ガンダムSEED 白き流星の軌跡   作:紅乃 晴@小説アカ

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第182話 ジェネシス破壊作戦 1

 

 

 

 

「全機!ジェネシスへ突入するぞ!」

 

ザフトの撤退が第八艦隊主導のもと行われる中、ライトニング隊は抵抗を受けずにジェネシスが存在する宙域へと足を踏み込んでいた。

 

すれ違いざまに見るのは撤退することに必死なザフトの兵士たちばかりで、ヤキンドゥーエが陥落したことによって大きく戦意が失われたのだろう。

 

抵抗する勢力も見当たら無いということは、早々に撤退したか、あるいは本当に戦意をなくしたのか…。

 

「隊長!入り口が…!」

 

ライトニングリーダーとして戻ってきたムウがそんな思考を巡らせている中、周辺をサーチするため、後方を飛んでいたトールがジェネシス内部に至るシャフトのゲートを示した。

 

ゲートはビームで穿たれたように溶解しており、モビルスーツが突入しても申し分ない穴が開けられている。それを見つけて、ムウは小さく舌打ちをした。きっとジャスティスに乗るアスランが内部へ突入したのだろう。

 

「あの馬鹿野郎!各機、遅れるな!」

 

《全機、ジェネシス内部への突入を確認。タイムリミットまで、残り10分!》

 

オービットを務めるニックの声を全員が聴きながら、ムウを先頭に各機が迷うことなくシャフト内へと突入する。最後尾を飛ぶキラのフリーダムでも、シャフト内は余裕を持って飛べる広さがあったが、気を抜くと壁と接触し、墜落は免れない。

 

「なんだか、アラスカの時を思い出しますね」

 

オレンジ色のシャフト内を飛びながら、トールが懐かしそうに言葉を出した。アラスカのサイクロプスを止めるために、電圧装置を破壊する任務。あの時に突入した搬入路のトンネルは今よりもぐっと狭かった。

 

「え、トールもやったのかい?僕はアルテミスのトンネル飛行を思い出すよ」

 

驚いたようにいうリークも淀みなく飛行している。彼はラリーの後ろではあったが、無重量の中を浮遊するコンテナや作業用ポッドを避けながら飛ぶトンネル飛行は生きた心地がしなかったと思い返す。

 

《オービットよりメビウスライダー隊へ。軽口を叩けているなら大丈夫そうだな?今はまだ広めだが、動力炉からリアクターの道はかなり細い。飛行には気をつけるんだぞ》

 

「らじゃーらじゃー」

 

「驚くほどに静かだねぇ。各機、抜かるなよ!」

 

目標であるリアクターは、この通路を通り抜けた先にある動力炉から、さらに狭いトンネルを通る必要がある。設計上ではメビウスが一機通れてギリギリだ。しかも機体を90度傾けた状態で。

 

「キラは動力炉内にいるバカを外に連れ出せ。モビルスーツじゃリアクターには入れん」

 

「了解」

 

よって、最後尾を飛ぶキラの任務はメビウスライダー隊の護衛とアスランの救出になる。このシャフト内で、後方からモビルスーツに襲われでもしたら、自由度が利かないメビウスが圧倒的に不利だ。それでも、ラリーやトールたちなら何とかしてしまうじゃないかとキラは思い、気づかれないように小さく笑った。

 

《よし、予測経路の半分を通過した。このまま先へーー》

 

《シーゴブリンからメビウスライダー隊へ!!》

 

オービットからの報告を、別回線で割り込んできたシーゴブリンの隊長の声が遮る。その声色に落ち着いた様子はなく、ひどく取り乱した様子であった。

 

《こちらオービット。シーゴブリン、何があった?》

 

《パトリック・ザラ議長を護送していた船がザフトに襲撃された!くそっ!隊員は死亡!議長はゲイツに回収されたが…》

 

息を荒げていうシーゴブリン隊。

 

ーー数刻前。

 

満員のザフト兵を救助する彼らの乗る救助艇は、前方にいた友軍機がなす術なく撃破され、接近したゲイツによりまんまとパトリックを取り返す様を見ていることしかできかった。

 

コクピットから簡易的なエアーロックを形成する機材の中、迎えに上がったザフトのパイロットを押し除けて、パトリックがゲイツのコクピットへと乗り込む。

 

『議長!何を!?負傷されていますのに…』

 

『黙って変わらんか、愚か者め!』

 

戸惑うザフトのパイロットを一喝し、パトリックは受けた傷の痛みに顔を歪めながらもゲイツを起動させていく。シーゴブリンが的確に処置した応急手当てだったが、年老いてもコーディネーターであるパトリックが身動きを取るには十分すぎる治療であった。

 

『ジェネシスを…ええい!させるものか、ナチュラルども!』

 

二機のゲイツを連れて飛び立ったパトリックが捉えたのは、ジェネシス内部へ突入したライトニング隊の姿だった。

 

 

////

 

 

《メビウスライダー隊!後方から熱源…これは、モビルスーツだ!!》

 

オービットから発せられた警告と同時に、ライトニング隊の後ろからビームの閃光が放たれる。咄嗟に機体を反転させたキラだったが、狭い通路では武装を展開できないため、シールドで耐えながら何とか応戦してゆく。

 

『ジェネシスをやらせはしない。我らの世界を取り戻すためにな!』

 

追撃するパトリックは、ノーマルスーツも着用せずにゲイツを操り、何かに取り憑かれたように目をすわらせて、ライトニング隊へビームを吐き出していく。

 

「げぇ!!こっちに来たのか!?」

 

「ゲイツが3機だ!くそ!どうなってやがる!」

 

キラが防ぎ漏らした猛攻を狭い通路の中、機体を入れ替わり立ち替わりさせて何とか避けていく。トールやリーク、ムウ、そしてラリーのメビウスたちが入り乱れていく中、新たな通信が届いた。

 

《ヴェサリウスの艦長、アデスだ!その機体はザフト軍の司令系統から完全に逸脱した行為を行っている!ザフト機に告ぐ!直ちに撤退し、指示に従って行動せよ!繰り返す!》

 

ザフト兵を回収していたヴェサリウスから、ザフトの通信回線で声が響く。ザフトの中枢司令部も、第八艦隊やザフトのクライン派が抑えたため、今は正式に撤退命令が発令されている。

 

つまり、後ろにいるゲイツは完全に私情でこちらを追っているのだ。

 

《裏切り者どもの言葉など!!》

 

その声を聞いた瞬間、ラリーは顔を歪める。パトリック・ザラだと!?本来ならあり得るはずのない追手に、彼は心の中で毒つく。

 

「ちぃ!ザラ議長閣下が自らお出ましか!!」

 

《各機、ジェネシスのシャフトを抜ける!動力炉内だ!》

 

いくつもの閃光を潜り抜けた先で、ライトニング隊は大きな動力炉内へとたどり着いた。先行して入ったムウが見たのは、動力炉内に浮かぶジャスティスの姿だった。

 

「アスラン!!」

 

「キラ!?みんなも…なぜここに来た!」

 

自爆シークエンスを開始しようとしていたアスランは目を剥き、現れたライトニング隊を見つめる。戸惑いを隠せないアスランの声を、ラリーが倍の声の大きさで叫んだ。

 

「それはこっちのセリフだ、大馬鹿野郎!!何を勝手なことをしている!!俺は認めてないぞ!!アスラン!!」

 

「来るぞ!各機、散開!!」

 

説教も言葉を交わすのも後だ!ムウの声に従ってライトニング隊は一斉に散開する。そして、動力炉内に突入してきたゲイツ隊。

 

ジェネシス内部での戦闘が始まる。

 

 

 

ヤキンドゥーエの自爆まで、あと8分。

 

 

 

 

 

 

キャラデザイン

  • 他キャラも見たい
  • キャラは脳内イメージするので不要
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