調子がいいうちに出来るだけ多くのお気に入り登録を……!!
Q 主人公の容姿はどんなの?
A 特に決まってないので、皆さんが無表情でもアイドル出来そうな顔を想像して当てはめていただけたらなと考えています。
ライブは間違いなく大成功と呼べる盛り上がりを見せた。全力で歌い踊るのはやはり気持ちがいい。プレミアムチケットの席に『魔王エンジェル』の三人娘を発見した時は驚いたが、感謝を込めて投げキッスをしておいた。
ライブ終了後、三人からのメールを受信していた。
麗華からは『コ○ス』というシンプルな脅迫メール。ツンデレも大変結構なのだが、四年の付き合いになるんだしもうそろそろデレの部分を見せてくれてもいいんじゃないかとお兄さんは思うんですが。……ホントに嫌われてるとかはないよね? 『イキル』と返しておいた。
りんからは『今度オフが重なったら遊びに行こう』というお誘いメール。俺もあいつらもなかなか忙しい身だが、その場合俺の方が都合を合わせればいい。プロダクションに所属しないフリーアイドルはこういう風に身軽な点が素晴らしい。その分兄貴が大変になるのだが。『兄貴にオフの予定を合わせてもらうからそっちのオフを教えてくれ』と返しておいた。
ともみからは『次はわたし達のライブにも来てね』というりんとは別のお誘いメール。三人娘の内ともみとだけ若干の距離を感じるのだが、ライブに来てくれるしこうして向こうのライブに誘ってくれるのだから悪い仲ではないだろう。『シリアルナンバー付きプレミアムチケット手に入れて行くぜ!』と返しておいた。
ちなみに後日自宅にシリアルナンバー1のプレミアムチケット(三人娘のサイン入り)が届くことになる。ファンが見たら『こ○してでも うばいとる』を選択されるんじゃなかろうかと、若干素手で触ることを躊躇ってしまったのは全くの余談である。
閑話休題。
とある休日の昼下がり。俺はケーキの箱を手に街を歩いていた。目的はもちろん、この前言っていたように765プロへ激励をしに行くためである。午前中のレッスンを終え、予約しておいたケーキ(人数が多いので各種二個ずつ用意)を両手に抱えて765プロを目指す。
ケーキの箱を二つ抱えると言う目立つ姿で街中を歩いていれば他の人に身バレしそうだが、そこは心配無用。俺には『伊達眼鏡をかけて帽子を被ると何故か誰にもバレない』という不思議能力が備わっているのだ! ちなみに親しい人には一発でバレるのだが、そう言う人は俺に気付いても騒がないので問題ない。
「確認確認っと」
バス停のベンチに腰を降ろし、荷物を置いて地図を書いたメモを取り出すのだが。
「っ!? ……あっ!?」
突然吹いた風にメモを攫われてしまう。とっさに手を伸ばしたが間に合わず、メモは遠くに飛んで行ってしまう。
しかし。
「ほっと!」
突如現れた少女が、ジャンプしてメモを捕まえてくれた。
「はい。気をつけなきゃダメだぞ」
そう言いながら俺にメモを差し出してくる少女。その姿には見覚えがあった。黒髪のポニーテールに、小麦色に焼けた健康的な肌、笑う時にチラリと覗かせる八重歯、沖縄交じりの独特なイントネーション。そして何より、小柄な体躯らしからぬ、りんには及ばないがともみには勝る見事な大乳。
「もしかして……
昨日予習した765プロ所属のアイドル、我那覇響だった。
「お! 自分のこと知ってるのか?」
いやぁ自分も有名になっちゃったな~とテレテレ笑う姿が大変微笑ましくて心の中ではニヤニヤ笑いっぱなしである。こういう時自分の無表情に感謝。
そんな時、心の中にヒョッコリと悪戯心が芽生えた。
「丁度良かった。765プロの高木社長に頼まれてケーキを届ける予定だったんだ。もしよかったら事務所まで案内してくれるかな?」
「ケーキ!? もちろんオッケーだぞ!」
俺の脇に置かれたケーキの箱を見るなり目を輝かせ、響ちゃんは快諾してくれた。俺の言葉に全く疑いを持っていないことが若干の不安である。変な人に騙されないか心配だ。今から騙そうとしている人間の言葉じゃないが。
「ありがとう。それじゃあ行こうか」
「あ、自分も一つ持つぞ」
「女の子に荷物を持たせるわけにはいかないよ。大丈夫、落とさないからさ」
「……分かった。でも気を付けるんだぞ」
「了解」
見ず知らずの人間にも関わらず、随分と優しい子である。改めて何でこんないい子が未だに売れてないんだろうか。
てなわけで現役アイドル(俺もだが)に道案内を頼み、765プロへと向かう。
「それにしても凄い量のケーキだけど、何かお祝いでもするの?」
途中、そんな話を振ってみる。
「んー、何か大事な話があるから午後は全員集合ってピヨ……事務員さんが言ってた気がするぞ」
一応高木さんには今日自分が行くことを伝えておいたのだが、どうやら高木さんはそれを所属アイドルには伝えていないらしい。
なるほど、これは社長公認でサプライズしろという前振りですね分かります。ならばこの周藤良太郎、全力を持ってサプライズを完遂してみせようじゃないか!(使命感)
「あ、竜宮小町が凄い頑張ってるから、もしかしたらそのお祝いかも!」
「あぁ、なるほどね。確かに、最近すごい勢いで人気が出てるみたいだし」
まぁ元々頑張ってるりっちゃんや所属アイドル全員の激励が目的だから、その考えもあながち間違いとは言えない。
「いつか自分も、竜宮小町の三人みたいに売れっ子になるんだ。今はまだ気付かれても兄ちゃんみたいにリアクションが薄いかもしれないけど、今度会った時は無茶苦茶驚かせてやるんだからな!」
タタッと小走りに前に出ると、その場でクルリとターンを決めると、ビシッと俺に人差し指を向けてきた。
どうやら俺が表情を一切崩していないことが気になっていたようだ。
「あぁ、期待してる」
「むー、全然そんな顔してないぞ!」
「してるしてる。ちょーしてる。今の国会と同じぐらい期待してる」
「自分、それについてコメントしたら色々と不味い気がするぞ……」
ヤダナーチョーキタイシテルヨーメッチャキタイシテルヨー。ハヤクハツデンショナントカナンナイカナー。
「着いたぞ!」
響ちゃんの声に視線を上げる。『たるき亭』と暖簾がかかった定食屋の上、小さなビルの三階のガラスにガムテープで張られた『765』の文字。これが765プロダクションの事務所か。
「こんなにたくさんケーキが届くなんて知らないから、きっとみんな喜ぶぞ」
「それは運んできた甲斐があったね」
ケーキケーキとスキップしながら階段を駆け上がる響ちゃんの後を追って階段を上がる。姿は見えないが「みんなー! ケーキが届いたぞー!」という声が聞こえてくる。
階段を上りビルの二階へ。開け放たれたままの扉を潜り、俺は765プロに辿りついた。
「ケーキッ!?」
「え、ケーキ?」
「どうしてケーキ……?」
「小鳥さんが言ってた大事な話と関係あるのかな?」
自分がケーキが届いたことを伝えると、事務所にいた全員が反応した。みんな嬉しそうではあるが、理由が分からず訝しげである。
そうこうしている間にケーキ屋の兄ちゃんが事務所に入ってきた。
「こんにちはー。ご注文のケーキをお届けにあがりましたー」
「ひ、男の人……!?」
「雪歩落ち着いて、大丈夫だから」
ケーキ屋の兄ちゃんに早速雪歩が怯えていた。まぁ全く表情が動かないから怖がるのも無理ないが。
「ケーキなんて頼んだ記憶……え?」
凄く不思議がっていたピヨコだったが、何故かケーキ屋の兄ちゃんの姿を見るなり目を見開いた。
「ご無沙汰してます。ご注文のケーキをお届けに上がりました」
「……あ、あぁ~! そういうことですか! 分かりました」
どうやらピヨコとケーキ屋の兄ちゃんは知り合いだったようで、ご苦労さまです、と楽しそうに話しかけていた。
一方みんなは机に置いたケーキにワラワラと群がり、一体どんなケーキなんだとかどうしてケーキなんだとか話し合っている。
「何か、凄く高そうなケーキだけど……」
「プロデューサーさん、このケーキのこと知ってたんですか?」
「いや、俺も何も聞かされてないよ」
どうやらプロデューサーも知らないらしい。
「いやぁ、久しぶりだね! 話はよく聞いているが、こうして元気な姿が見れて嬉しいよ!」
「お久しぶりです、高木社長」
今度は社長がケーキ屋の兄ちゃんに話しかけていた。社長とも知り合いなのか?
「社長、こんな高そうなケーキ、一体どうしたんですか?」
「あ! もしかして竜宮小町のヒットお祝い!? 社長ってば布団腹~!」
「真美、それを言うなら太っ腹よ」
「いやいや、実はこのケーキは私が用意したものではないんだよ」
え? だってさっきケーキ屋の兄ちゃんが『高木社長に頼まれて』って……。
視線をケーキ屋の兄ちゃんに向けるが相変わらずの無表情でそこから何も読み取ることは出来なかった。
「頑張っている竜宮小町や君達を激励したいと言ってくれた知り合いがいてね。その人が頼んでくれたケーキなんだ」
「わ、私達もですか?」
「嬉しいですー!」
「社長、一体どなたなんですか? その知り合いって……」
「それは全員揃ってから……っと、帰ってきたみたいだね」
社長に釣られて視線を入口に向けると、四人の声が徐々に近づいてきているのが聞こえた。
「ただいま戻りました~」
「あー疲れた」
「たっだいまー!」
「こら亜美! まだ話は終わってないわよ!」
仕事から戻ってきた竜宮小町と律子の四人だった。どうやらまた亜美が何かしたらしく、随分と律子はお冠のようだ。
「あ、何々!? ケーキじゃん!」
「亜美!」
「まぁまぁ律子君、少し落ち着きたまえ」
「ですが社長! ……え?」
突然律子は言葉を止めて呆気に取られたような表情になった。その視線の先には、またしてもケーキ屋の兄ちゃん。その兄ちゃんは律子の視線に気付くと右手をピッと上げた。
「よう、りっちゃん。おひさー」
「な、な、何で!?」
無表情の割には随分とフランクな挨拶をするケーキ屋の兄ちゃんに、律子はひどく驚いていた。またしてもケーキ屋の兄ちゃんと知り合いのようだ。
「どうしたの律子さん、いきなり大声出して」
「あの兄ちゃんがどうしたのー?」
「あ! もしかしてりっちゃんの彼氏とかー?」
全員の視線がケーキ屋の兄ちゃんに向けられる。……もしかして、兄ちゃんはケーキ屋の人じゃないとか?
「さて、全員揃ったようだね。それじゃあ紹介しようか」
社長がそう言うと、兄ちゃんは付けていた眼鏡と帽子に手を掛けた。
「……え?」
眼鏡と帽子が取り払われ、兄ちゃんの素顔が露わになる。無表情は相変わらず変わらないが、その顔はよく知っているものだった。というか、ここにいる全員が知らないわけがない顔だった。
「今回、765プロダクションを激励するためにわざわざやって来てくれた――」
アイドルである以上、一度はその名前を聞き、一度は憧れる存在。
「周藤良太郎君だ」
アイドル界の生きる伝説、周藤良太郎がそこにいた。
『えええええええええええええ!!!??』
・三人娘からのメール
前回に引き続き、主人公と三人の関係性を表す1シーン。
・プロダクションに所属しないフリーアイドル
オリジナルの事務所 → オリキャラが増えすぎる。
既存の事務所 → 登場キャラが偏りそう。
DSで夢子ちゃんやサイなんとかさんがフリーだったようなので採用。
・「こ○してでも うばいとる」
アイスソード
・『伊達眼鏡をかけて帽子を被ると何故か誰にもバレない』という不思議能力
たぶんアニメのはるかっかもこの能力を持ってると思う。
・我那覇響
南国動物ガール。ハム蔵はたぶん事務所にいると思う。
・りんには及ばないがともみには勝る見事な大乳
結局最後はそこに行き着く主人公マジおっぱい魔人。
・チョーキタイシテルヨー
この小説は社会派小説です(キリッ
・765プロのアイドルのみなさん
次回が765プロの紹介回になるので意図的に名前を伏せるように書いたが、ちゃんと書き分けられてるかが超不安。
・アイドル界の生きる伝説
主人公の黒歴史にまた新たな一ページ……。
765プロでの激励会のための導入部のためネタは少なめ。主人公+アイドル12人+4人を動かさなくちゃいけない次回以降が地獄やで……。