ガンダムSEED 白き流星の軌跡   作:紅乃 晴@小説アカ

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正直、これを書きたくて頑張ってきた。

番外編です!



番外編 守りたかった世界1

オーブ首長国連邦、ヤラフェス島。

 

島の南端にあるリゾート地区には、多くの人が賑わっていた。先の大戦から一年と少し。そこに集まったのは、あの戦いで共に肩を並べた面々だ。

 

アークエンジェルのクルーに、ドミニオンの元クラックスのクルー。オーブで共に戦ったキサカやハインズ、アサギたちに息子を連れてやってきたシモンズ。

 

パイロットであるキラやトール、ムウと仲睦まじくいるマリュー、リークにオルガや少し前から共に暮らし始めた妹達。

 

ブラックスワン隊の面々。

 

そして、忙しい中時間を作ってプラントからやってきたイザークたちもいる。

 

彼らは今回は軍服ではない。みんなが思い思いの正装やドレスで着飾り、飲み物を片手に談笑している。

 

今日は特別な日だった。

 

『それでは新郎、サイ・アーガイルさんの入場です!』

 

教会の中、扉が開くと純白のタキシードを着こなすサイが、緊張した面持ちで立っていた。両脇に並べられた椅子に座る面々が端末を掲げると、一斉にシャッターやムービーの開始音が鳴り響いた。

 

幻想的なパイプオルガンのメロディとともに、光が差し込む通路を歩み、神父の前に立つ。

 

メロディが止むと、司会進行役のミリアリアがアークエンジェルのオペレーター時代から奮っていた声色で続けて声を紡ぐ。

 

『では新婦、フレイ・アルスターさんの入場となります。皆さま、入り口にご注目下さい』

 

その声の後、扉はゆっくりと開く。

 

そこには、美しく彩られたウェディングドレスを着たフレイが、ベールに包まれて立っている。

 

 

 

 

 

今日は、二人の結婚式だ。

 

 

 

 

 

 

 

「 「 「二人とも、結婚おめでとう!!」 」 」

 

教会の外でフラワーシャワーといっぱいの祝福の声が降り注ぐ中、二人は幸せそうに祝福の花を受けていく。

 

ラリーはハリーと共に、フラワーシャワーをあげて、大きな拍手とともにお祝いの言葉をかけた。フレイがこちらを見ると、嬉しさと思いに感極まった涙を浮かべて、ラリーに頭を下げる。それに当てられて、ラリーも涙目になりながら祝福の拍手を送った。

 

隣にいるキラは、二人が誓いの儀をしてからアズラエル理事と一緒に泣きっぱなしだ。

 

その側には、この式を楽しみにしていたであろう、ジョージ・アルスターの写真が飾られている。

 

アレックスとなったアスランも、今日だけアスランとして、カガリやトールと共にお祝いの声をサイとフレイに掛けていた。イザークたちからも祝いの言葉をかけてもらい、ナタルやお腹が大きくなったマリューとも握手や言葉を交わして、最後に待っていたラクスが、幸せそうなフレイと抱き合って喜びを分かち合っている。

 

この瞬間を見て、ラリーは思った。

 

今までやってきたことは、間違ってなかったと。

 

やっと自分が駆け抜けてきた今を、ラリーは自分自身を認めてやることができたのだった。

 

 

 

////

 

 

 

『二人の馴れ初めはオーブ首長国所属のヘリオポリスでありーーー』

 

教会から披露宴会場に移ってからは、オーブ特産の海産物の食事を楽しみながらの披露宴となった。それぞれが楽しみながら、サイとフレイの馴れ初めを語るビデオが流れており、穏やかな海が一望できる会場は、祝福の空気に染まっていた。

 

あれから、少し変わったことを話そうと思う。

 

あの戦争の後、俺たちは全員が地球軍から離脱した。無責任な行動なのではとも思ったことはあるが、ハルバートン提督自身がそれを推したのだ。

 

現に今は、新生したハルバートン提督の地球軍と、旧体制やブルーコスモス過激派との間での小競り合いが頻発しており、俺たちはあの戦争で起こった責任を背負って空を飛んでいる。

 

リークはオルガたちを正式に家族として迎え、住居が落ち着いた頃にアジアにいた妹たちを迎えに行った。今は、六人家族で楽しげに暮らしていて、オルガたちも妹二人と同じ高等学校へ入学。ブーステッドマンとして失っていた時間を取り戻すように勉学に励んでいる。友達も多く、充実した日々を過ごしているらしい。

 

アークエンジェル組やドミニオン組のほとんどはオーブ軍にお世話になることになった。船も今はモルゲンレーテの秘密ドックに格納されており、クルーたちも忙しく仕事に従事している。

 

マリューとムウは、大戦から半年後に入籍。子供もできており、経過も順調そうだ。ムウ自身もオーブ軍の教官として勤務しており、若手のパイロットを育成する側に回っている。

 

一番驚いたのはナタルだ。なんと、アークエンジェルの操舵手であるノイマンと付き合っているらしい。側から見たらよくわからないが、ハリーやアイシャから見たらよくわかるようだ。

 

バルトフェルドはラクスの副官、シーゲル・クラインの右腕としてプラントに戻り、今は彼の政治活動やラクスの護衛としての日々を過ごしている。イザークたちもザフト軍へ復帰しており、軍事裁判やいろいろとごたついたが、今はプラント防衛部隊の一つを任せられていると言う。

 

トールとミリアリアは相変わらずであり、今は二人で同棲中。ラリーやリークと同じ民間軍事会社に入社したトール自身が、生計を立てれるようになったら正式に結婚すると、日々業務に打ち込んでいる。

 

アズラエルは、戦後の経済立て直しに奔走。書類の高層ビルとの戦いをしながら、軍産複合企業の面倒も抜かりなく見つつ、傷ついた地球圏への資金援助や、プラントの修理費などの手配も行い、アズラエル財団の力を更に高めながら戦後の平和に力を注いでいる。

 

フレイの後見人になったのは驚いたが、本人が父であるジョージから頼まれていたのもあり、今は彼女の良きサポーターとして仕事に連れまわしたりと、彼女の見聞を広げる力を貸しているようだ。

 

アスランもプラントの混乱を危惧してオーブへ移り住み、今はアレックス・ディノと名前を変えてカガリの生活のサポートを行なっている。付き合っているのかとカガリに聞いたが、「アスランが落ち着くまでは待つ」と男気たっぷりな答えが帰ってきた。

 

そしてキラ。彼は今もラリーやリークと共に空を飛んでいる。自分が大切だと思うものを守るために。プラントに帰ったラクスとは何度か話をしているらしいが、彼女も忙しい身であり、二人きりで会う機会はなかなか見つからないらしい。

 

 

そして、流星であるラリー・レイレナードはというとーーー。

 

 

 

「はい、ラリーさん。これ美味しいですよ♪あーん♪」

 

「ちょっと、マユさん?ラリーに近くないかしら?」

 

「そんなことないですよぉ、ねぇ?ラリーさん」

 

マユ・アスカと、ハリー・グリンフィールドに挟まれた修羅場の中にいた。

 

 

教えてくれ

 

 

どうしてこうなった。

 

 

 

キャラデザイン

  • 他キャラも見たい
  • キャラは脳内イメージするので不要

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