アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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割と話が進まない第三話編の二話目。


Lesson122 The first step for a ball 2

 

 

 

「私たちがステージに立てるなんて……!」

 

「入って早々の大抜擢! いやー、何が起こるか分からないからアイドルって面白いよね!」

 

「……やっぱり、まだ実感湧かないなぁ……」

 

 346の城ヶ崎美嘉から私、卯月、未央の三人がバックダンサーに指名されてから一夜明け、学校帰りに事務所へやって来た私たちは早速今日からバックダンサーとしてのレッスンを受けることとなった。

 

 ロッカールームで着替えながら壁に貼られた定例ライブのポスターを眺め卯月と未央は感慨深そうにしているが、相変わらず私は現実味が薄かった。

 

 良太郎さんから「そういうものだから割り切った方がいい」と言われたものの、どうやら私の頭はそんなに簡単に切り替えが出来るほど器用には出来ていなかったようだ。

 

「「「おはようございまーす」」」

 

 三人で着替えを終え、レッスン室へと赴く。そこには今日から私たちのレッスンを見てくれるトレーナーさんの姿が――

 

 

 

「遅れてきた新入りが先にステージに立つのは納得いかないにゃ!」

 

 

 

 ――無く、代わりにプロジェクトメンバーの一員である猫耳少女が仁王立ちで待ち構えていた。

 

「このみくとどっちが城ヶ崎美嘉のバックダンサーに相応しいか……勝負にゃ!」

 

(プロジェクトメンバーの まえかわみくが しょうぶを しかけてきた!)

 

 ニャースとかエネコとか猫系のポケモンを使ってきそうだなぁなどとどうでもいいことを考えてしまった辺り、現実逃避というよりは「こいつは一体何を言っているんだ」感が強かったのだろう。

 

 ちなみに前川さんの後ろには緒方さんと三村さんもいたが、二人ともオロオロとしているところを見るに前川さん側というわけではなさそうだった。

 

「しょ、勝負……ですか?」

 

「よーし! なんだか分かんないけど受けて立つ!」

 

 当然のように困惑する卯月に対し、完全にノリと勢いだけの未央がみくの勝負に応じる姿勢を見せた。

 

「まずはこれで勝負にゃあ!」

 

 そう言いながらみくが取り出したのは、何故かジェンガだった。

 

 何故ジェンガなのだろうかという至極当然の疑問を抱きつつ、しかしノリノリの二人はいそいそと箱から取り出したジェンガを積み上げ始めていた。

 

(レッスン前に準備運動しといた方がいい気がするんだけどなぁ)

 

 どうせ二人がジェンガをしている間は手持無沙汰になることは目に見えていたので、先攻後攻を決めるジャンケンを無駄に白熱させている二人を尻目に軽く柔軟を始めるのだった。

 

(……ん? 今『まずは』って言った?)

 

 前川さんが勝負に負けた場合「五本勝負にゃ!」と言い出す未来が見えた気がした。

 

 

 

「……な、長く苦しい戦いだった……!」

 

 数分後、そこには手の甲で額の汗を拭う未央と某狼牙風風拳さんばりに倒れ伏した前川さん、そして無残に崩れ去った悪魔城……じゃなくて、ジェンガが散らばっていた。

 

「う、うにゃぁぁぁ!!」

 

 ガバッと起き上がりながら叫ぶ前川さん。

 

「ちょ、ちょっと欲張り過ぎただけにゃ! みくは負けてない!」

 

 ルール的には負け以外の何物でもないと思うのだけど。

 

「そ、それにこれは五本勝負! 先に三勝した方が勝ちなのにゃ!」

 

「えー?」

 

 予想通り五本勝負だと言い出した前川さんに、流石の未央も難色を示す。

 

「次は未央ちゃんじゃにゃくて卯月ちゃん、勝負にゃ!」

 

「えぇ!? わ、私ですかぁ!?」

 

(……あれ、これもしかして次は私にお鉢が回ってくるんじゃ)

 

 先ほどから未来予知に目覚め始めてしまっているようだが、どうせだったらもうちょっと有意義な未来を見たかった。

 

 

 

「……え、えっと……」

 

 数分後、そこには先ほどから戸惑いっぱなしの卯月と某操気弾さんばりに倒れ伏した前川さん、そして樽から飛び出した黒ひげ人形が転がっていた。

 

「う、うにゃぁぁぁ!!」

 

 再度ガバッと起き上がりながら叫ぶ前川さん。

 

「ほ、本当のルールは『黒ひげを飛び出させた人の勝ち』にゃ! みくは負けてない!」

 

 最初はそうだったらしいけど、今は普通に『飛び出させた人の負け』だし。

 

「それに勝負はあと三本! ここから全勝すればみくの勝ちにゃ! というわけで凛ちゃん、勝負にゃ!」

 

「やっぱり……」

 

 分かってはいたものの、やっぱり私もやらなきゃいけないのか。

 

 まぁ準備運動も柔軟も十分すぎるぐらい出来ていい加減やることもなくなってきたし。

 

「ふふふ……みくの華麗な逆転劇の幕開けのために、凛ちゃんには犠牲になってもらうにゃ!」

 

(未来が見えるというよりは、オチが見える気が……)

 

 まぁいいや、さっさと終わらせてしまおう。

 

 

 

「し、しぶりん強っ!?」

 

「て、手元が見えなかったです……」

 

 数分後、そこには正座をしたままピコピコハンマーを振り下ろした私と某「きえろ ぶっとばされんうちにな」さんばりに倒れ伏した前川さん、そして前川さんが被り損ねたヘルメットが静かに鎮座していた。

 

「う、うにゃぁぁぁ!!」

 

 三度ガバッと起き上がりながら叫ぶ前川さん。コピペ乙。

 

「ちょ、ちょっとヘルメット被り損ねただけにゃ! みくは負けてない!」

 

「いや完膚なきまでに負けでしょ」

 

 寧ろ『叩いて被ってジャンケンポン』でヘルメットを被り損ねる以外の負け方があるなら教えてほしい。レギュレーション違反?

 

 結果的にストレート勝ちしてしまった私たちに納得がいかず、ふしゃあと威嚇してくる前川さんに、ポツリと卯月が一言。

 

「……これってアイドルと何か関係あるのかな?」

 

「………………にゃ、にゃあ……」

 

 最初から思っていたけどあえて言わなかったその一言により、ようやく前川さんは完全にKOとなった。

 

 まぁ自分もバックダンサーになりたかったという単純な話ではあったのだとは思うが、それでもどうしてその手段が『ジェンガ』に『黒ひげ危機一発』に『叩いて被ってジャンケンポン』だったのだろうかという一抹の疑問だけが残ったのだった。

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、ついに美優さんの声が聞けますね……感慨深い」

 

「……え? ど、どういう意味ですか……?」

 

「あぁいえ、別に深い意味はないんです」

 

 あくまでもこうしてのんびり美優さんとお話するの久しぶりだなーっていう意味である。

 

「ただ総選挙で三位だった祝福の言葉は述べさせてもらおうかと」

 

「だからどういう意味ですか……!?」

 

 さてさて、今日は珍しく事務所で処理しなければならない仕事があった。そちらは恙なく終わったが次の仕事まで時間があったので少々一服しつつ、今日も今日とて我らが123プロの事務仕事を一手に引き受けてくれている美優さんと少々世間話。

 

 彼女が淹れてくれたコーヒーを味わいつつ、美優さんは美優さんで仕事の手を止めること無くこちらの会話の相手をしてくれていた。

 

「それにしても、良太郎君の知り合いの女の子がアイドルデビュー……ですか」

 

「はい、昔から馴染みにしてるお店の一人娘で、俺や兄貴にとって妹みたいな子です」

 

 この条件だとなのはちゃんも当て嵌まるが、勿論凛ちゃんのことである。

 

「自分が知ってる人がアイドルになるっていうのは何か不思議な感じですね」

 

 現在進行形でアイドルの癖に何を言っているのかと言われてしまいそうではあるが、それでも昔から知っている人がアイドルを始めるという状況が実は初めてなのだ。

 

 アイドルと知り合いになる機会は多いものの、知り合いがアイドルになるという状況はやはり中々特殊なのだ。

 

「その気持ちは分かります……」

 

「あれ、美優さんも知り合いがアイドルに?」

 

「えっと、少々状況は違いますけど……こちらの業界に関わるようになってから、高校の同級生が346プロダクションでアイドルになっていたのを知りました」

 

「へー、それはまた」

 

 意外と分からないものなんだなぁ。

 

「どんな人なんですか?」

 

 最近346に知り合いが増えてきているのでもしかしたら分かるかもしれないと好奇心で尋ねてみると、美優さんは何故か気まずそうに目を逸らした。

 

「……えっと、ですね……佐藤(さとう)(しん)という名前で――」

 

 

 

『はぁ~い! アナタのはぁとをシュガシュガスウィート☆ 佐藤心ことしゅがーはぁとだぞ☆』

 

 

 

「「………………」」

 

 それは点けっぱなしにしていたテレビから聞こえてきた音声だった。

 

 チラリとそちらに目をやると、全体的にピンク色でフリフリな衣装を身に纏い金髪をツーサイドアップにした女性がぺろっと小さく舌を出しながらカメラに向かってウインクをしていた。

 

 スタイルがよく、少々背は高めだが童顔も相まって大変可愛らしいことには可愛らしいのだが……。

 

「……えっと、女性に年齢の話題を出すのは大変失礼なことだと重々承知してはいるのですが……美優さん、二十六でしたよね?」

 

「……はい」

 

 美優さんの同級生、ということはつまりそういうことである。

 

 いや、この業界には元アナの川島さんを筆頭に彼女よりも年上のアイドルはそれなりにいる。いるのだが……なんだろう、ここまで吹っ切れた人も初めて見た。

 

「何はともあれ、女性は幾つになろうともアイドルだってことで……」

 

「あの、良太郎君……話がズレてます……」

 

「そうでした」

 

 そもそも『知り合いがアイドルになったら不思議な感じがする』みたいな話題だった。しゅがーはぁとの衝撃に若干テンパってたらしい。

 

「まぁ彼女と一緒に仕事を出来る日が楽しみなのと同じぐらい、初ステージ大丈夫かなぁって心配もあるわけですよ」

 

 兄心というか父心。

 

「もしくは、ふぁざーはぁと」

 

「どうして佐藤さん的に言い直したんですか……」

 

「いや、彼女も九位だから声が聞けるなぁという電波を受信しまして」

 

「先ほどテレビで声流れてましたよね……?」

 

 また話が逸れたが、とにかく心配だなぁってことが言いたいのだ。

 

「心配になる気持ちは分かりますが……お仕事に影響が出ては心配される方も悲しみますよ……?」

 

「その辺は勿論。イベントの最後の走りでポイント足りてランキング圏内に入ったかどうか心配になりながらもちゃんと仕事はこなしますから」

 

(ポイント……? ランキング……?)

 

「それに、直接見に行けない今回はこんなものを用意しましたし」

 

「その封筒は……?」

 

「『もし何かあった時に開ける』用にと凛ちゃんに渡すつもりの……」

 

 そうだなぁ……。

 

 

 

「周藤良太郎お手製の『アイドル虎の巻』ってところですかね」

 

 

 




・プロジェクトメンバーの まえかわみくが しょうぶを しかけてきた!
「ポケモンとかオワコンw」とか言いつつ新作が出る度にwktkしてる。

・「……な、長く苦しい戦いだった……!」
・無残に崩れ去った悪魔城
ペポゥ→ズサーズサーズサー→ムッムッホァイ→いつもの曲→キシン流奥義!→ヴォー→プリッ→NKT→
デレデレデェェェン!!

・狼牙風風拳
・操気弾
・「きえろ ぶっとばされんうちにな」
ヤ無茶しやがって……。

・レギュレーション違反
多分これが一番早いと思います。

・総選挙で三位
最近出番が無かったので、これを機にちょくちょく出演機会があるかと(出すとは言っていない)

・佐藤心
『アイドルマスターシンデレラガールズ』の登場キャラ。パッション。
初見名前読み間違えランキング一位(作者調べ)のシュガシュガスウィートな26歳。
きらりレベルで独特の口調なので、今まで出来るだけ使わないようにしていた絵文字を使わざるを得なかったんだぞ☆
ちなみにシュガハさんが長野出身なのに対し美優さん岩手出身なのに同級生とか深いことを考えてはいけない。

・イベントの最後の走りでポイント足りてランキング圏内に入ったかどうか心配
結局割と余裕でランクインするまでがテンプレ。



 765との絡みというか登場は次回になります。さて春香さんたちはCPの誰とお話するのかな?
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