アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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第七回シンデレラガール総選挙!(あとがきで触れます)


Lesson202 Please get into pairs 4

 

 

 

「そういえば凛ちゃん、この前初めてクローネのメンバーでミーティングやったんだって?」

 

「……ミーティングはミーティングでも、ファンミーティングだったけどね」

 

「ん? どういうこと?」

 

「うん、あれは完全に周藤良太郎ファンミーティングだった」

 

「本当にどういうこと!?」

 

 

 

 さて、今日は午前中に予定が空いていたため、ついに凛ちゃんたちプロジェクトクローネと一緒にレッスンをする記念すべき初日となった。なお昼には仕事が入っているので二・三時間しか時間は作れなかったが……まぁ、その短時間で詰め込めるだけ詰め込めばいいよね!

 

 よーし、お兄さん張り切っちゃうぞー!

 

「……今、なんか寒気が……」

 

「もうすっかり冬が近づいてきたからね。暖房付ける?」

 

 というわけで、朝から車で346プロに向かっている最中であり、ついでなので渋谷生花店に寄って凛ちゃんを拾ってきた次第である。

 

「しかしそうか。美城さん、そこまでこじらせてたか……」

 

「本当もう、何事かと思ったよ」

 

「いやまぁ普段の様子から周藤良太郎のファン、引いてはただのアイドルオタクだからなぁあの人」

 

 だからと言って俺の参考資料という名目でライブの映像を流し始めるとは思わなかった。

 

 ちなみに加蓮ちゃんと唯ちゃんはノリノリで観ていてくれたらしいけど、他のメンバーは終始呆気に取られていたそうだ。そりゃそうだ。

 

「……でも、そんなにアイドルのことが好きなのに……どうしてこんな急な改変をしようって思ったんだろ」

 

 窓の外を眺めながらポツリとそんなことを溢した凛ちゃん。

 

「……さぁ。それは俺にも分からないよ」

 

 いや、本当は「もしかして……」と、とある可能性が頭を過るようになっていた。

 

 もし美城さんもアメリカで『アレ』を目撃していたとしたら……。

 

 尤も、全て俺の憶測でしかないのだが。

 

「その話は置いておいて、今日のレッスンは凛ちゃん以外は誰が来るの?」

 

「えっと、私と加蓮と奈緒のトライアドプリムスの三人と……アーニャと文香さんと唯と橘さん」

 

「ふむふむ」

 

 ようするにリップスの五人以外ってことか。凛ちゃんたち三人は勿論、アーニャちゃんと文香ちゃんと唯ちゃんには既に会ったことがあるから……初対面はありすちゃんだけか。これでクローネメンバー全員と顔を合わせることになる。

 

「ありすちゃんはどんな感じの子?」

 

「えっと……年の割には落ち着いてる感じかな。でも大人びてるというよりは、背伸びしてる感じ」

 

 ませてる……という感じじゃないか。

 

「あと、名前で呼ばれるのがイヤなんだって。名字で呼んでくださいって言われちゃった」

 

「あら、可愛い名前なのに勿体ない」

 

 語感的にも呼びやすかったから俺は好きなのに。

 

「そういえば、良太郎さんは割と名前呼びするよね。でも普通に名字呼びすることもあるし……なにか基準があるの?」

 

「そこはLesson127の友紀や茄子との会話を参考にしてもらおうかな」

 

「何の話?」

 

「そういえばついに茄子にも声が実装されるのか……感慨深いなぁ」

 

「だから何の話?」

 

 

 

 というわけで346プロに到着。車をいつものように来客用駐車場に停め、凛ちゃんと共にレッスン室へと向かう。

 

「そういえばそれなりにこっちの事務所来てるけど、レッスン室に行くのは初めてだな」

 

「そうなの?」

 

「結局シンデレラプロジェクトの子たちのレッスンも見てあげれなかったからなぁ……時間があれば、そっちも見てあげたいよ」

 

「……顔を見せるだけでも喜ぶと思うよ。特に莉嘉とかみりあとか。……みくと美波も」

 

 前者二人はともかく、後者二人はどうだろう……まぁ、無下にはされないとは思うけど。

 

「でもまぁ……そうだね。顔見せぐらいだったら簡単に出来るかな」

 

「うん」

 

「それにレッスン中なら、今の時期でもみんな薄着になってるだろうしね!」

 

「やっぱり来なくていいよ」

 

「誤解しないでくれ凛ちゃん。俺は別にみんなの素肌が見たいわけじゃないんだ」

 

「別に誤解はしてないけど」

 

「どちらかというと、汗でうっすらと透け――!」

 

「帰れ」

 

 そんな心温まるやりとりを妹分(りんちゃん)としながら、レッスン室近くの更衣室前に到着した。

 

「……あれ、良太郎さん何処で着替えるの?」

 

 このレッスン室は当然ここのアイドル部門のアイドルたちが使用するためのものだ。となると当然女性アイドルが使用することが前提となっているため、男性用の更衣室なんてものはないのである。

 

「んー、まぁ下はそのままでもいいから。上だけレッスン室で着替えさせてもらうよ」

 

 こういう点で男は楽である。衣装の早着換えとかでもその辺でパパッと遠慮なく着替えられるし。

 

「………………」

 

「何?」

 

「……いや、何でもない。ちゃんと気を付けてよ」

 

「? 確かに体力が溢れないように、こまめに営業へ送るように気を付けてるけど」

 

「そういうことじゃなくて。……まぁいいや」

 

 何やら意味深なことを言い残し、凛ちゃんは更衣室へと入っていってしまった。

 

「……さてと」

 

 そこから歩いて一分も経たないうちにレッスン室へと到着。

 

「失礼しまーす! みんなを応援! 元気のアイドル! キュア――って誰もいない」

 

 元気よく挨拶をしながら入ってみたはいいものの、まだ誰もいなかった。どうやら俺が一番乗りだったようだ。

 

「やっぱり広いなぁ」

 

 流石は大手芸能事務所の美城である。これと同じサイズのレッスン室が他にも何部屋かあるというのだから驚きだ。

 

 さて、凛ちゃんや他のみんなが来る前に着替えを済ませてしまおう。と言っても、先ほども言ったように上を着替えるだけの簡単なことなので、ものの数秒で終わる。上着を脱いでーTシャツも脱いでー汗かくだろうからシャツも脱いでーっと。

 

「「おはようございまーす」」

 

 おっと、どうやらもう来てしまったようだ。

 

「おはよう、加蓮ちゃん、奈緒ちゃん」

 

「あっ! 良太郎さ……ん……!?」

 

「……なっ……なっ……!?」

 

「ん?」

 

 

 

「「きゃあああぁぁぁ!?」」

 

 

 

「ふぁっ!?」

 

 何々、何事!? 何があった!? もしくは何かいた!? 虫とか!?

 

「はわわわっ……!?」

 

「なっ、何て格好してんだよアンタは!?」

 

「あ、そっちか」

 

 てっきりじょーじでもいたのかと思った。

 

 しかし……逆かぁ……どうせだったら一度ぐらい、俺も着替えに出くわすハプニングに遭遇してみたいものである。いや、でも実際にそうなった場合、色々と問題があるんだよなぁ……やはり創作物の中だけで楽しむのがベストであって……いやいやそう簡単に男のロマンは諦められないゾ。

 

「そこんとこどう思う?」

 

「「いいから早く上を着てっ!」」

 

「何セクハラしてんのさあああぁぁぁ!」

 

 そんな凛ちゃんの怒号と共に、飛来したタンブラー型の水筒が俺の眉間に直撃した。

 

 

 

「何か言いたいことはありますか?」

 

「反応が可愛くて調子に乗ってました」

 

「本音は?」

 

「こういうある意味理不尽な折檻もラブコメっぽくてちょっとオラわくわくしてるぞ!」

 

「反省の色なし」

 

 素直に答えるばかりが正解じゃないってことを思い知った……凛ちゃんいくら小型だからってアンプを重し代わりに石抱きは流石に無理だよ!?

 

「あー……り、凛? 私は大丈夫だから、もうそろそろ許してあげて……ね?」

 

「加蓮……」

 

 やや赤い顔のままではあるが、そう言いながら加蓮ちゃんは凛ちゃんの肩に手を置いた。

 

「その確かに驚いて叫んじゃったけど……寧ろ周藤良太郎のあんな姿見ちゃったから、私たちの方がお金を払わないといけないんじゃないかと……」

 

「落ち着いて加蓮」

 

「それでいくらぐらい払えば延長を……!」

 

「落ち着いて加蓮!?」

 

 ダメだ、まだ加蓮ちゃんも正気に戻ってなかった。おめめグルグルのままだった。

 

「ほ、ホントに少しは気を付けてくれよ!? こ、今回はアタシたちだったからまだ良かったけど、他のもっと小さい子だったらどうするんだよ!?」

 

 今度は奈緒ちゃんからお叱りの言葉。いや、寧ろもっと小さい子だったら尚のこと反応は小さかったような気もするけど……。

 

「おっはようございまーす! ……って、あれ?」

 

「一体何が……?」

 

 そろそろいいだろうと正座を解いて立ち上がると、ちょうどレッスン室に唯ちゃんと文香ちゃんがやって来た。

 

「やあ二人とも、おはよう。今日はよろしくね」

 

「あっ、リョータローくん! うん! 今日はよろよろ~!」

 

「よろしくお願いします……」

 

 トライアドプリムスの三人もそうだったけど、唯ちゃんと文香ちゃんも運動着姿だった。特に普段ゆったりとした服ばかり着ている文香ちゃんのジャージ姿というのが大変珍しかった。……やはりデカい。

 

「ドーブラエ・ウートラ。おはよう、ございます」

 

 次にやって来たのはアーニャちゃん。

 

「おはよう。久しぶりだね、アーニャちゃん!」

 

「リョータロー! はい! ……それで、リンとカレンは何をやっていますか?」

 

「あ、それアタシも気になってたー」

 

「んー……事故というかなんというか」

 

 これの詳細を語るとそれはそれでセクハラってことでまた凛ちゃんに怒られるだろうから、黙っておこう。これ以上は話が進まない。というか大分進んでいない。あと五百文字ぐらいしかないから、そろそろしめないといけないっていうのに……このままではまたエクストラステージに突入である。

 

「おはようございます」

 

 そんなことを考えていると、再びそんな声が。今度は俺の聞いたことなかった声で、さらにそちらに視線を向けると今まで会ったことがなかった姿があった。いや、正確に言えば姿だけは写真で見たことがあった。

 

「やぁ、君が橘ありすちゃんだね?」

 

「っ! す、周藤良太郎さん……!」

 

 ありすちゃん……橘さんは、俺の姿を見るなりビクリと身体を震わせた。

 

 ふむ……ここは全力を出して、初対面時の好感度を上げておこう。これ以上凛ちゃんを怒らせると怖いしね!

 

 片膝を付いて橘さんと視線を合わせる。

 

「今日から君たちプロジェクトクローネの指導をすることになった周藤良太郎だ。そんなに多く指導できるわけじゃないけど……君たちをトップアイドルにするために、俺も全力を出させてもらうよ」

 

 そう言いながら「よろしく」と握手を求めて手を差し伸ばす。

 

「………………」

 

「……? 橘さん?」

 

「っ! こ、こちらこそよろしくお願いします!」

 

 何故かポーッとしてた橘さんだが、突然再起動して勢いよく俺の手をブンブンと握り返してくれた。

 

「うん、よろしくね、橘さん」

 

「は、はい!」

 

 おぉ、目がキラキラしてる。これは初期好感度は高めに行けたんじゃないか! 幸先いいぞ!

 

 結局エクストラステージには突入しちゃったけどね!

 

 

 

「……どう思う?」

 

「……良太郎さんのことだから、すぐにボロが出ると思う」

 

 

 




・「ついに茄子にも声が実装されるのか……」
まさかまさかの第四位! やったぜ茄子さん!

・「こまめに営業へ」
意外とポイントとかチケットとかもらえて便利。

・「みんなを応援! 元気のアイドル! キュア――」
個人的に今期プリキュアは歴代でもかなり大当たりな部類だと思う。
え、今期は誰推しかって? そんなのはぐたんに決まってるだるろぉん!?

・じょーじ
地球に来たってところで作者の知識は止まっております。

・「理不尽な折檻もラブコメっぽくて」
ラブコメってのは主人公がとりあえずヒロインにボコボコにされりゃええんやろ(多方面に喧嘩を売るスタイル)

・「君たちをトップアイドルにするために、俺も全力を出させてもらうよ」
良太郎「ちょっと本気出してみた」

・結局エクストラステージには突入しちゃったけどね!
はーい五話目に入りまーす。



 結局四話で収まらなかったゾ! 次回に続きます。

 ……それにしても、どうしてありすはこうなったのか……。



『どうでもよくない小話』

 第七回総選挙! シンデレラガールの栄光に輝いたのは、ウサミンでした!

 おめでとうウサミン!

 というわけで、お祝いとして恋仲○○特別短編書きますので、少々お待ちを!

 あと我らが楓さんは八位! これは一度シンデレラガールに選ばれたアイドルとしては快挙ですが……ついに総選挙楽曲からは欠席です……無念っ……!

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