アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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※多重クロス警報発令


Lesson19 プライベート・タイム 3

 

 

 

 朝のホームルームも終わり、通常の授業が始まる。

 

 どうやら良太郎さんは数学が苦手らしく、小テストの結果に項垂れる場面も見受けられた。勉強に苦悩する様子は、まさに高校生らしい年相応な姿である。

 

 しかし、英語の授業にて良太郎さんの意外な一面を垣間見ることになる。

 

「それじゃあ次の文を……久しぶりにリョータロー、読んでくれますカ?」

 

「イエース」

 

 英語の教師に指名され、その場に立ち上がった良太郎さんは。

 

『――――――。――――――』

 

 驚くほど流暢な発音で英文の朗読を始めたのだった。

 

『――――――?』

 

『――。――――――』

 

 さらに教師からの英語での質問に対して英語で返していた。

 

「相変わらずキレイな発音ですネ。Thank you、リョータロー」

 

「ユアウエルカーム」

 

 授業終了後に尋ねてみた。

 

 ――英語がお得意なんですか?

 

「まぁ、得意教科ではありますね」

 

 ――これは海外進出を考えてのことですか?

 

「いや、あくまで知り合いと通訳なしで話せるように勉強したもんですから、そういうのはあんまり考えたことないですね。それはそれでありかもしれませんけど」

 

 既に海外からも『サムライアイドル』などと呼ばれ注目されている良太郎さん。今のところ海外での活動はないものの、日本のキングオブアイドルが世界に羽ばたく日は近いかもしれない。

 

 

 

「りょーくん、英会話出来たんだ」

 

「海外進出か……わたし達はまだまだかな?」

 

「するとしたらアイツを天辺から引きずり下ろしてからね」

 

 

 

 

 

 

 昼休憩となり恭也達と弁当を囲む。

 

 弁当はもちろん母さん作。以前『別に学食でもいいけど』って言ったら子供のように拗ねられてしまい、それ以来ずっと弁当である。

 

 ただお母様。

 

「ハートは止めてくれって何度言ったら分かっていただけるのか……」

 

 弁当箱を開けるとそこには鮭フレークで作られたハートの模様が。朝食に気を取られててこれをすっかり忘れてた。ここ確実に使われるんだろうなぁ……。

 

「相変わらず可愛くて愛情のこもってそうなお弁当ね、周藤君」

 

「可愛いはともかく、愛情という一点ならそっちも負けてないだろ。なぁ、恭也」

 

「………………」

 

 俺以上の無表情になりながら、恭也は月村から渡された手作り弁当を黙々と食べていた。

 

 この際彼女云々の話はいいけど、女の子からもらった弁当を何の感想も無しに食べるのは些かどうかと思うぞ。

 

「いいのよ、周藤君。いつもはちゃんと美味しいって言ってくれるから」

 

「はいはい、ご馳走さまご馳走さま」

 

 何で弁当に手をつける前にご馳走さまをせにゃならんのだと嘆息しつつ、いただきますと手を合わせるのだった。

 

 

 

「ふぅ」

 

 適当に最近のことを話し合いながら昼食を食べ終え、缶コーヒーを飲みながら一服。

 

 今現在は昼休みなので、俺が久しぶりに登校してきたという話を聞いた友人が何人か俺を訪ねてきた。

 

「おっす良太郎! 久しぶりに会えて嬉しいぜ!」

 

 その内の一人、学ラン姿のリーゼントが勢いよく教室に入ってきた。トントントンッとテンポよくお互いの拳を打ち合わせる。

 

「おう、久しぶり。仗助」

 

「ちっがう! 俺は弦太郎だっての!」

 

「あ、わり」

 

 だってお前ら格好が似すぎだし、と如月(きさらぎ)弦太朗(げんたろう)の頭を見る。

 

「おいおい、そいつは聞き捨てならねぇなぁ~?」

 

「お?」

 

「こんな奴の頭より、この俺の髪の方がずっとグレートに決まってんだろ?」

 

 噂をすれば何とやら。弦太朗と並ぶ我が校の二大学ランリーゼントの片割れ、東方(ひがしかた)仗助(じょうすけ)が、自身の髪を撫でながら教室に入り口に立っていた。あの変な立ち方、疲れないのだろうか。

 

「む、この俺の気合いの入った魂の髪型が負けてるわけないだろ!」

 

「いいぜ~? 今日こそきっちりとどっちが真の魂を持ってるかはっきりくっきりさせてやるぜ!」

 

「こっちこそ! 今日こそお前と真のダチになってやるぜ! 喧嘩は心の語り合いだ!」

 

 こいつら基本的には害のない性格してるはずなんだが、変なところで熱くなるんだよなぁ。話のベクトルは見事に噛み合っていないけど。

 

「まずは第三者の意見からだ!」

 

「良太郎! 俺と如月、どっちの髪がグレートだ!?」

 

「俺には区別がつかんってさっきから言っとろーに」

 

 人の話を聞かない奴らである。

 

「というか、鷹富士とか恐がってる奴がいるから、やるなら教室の外でやってくれ」

 

 怯えながら俺の後ろに隠れるのは可愛らしくて大変よろしいんだが、思いの外握力が強くて掴まれてる肩が痛い。なんかミシミシいってる気がする。

 

 しかし、人の話を聞かない二人は更にヒートアップ。周りからは「お前何とかしろよ」という視線を向けられる始末。え、これ俺が収拾するの?

 

(ほら、さっさとしろよ)

 

(骨は拾ってファンの子達に高く売ってあげるからねー)

 

(そこはせめて嘘でも大事にして欲しかったです)

 

 というか、こいつら久しぶりに登校してきた多忙なアイドルを労るという考えはないのか。

 

 しょうがない、二人を止めるか。とりあえず鷹富士の手を肩から離させようとすると、更に来客が現れた。

 

「喧しいぞ、貴様ら!」

 

 お前も煩いよと心の中でツッコミながら教室の入り口に目をやる。

 

「どちらの髪が優れているだのどーのこーのと……」

 

 袴を履いた和服姿のツルツル頭、天光寺(てんこうじ)輝彦(てるひこ)がそこにいた。

 

「その学ランといい、少しは学生らしい格好をしたらどうだ!」

 

「「格好云々に関してお前にだけは言われる筋合いねぇよ!」」

 

 その点に関しては全くもって同意だとばかりにクラス全員が弦太郎と丈助の言葉に頷く。

 

「何だと!? この日本男子の魂が込められた和服の何がおかしいと言うつもりだ貴様ら!」

 

「指定制服着てねぇ時点でどう考えても同類だろ!」

 

「オメーはハゲてるからこのリーゼントに込められた魂が分かんねーんだよ!」

 

「ハゲではない! 剃っているだけだ!」

 

 わー、二人でも十分厄介なのに三人になった途端にさらに厄介になった。我が校が誇る変人の内の三人が揃うとこうも面倒くさいことになるのか。

 

「四人、の間違いだろ?」

 

「恭也、自分を卑下するのはよくない。ご両親や可愛い妹二人が悲しむぞ」

 

「ほう? つまりお前は何が言いたいんだ? 理解力に乏しい俺にも分かりやすく説明してもらえるか? 特に可愛い妹二人という点を重点的に」

 

「そうやって直ぐに小太刀を突き付けるところだよシスコン!」

 

 木刀とはいえ何処から出したんだよマジで!? お前の流派が暗器を使うことは知ってるけど、小太刀まで隠し持つとかどうなってんだよ!?

 

 それ以前に妹を可愛いって言われたら素直に喜んどけよコノヤロウ!

 

「可愛い妹と聞いて!」

 

「呼んでないからさっさと帰れハゲ!」

 

「ハゲではない! 剃っているだけだと何度言ったら……!」

 

「今のはお前じゃねーよハゲ天! 言われるのがイヤならそんな変な頭するな!」

 

「今俺のこの頭のこと何つった!?」

 

「お前のことでもねーよ!」

 

 いよいよ収拾がつかなくなってきたぞコレ。何だ何だと周りのクラスから何人も様子を覗きに来てるし、これ以上人が増えたらどうしようもなくなる。テレビ的には随分と面白いんだろうけど、そろそろ何とかしないといかんな。

 

 という訳で最終手段に出ることにしよう。

 

 

 

「とりあえずお前ら、俺の歌を聴けやぁぁぁ!!」

 

 

 

「学校名物『周藤良太郎ゲリラライブ』キター!」

 

「他のクラスの奴らも呼べ! 早くしねーと先生達が来ちまうぞ!」

 

 『色々なものが混ざってカオスになったならかき乱せば混ざりきるはず理論』の下、とりあえず場をかき乱すことにした。

 

 

 

 当然先生方に関係者全員怒られました。

 

 

 

 

 

 

「いやー、やっぱり学校は楽しいな」

 

「あれだけの騒動を楽しいの一言で済ます気かお前は」

 

 授業終了後、夜からの仕事に向かう前に寄るところがあると良太郎さんは言った。

 

 ――何処へ向かっているのですか?

 

「こいつの実家がやってる喫茶店です。昔からよくお世話になってるんで、今日は久しぶりに寄ろうかと思いまして」

 

 そう言いながら向かったのは、喫茶店『翠屋』。シュークリームが人気の巷で人気の喫茶店だが、なんと良太郎さんの友人の実家だそうだ。

 

「今さらだが、学校帰りの客が多そうだな。やっぱりテレビカメラ連れてくの止めた方がよかったか?」

 

「父さん達がOKを出してたから問題ないだろう。ウチの客ならそう大した騒ぎにもなるまい」

 

「了解。それじゃあ改めて……みどりキャロットへようこそ」

 

「勝手に人の店を改名するな」

 

 カランというドアベルの音と共に開いたドアを潜り、店内へ。

 

 

 

「あ、この店、良太郎が前に差し入れしてくれたシュークリームのお店ね」

 

「へー、りょーくんの友達のお店なんだ」

 

(……今度一人で行ってみようかな)

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませー。良太郎君、お久しぶりね。恭也もお帰りなさい」

 

「お久しぶりです、桃子さん」

 

「ただいま、母さん」

 

 あらかじめ連絡を入れておいたので、桃子さんは俺やスタッフ達に驚くことなく出迎えてくれた。

 

「にゃっ!? 良太郎お兄さん!? それにテレビカメラ!?」

 

 と思いきや、小さな店員さんが驚いていた。どうやら知らされていなかったらしい。

 

「やぁ、久しぶりだね、なのはちゃん」

 

「お、お久しぶりです! えっと、後ろのテレビカメラは……?」

 

「気にしなくて大丈夫だよー。なのはちゃんはお手伝い?」

 

「うん。今日は塾もなくて、アリサちゃんやすずかちゃんも習い事の日だったから」

 

「偉いなー、なのはちゃんは」

 

「にゃー!?」

 

 恭也の二人いる妹の内の一人、高町家次女の高町(たかまち)なのはちゃんの頭を撫でる。

 

「いらっしゃい、良太郎君」

 

「あ、士郎さん。今日はいきなりスミマセン、大勢で押し掛けることになっちゃいまして」

 

「別に構わないよ。いい宣伝になるし、何より良太郎君が顔を出してくれただけで満足さ」

 

 おぉ、なんやこのナイスミドル、いい男過ぎる。桃子さんみたいな美人さんと結婚出来たのも納得だ。

 

「それに、桃子も君に用事があったみたいだし」

 

「え?」

 

 唐突だが、世の中にはヒエラルキーというものが存在する。上下に序列化された組織構造を指す言葉だ。類義語にカーストというものがあるが、意味合いが若干異なるのでここではヒエラルキーを使わせてもらう。

 

 高町家のヒエラルキーのトップは当然士郎さん……と思いきや、士郎さんは上から三番目。二番目は意外にもなのはちゃん。そして頂点に君臨するのが、翠屋が誇るパティシエール、桃子さんである。簡単に言ってしまえば戦闘民族高町家のラスボス的存在だ。

 

 で、長々と語って結局何が言いたかったのかというと。

 

 

 

「良太郎君? この間の芸能事務所への差し入れの件について私とお話ししましょ?」

 

 

 

 桃子さん(ラスボス)からは、絶対に逃げられないっ……!

 

 

 




・『サムライアイドル』
あれでしょ? とりあえず日本人はサムライってつけとけばいいんでしょ?(適当)

・お弁当にハートの模様
可愛い母親がいる時点で主人公も十分リア充。

・如月弦太朗
『仮面ライダーフォーゼ』の主人公。フォーゼドライバーで変身したりしない。
短ランリーゼント姿だが好青年。学校の全員と友人になることが目標。

・東方仗助
『ジョジョの奇妙な冒険』第四部の主人公。スタンド能力は持っていない。
改造学ランリーゼント姿。頭のことをバカにされると凄い勢いでキレる。

・天光寺輝彦
『コータローまかりとおる』のメインキャラ。通称ハゲ天。
完全に作者の趣味。アイマスの二次創作でこいつが登場することはこの小説以外で未来永劫存在しないと断言できるほどドマイナーキャラ。分かる人はきっと作者とおいしいお酒が飲める。

・「可愛い妹と聞いて!」
ロリコンでハゲ → 井上準
出すつもりはなかったのだが、妹の話をしたら勝手に出てきたロリコン。執念半端ない。

・「俺の歌を聴けやぁぁぁ!!」
元ネタはバサラです。シェリルとか言うとにわか扱いされるのでお気をつけください。

・みどりキャロットへようこそ
4は……嫌な、事件だったね……。

・高町なのは
恭也の妹にして『魔法少女リリカルなのは』の主人公。決して魔王などではない。
何気にこの小説においても重要なポジションであるという伏線を張っておく。

・ラスボスからは絶対に逃げられない。
逃げるコマンドが逃げ出しました。探してください。



ハゲとリーゼントしかいませんが間違いなくアイマスの小説です。
これだけ多重クロスすることは当分ないと思います。
ただし次回は翠屋なのでリリなの小説並みの登場人物になると思いますがご了承ください。



          εεεεε ヽ( 逃げる)ノ
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