機首をレイダーに向けながら姿勢を変えて、鉄球を紙一重で避けた時にはアグニの銃口がレイダーを捉えていた。

 

「なにぃ!?うわぁ!!」

 

鉄球を打ち出した体勢のままだったレイダーの中で、クロトは迫り来るアグニの閃光に驚愕する。油断はしていなかったが、まさかーーーそう思考が掠めた瞬間、目の前にリベリオンが躍り出てアグニをシールドで受け止めた。

 

「クロト!飛び込みすぎだ!迂闊だぞ!」

 

高耐性アンチビームコーティングが施されたシールドによりアグニは四散し、替わりにリベリオンに備わるビームカービンが火を噴く。

 

吐き出されたビームの嵐はスカイグラスパーの元へ向かうが、相手は鋭く機体を振り回して、迫ったビームの嵐を掻い潜って魅せた。

 

「避けた!?」

 

驚きの声をあげたのは後ろで見ていたクロトだった。たしかに直撃射線で隊長は撃ったというのに、敵ーーそれもただの戦闘機は鮮やかに避け切って見せたのだ。

 

「あの機体は……シャニ!」

 

「なら、これならどう?」

 

次に飛び出したシャニのフォビドゥンが、上半身を覆うような背部ユニットからレールガンを放つ。が、これも旋回とヨーを織り交ぜたマニューバで回避される。

 

「レール砲!何機いるんだ!?そっち!!」

 

再びビームカービンを撃とうとしたリベリオンに、トールは射線がかぶった瞬間にバルカンとミサイルを放つ。

 

「くぅう……!」

 

高耐性アンチビームのシールドを即座に看破して実弾に切り替えたのか……!?交差と攻防を繰り返すたびに、リベリオンのコクピットの中で、リークの疑問は確信めいたものへと変わっていく。

 

オーブに現れたアークエンジェル。そして、手練れの戦闘機。見覚えのある機動。もしかして、あの機体を操るのはーー!!

 

「兄貴!?てめぇぇ!!抹殺!!」

 

リークの後ろから飛び出たクロトが吠えながらスカイグラスパーへ突貫していく。それを皮切りに、四機のモビルスーツと一機の戦闘機の激しい攻防が繰り広げられていくのだった。

 

 

 

 

 

キャラデザイン

  • 他キャラも見たい
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