アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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How do you like 123?


番外編55 七周年特別企画 その1

 

 

 

 それは、あり得るかもしれない可能性の話。

 

 

 

 ○月○日 AM 6:00

 

 都内某所コインパーキング

 

 

 

 はい、皆さんおはようございます。123プロダクション所属、周藤良太郎です。

 

 今日はですね、珍しく事務所のメンバーと共に旅ロケを撮影させてもらうことになりました。いやぁ、ありがたいことに俺も含めてみんな多忙な身なので、こういう旅をする企画ってのは通りにくいんだけどね、今回は通って良かったよ。

 

 ただ流石に全員でっていうわけにもいかなかったから、一部のメンバーだけだ。いつか全員で旅したいね。

 

 というわけで今回旅するメンバーを紹介しましょう。

 

「みんなおっはよー! 123プロダクション所属、所恵美でーす!」

 

「……123プロダクション所属、天ヶ瀬冬馬だ」

 

 ……以上です!

 

「いや三人って。所属アイドル何人だって話だよ」

 

 だからみんな多忙なんだって。

 

「おいやめろ俺たちが暇みたいな言い方すんな」

 

 

 

『123プロのここが凄い! その1』

 九人いるのに集まったのは三人だけ

 

 

 

「というか今日()()集まるって話を聞いてるんだが?」

 

 当初の予定は四人だったんだよ。しかし残念ながらその四人目っていうのが志希の奴でな……。

 

「集合前に失踪済みってどーいうことだよ」

 

 

 

『123プロのここが凄い! その2』

 一ノ瀬志希(失踪)

 

 

 

「ごめんなさい、アタシが目を離したばっかりに……」

 

 それはもう仕方がないから、諦めよう。うん、アレはもうどうしようもない。

 

「そもそもだよ、今回の企画で色々とツッコミたいところが多すぎる」

 

 オープニングだし、一個ずつ解消していこう。

 

「まずはスタッフだ」

 

 ……あぁ、それは俺もツッコミたかった。

 

「えっ、これの発案ってリョータローさんじゃないんですか?」

 

 発案自体は俺だけど、()()()()は流石に想定外なんだよ。

 

 こうやって俺が自分でハンディータイプのカメラを回してること自体はまだいいんだ。そういうスタイルの旅ロケもあるからね。

 

 ちょっとカメラ動かすから、視聴者のみんなはよーく周りを見てもらいたいんだ。

 

 ……スタッフが誰もいないんだ。

 

 

 

『123プロのここが凄い! その3』

 スタッフ完全不在

 

 

 

「おかしいだろ。カメラや音声はともかく、ディレクターすらいないってどういうことだよ」

 

「アタシ、今日は一番最後の入りだったんですけど、リョータローさんと冬馬さんしかいなかったから何か手違いがあったのかと思いましたもん」

 

 一応指示書は貰ってるからこれに沿って進行するわけなんだけど、なんで俺がカメラマン兼ディレクターやんなきゃいけないんだよ。絶対コレ兄貴の仕業だろ。

 

「普段はストッパー側だけど、こういうときにお前と同じ血筋なんだなって実感する」

 

 

 

『123プロのここが凄い! その4』

 私がやりました(周藤幸太郎・123プロ社長兼総合プロデューサー)

 

 

 

「そして最後のツッコミどころにして、今回の最恐ポイントは……未だに今日何をするのか知らされてないってところだよ」

 

「旅ロケ自体は私も楽しみにしてましたけど、アタシもそれが怖かったです……」

 

 いかにも旅ロケっぽいだろ?

 

「バラエティー的な意味でな」

 

 目的地に関しては四人目を迎えに行ってから発表したいと思います。

 

「えっ、志希の居場所分かったんですか?」

 

 目下捜索中らしいけど、確実に間に合わないから急遽別の人に参加してもらうことになりました。

 

「こんな時間にオファーだしてオッケー出る奴なんているのか?」

 

 そこはちょっと『周藤良太郎』のネームバリューを利用させてもらってね。丁度そこのお偉いさんが海外にいて時差の関係上普通に電話が繋がって良かったよ。

 

「……なんとなく、そのお偉いさんが何処の誰なのか分かったような気がします……」

 

「奇遇だな、所。俺もだ」

 

 よし、それじゃあ出発するぞ。最初の運転は俺がするから。

 

「最初の運転は? ……あれ、冬馬さん、もしかして免許取ったんですか?」

 

「……あぁ、本当に最近な。といっても一週間前に交付されたばっかりだから、正直俺をドライバーとして当てにすんなよ」

 

 いーや、残念ながら今日はお前もガンガン登板させるつもりだからそのつもりでいろ。長丁場だから、流石に一人でずっと運転はキツい。

 

「……えっ、長丁場? アタシ、今日夜に収録あるんですけど」

 

「俺だってそうだよ……! おい良太郎本当に今日は何処に行く気だ……!?」

 

 震えて待て。

 

「怖いなー……」

 

「帰りてぇ……」

 

 

 

 

 

 

 AM 6:57

 

 都内 美城プロダクション前

 

 

 

「やっぱりリョータローさんのオファーにオッケー出したのって、美城さんだったんですね……」

 

「コイツのこと好きすぎるだろあの人……」

 

 

 

『123プロのここが凄い! その5』

 他事務所のお偉いさんも周藤良太郎の大ファン

 

 

 

 プロデューサーにも既に連絡済みだから、あとはターゲットが出社して来たら迅速に拉致するだけだ。

 

「拉致って言いました!? 今思いっきり拉致って言いましたよね!?」

 

「穏やかじゃねぇ」

 

 ちなみに敷地入口の守衛さんには既に話をしてあるので、不審者として扱われることはないのでご安心を。その辺りの配慮はちゃんと出来てます。

 

「アイドルに対する配慮は出来てるんですか?」

 

「出来てねぇんだろうなぁ……」

 

 ……あっ! キタキタ! あのサングラスとマスクの完全不審者スタイルの子がターゲット! 恵美ちゃんゴーゴーゴー!

 

「アタシですか!?」

 

 ほら、相手女の子だから! 俺や冬馬が行くと色々と問題あるから!

 

「所、面倒くさいからさっさと済ませて来てくれ」

 

「あぁもう分かりましたよー!」

 

 いってらっしゃい!

 

 

 

「ゴメン! 本当にゴメン! ちょっとこっちに来てー!」

 

「えっ!? なになになに何が起きたの!? えっ、所恵美ちゃん!? ちょっと近い近い近いホントなにぼく何処に連れていかれるの!?」

 

 

 

『123プロのここが凄い! その6』

 アイドルを拉致

 

 

 

「連れてきましたー!」

 

 はいお疲れ様。そしてようこそ、夢の箱舟へ!

 

「行先は今のところ地獄(仮)だけどな」

 

「うぅ、本当になんなんだよぉ……いきなり車の後部座席に連れ込まれるとか、これもう薄い本案件じゃん、恵美ちゃんじゃなかったらゲロ吐いてでも抵抗してたよ……やむ……」

 

「それはアイドル的にどーなの……?」

 

「連れ去られる人としては間違いなく大正解の対応だと思うが」

 

 というわけで、今回の旅に同行してくれることになったのはこの子! 夢見りあむちゃんです!

 

 さぁ意気込みをどうぞ!

 

「ちょっとぐらい説明してくれてもいいんじゃないかなぁ!?」

 

「「確かに」」

 

「……って、助手席にいるのって天ヶ瀬冬馬君!? ……え、え、え、ちょっと待って、恵美ちゃんと冬馬君ってことは、もしかして運転席に座ってるのって……!?」

 

 よぉ、りあむ。今日はこの周藤良太郎が、君を夢の世界へと連れてってやるよ。

 

「こひゅっ」

 

 

 

 ※しばらくお待ちください

 

 

 

 落ち着いた?

 

「はい……」

 

「アイドルがしちゃいけない顔と共に気絶してたな……」

 

 

 

『りあむちゃんのやむポイント その1』

 周藤良太郎の甘い言葉に気絶

 

 

 

「ダメですよリョータローさん、軽々しくそーいうことしちゃ」

 

 はいゴメンナサイ。

 

 というわけで改めて、346プロダクション所属の夢見りあむちゃんです。

 

「ゆ、夢見りあむです……それで、旅番組ってどーいうこと? ぼく、あかりちゃんたちとレッスンの予定だったんだけど……」

 

 専務さんとプロデューサーさんの許可は貰ってるから、君の今日の予定は旅だよ。

 

「えぇ……」

 

 

 

『123プロのここが凄い! その7』

 私がやりました(美城敦子・346プロ専務)

 

 

 

「分かる、分かるよーその困惑する気持ち」

 

「ひぇ、恵美ちゃん顔が良い……うわいい匂いもする……!?」

 

 

 

『りあむちゃんのやむポイント その2』

 隣に座る所恵美の顔と匂いに動揺

 

 

 

「無理だってこんな顔も声も何もかもが最高なトップアイドルと一緒の車の中で長時間過ごすとか無理無理無理無理カタツムリ! ぼく死んじゃうって!」

 

 今回の旅の途中で何回りあむちゃんが気絶するのかも見所だね。

 

「鬼か」

 

 さて、メンバーが揃ったところでそろそろ今回の旅の目的を発表しましょう。

 

「ぼくの訴えは本当にこのままスルーされるの!?」

 

「諦めろ」

 

「気をしっかりもって」

 

「めっちゃやむ!」

 

 はい、みんな注目ー。このためにちゃんとフリップも用意されてるんだから。

 

 ○○県にある日本一の○○。これが今回の旅の目的です。なんだと思う?

 

「あっ、なんかこういうクイズ形式それっぽい!」

 

「こんなところでそれっぽさを出されてもな」

 

「……なんだろう、ぼくもう『日本一の』っていう文字が見えてる時点で嫌な予感しかしないんだけど……」

 

 まぁここはクイズもへったくれもないから捲っちゃおう。はい、岐阜県です。

 

「岐阜っ!?」

 

「もうちょっと近場だと思ってたんですけど……!?」

 

「ぎゃぁぁぁ!? 岐阜で日本一って、これもう流れ的に一択じゃん!? ぼく知ってるよ!? これ多分知ってるよ!?」

 

 おっ、りあむちゃんはしっかりと予習してる。感心だなぁ。

 

「おい、夢見のリアクションからすると、これ絶叫系なんじゃねぇか……!?」

 

 はい、冬馬正解!

 

 元々は茨城県に日本一がありましたが、最近新しく岐阜県に出来たことでこちらが栄えて日本一となりました! その日本一とは!

 

 

 

 バンジージャンプです!

 

 

 

『123プロのここが凄い! その8』

 トップアイドルなのにノリが完全に芸人のそれ

 

 

 

「やっぱりじゃあああぁぁぁん!?」

 

「ちょっと待て! いや今からわざわざ岐阜県に足を運んでまでバンジージャンプをすることに関しては百歩譲ってやるよ!」

 

「冬馬さん、そこ譲っちゃうんですか!?」

 

「お前往復何時間かかると思ってるんだ!?」

 

 えーっと、一応予定では片道四時間半、往復九時間ってところかな。

 

「えっと、今が七時過ぎですから……」

 

 最速で十六時には帰ってこれる予定。楽勝だな!

 

「それ諸々の所要時間全部差っ引いてますよね!? アタシ二十時から生放送なんですけど!?」

 

「俺なんか十九時だよ!」

 

 はっはっはっ、奇遇だな冬馬。俺も十九時だよ。

 

「さっさと引き返せえええぇぇぇ! シートベルトを締めるな! エンジンを回すな! 人の話を聞けっ!」

 

「リョータローさんもマズいんでしょ!? どうしてそのまま突き抜けよーとすんの!?」

 

 こんなもん自棄にならなきゃやってられないんだよぉ! 俺だってもうちょっとマトモな旅ロケやりたかったさっ!

 

「もうわけわかんない! めっちゃやむっ!」

 

 

 

 

 

 

 お、オープニングから色々と大変そうですが、どうやらようやく四人の旅が始まりそうですね……。

 

 それは僅か半日、旅と呼ぶには些か短い道行き……。

 

 けれど、そこにはきっと、みんなが笑顔になれる輝きが待っているはずです……。

 

 ナレーションは私、三船美優でお送りさせていただきます……。

 

 それでは皆さん、良い旅を……。

 

 

 

 

 

 

 良太郎・冬馬・恵美・りあむの珍道中!

 

『123どうでしょう~How do you like 123?~』

 

 大空を舞え! トップアイドル天翔列伝! ~正直めっちゃやむ~

 

 

 




・旅ロケ
流石に泊まりは時間がかかりすぎるからね、仕方ないね。

・『123プロのここが凄い!』
どうでしょうというよりはめちゃイケ的な。



 というわけで皆さん、先日11/29を持ちましたアイ転は七周年を迎えましたおめでとうございますありがとうございます!

 最近周年記念の番外編を書いてなかったなぁと思い、そろそろ何か書こうかなぁと思っていた矢先に目に入って来たのは某氏の某作品の旅ロケネタ(ヒント:美優さん)

「これはもう旅に出るしかないな!」

 タイトルとは裏腹にどうでしょう一辺倒ではなく作者の好きなバラエティー番組要素を詰め込んだお話になっていきます。

 ちょっとだけ長くなるかもしれませんが、まぁ年内には終わるでしょ(楽観的観測)

 それでは皆さん、次回からよろしくお願いします。



『どうでもいい小話』

 デレステのイベントの楓さんと加蓮のツーショットいいよね……。

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