アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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第八回総選挙結果発表!(あとがきにて触れます)


Episode19 いざ、決戦の地へ! 3

 

 

 

「……お、お宝の山にゃ……!」

 

「す、すっごーい……!」

 

 ここは()()()()()()()という、関係者以外は関係者チケットを持っている人しか入れない場所にある物販。ラインナップ自体は外の物販と変わらないが、ここならば一切並ばずに買うことが出来る。

 

 そんな特別な物販にやって来たみくちゃんとみりあちゃんは、目を輝かせていた。

 

 

 

「「ほんっとうにありがとう! 美波ちゃん! かな子ちゃん!」」

 

「どういたしまして……で、いいのかな?」

 

「寧ろごめんね? 私たちがチケットを貰っちゃって……」

 

 

 

 声を揃える二人に、()()()()()()()()()()()()私とかなこちゃんは思わず苦笑してしまった。

 

 

 

「それにしても、関係者チケットを持ってる人に同伴することで特別物販を利用できるなんて、良太郎さんも粋な計らいをしてくれるにゃ~」

 

 ホクホク顔であれもこれもとグッズを手にしていくみくちゃん。

 

 シンデレラプロジェクト内での関係者チケット抽選で私とかな子ちゃんがチケットを手にすることが決まった瞬間は、自分のキャラも一切忘れて「なんでやあああぁぁぁ!?」と地元の言葉丸出しで絶望していたみくちゃんだったが、私の同伴として特別物販に連れていくことを約束することで落ち着いてくれた。

 

 ちなみにもう一枚、かな子ちゃんのチケットの同伴はみりあちゃんだが、こちらは他のみんながみりあちゃんに譲る形で決まった。他にもきらりちゃんや莉嘉ちゃんも来たがっていたが……確か杏ちゃんと仁奈ちゃんのチケットで来るという話をしていたような気がする。

 

「うーん、どうしよっかなー……りょうお兄ちゃんのペンライトが欲しいけど、恵美ちゃんとまゆちゃんのペンライトも欲しいなー……」

 

 三本のペンライトを手にして悩むみりあちゃん。いくらアイドルとして活動をしてお給料を貰っているとはいえ、まだまだ彼女は中学生。きっとお小遣いのやりくりで頭を悩ませているのだろう。

 

「えっと、確か未央ちゃんは……」

 

 一方でかな子ちゃんはメモを片手に、他のシンデレラプロジェクトのメンバーから買ってくるように頼まれたグッズを選んでいた。未央ちゃんや卯月ちゃんも来たがっていたのだが、生憎ニュージェネの仕事が入っており物販に来る時間が確保できなかったため、最初から同伴の候補から外れてしまったのだ。

 

(……折角だし、私も買おうっと)

 

 三人とは別に、私もグッズを見ることにする。

 

 今回のグッズは殆どが一新された最新のグッズばかりらしいのだが、実は良太郎さんや123プロの皆さんのライブはこれが初参加となる私には残念ながらそれが分からない。しかしそのラインナップや種類から、どれだけ力を入れているのかはなんとなく分かるような気がした。

 

 定番のペンライトやタオルやTシャツの他、『123プロ人形焼き』なんて変わり種や、『まゆのまゆ』という名前の置物まで……え、これは本当に何……?

 

「………………」

 

 そんな中、私はとあるものの前で動きが止まってしまった。

 

 手を伸ばそうとして……チラリと横目で他の三人の様子を窺う。どうやら三人とも自分の買い物に夢中になっているようで、こちらを見ていない。

 

(……よし)

 

 別に買うつもりはない。ちょっとだけ中身が気になっただけなので、見本誌を手に取って少しだけ確認を――。

 

 

 

「美波ちゃんは何を買うの?」

 

「っ!?」

 

 

 

 ――しようとした瞬間、背後からみりあちゃんに声をかけられた。驚いた私は手を滑らせてしまい、平積みされたグッズの上でバサリと見本誌が広がる。

 

「どーしたのにゃ? 美波ちゃ……」

 

「何かあったの……」

 

 その音に振り返ったみくちゃんとかな子ちゃんの動きが止まる。

 

 

 

 二人の視線の先には、最新の『周藤良太郎』の写真集に掲載された、上半身裸でシャワーを浴びる良太郎さんの姿があった。

 

 

 

「「………………」」

 

「美波ちゃん、これ買うの?」

 

 無言のみくちゃんとかな子ちゃんと、無邪気に首を傾げるみりあちゃんの視線が、ただただ痛い。

 

「……かー! 卑しかー! なんにゃ美波ちゃん! 良太郎さんにそんなに興味ないフリしておいて、結局そういうのに手を出すのにゃ!?」

 

「なんで長崎弁なの!? い、いや、これはその、そういうのじゃなくて、ただちょっと中身が気になっただけで……!?」

 

「その中身が気になった時点でアウトにゃ!」

 

「んー? どーしてりょうお兄ちゃん、ズボン履いたままシャワー浴びてるの?」

 

「み、みりあちゃんにはちょっと早いかなー……?」

 

 やめてかな子ちゃん! そういう反応されると本当にイヤらしいみたいになっちゃうから!

 

 その後当然のように、いくら関係者以外の目がないとはいえあまり騒ぎすぎないようにとスタッフに注意されるのだった。

 

 

 

 ……ちなみに写真集は買った。

 

 

 

 

 

 

「わ、わあああぁぁぁ!? す、すっごいよお姉ちゃん! 123プロのグッズでいっぱいだよ!? 見たことないグッズばっかりだよ!?」

 

「すみません! ブロマイド全員分とラバスト全員分とペンライト全員分とうちわ全員分と――!」

 

 関係者特別物販に辿り着いたなのはちゃんと美由希ちゃんが大興奮していた。普段から『周藤良太郎』やその他の123プロアイドル慣れしている二人ではあるものの、流石に今回のライブのために一新されたグッズは琴線に触れたようだ。

 

「私はどーしよっかなー」

 

 そんな二人ほどではないもののテンションが上がっている月村もウキウキとグッズを物色し始めた。

 

 一般の物販とは違い、この関係者特別物販は文字通り関係者のみ利用できる物販であり、なのはちゃんたちのように関係者チケットを持っている人や()()()()()()たちが利用するためのものだ。そのため殆ど人が並んでいないため、こうしてゆっくりとグッズを選ぶことが出来る。

 

 ちなみにスタッフが言うには、先ほどまで346プロのアイドルの子たちがグッズを買いに来ていたらしい。誰が来てたんだろうか。もうちょっと早かったら顔を合わせられたのに……残念。

 

 三人が物販に気を取られているので、自然と男三人は手持無沙汰となった。

 

「いやぁ、女の子がキャピキャピとはしゃいでる姿はいいもんだなぁ」

 

「そうだな。あぁやってテンションの高いなのはは珍しい」

 

「もう一人の妹や彼女のことも言及してやれよ……」

 

「……そういえば冬馬、お前は関係者チケットを誰に渡したんだ?」

 

 ふと気になったらしい恭也がそれを尋ねると、冬馬は気まずげに視線を彷徨わせた。

 

「あー……俺たちはその、挑戦状としてチケットを使っちまってな」

 

「……どういうことだ?」

 

「犯人はヤスということだ」

 

「それは『たけしの挑戦状』じゃなくて『ポートピア連続殺人事件』だ」

 

 かくかくしかじかと黒井社長に対して関係者チケットを送ったことを説明する冬馬。

 

「そうか……そういえばお前たちも、複雑な事情を抱えていたんだったな」

 

「そんなに複雑でもねーよ。……育ての親の方針が嫌になって飛び出したっていう、ただそれだけの話なんだからな。未練も後悔もねぇ」

 

 それでも、と冬馬は物販に視線を向ける。視線の先には買い物を楽しむ三人娘……ではなく、物販の上に張られた自分たちのポスターだった。

 

「『あの日』『あの時』……もしもおっさんが振り返っていたら……なんて考えたことないっつったら嘘になるけどな」

 

 

 

「ふんっ。私が貴様らのような役立たずを引き留めるとでも思ったのか?」

 

 

 

「「っ」」

 

 突如聞こえてきた男性の声に冬馬と、その言葉に籠った敵意に反応した恭也が身構える。

 

「これはこれは……来ていただけたんですね、()()()()

 

 そんな二人に代わって俺が「いらっしゃい」と挨拶をすると、黒井社長は一目で「あぁ俺のことを嫌ってるなぁ」という目で睨んできた。

 

「誰が好き好んでこんな事務所の感謝祭ライブに来るか。私はたまたまこの近くに来る予定があり、たまたまそこの出来損ないが寄越して来たチケットを持っていたから、どれほどものか見に来てやっただけだ」

 

 忌々しそうにフンッと鼻を鳴らす黒井社長。

 

「確かにそれなりに見れた規模のライブのようだが……よくもまぁコイツらのような中途半端な連中を使う気になれたものだ」

 

 そう言いながら黒井社長はクイッと顎で冬馬を示す。それに対して冬馬は表情を変えず、逆に恭也の方がピクリと眉を動かしていた。その後ろではこちらに気付いた三人が遠巻きに様子を窺っている。なのはちゃんがオロオロと困った様子を見せる中、美由希ちゃんと月村も敵意マシマシな表情をしていた。美人の怒り顔は怖いなぁ……。

 

「しかしこちらとしてはありがたいことだ。あの忌々しい『周藤良太郎』の事務所に足を引っ張る存在がいるのだから、きっと私がなにもしなくてもいずれ勝手に潰れてくれることだろうさ」

 

 ニヤニヤと笑いながら「ふふふ……くくく……ふはははっ!」と綺麗な悪役笑い三段活用を披露する黒井社長。テンプレートな悪役ムーブに思わず感心してしまった。

 

「いやいや、流石は黒井社長が手ずからデビューさせたアイドルですよ。今ではすっかりウチの事務所で二番手の稼ぎ頭です」

 

 やり方はともかく、この人のアイドルを見る目は間違いない。なのでこれは俺の本心からの賛辞のつもりだったのだが、どうやら黒井社長には皮肉に聞こえたらしく「チッ」と分かりやすく舌打ちをされてしまった。

 

「他のアイドルにまで気をかけるとは、随分と余裕じゃないか。全く、随分と反吐が出るような面倒見のよさだな、えぇ?」

 

「どうぞお好きなだけ、反吐でも呪詛でも吐いちゃってください。貴方の頭上にいる俺には一切被害はありませんので」

 

(お、おい、良太郎が珍しく毒吐いたぞ……)

 

(俺も滅多に見ないぞ……)

 

 後ろで冬馬と恭也がコソコソと何かを話しているが、今は後回しだ。

 

 さて、折角の機会だ。実は本編時間軸でも滅多に顔を合わせなかった黒井社長に、この際だから色々と思っていたことをぶちまけておこう。

 

 そう決意して開いた俺の口は――。

 

 

 

「何をやってるんですかあああぁぁぁ!?」

 

「ぐほぉっ!?」

 

 

 

 ――目の前の黒井社長が勢いよく飛び込んできた少女の体当たりによって吹き飛んだことで、声を発することなく呆然と開いたままとなってしまった。

 

 一体何が起きたのかはイマイチ理解できなかったが、ただ一つだけ理解できたことがあった。

 

 

 

 どうやらここまでのシリアスな会話は、今から始まるギャグパートの前フリだったらしい。

 

 

 




・美波、かな子、関係者チケットを入手。
デレステの無料十連にてかな子のSSRが、そしてその後のローカルオーディションで一番最初に出てきたCP組が美波だったので、この二人が関係者チケット持ちとなりました。

・「なんでやあああぁぁぁ!?」
関西の血が出てしまったみくにゃん。

・『まゆのまゆ』
まゆの中の人が考案した、デレステ内に実装されている(狂気の)グッズ。
なおこちらは置物なので動かない。

・良太郎のセクシーショット
実は作中内でも初だったり(だからなんだ)

・「かー! 卑しかー!」
みくたんステイ!
元ネタは勿論シャニマスの恋鐘だが、実際はそんなこと言ってないんだっけ?

・「犯人はヤス」
ある意味ネタバレの原点ともいえるネタ。

・黒井社長登場
なんとLesson72以来の登場。
実は本編内では一度も良太郎と会話したことなかったりする。
※追記
Lesson70にて会話を確認。そーいやこんなのあったな……。

・「何をやってるんですかあああぁぁぁ!?」
シリアスブレイクアタック(体当たり)



 シリアス突入かと思った? 残念! 盛大な前フリでした!

 まぁちょっとだけ真面目な話はするけど、ついにあの子が!



『どうでもよくない小話』

 未央おおおぉぉぉ! 八代目シンデレラガールおめでとおおおぉぉぉ!!

 長かったなぁ……本当に長かったなぁ……!

 よっしゃ! 次は加蓮だ! 来年は加蓮を応援することを、もうここで宣言しておくぞ!
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