アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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ひゃっはあぁぁぁ! デレマス十五話の楓さんが可愛いやったあぁぁぁ!

この可愛さを前に通算百話突破とかどうでもよくなるぜえぇぇぇ!!

(後書きにて触れます)


Lesson86 熱い夏が始まる 3

 

 

 

 さて、恭也さん(良太郎さん)が喫茶店を去って早一時間。既にアタシたち九人は空の上にいた。初めて飛行機に乗る子が若干手荷物検査で戸惑った以外は特に問題なく、飛行機はアタシたち全員を乗せて空港を飛び立った。

 

「なーなー恵美ー!」

 

「んー? なーに奈緒」

 

「事務所での周藤良太郎さんってどんな感じなん?」

 

「え?」

 

 離陸してしばらく経ってからシートベルト着用のランプが消え、そのタイミングを待っていたように前の座席から顔を出した奈緒がそんなことを尋ねてきた。

 

「あ! それ私も聞きたい!」

 

「普段の良太郎さんがどんな感じなのか聞いてみたい!」

 

 他の子たちも興味津々と言った様子で前や後ろから覗き込んでくる。九人なので三人掛けの座席三列を私たちで占拠している状態なのだが、その中央列の真ん中の座席に座ってしまったため周りをみんなに取り囲まれる形になってしまった。幸い通路側のまゆはともかく、窓側の志保はさほど興味無さそうに窓の外を見ていた。……いや、よくよく見てみると視線は窓の向こうだがどうやら意識はこちらの話に向いているらしい。

 

「それともアレか? 良太郎さん、忙しくて事務所で顔を合わせる暇が無いとか?」

 

「いや、そんなことはないよ。事務所全体でのミーティングの時間もあるし、何回か一緒にレッスンを受けさせてもらったこともあるし」

 

 まぁその話は横に置いておくことにして。

 

「そうだなー。多分アタシよりもまゆが話した方がいい気もするんだけど……」

 

「あら恵美ちゃん、私が話していいの?」

 

「ごめんやっぱりアタシが話す」

 

 まゆに語らせたら行きの飛行機の中は全てまゆのリョータローさん語りに費やすことになってしまうので、アタシが話すことにしよう。

 

 しかしこの手の質問は来ると予想していたが、何処まで話していいものか。いやまぁ、話すと拙い話題があるわけでもないのだが。

 

「じゃあ逆に聞くけど、みんなはどんなイメージ持ってるの?」

 

「えっとねー……意外と厳しいとか?」

 

「やっぱり常にトップアイドルの最前線をひた走っている人だから、シビアでストイックなイメージかな」

 

 アタシの問いかけに真っ先に答えたのは美奈子だった。それに追従するような百合子の意見は、まぁリョータローさんの無表情から想像してしまうのだろうと思った。

 

「あはは、全然そんなことないよー。事務所でもステージの上やテレビの中のリョータローさんのまんま。明るくて冗談が好きで、たまーに胸元への視線が熱い普通の男の人って感じだよ」

 

「……おっぱい好きっての作ったキャラとちゃうんかったんや」

 

 正直そこが唯一無二に確定的なところだと思う。同級生の男子がチラチラと胸を見ていることを気にしたことは無いが、あそこまで堂々と視線を向けられてあまつさえ「育ってるねぇ」と真正面から言われてしまうと感心すらしてしまう。

 

「でも仕事に対して厳しいっていうか、真面目でストイックっていうのはホントだよ」

 

 仕事現場を舞台裏から見学させてもらったことは何度もあるが、いつだってリョータローさんは真剣だった。本番でのステージ上は勿論のこと、リハーサルの時やそれ以前の事務所内での打ち合わせの時はずっと、普段散々社長や冬馬さんをからかっているのが嘘のようにリョータローさんは冗談を口にしないのだ。それだけ真剣に仕事に取り組んでいるということなんだと思う。

 

 それにレッスンに費やす時間だって事務所の中では道場に通って体を鍛えている冬馬さんに次いで多い(もっともリョータローさんにとってその道場での体作りは既に通った道だったそうだが)。しかもそのレッスンの時間はほぼ休憩なしで踊り続けるので、他の人が行うレッスンよりもその密度は格段に濃いのだ。

 

 アタシやまゆに対しても、写真撮影などの仕事に対する質問にちゃんとした答えを返してくれるし、ダンスレッスンでも「自分にとっても人に教える練習だから」とやや不慣れな様子ながらも指導をしてくれる。

 

 それ以外にも先ほどの送迎や、親睦会と称して事務所のみんなと共に食事やカラオケに連れていってもらったこともある。アタシとまゆという後輩二人を可愛がってくれている。それがしっかりと感じられてすごく嬉しかった。

 

「とりあえずアタシ的には、無表情で分かりづらいけど楽しくて優しいお兄ちゃんって感じかな」

 

「ふーん……」

 

 勿論優しいのはリョータローさんだけじゃない。周藤良太郎がビッグネーム過ぎて聞かれることは少ないが、ジュピターの皆さんもいい先輩だ。冬馬さんは不器用ながらもアタシたちを気にかけてくれるし、北斗さんも仕事の現場で頼りにさせてもらっている。翔太君は先輩だが学年は下、しかし同い年という少々複雑な立場だが事務所内で一緒にゲームをしたりするので一番気さくに接しているかもしれない。

 

 アイドルだけじゃなく、事務員の美優さんは綺麗なのに可愛らしくて優しいし、留美さんは綺麗でカッコいい。そして社長である幸太郎さんには良太郎さんと同様にアタシをアイドルとして見初めてもらった恩もある。

 

「なんや恵美、めっちゃ楽しそうやな」

 

「うん。ちょー楽しいよ! ね、まゆ?」

 

「えぇ、私も楽しいわぁ」

 

 そして同期に、しかし別々の経緯で事務所に入ったまゆ。

 

 あの南の島での一件以来お互いの全てを吐き出したアタシの親友。

 

 まだアイドルらしい仕事は少ない状況だが、そんな人たちに囲まれて今の事務所が凄く楽しい。アイドルとして本格的に活動し始めたらどれだけ楽しくなるのか、今からワクワクしている。

 

 

 

「ほな、次はまゆの番やな」

 

「あ、ちょ」

 

「うふふ」

 

 アタシが止める暇もなく奈緒がまゆに話を振ってしまい、これから始まるであろうまゆのリョータローさん語りに思わず頬が引き攣るのを感じた。

 

 

 

「………………」

 

 だから、窓ガラスの反射越しにアタシたちを見ていた志保の視線に気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

「何処かで俺の噂をされているような気がする」

 

「割といつものことじゃない」

 

 りっちゃんの言葉に、確かにそうだと納得する。

 

 空港まで恵美ちゃんたちを送迎し、可愛い女の子九人とお茶を楽しんだ後に向かった先は毎度お馴染みテレビ局。もはや定番の時間潰しである竜宮小町の楽屋に遊びに来た。

 

「りっちゃんたちは明日から福井行きだっけ?」

 

「えぇ。午前中の飛行機に乗っていくわ。宿に着くのは昼過ぎになるかしらね」

 

 765プロのみんなが到着するまで恵美ちゃんたちはバックダンサー組で親睦を深めているのだろう。

 

「みんなでお泊りなんて去年の夏以来だから楽しみだよー!」

 

「へー。去年も合宿なんてしたんだ」

 

「去年のは合宿じゃなくて本当にただのお泊り。旅行よ。去年の夏はまだ竜宮小町を結成する前で事務所の全員が暇だったから、予定を簡単に合わせることが出来たのよ」

 

「なるほど」

 

 竜宮小町を結成する前ってことは、りっちゃんがアイドルを辞めて765プロの名前を一時的に業界で聞かなくなった時期だな。赤羽根さんが春に入社したって言ってたから、入ってすぐってことか。

 

「うふふ、みんなで海に行ったの。楽しかったわ~」

 

 確かあずささんは竜宮小町結成前に髪の毛をロングからショートにしたって言ってたっけ。ということは、その時のあずささんは水着(黒髪ロングVer)ということに。何それ超見たい。

 

「今回のアリーナライブのBDの特典にその時の映像を編集して入れようかという案が出てるわ」

 

「えぇい密林の予約はまだか!」

 

 無いことは分かっていたものの、スマホで密林のサイトを呼び出して確認をせざるを得なかった。これから小まめにサイトの確認を……と思ったがBDが出るってことになったら美希ちゃんか真美辺りが教えてくれるだろう。

 

「……それで? アンタはいつ来るのよ?」

 

「ん?」

 

 ブラウザを閉じていると、今まで兎のぬいぐるみを弄んでいて会話に参加していなかった伊織ちゃんからそう声がかけられた。

 

「来るとは何のことぞ?」

 

「だ、だから、練習によ。春香と千早から聞いたわよ。アンタも顔を出すんでしょ?」

 

 あぁ、そのことか。確かに言ったね。

 

 しかしそのことについて伊織ちゃんから尋ねられるとは思ってもいなかった。

 

「いおりんってば、前に亜美たち以外のみんながりょーにーちゃんと一緒にレッスン受けたのをすっごい羨ましがってたんだよー」

 

「羨まっ!? だ、誰が羨ましがったって言うのよ! べ、別にそんなこと一言も言ってないわよ!」

 

 あー、去年の秋の話か。そういえばあれ以来一回も彼女たちと一緒にレッスンとかその類のことをやったことなかったっけ。

 

「……そのレッスン以来みんなの動きが良くなったから、伊織ちゃん、ちょっとだけ寂しくなっちゃったのよ」

 

 あずささんからこっそりともたらされたその情報になるほどと納得する。人一倍向上心の高い伊織ちゃんらしかった。

 

「はっきりとした日時は言えないけど、しっかりと練習には顔を出すから安心していいよ、伊織ちゃん。こっちには新人二人を預かってもらう恩もあるわけだから」

 

「……そ、そう。ならいいわ」

 

「えー! じゃあもしかしてりょーにーちゃん、合宿には来てくれないのー!?」

 

「いやまぁ、俺も仕事があるからね。今日から五日間ずっと仕事ってわけじゃないけど、移動時間を考えるとどうしてもね」

 

 話では765プロのみんなも何人か仕事で抜けたりするそうだが、合宿を基本に仕事へ行くみんなと仕事を基本に合宿へ顔を出す俺とでは若干事情が違う。

 

「こっちに帰ってきてからの練習には顔を出すからさ」

 

「ぶーぶー」

 

 唇を尖らせてぶーたれる亜美ちゃんの頭を撫でながら、ちゃんと差し入れ持っていくから許してねとご機嫌取りをするのだった。

 

 

 

 ……もっとも、『合宿中に顔を出さない』とは一言も言ってないわけだが。

 

 

 




・たまーに胸元への視線が熱い普通の男の人
最近描写が減ったから治ったかと思ったらそんなことなかった。

・「無表情で分かりづらいけど楽しくて優しいお兄ちゃんって感じかな」
Q ころめぐって兄がいるって設定じゃなかったっけ? これだといないみたいな発言だけど。
A のワの

・あの南の島での一件
恐らく第三章内の何処かで触れます。



 ネタが少ないのは百話書く間にほぼ使い切ってしまったからだ(初手言い訳)

 というわけでなんと通算百話目です。なんてことだ(驚愕)

 月並みな言葉ではありますが、ここまで続けることが出来たのはいつもお気に入り登録や感想をくださる読者の皆様のおかげです。自己満足感の強い稚拙な二次創作ではありますが、完結までお付き合いいただけたら幸いです。

 どうぞこれからもよろしくお願いいたします。



 真面目な話はここまでで、百話記念何も考えてません(白目)

 義務ってことはないんですけど、せっかくなんで今回のお話が終わったら番外編を挟もうと思っております。しかしネタがない。再来週までにはひねり出します。



『デレマス十五話を視聴して思った三つのこと』

・楓さん回だあああwせdrftgyふじこlp!

・エプロンに三角巾を付けた美波が本当に若妻にしか見えn(ty

・今週の俺ら(楓さんのライブに涙する男)

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