書いた。
※お互いに不快にならないための注意書き(2014/08/14追記)
・主人公最強モノ故のご都合展開あり(作者の自己満足)
・主人公の思考が結構変態チック(主に番外編)
・世界観にあった設定の変更があるクロスキャラ多数(本当にモブ以外のサブキャラは大抵クロス)
以上のことを不快に思われる方はご覧にならないことをお勧めします。
Lesson01 アイドル少年
少年は、気が付いたら光の中に立っていた。
一体ここは何処なのかと首を傾げていると、突如として頭の中に直接声が響いてきた。それはうら若き女性の声のようにも聞こえ、しゃがれた老人の声のようにも聞こえた。
曰く、声の主は神様らしい。
曰く、少年は不慮の事故でその生涯を終えてしまったらしい。
曰く、少年の死は神様の予定にはなかったものらしい。
曰く、代わりに何でも好きな能力一つと共に別世界に生まれ変わらせてくれるらしい。
そこまで聞いた少年は、なるほどと頷いた。
(転生モノってやつだな、それもとびっきりのテンプレの)
思い出すのは生前ネットで読み耽った、オリ主(オリジナル主人公)たちが「俺TUEEEE」などと言いながら原作キャラ相手に大立ち回りを繰り広げる転生モノの二次創作小説の数々。
なるほどどうやら今度は自分がそのオリ主として選ばれてしまったらしい。
あれって空想の話じゃなかったんだなーと心の片隅で思いつつ、それと同時に今更ながら死の直前のことを覚えていないことに気付く。しかしその疑問は口に出す前に解消された。
曰く、余りにもむごったらしい死に方をしたため、ある程度記憶に補正をかけておいてくれたらしい。
ただそのおかげで生前に対する未練みたいなものまで補正をうけてしまったそうだ。道理で死んでしまったことに対して何の感慨も沸かないはずである。
ならばしょうがないとある種の諦めに似た感情と共に、少年は貰う能力について考え始める。
神様から貰う能力というのはオリ主にとっての最大の武器であり、オリ主がオリ主たる理由となりえるものだ。
しかし、貰う能力を選ぶにしてはやや情報が足りない。
例えばの話である。転生オリ主のテンプレ能力である『
逆にモビルスーツに乗りこなす才能を貰って魔法の世界に転生してしまっては宝の持ち腐れ以外の何物でもなくなってしまう。才能ではなくモビルスーツ自体を貰った場合でも同じである。
となると転生先に見合った能力の選択が必要となる。
そこで自分の転生先の世界の情報を貰おうと尋ねてみるが、何故か反応がなかった。
(これは困った)
貰える能力は一つ。転生先が分からないこの状況で最善の能力は何かと考え、とある一つの考えに至る。
そしてその能力を口にした瞬間、少年の意識は暗転した。
少年の願いは受理され、転生が始まった。
『転生する世界で最も武器となる能力』と共に……。
†
――ねえねえ、リョウ君リョウ君。
――ん? 何、母さん。
――リョウ君はアイドルに興味ない?
――……は? アイドル?
――そうそう。リョウ君、歌も上手いし運動神経もいいからアイドルに向いてると思うなー。
――いやいや、それだけでなれるほどアイドルなんて甘くないんじゃ……。
――母さんの言うとおり、お前はアイドルに向いてると思うぞ!
――父さんまで……。
――しかも顔は母さんに似て美形だしな!
――やだ、あなたったらー……美形なのはあなたに似たからでしょー?
――はっはっは、照れてる母さんは可愛いなぁ!
――……あのー。
スパンッ!
「っ!?」
随分と懐かしい夢を見ていたところ、乾いた音と鼻先に走る痛みに目を覚ました。
敵襲か!? おのれジュピターこないだボコボコにしてやったお礼参りに来たか!? と飛び起きるが、目を開いても辺りは完全な暗闇で何も見えない。クソッ! 非常灯まで落として夜襲とは徹底してやがる!
「いいだろう! ならば戦争だ! 来いよジュピター! マイクなんて捨ててかかってこい! 俺の奥義は百八式あるぞ!」
「アンタの奥義(笑)の数はどうでもいいからさっさとアイマスク外しなさいよ」
どうやらこの暗闇は部屋の電気が消されていたからではなく俺の頭部装備がアイマスクだったからのようだ。
呆れたような声に従いアイマスクを外すと、そこにいたのはジュピターと同じ三人組は三人組でも男ではなく女の三人組だった。
「なんだお前らか」
「なんだとは随分なご挨拶ね。私達の方から出向いてあげたっていうのに」
ふんっと鼻を鳴らしながら三人の先頭に立つ
「この私がわざわざ起こしてあげたんだから感謝しなさい」
「リテイク希望。次はりんかともみが優しく揺り起してくれ」
やり直しを要求し再びアイマスクを付けてソファーに横になろうとするが、ズバンという先ほどよりも重い音で引っ叩かれてアイマスクを取られてしまった。
「私はあと何回殴ればいい? 私はあと何回アンタの目が覚めるまで殴ればいい? 教えなさい、良太郎!」
「目は覚めてる。でも起こされるならおっぱい大きい女の子の方が」
「歯ぁ食い縛りなさい」
「顔は止めろよ」
ボディにしなボディに、と言ったところ麗華の体重の乗ったボディブローが鳩尾に突き刺さった。こいつは俺を起こしたいんだか寝かしたい(物理)んだか。
このまま意識を飛ばすとエンドレスにループしそうになるので気合を入れて体を起こす。八回も殴られたら流石に生命の危機だ。
とりあえず麗華の後ろの二人に声をかける。
「おっす、りん、ともみ」
「おっす! りょーくん!」
「おはよう、リョウ。脂汗が酷いけど本当に大丈夫?」
「大丈夫大丈夫、汗は青春の証だから」
「青春の証が脂汗ってなんかヤダな……」
「まぁ拳で語り合うっていう点で言えば青春には間違いないかもだけど」
一方的に語られただけであって俺は一切語っていないがな。
麗華(
「……今物凄くイラッときたんだけど何かふざけたこと考えなかった?」
「そんなわけないって」
小さいことは悪いことじゃない。ただ大きいことが正義なだけだ。おっぱい。
「っていうか兄貴は?」
今回の楽屋として宛がわれた部屋をぐるりと見回すが、俺のマネージャー兼プロデューサーの兄貴の姿が見えなかった。
「わたし達を楽屋に入れてくれた後、ちょっとよろしくねって言って今さっき出てったよ」
「あ、これお兄さんからの伝言」
りんから四つ折りになった小さな紙切れを受け取る。そこに書かれていたのは間違いなく兄貴の字だった。
『するなら避妊! これ絶対!』
「ねーよ」
いや、避妊をしないというわけじゃなくて当然避妊を必要とするような行為をしないというわけだが。
というか、マネージャーがアイドルに不純異性交遊を推奨するなという話だ。
「それで? りんやともみはともかく、お前がワザワザ意味も無く陣中見舞いにくるようなタマに見えないんだが」
事実タマは無いという下ネタは心の中に留めておく。後ろの二人にも無いし。
「当たり前よ。何で私がアンタの陣中見舞いなんかしなくちゃいけないのよ」
「とか何とか言いつつも、ここに麗華が用意した菓子折が」
「お兄さんと一緒に食べてねー!」
「このツンデレー」
「ツンデレ言うな! こ、これはアレよ! 上杉謙信が敵に塩を送ったっていう有名な話をリスペクトして……!」
「なるほど……それで塩大福か。洒落が利いてるな」
「煩い!」
再び放たれた麗華の拳をひらりと避ける。
「まぁお茶受けもあることだし、茶でも飲んでけよ」
「アタシはオレンジジュースで!」
「……コーヒー」
「紅茶お願い」
「茶だっつってんだろ」
三人娘のバラバラな要望を無視し、備え付けのポットで四人分のほうじ茶を入れる。
しばし塩大福を頬張りながら一服。
「そういやお前らは大学行くのか?」
ふとここにいる四人全員がアイドル兼高校三年生だったことを思い出してそんな話題を振ってみる。
「行くわ。私は会社を継がなきゃならないから、その勉強をしなくちゃいけないし」
「アタシは未定かなー。特にやりたいことがあるわけでもないし」
「わたしもりんと同じ。リョウは?」
「一応行こうかなとは考えてる」
「あれ、意外。りょーくんだったら『受験勉強? そんなことよりライブしようぜ!』とか言うと思ったんだけど」
「いやまぁそういう考えも無きにしも非ずなんだが」
「? 何か考えがあるの?」
「いや、何も。ただ社会人として大学ぐらい出とかないと不味いかなと思って」
おバカキャラならともかく、今時高卒でアイドルは流行らないと個人的に思う。
「じゃあしばらく活動休止するの?」
「そこらへんは兄貴とか先方のお偉いさんと要相談ってところだな。まぁボチボチ決めるさ」
「……それ、間に合うの? 受験勉強的な意味で」
「大丈夫だろ。多分」
「精々必死に勉強することね。活動休止なんかしたらその間に全力で干してやるわ」
「そんなことされたら俺も覇王翔○拳を使わざるを得ない」
「使わざるを得ないって……何をする気よ」
「具体的に言うならばお前達のライブ会場の目と鼻の先で突発的ゲリラライブを――」
「マジで止めなさい」
「四年前を思い出すねー」
「懐かしい」
まぁデビュー当時ならいざ知らず、今それをやったらマジで警察沙汰になるだろうから流石にやらんけど。
「って、そろそろ本題を話しとくわ」
「おぉ、結局何だったんだ?」
「これよ」
麗華は先ほど俺の顔面を二回叩いた雑誌を捲ると、とあるページを指し示した。内容は三人組のとある駆け出しアイドルグループの記事である。
「竜宮小町、か」
「アンタの目から見てどうよ」
「……いいと思うぜ。歌も上手いしキャラも立ってる。間違いなく『持ってる』奴らだ」
神様の特典の一種なのか知らないが、トップアイドルになり得る素質のある奴は何となく分かる。
まぁ小乳、大乳、小乳と若干バランスは悪い気もするが。いや、寧ろ均等が取れているのか?
「アンタが言うからには間違いないんでしょうね。忌々しいけど、アンタの目は」
「イチイチ言わなくても分かってるから。で? そんな評価を聞きに来たのか?」
「そんな訳ないでしょ。ここよ」
んー? と麗華が指差したところに目を向けると、そこにはこのアイドルグループをプロデュースしたプロデューサーの顔写真が……って。
「これりっちゃんか?」
そこに写っていたのは俺達四人と同期の元アイドル、りっちゃんこと秋月律子の姿だった。二本のエビフライのようなお下げは無くなっているが、この眼鏡は間違いない。
「へー、今りっちゃんプロデューサーなんかやってるんだ」
「引退してそのまま
「りっちゃんともう一人のプロデューサーの二人で十二人のアイドルをプロデュースしてるんだってさ」
「何それコワイ」
プロデューサーの数に対してアイドルの数が飽和しまくってるじゃないか。高木さんは何を考えてるんだ。
「考えも無しに片っ端からスカウトしまくったとか」
「『ティンと来た!』とか言ってね」
「ありそうで困る」
しかし765プロか。りっちゃんが引退してから目立ってなかったから全然気付かなかったけど、ちゃんと活動してたんだ。
「……よし」
「何が『よし』なのよ」
「知り合いが頑張ってんだ。なら、することは一つだろ」
激励だよ。
「というか、昔の知り合いが頑張ってるからってわざわざ教えに来てくれる麗華はやっぱりツンデレ。はっきりわかんだね」
「煩い!」
・『転生する世界で最も武器となる能力』
アイドルとしての才能
・いいだろう! ならば戦争だ!(ry
よくあるネタ。二次創作なら一回はお目にする鉄板ネタ。
・私はあと何回殴ればいい?
教えてくれ、ゴヒ!
・ボディにしなボディに
元ネタは某○八先生。
・魔王エンジェル
アイドル三人娘。詳しくは次回。
・覇王翔○拳を使わざるを得ない
具体的な内容はこれまた次回。
・十二人のアイドルをプロデュース
普通に考えておかしい気がする。
・はっきりわかんだね。
言及しとかないと誤解されかねないから言っとくけど作者はノンケです。
女の子のおっぱい大好きです。
色々とリアルが大変なのでストレス発散を兼ねて筆と取ったらすごい勢いでかけたから思わず投稿。タグに魔王エンジェルをつけておけばコアなファンが釣れると信じている。