ガンダムSEED 白き流星の軌跡   作:紅乃 晴@小説アカ

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コミトレ原稿を脱稿できたので脱稿ハーブガンガン効かせて投稿です。

誤字修正と指摘、ありがとうございます
少し修正を!!

ユニバァァァァアス!!!!



第137話 宇宙への架け橋

 

 

 

「オーブを離脱!?」

 

カグヤ島。

 

オノゴロ島と本島であるヤラフェス島の間にある、マスドライバー施設を有する宇宙への玄関口となる島であり、イザークたちガルーダ隊が配備された守備エリアの一つだ。

 

オノゴロ島からほど近いこの島には、モルゲンレーテ社への物資搬入用のドックの他に、イズモ級戦艦の艦橋ブロックの格納庫など、宇宙との連絡に必要とする設備を備えている。

 

そのカグヤのドックに帰港したアークエンジェルの眼下で、ウズミとの再会を果たしたマリューたちは戸惑った声を上げた。

 

「我々に脱出せよと、そう仰るのですか、ウズミ様!!」

 

「…あなた方にも、もうお解りであろう。オーブが失われるのも、もはや時間の問題だ」

 

しかし…!とマリューは言い澱み、唇を噛みしめる。戦力差といい、物量差といい、オーブが地球軍に敗れるのも時間の問題ということは、火を見るよりも明らかだ。

 

「人々は避難した。人道支援も友好国からの救援の手もある。ーー後の責めは我等が負う」

 

ウズミもまた覚悟の上の決断なのだろう。ここまで激しく抵抗したのだ。いまさら降伏しても、国の指導部は極刑になり、オーブは地球軍の傀儡とされるだろう。

 

しかし、今ならばまだ、残された希望を宇宙へと放ち、全ての責任を一身に負って始末が付けられる。

 

「それに、例え国としてのオーブを失っても、失ってはならぬものがあろう。地球軍の背後には、ブルーコスモス…それに底知れぬ深い闇。そしてプラントも今や、コーディネイターこそが新たな種とする、パトリック・ザラの手の内だ」

 

ウズミが頑なに両軍からの誘いを拒んだのは、そこに理由があった。

 

パナマの惨状を鑑みても、例え地球軍の要求を呑んだところで、国内に在住するコーディネイターはプラントに渡らざるを得ない。残った場合、その場で殺される恐れもある。

 

それでは、パナマの二の舞だ。

 

そしてザフトがマスドライバーを潰しに来れば、ナチュラルの市民を相手に虐殺を働く恐れがある。組み伏せた相手は、ほぼブルーコスモスそのものと化した地球連合軍なのだ。

 

どのみちオーブ軍によるコーディネーターのプラント移送後でも、残ったオーブ国民への虐殺行為という事態が迫ることになるだろう。

 

逆にプラントと手を結んでも、コーディネーターが追放される事はなくとも、連合の攻撃で多くの国民が危険に晒されるという、さして変わらない未来が待っている。

 

「このまま進めば、世界はやがて、認めぬ者同士が際限なく争うばかりのものとなろう。そんなもので良いか?君達の未来は」

 

そう問いかけられ、マリューは強く首を横へ振った。ナタルやこの場に残った地球軍も、ザフト軍のクルーたちも同じ思いだ。そんな未来を阻止するために戦っている。

 

「別の未来を望む者たちよ。君たちは希望だ。今ここにある小さな灯を抱いて、明日へ向かえ。過酷な道だが、君たちの果たすべき使命はその道の先にあるのだろう。わかってくれるな?マリュー・ラミアス艦長」

 

マリューの肩へ手を乗せて諭すように言うウズミに、マリューは少し目を細めて頷いた。

 

「…小さくとも強い灯は消えぬと、私達も信じております。その灯を持って、我々もまた使命を果たしましょう」

 

その答えに満足したようにウズミも頷いて、集まった多くのクルーを見渡してから、腕を伸ばし、彼らの行く先を指し示した。

 

「では、急ぎ準備を」

 

「ウズミ様、今まで本当にありがとうございました」

 

敬礼するマリュー。それに倣うようにナタルや他のクルーたちも敬礼を打った。

 

「元気でな。君たちの良き航海を祈っておるよ」

 

そう言ってウズミも敬礼を打つ。その後ろでは、娘であるカガリが不安げな瞳を揺らしているのだった。

 

 

////

 

 

「ブースター取付作業急げ!」

 

「ジャンクション結合。カタパルト接続確認しました!」

 

「投射質量のデータに変更がある!すぐにデータを合わせるんだよ!」

 

オーブ連合首長国軍が保有するイズモ級2番艦、宇宙戦艦「クサナギ」は、急ピッチでマスドライバーでの出航準備が行われていた。アークエンジェルの原型となった艦船であり、青と白のコントラストが映える外観を持ち、その火力と性能はアークエンジェルと同等に近い。

 

「宇宙へ出ることになるなんてね…」

 

艦への搭乗準備が進む中、アサギは大きく開いたクサナギのハッチを見つめながら静かに呟く。その隣にいるマユラは、コクピットの中で手のひらに拳を当てて、顔を強張らせながら呟いた。

 

「望むところよ…!」

 

「各機、速やかに乗艦せよ!」

 

アナウンスに従って、各パイロットたちは船へと乗船していく。そんな中、クサナギの横に鎮座する同型艦である「ヒメラギ」でも、搬入作業が急ピッチで進められていた。

 

本来、番外艦であるヒメラギは、イズモ、クサナギの性能試験的な意味合いと、二隻の予備としての役割を担った余剰船だったが、オーブの人員とザフト、地球軍の人員を運用するため、急遽武装処置が施され、出航することになった。火力的な要素はイズモ、クサナギに劣るものの、速力と機動性は試験的に取り付けられたエンジンのお陰で、それ以上の性能を発揮する。

 

艦長はハインズ・ボルドマン、副艦長、オペレーター陣は空母スプレッドのクルーが務めことになる。

 

「デュエルとバスター、ブリッツはヒメラギに回せ!アストレイR型はこのままでいい!」

 

搬入されるアンタレス隊とガルーダ隊は、ヒメラギとクサナギの二隻に分かれることになる。その運搬作業を眺めながら、ザフトと地球軍のノーマルスーツをそれぞれ着るパイロットたちが、他愛のない話に花を咲かせていた。

 

「なぁ、お前たちが乗っていたジンとかはどうなるんだ?」

 

「モルゲンレーテで解析を受けた後に爆破処理されるんだとよ。結構愛着あったんだけどねぇ」

 

そういうザフト軍のパイロットは、残念そうに肩をすくめる。

 

「こっちの船も同じさ。まぁ仕方ねぇよ、宇宙に上がるんだ。オーブの機体じゃなきゃ味方からも撃たれちまう」

 

攻め込んでくるのは地球軍、さらにはザフトもありえる。それぞれのパイロットも同郷の者たちとやり合うのは気がひけるが、向こうの大義名分に疑問を抱いている以上、素直に従う気持ちもなかった。

 

「…俺たちはこのままでいいのかな」

 

ふと、一人の若いザフト兵が呟いた。誰もが思っていることだった。この戦い、この抵抗の先に何があるのか。まだ誰にも答えは見えていない。ずっとそうだったのだ。互いが互いの陣営で戦っていた時から、ずっと答えなんて知らなかった。ただ、命令を聞いて戦っていただけだった。

 

「ーーとにかく、今は俺たちの正しいと思える方へ、心を向ければいいんじゃないか?」

 

その不安を、地球軍の兵士が気楽な声で払いのけた。俺たちがここにいるのは、この戦う意味が正しいと思えたからだろう?と言葉を紡ぐ。

 

「そうだな…」

 

「お互いに生き延びようぜ、こんなくだらねぇ戦争なんかで死んでたまるかってんだ」

 

「ああ、生きて…生き延びて…使命を果たす…か」

 

グリフィス隊の隊長が叫んでいた言葉を、ザフトと地球のパイロットたちは思い返す。そうだとも、自分たちはそれを探し始めたのだ。誰かの命令を聞いて、不条理に悪意と殺意を振りまくことに疑問を抱いたから。

 

パイロットたちはただ、それを噛み締めながらお互いの顔を見つめる。ここにはナチュラルもコーディネーターも関係ない。

 

間違っていることを正す。

 

それを探すために集まった仲間たちだからだ。

 

 

////

 

 

アークエンジェルのハンガーでは、帰投したメビウスライダー隊の機体とストライクの点検が、急ピッチで行われていた。

 

「ホワイトグリントは強制冷却!各武装と、バッテリーと推進剤を補給!敵は来るよ!すぐに出撃になるんだから!ほらほら!急ぐ急ぐ!」

 

「フリーダムとジャスティスは同規格ですよね!?ならチェックは私が!マードックさん!手伝ってください!」

 

「あいよ!」

 

インカム越しに指示を出すハリーと、マードックと数名の技師を引き連れて、長いコードを巻いたものと工具を軽々と持ったフレイが、フリーダムとジャスティスの足元へと駆けていく。

 

「ラリー!」

 

そんな光景を眺めながら、ホワイトグリントから降りてきたラリーの元へ、作業着の上を脱いで袖を腰で結んだ姿のハリーが駆け寄った。

 

「また、リークと戦うことになるの?」

 

ノーマルスーツのヘルメットを脱ぐラリーに、ハリーは不安げな瞳を揺らしながら問いかけた。

 

リークは生きている。そして、あの新型のパイロットをしている。

 

それを聞いた時、ハリーはラリーが何を言っているのか理解できなかった。リークは確かに、大気圏で行方不明になったというのにーー生きていることに喜ぶ間も無く、ラリーの銃口の先にリークが立ちふさがったという事実に、ハリーは動揺した。

 

「かもしれないな。アイツが俺たちを追ってくるなら」

 

何気なくいうラリーの言葉に、ハリーは自分の肩を両手で抱きながら震える体をなんとか抑えていた。

 

「私は、ラリーが生き残るために武装や装備の改装はしてきた。けど、戦友を……リークを討つためには……私は…」

 

今までハリーが数々の改良を加えていたのも、全ては乗り込むパイロットの生存率を高め戦うすべを与えるため。しっかりと送り出したパイロットが、ちゃんと帰ってこれるように、ハリーはがむしゃらに自分の思いついた全てを試して、ラリーに、トールに、力を与えた。

 

けれど、それは戦友に向けるための力ではない。戦う相手の命を奪うことを覚悟してハリーは機体改造に携わってきたが、戦友を殺させることなど、覚悟なんてしていない。

 

ラリーがリークに銃口を向ける。

 

それを想像しただけで、頭がどうにかなりそうで、震えが止まらなかった。

 

そんなハリーの肩に、ラリーはそっと手を置いた。

 

「心配するな。アイツだぞ?上手くやるさ」

 

「ラリー…」

 

そう言ったラリーの顔は笑っていた。そうだ、彼もまた「流星」なのだ。窮地に立たされても、たとえ戦友を失っても、何度もラリーとともに立ち上がった仲間なのだ。

 

「機体の整備だけでいい。万全じゃなければ、足元をすくわれるのは俺かもしれんしな」

 

そう真剣な眼差しでホワイトグリントを見上げるラリー。彼に並んでハリーも機体を見上げた。

 

「そうね。強いもの、リークは」

 

「ああ、そうだな。強いよ、あいつは」

 

 

////

 

 

「採取したデータは暗号化し、クサナギへ運びこめ!ここに残るものはすべて削除する!」

 

カグヤの司令室でも、着々とアークエンジェルとクサナギ、ヒメラギの出航準備が進められていた。

 

今回のことでザフト、地球軍、そしてやむを得ないとはいえフリーダムの断片的なデータをキラから受け取ることになったウズミは、その責任を果たそうとしていた。

 

「アークエンジェルに装備するのは、クサナギの予備ブースターを流用したものだ。パワーは十分に稼げる。ローエングリン斉射と同時に、ポジトロニックインターフェアランスを引き起こし、それで更に加速する。アークエンジェルの方はどうか?」

 

そう指示を飛ばすウズミの横では、カガリが悲壮な表情を浮かべたまま、必死にウズミの腕を引こうと手を伸ばしていた。

 

「お父様!脱出は皆で!お父様達を残してなど行けません!」

 

「現在、ブースターの最終チェック中です」

 

「急がせい!時はそうないぞ!」

 

「お父様!!」

 

娘の慟哭をあえて無視する。ウズミは張り裂けそうな痛みを隠したまま、毅然と首長という役割を果たそうとしていた。自分を大切に思い、涙を流してくれる娘。それだけでウズミは充分だった。

 

責めは自分が背負う。

 

あとはカガリに託す。その覚悟を胸に、ウズミは淡々と自分のやるべきことを推し進めていく。

 

 

////

 

 

「そりゃぁ、俺たちはこのままカーペンタリアに戻ってもいいんだろうけどさ。けど、本当にそれでいいのかよ?」

 

カグヤのドックの中に集まっていたのは、メビウスライダー隊の各部隊のメンバーだ。そんな中で、ディアッカは改めて確認するように、アスランやイザークたちへ問いかける。

 

「僕たちの戦ってる相手…宇宙に上がれば、ザフトも…プラントとも…戦うことになるかもしれないですしね」

 

ニコルの言う通り、宇宙に上がれば敵は地球軍だけではなく、ザフトも出てくることになるだろう。果たして、そんな相手と自分たちは戦えるのだろうか。

 

「だが、誰かが止めなければならない」

 

そう静かに声を発したのはPJだった。彼の部下である二人も、首を縦に振って頷く。

 

「ホーク隊長…」

 

「止めなければ、またパナマのようなことが繰り返される。プラントでも地球でも、永遠にな」

 

そしてまた憎しみは広がる。参加していたムウとハインズも、この先にある底知れぬ闇の姿をおぼろげではあるが見通し始めていた。故にだ。

 

「我々が始めたことだ。それを止めるのも、落とし所を探るのも、我々の使命だ」

 

人間が始めたことを終わらせられるのも、また人間だ。誰に責任があるわけではない。始めた以上、誰もが当事者なのである。

 

「ザフトのアスラン・ザラか。ーー彼女には…ラクスは解ってたんだな」

 

「アスラン?」

 

自らを嘲笑うように言うアスランに、キラは首をかしげる。だが、今がまさにそれだと、アスランは言葉を繋いだ。

 

「国、軍の命令に従って敵を討つ。それでいいんだと思っていた。仕方ないと。それで、こんな戦争が一日でも早く終わるならと。でもーー」

 

ヘリオポリスから始まった戦い。親友との命の奪い合い。幾度も見てきた理不尽な死。消えない憎しみと怒り。それに目をくらませられてーー自分は大切なものを見ようともしなかった。

 

「俺達は本当は、何と、どう戦わなくちゃいけなかったんだ?」

 

ナチュラル?コーディネーター?地球?プラント?そんな単純なものではない。もっと、もっと深いところに、自分たちが戦わなくてはならないものがある。それが何かは見えないがーー心がそう叫んでいるんだ。

 

「一緒に行こう」

 

ハッと、全員がキラを見つめた。

 

「みんなで一緒に。僕らの使命を果たすために」

 

生きて、生き抜いて、使命を果たす。

 

それがメビウスライダー隊の在り方だ。絶対変わらない、無二の在り方。その使命を果たすために、自分たちは武器を取り、戦場へと赴くのだから。

 

「はっ!ハナからそのつもりだ、馬鹿たれめ」

 

そう言葉を吐いたのは、コンテナの上に座っていたイザークだった。

 

「イザーク…ふっ、そうだよな」

 

「部下を見捨てて逃げる隊長など、そんなもの隊長などではない!」

 

「いいねぇ、その気概。俺は嫌いじゃねぇよ?」

 

そうイザークの言葉にムウが賛同する。その隣にいたトールも違いないやと笑った。

 

「隊長歴だったら、フラガ隊長のほうが長いですもんね」

 

「トール」

 

「俺も探すよ、キラ。ボルドマン大尉から受け取ったものをどう使うべきなのか、それを知るために」

 

そう言って、トールは手に握っていたペンダントを見つめる。ラリーたちが戻ってきてからやった、弔いの儀式。涙を流しながら、ボルドマン大尉のタグへ酒を注いだ。そのタグを、トールは首へと取り付ける。

 

見つけるんだ。彼が何を思って、この力を自分に託したのかを。

 

「それくらい単純な方がいいかもな、俺たちも」

 

そういうディアッカの言葉に、全員が小さく肩を叩き合いながら笑った。

 

「ね?アスラン。みんなで一緒に探せばいいよ。僕たちが果たすべき使命を」

 

キラの言葉に、アスランも小さく笑みを浮かべて「そうだな」と答えた。その時、ドックにアラームが鳴り響く。

 

《カグヤ周辺の地形データは全て許容範囲内ーーあっ!レーダーに機影!モビルスーツ部隊です!》

 

戦いはまだ終わっていない。キラとアスランも顔を見合わせて、全員が各持ち場へと走り出した。

 

 

////

 

 

「さて、どうしますか?サザーランド大佐」

 

黄色部隊を運んできた空母の艦長は、その卑しいダミ声を響かせながら、モニターに映るサザーランドへ指示を仰いだ。

 

《決まっているだろう?アズラエルが消耗するのを見ていたが……チッ、役に立たん小僧だ。我々の秘密を知る奴らが、宇宙に逃げることだけは避けねばならぬからな》

 

オーブが消耗したのを見計らってから、横からマスドライバーと、ヤラフェス島にあるオーブの政治の中心である首長官邸を制圧しようと考えていたが、あの御曹司め、何の役にも立たんではないか!そうサザーランドは静かな怒りを露わにしていた。

 

空母の艦長が各艦へ合図を出す。

 

「モビルスーツ隊、発進を急がせろ!目標はカグヤのマスドライバー、オーブ首相官邸だ!」

 

指示になかった軍事協定を、勝手に結んだのはアズラエルだ。この際だ。監督不行き届きなり何らかの名目をもって、ヤラフェス島を制圧の後、アズラエルの地位を引き摺り下ろそう。流星にかまけていた責任だ。

 

(私の影を知る存在は、生かしてはおけんのだよ…アークエンジェル、そして流星どもめ)

 

そうサザーランドは宇宙の一隅で怪しく笑みを浮かべる。だが、彼は知らない。この場所には二つの流星がいるということを。

 

 

////

 

 

「カグヤに集結している?」

 

上着を羽織ったアズラエルは、ニックからの報告に眉を寄せた。

 

「あちらも背水の陣といったところですね。どうしますか?アズラエル理事」

 

「頃合いですね。先ほど、バーフォード艦長からも連絡が入りました」

 

そう答えるアズラエルに、ニックも、待機していたリークもニヤリと笑みを浮かべる。

 

「では、こちらも?」

 

「ええ。我々も動くとしますか。例の黄色部隊とか言うのを運んできた艦隊も、動き出しています。おそらくサザーランド大佐殿の指示でしょうね。彼らにも囮になってもらいます」

 

モニターに映る多くの機影は、かの謎の部隊が出てきた空母から現れたものだ。どこに戦力を隠していたのか。だが、こちらにとってはいい目くらましになる。

 

「しかし、オーブもまた疲弊してますが…」

 

「相手は流星隊ですよ?そこらの有象無象で勝てるわけないじゃないですか」

 

リークたちだから足止め程度で済んだんですよと、アズラエルはきっぱりと断言した。あの機体の性能、色眼鏡なしでも、並のストライクダガーが束になって掛かってもどうにもならない。

 

それほどの力を持っているからこそ、彼は流星と呼ばれる伝説なのだ。

 

「責任はあちらにとってもらいましょう。今まで散々振り回されたんです。ここら辺で仕返しといきますよ」

 

そう言ってアズラエルは、「あとは任せます」とニックに告げてハンガーへと降りていく。

 

「僕って案外、根に持つタイプなんでね」

 

 

////

 

 

オノゴロ島。

モルゲンレーテ社、機密管理室。

 

カグヤへの指揮で手薄になったモルゲンレーテ社で、その部屋を警備するオーブ兵の前に、一人の人物が歩み寄ってきた。

 

「あなたはセイラン様?こんなところに何の御用で…」

 

相手はオーブの士族であるセイラン家の当主だった。こんな時になぜこんなところへ?同郷であるが故か、あるいは人が疎らになっていたことへの気の緩みか、それが銃口を下ろしていた彼の運命を分けた。

 

小脇に抱えられたサプレッサー付きの銃で胸を穿たれた兵士は、何が起こったのかも知る間も無く崩れ落ちた。撃ち殺した当人は彼の胸からカードを抜き取り、何事もなかったかのように機密管理室へと入っていく。

 

「オーブはこれで終わりだが、私はこんなところで終わるつもりはないさ」

 

オーブが抱える数々の秘密。セイランはそれを眺めながら、メガネを光らせてほくそ笑んだ。

 

「ウズミめ……貴様がもたらしたもの、私がうまく使ってやろう」

 

 

 

 

 

 

キャラデザイン

  • 他キャラも見たい
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