アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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この辺りからオリジナルストーリーで進んでいきます。

……あ、なんか200話目らしいです(適当)


Lesson200 Please get into pairs 2

 

 

 

「ついに二百回の大台に乗ったか……」

 

「ん? いきなりどーしたの、りょーくん」

 

「いや、俺が読んでる二次創作の小説の最新話がついに二百話目に到達したんだよ」

 

「へぇ……あれ? でも話数は全244話になってるけど」

 

「それは番外編も含めた数で、二百っていうのは本編の数で――」

 

「……ねぇ、本当にこの会話続けてて大丈夫なの?」

 

 翠屋での休憩を終え、続いてやって来た現場はテレビ局にて番組収録。撮影の合間にスタジオの片隅でネット小説を読んでいたところ、一体何をしているのかと寄って来た魔王エンジェルの三人と雑談することになった。

 

「というか、お前たちとこうして仕事するの凄い久しぶりな気がする」

 

「わたしたちも一応リョウに次いでのトップアイドルとして認識されているし、流石に大物二組を同時に出演させる番組も少ないだろうから」

 

「そういうものか……?」

 

「そもそもしれっと登場して会話し始めたけど、わたしと麗華って帰国してから登場するの初めてだよ。最後に喋ったのが春休みより前だから、リアルタイムで二年ぶり」

 

「そういえば、第三章のラスト以来になるんだよな」

 

「アタシは一応、帰国してすぐりょーくんに会いに行ってるもんねー」

 

「だから本当にこの会話続けてて大丈夫なの……!?」

 

 麗華は一体何を危惧しているのだろうか。

 

「それより聞いたわよ。アンタ、今346プロによく入り浸ってるらしいじゃない」

 

「相変わらず東豪寺財閥は耳が早いなー」

 

 別に隠していることでもないので調べればすぐに分かることだろうが、それでも他事務所の人間がそれを把握していることに驚きである。

 

「アンタのところの新人を預けてるんだっけ?」

 

「そうそう。いや、本当は元々向こうの常務が先に目を付けてた子を横から掻っ攫う形になっちゃったみたいだからさ。ちょっとばかり心苦しかったわけよ」

 

「ふぅん……」

 

 俺や兄貴とはと違い、他事務所の発展は特に願っていない麗華は「まるで意味が分からない」というような目になっていた。

 

 ……でもまぁ。

 

「良いアイドルが沢山育つのは、良いことだろ?」

 

 

 

 ――()()()()()()さ。

 

 

 

「っ! アンタまさか……!」

 

「? りょーくん、なんの話?」

 

「んー? 日本がりんみたいな美少女アイドルで溢れかえったら、それはとっても嬉しいなって話」

 

「え、えーっ? もう、りょーくんってばー! ……でも、やっぱりりょーくんにはアタシだけを見ててもらいたいかなー……な、なーんて!」

 

 そりゃあもう穴が開くぐらいガン見しますとも。特に今日の衣装とか胸が強調されている上に、今はスタジオが暑いからか知らないけど胸元が開いていて、更にかなり距離が近いので身長の関係上俺の視点からはその谷間が丸見えとなっている。

 

 ……あぁ……アイドルやってて良かった……!

 

「……まぁ、アンタが()()を知ってようが知ってまいが関係ない話ね」

 

「? 麗華、どういうこと?」

 

「別になんでもないわ、ともみ。まだ話すべきときじゃないってだけ」

 

「?」

 

「ほら、アベンジャーズも公式でネタバレしないでくれって言ってるだろ? つまりそういうことなんだよ」

 

「なるほど」

 

「人の話に適当な注釈付けないでもらいたいんだけど」

 

「いやぁまさかアイアンマンの正体がトニー・スタークだったとは」

 

「ネタバレ禁止だからって公式情報をさもネタバレのように言われても」

 

「……いや、ホント早く情報解禁されないかなぁ……マーベルそこまで詳しくないから、エンドロール後の映像の意味を誰かに教えてもらいたい……」

 

「大人しく待ちなさい」

 

 随分と久しぶりではあるが、それでも一番長い付き合いになる三人とのやり取りはやっぱり何処か心地よかった。

 

 

 

 

 

 

 さて、先日の『十六点鐘』……じゃなくて、『桃園の誓い』……でもなくて。……何て言ったらいいのだろうか……中庭の誓い? ニュージェネ再出発の誓い? まぁそこら辺の名前はどうでもいいや。

 

 中庭での一件を経て、私はようやくプロジェクトクローネの一員として……そして、加蓮と奈緒の三人組ユニット『Triad Primus』として活動していく決心をした。

 

「……そっか、決めてくれたんだね」

 

「あ、ありがとう、凛!」

 

 そのことを加蓮と奈緒に話すと、二人とも凄く喜んでくれた。

 

 

 

 というわけで、今日はそのクローネメンバーが全員揃初めてのミーティングである。普段通りに事務所に来た私は、つい最近までのようにそのまま地下の資料室へ……ではなく、久しぶりにエレベーターに乗って上の階へ向かう。場所が分からないので、加蓮と奈緒に連れて行ってもらう形になる。

 

「待って待ってー! アタシも乗る乗るー!」

 

 教えてもらった階数のボタンを押し、閉ボタンを押しかけたところでそんな声が聞こえてきた。ドアの外を覗くと、金髪ギャルといった風体の少女がこちらに向かって駆けてきていた。……良太郎さんが見ていたら大変喜びそうなぐらい胸が揺れていた。

 

「あ、唯だ」

 

「知り合い?」

 

「知り合いというか、プロジェクトメンバーだよ。大槻唯」

 

「……そうなの?」

 

 名前を知っていたので加蓮たちの知り合いかと思い、開ボタンを押しながら尋ねてみると、まさか自分の参加するプロジェクトのメンバーだった。

 

 ……あれ? そういえば私、加蓮と奈緒とアーニャ以外に参加するメンバー知らない気がする……いや、ポスターはちゃんと見たけど全員の顔は覚えてなかった……。

 

「ほら、文香も早く早くー」

 

「ま、待ってください……!」

 

 そんな大槻さんの後ろから走ってくるもう一人の影。ヘアバンド付けた長い黒髪の女性で、トテトテという擬音が似合いそうな、走るというにはあまりにもゆっくり過ぎる速度だが……ゆったりとした服の下で大きく胸が揺れているのが分かってしまった。

 

 ……そこに意識が行ってしまう辺り、良太郎さんの悪い影響を受けてしまっていることを自覚して自己嫌悪に陥ってしまった。

 

 二人が無事にエレベーターに乗り込んだところで、改めて閉ボタンを押した。

 

「ありがとー! ……って、あっ、渋谷凛ちゃんだよね! 凛ちゃんもプロジェクトに参加してくれることになったんだ!」

 

 わーい仲間が増えたー! とニコニコ笑いながら私の手を取りブンブンと上下に振る大槻さん。見た目に反して人懐っこい性格をしているようだった。

 

「えっと、よろしく、大槻さん」

 

「唯でいいよー! んでこっちが!」

 

「鷺沢文香です……」

 

 ペコリと黒髪の女性が頭を下げる。どうやら彼女もプロジェクトのメンバーらしい。

 

「それじゃあ、これでようやくプロジェクトメンバーが全員揃ったわけだね!」

 

「えっと、確か……十二人だったよね」

 

 私、加蓮、奈緒、唯と文香さん。そしてアーニャと志希さんと美嘉さんと……あと四人か。

 

「うん! ゆい、みんな揃うの楽しみにしてたんだよ」

 

 にへーっと笑う唯。

 

「これまでもちゃんとお仕事はしてたけどさ、それでもみんなが揃うっていうの、やっぱり嬉しくない?」

 

「……そうなのでしょうか」

 

「文香ノリ悪いー」

 

 首を傾げる文香さんの肩をユサユサと揺する唯。見た目的にも性格的にも正反対そうな二人だが、意外に仲は良いようだ。

 

 そんなやり取りをしている間に、エレベーターは目的に階に到着した。こっちこっちーと子供のように先導する唯に着いていき、とあるドアの前までやって来た。

 

「………………」

 

「……? 凛、どうかしたの?」

 

「……ううん、何でもない」

 

 そこは元々私たちシンデレラプロジェクトが使っていた部屋……ということはなかった。そもそも部屋の階が違うので、そんな出来すぎた偶然は無かった。

 

 それでも、以前の部屋の事を少しだけ思い出してしまったのだ。

 

「それじゃ~……ようこそ、プロジェクトクローネへ~!」

 

 唯がドアを開け、そして加蓮に背中を押されるようにして、私はその部屋の中へと足を踏み入れた。

 

 

 

 部屋はもぬけの殻だった。

 

 

 

「……って、あれ?」

 

「……誰もいない」

 

 全員揃っているとまでは思っていなかったが、まさか一人もいないとは思わなかった。

 

「ちょっとー!? ここは誰かが部屋にいてお話が続くところでしょー!?」

 

「物語の展開としては、それが自然なのでしょうが……」

 

「……まぁ、現実ってこんなものだよなぁ」

 

 空の部屋に向かってムガーッと叫ぶ唯に対し、文香さんと奈緒は「そりゃそうだ」と頷いていた。

 

「ぐぬぬ……なんかゆいが恥ずかしい感じー……」

 

「あはは、待ってれば誰か来るって」

 

 唇を尖らせる唯の肩を加蓮がポンポンと叩く。

 

「………………」

 

 ゆっくりと部屋の中を見渡す。事務所が同じで建物も同じなのだから、それは当たり前なのかもしれないが……以前の部屋と殆ど同じ造りだった。

 

 勿論今は、プロジェクトクローネとして、トライアドプリムスの一員として、秋のライブに向けて頑張っていく。けれど……いつか、またシンデレラプロジェクトのみんなであの部屋に戻れたら……。

 

 

 

 ガチャ

 

 そんなことを考えていたら、ドアが開く音がした。

 

「おはようございます」

 

 聞こえてきたのは、私たちよりもずっと幼い少女の声。見ると、そこにいたのは恐らく小学生ほどの少女。長い黒髪に利発そうな目付き。手にはタブレットを持っていた。

 

「おはよーアリスちゃん!」

 

「おはようございます、加蓮さん。あと橘です」

 

 加蓮が挨拶をすると、少女は挨拶を返しながらも何やら素っ気ない態度だった。

 

「……あ」

 

 そんな少女と目が合った。恐らくいつもと違う顔があったので驚いたのだろう、一瞬だけビクリと肩が跳ねたように見えた。

 

「……初めまして。今日からプロジェクトクローネに参加する、渋谷凛」

 

「……えっと、は、初めまして……た、橘ありすです」

 

「よろしく、ありす」

 

「……橘です」

 

「え?」

 

「……名前で呼ばれるの、好きじゃないんです。だから名字で呼んでください」

 

「……はぁ」

 

 名前で呼ばれるのが好きじゃない、ねぇ。なるほど、先ほどの加蓮とのやり取りはそういうことだったのか。いやまぁ、別にいいんだけど……。

 

 ……別に嫌いだとか苦手だとかそういうことじゃないんだけど……この子と仲良くなるには少し大変そう――。

 

 ガチャ

 

 

 

「たっだいまー! フレちゃんとしゅーこちゃんが帰って来たよー!」

 

「ん、結構揃ってるね」

 

「あっ! ありすちゃんもいた! ありすちゃんただいまありすちゃん!」

 

「おっ、ホントだ。ただいま~ありすちゃ~ん」

 

「だーかーらー!? 名前で呼ばないでくださいって何回言えば分かるんですか!?」

 

 

 

 ――あ、なんかすごく仲良くなれそうな気がしてきた。

 

 

 




・久々の魔王エンジェル
いや本当に久しぶりだなこの子たち……ストーリーの展開上、どうしても自然に出せないのじゃ……。

・「それはとっても嬉しいなって」
ちだまりスケッチ

・アベンジャーズ
つい先日見てきました。
なんというか、確かに公式でネタバレ禁止しているだけのことはありました……。

・『桃園の誓い』
三国志的な。その場合……卯月が劉備で、凛が関羽で未央が張飛?

・良太郎さんの悪い影響
むしろ作者の悪い影響。

・ありす登場
名前だけの登場でしたが、ようやく本編登場です。
クールタチバナはアイ転でもクールに……とはいかず、残念ながら苦労人枠です()



 ついに今までセリフが無かったありすが登場したことで、これでようやくクローネメンバーが全員登場と相成りました。長かった……。

 次回もオリストで続いていきます。

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