アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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今回は『アイドルの世界に転生したようです。』という良太郎たちが本人役で出演していたドラマの三周年記念ラジオという設定でお送りします。
一部設定に矛盾があったりなかったりするので、『本編とは似て非なる物語を歩んできたパラレルワールドの良太郎たち』ぐらいのノリで深く考えずにフワッと読んでいただけたら幸いです。



※今さらですが、作者が番外編を書くときは基本的に『次話の構想がまだ固まっていない時の時間稼ぎ』を兼ねています。本編を楽しみにしておられる方の中で番外編やIFがいらないと思われる方もいらっしゃるでしょうが、ご理解いただければ幸いです。


番外編26 三周年特別企画・前

 

 

 

 それは、あり得るかもしれない可能性の話。

 

 

 

 ピッ、ピッ、ピッ、ポーンッ!

 

 

 

「……始まりは三年前。良太郎と765プロとの出会いを描いた第一章『READY!!』」

 

「私たちが本当の意味でアイドルになるまでを描いた第二章『CHANGE!!!!』」

 

「アタシとまゆ、新人の参戦! そして765プロ初のアリーナライブを描いた第三章『M@ASTERPIECE』!」

 

「舞台は移ろい、私たち346プロのシンデレラガールズの成長を描く第四章『Star!!』」

 

「そしてこれから続いていく、俺とまだ見ぬアイドルたちとの物語!」

 

『全ては、皆様の応援のおかげで、私たちはここまでやって来ました!』

 

「せーの!」

 

 

 

 ――『アイドルの世界に転生したようです。』三周年おめでとー!!

 

 

 

「皆さんこんばんは! 123プロダクション所属、周藤良太郎役の周藤良太郎だ!」

 

「1054プロダクション所属、東豪寺麗華役の東豪寺麗華よ」

 

「765プロダクション所属、天海春香役の天海春香です!」

 

「123プロダクション所属、所恵美役の所恵美でーす!」

 

「346プロダクション所属、渋谷凛役の渋谷凛です」

 

「本日はこの五人でお送りしていくぜ」

 

「……って、わざわざ配役まで言う必要あった?」

 

「まぁ一応な。もしかして本人が本人役としてキャスティングされてるって知らない人が誤解するかもしれないじゃないか」

 

「その誤解があったとして、ラジオでその誤解が解けるかどうかは微妙なところですけどね……」

 

「それにしても三年……長いこと続きましたね」

 

「三年ってことは、始まった頃高校生だった人が大学生になってるんだよねー」

 

「そうやって具体的な話を出すと、確かに長く感じるね」

 

「そんなことより、お茶淹れるけど飲む人ー」

 

「自由か」

 

「良太郎さんのそういうところ、嫌いじゃないけど好きじゃないよ」

 

「はーい! アタシ欲しいでーす!」

 

「恵美ちゃん……」

 

「はぁ……。天海春香、こいつらは放っておいて番組説明頼むわ」

 

「は、はい! ……コホン。今回は私たちが出演しているドラマ『アイドルの世界に転生したようです。』の三周年を記念した特別ラジオになります。あらかじめ視聴者の皆さんから送っていただいたお便りを読みつつ、今までの放送を振り返っていきます」

 

「みんな、お便りありがとうねー!」

 

「番組進行もせずにお茶の準備を進めてる良太郎は無視して、私たちは早速お便りを――」

 

「お、スタッフからお茶請けとして翠屋のシュークリームが差し入れされたぞ」

 

「――何してるの良太郎、さっさとお茶の準備を進めなさい」

 

「あぁ!? 麗華さんまでそっちに!?」

 

「……まだ始まったばかりだけど、こんなにグダグダでいいのかな……?」

 

「まーまー凛。そっちの方がアイ転らしーでしょ」

 

「凛ちゃんは食べないの?」

 

「勿論食べます」

 

「……まぁ、ここにいる全員翠屋大好きだからしょーがないよね」

 

 

 

 

 

 

『あいてんっ!』

 

 

 

「さて、全員の手元にお茶とシュークリームが行き渡ったところで、早速お便りを読んでいこうか」

 

「危うく今回の番組の趣旨を忘れるところでした……」

 

「というか、今更だけどテレビドラマの記念放送をラジオでするってどうなのよ」

 

「まぁ最初から映像なんてあってないような作品だし……」

 

「それ主演が一番言っちゃいけないことだよね」

 

「お、お便り読みますねー」

 

 

 

 HN『覇王軍の下っ端B兼、蒼姫様親衛隊長(自称)』

 

 こんばんわ~!アイ転三周年!おめでとうございます!今まで覇王様と魔王の姫様方にお仕えしてきて、こんなに嬉しかった事はもう何度目か分からないです!(笑)

 アイ転は毎回楽しく見させていただいています!特に蒼姫様(凛様)が可愛い!名前から分かるとおり蒼姫様のファンです!

 今回の三周年のアイ転ラジオということで、収録現場で面白かったハプニングなどを教えてもらいたいです!

 覇王様、魔王の姫様方、蒼姫様、天然姫様、これからもがんばって下さい!(笑)

 

 

 

「はい、親衛隊長さんありがとうございます!」

 

「やはり我が軍にも凛ちゃんの親衛隊がいたか……」

 

「何だろう……ファンの人と変わらないはずなのに、こういう風に親衛隊とか言われるとちょっと恥ずかしいな……」

 

「あっ、凛ちゃん照れてる」

 

「へーいラジオの前のリスナー! 超カワイイ凛ちゃんの照れ顔見えてないけど今どんな気持ちー!?」

 

「煽ってんじゃないわよ」

 

「えっと、それで面白かったハプニングですけど、やっぱりここは主演の良太郎さんに聞いてみたいですね」

 

「主演で基本的に現場に出ずっぱりだから、ハプニングに遭遇する確率も高いんじゃないかな」

 

「そうだな……俺ってさ、割と体張るシーン……というか、麗華とかりっちゃん辺りに攻撃されるシーン多かったじゃん?」

 

「良太郎さんが余計なことを言って麗華さんたちの怒りを買って制裁される鉄板のシーンですよね」

 

「第四章に入ってからだと、回想だけど私や春香さんにも殴られるシーンがあったよね」

 

「あれは初めて765プロに行ったシーンだったかな……りっちゃんに殴られたんだけど」

 

「あの肝臓を持ち上げるボディーブローよね」

 

「あれ、ガチで入ってた」

 

「……えっ!?」

 

「あー……やっぱりあの時の脂汗って本物でしたか……」

 

「多分最初だったから手加減間違えたんだろうなぁ。カメラに映ってなかったけどりっちゃん、小声で『あっ……!?』って言いながらやっちゃったって顔してたよ」

 

「そのまま演技を続ける良太郎さんも良太郎さんだけど、カットしない監督も監督だよね」

 

「監督は『リアルな画が取れた!』って喜んでたよ」

 

「そりゃリアルなんだから当たり前よね」

 

「………………」

 

「それで、さっきから恵美ちゃん一言も喋ってないけど、どうしたの?」

 

「……ううん、何でもないですよー親衛隊長さんが挙げた出演者の中にアタシがいなかったなーなんてキニシテナイデスヨー」

 

『あっ……』

 

「分かってるよー……この中でアタシ一人だけ影が薄いって分かってたよー……」

 

「そ、そんなことないよ!?」

 

「しょ、しょうがないわね、今日は特別に私たち魔王枠に入れてあげるから!」

 

「春香ちゃん、凛ちゃんと麗華が恵美ちゃん慰めてる間にアンケートの方の説明をしておこう」

 

「いいのかなぁ……えっと、今回はお便りと一緒にアンケートの方も実施させていただきました。テーマはズバリ『一番印象に残ったor面白かったというお話』です」

 

「このアンケートに対する回答を聞きながら、今までの放送を振り返ろうっていうのが今回のメイン企画になるわけだ」

 

「おー、割と楽しみー!」

 

「あ、恵美ちゃん復活した」

 

「たはは……ちょっと大げさに落ち込みすぎちった。ごめんなさーい」

 

「可愛いから許す!」

 

「既に突っ込むのも疲れたわ」

 

「それでは、親衛隊長さんが選んでくれた『一番印象に残ったor面白かったというお話』はこちら!」

 

 

 

 ――……はぁ!? 兄貴が病院に運ばれた!?

 

 ――間違ってない! お前の兄貴の病室は間違いなくここだ! だから帰るな! 回れ右をするな!

 

 ――これでも、真美は亜美のおねーちゃんだしね!

 

 

 

「Lesson21から24の間に放送された『兄弟姉妹』です!」

 

「あぁ、幸太郎さんや双海の双子が主軸になった話ね」

 

「中でもLesson22がお気に入りだそうですけど、どうしてだと思います?」

 

「んー何かあったっけ?」

 

「俺分かった」

 

「え、本当ですか?」

 

「HNとお便りの内容で想像付くよ。あれでしょ? 凛ちゃん初登場の回だからでしょ?」

 

「えっ」

 

「……良太郎さん正解です! 現在放送中の第四章ではメインキャラとして活躍中の凛ちゃんですが、初登場はこの回でした!」

 

「あー……なんか思い出してきた。良太郎さんがウチのお店にお見舞いの花を買いに来たんだっけ」

 

「当時は凛も中学生でロ凛だったんだよねー」

 

「恵美さん、ロ凛はヤメテ」

 

「一応ここから第四章へと布石になってたわけですよね?」

 

「まぁメインキャラになるわけだし、ちょうどこの辺りから第四章の脚本が出来始めてたらしいからね。あの頃の凛ちゃんも可愛かったなぁ」

 

「良太郎さん、ポケットから何を……ってなんでそれがここにあるの!?」

 

「あー! 凛達のバックダンサー回で出てきた凛の写真だ!」

 

「あの時大量にコピーしたから、ついでに持ち歩いて癒されようかと。ほーら、撮影中は使えなかった貴重なロ凛ちゃん写真もあるぞー」

 

「わっ、寝癖ぼさぼさの寝起き凛ちゃん!」

 

「こっちはお手伝い中かな?」

 

「わー!? わー!? わー!?」

 

「よし、この際だからこの写真はリスナーの皆さんに抽選でプレゼントしよう」

 

「その場合差し違えてでも良太郎さんの息の根を止める所存だよ……!」

 

「カワイイのになぁ」

 

「凛ちゃんのシーン以外にも『血の繋がりをなかったことにしようとする良太郎さんと引き留めようとする幸太郎さんのシーンが面白かった』とのことです」

 

「あのシーン、アテレコなんですよね?」

 

「あー、そう見えるけど実は逆。実際に俺と兄貴がアドリブで口に出して撮った後に音声だけ使って、後撮りの無言シーンと差し替えたんだ」

 

「へー……アドリブ!?」

 

「当時は若く、本気であの兄貴は一回(ピー)ねばいいと思っていました」

 

「そんな殺伐とした心境を、スタッフのファインプレーで修正音が入ってまで聞きたくなかったわよ」

 

「幸太郎さん、あの時本当に複数の女性の方から求婚されてたんですよね」

 

「まぁ意味ないと思いつつ名前は伏せるけど、割とあのドラマのままだったんだから腹立つよ。……はぁ、顔立ちは似てると思うんだが、無表情というだけでこうもモテないというのが悲しいよ」

 

(((……この人、本気で言ってるのだろうか……?)))

 

「そんなことより、そんな渋谷凛に質問が来てるみたいよ」

 

 

 

 HN『匿名希望』

 

 凛さん、ドラマの中では良太郎の事を慕っているけど、あまり素直にそれを出せない子を演じていましたね。

 やはり表立って好意を露わにする子と違って感情の出し方が小さい役ですから難しかったですか?

 あ、でも普段の凛さんが良太郎さんに持っている感情をそのままだせばいいから逆にすんなりできましたか?w 

 

 

 

「……確かに感情を大きく出す役じゃないけど、それでも普段の私通りにしてれば大丈夫な役だったから、それほど苦ではなかったかな」

 

「基本的にこのドラマ、普段通りにしてればオッケーっていうドラマだからねー」

 

「まぁ内容が基本的に良太郎の実体験を元にしたドキュメンタリー風フィクションだから、当然といえば当然よね」

 

「それで個人的には三行目の答えをしっかりと聞きたいところなんだけど」

 

「……お、お兄ちゃんみたいって思っているのはホント……とだけ言っておく」

 

「……ヒャッハァァァ! 今日は濃厚な凛ちゃん赤面回だぜぇぇぇ!」

 

「りょ、良太郎さん!?」

 

「……ごめん凛、今のはアタシも普通にカワイイって思っちゃった」

 

「私も……」

 

「……認めざるを得ないわね」

 

「三人まで!?」

 

 

 

 

 

 

『あいてんっ!』

 

 

 

「赤面凛ちゃんの可愛さに危うく我を忘れるところだったぜ……」

 

「良太郎さん、我を忘れてないときの方が少ないと思うんだけど」

 

「逆にデフォルトで我を忘れているのでは」

 

「周藤良太郎とは一体……?」

 

「次のお便り読みますよー」

 

 

 

 HN『希望のC若タロー』

 

 良太郎さん、恵美ちゃん、麗華ちゃん、春香ちゃん、凛ちゃん、ハナコ様、こんにちはー!!

三周年おめでとうございます。アイ転も息が長くなりそうですね、個人的には五十周年くらいまでいってほしいものです(笑)

 さて、そんなアイ転ですが、僕の好きなところは、やはりテレビモーニングサン完全協力の覆面ライダーの撮影シーンです。このドラマでドキュメンタリー風に裏側をみることができてとてもアツかったです!!局を越えたライダー監修は、やはり良太郎さんの人気があったからこそのものと思われます。そしてなにより、ドライバー、フォームが変わったとはいえ再び天馬を見れたということがとても嬉しかったです。やはりモジュールが変わっても相棒が手元に来ると言うのがいい展開で…、と、このままだと覆面ライダーの話が続いちゃいそうなので、ここら辺で締めようかと。

 寒い日が続きますが、皆さまお体にはお気をつけください。

 

 PS.最近まな板買いました

 

 

 

「はい、タローさんありがとうございます!」

 

「よかったぁ、今度はアタシの名前あったよー」

 

「寧ろこの場にいないキャラの名前も挙がってたけどね。凛ちゃん、いつの間にハナコ連れてきてたの」

 

「ウチでお留守番してるはずなんだけど……」

 

「それにしても、流石に五十年は続かないわよね……」

 

「続いてほしいとは願いますけど、まぁ現実的に考えると……ねぇ」

 

「アンケートの答えとして話題にも挙げてくれた覆面ライダーですら生誕四十五周年だからなぁ。先は長いぜ」

 

「その覆面ライダーですけど、良太郎さん結構頻繁にゲスト出演してますよね」

 

「まぁね。以前のキャラがオリジナルキャストで再出演してくれる喜びは俺自身がよく知ってるから、ファンのみんなのためにも出来るだけ出演したいんだよ」

 

「覆面ライダーの主演の俳優さんはスケジュール的な問題で出演出来なくなるって話聞くけど、アンタはどうなのよ?」

 

「……まぁ、ちょっとスケジュールの詰め方にコツがあったりなかったり……」

 

「何それ」

 

「そんな覆面ライダーの撮影シーンが、タローさんのお気に入りのシーンだそうです」

 

「確か第三章の冒頭だよねー」

 

「あれは本当にあの時撮影してた覆面ライダーの映画の撮影現場だったから、あそこだけはガチでドキュメンタリーだったね」

 

「ホント、局違うのによくオッケー出たわよね」

 

「ま、(ひとえ)に俺の人気と人望のおかげだよな」

 

「……鼻で笑いたいところではあるのに、これがあながち間違ってないのが腹立つわ」

 

「ドラマの中でも良太郎さんって事務所とかそういう関係無く動いてたりしますけど、割と本当にそんな感じですよね」

 

「元フリーアイドルだからフットワークは軽いんだよ」

 

「他事務所に堂々と入り込むそれをフリーアイドルだったからという一言で済ませていいものなのか……」

 

「聞いたところによると、本当はあの劇場版に覆面ライダー天馬というキャラクターは本来登場する予定じゃなかったんですよね?」

 

「うん。向こうの制作側は別のライダーを登場させるつもりだったらしいんだけど、ダメ元で出した俺へのオファーが通ったから急遽天馬を再登場させるシナリオに変更したらしい」

 

「良太郎さんが出演することでシナリオすら変わっちゃうんですか……」

 

「割と真面目に全盛期の周藤良太郎伝説に加わっても可笑しくないですよね」

 

「ところで麗華、最後のPSについて触れたいんだけどいいか?」

 

「あ゛ぁん!?」

 

「麗華さんがテレビだったら絶対にお見せ出来ないような顔になってる……!?」

 

「そもそもアイドルとして出しちゃいけない声だったけど……」

 

「このメンバーの中で一番年上なのに……これが胸囲の格差社会って奴なんだな」

 

「ほぉう、キッチン用品を買ったという話題でどぉして私に振ってきたのか教えて欲しいわねぇ」

 

「麗華さん落ち着いて!? その湯呑は振りかぶって使うものじゃないですよ!?」

 

「良太郎さんも笑って……ないけど、その楽しそうな雰囲気ヤメテ!?」

 

「CM入れてー!」

 

 

 

 ※次回に続く

 

 

 




・「123プロダクション所属、周藤良太郎役の周藤良太郎だ!」
書いててくどいって思った(他人事)

・始まった頃高校生だった人が大学生に
学生だった作者も今では社会人に……早いなぁ(遠い目)



 おかしい、会話劇なのにネタが少ない……?

 そんな感じで再びラジオ風な番外編です。相変わらず誰が誰だか分かりにくい仕様になっておりますが、良太郎と麗華は比較的分かりやすいかと。恵美もある程度分かると思うので、残りの二人は消去法で……(震え声)

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