アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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りあむちゃん、燃え上がるの巻。


番外編58 七周年特別企画 その4

 

 

 

 それは、あり得るかもしれない可能性の話。

 

 

 

 前回、良太郎君に代わってりあむちゃんが運転することになりました……。本人はペーパードライバーだからとかなり恐縮した様子でしたが、見ている分にはとても丁寧な運転だったと思いますよ……?

 

 さて、どうやらいよいよ、今回の旅の目的地に到着するようです……!

 

 

 

 

 

 

 PM 0:35

 

 岐阜県 某所

 

 

 

「あー、くたびれたぁ……」

 

 運転お疲れ様でーす、リョータローさん!

 

「結局すぐに夢見から交代したな」

 

「まぁなー。運転慣れてないっていうのは本当だろうし、撮れ高は稼いだから。あんまり長く後輩の子にハンドルを握らせておくのも先輩として情けないしね」

 

 ……ん? そーゆーときって、後輩が先輩のために運転するんじゃないですか?

 

「深いことは気にしない気にしない」

 

「そ、それでえっと……ここが執行場所なんだよね……」

 

 りあむ、執行場所って……。

 

「まぁ縄を括りつけて飛び降りるっていう点で言えば、刑の執行と言っても差し支えねーかもな」

 

 差し支えあると思いますよ!? 色々と対外的によろしくないと思いますよ!?

 

「はい、というわけで東京を離れて約五時間。我々はようやく今回の旅の目的地である『バンジージパング岐阜』へとやってきましたー!」

 

 わーパチパチー!

 

「……なんか、そういう施設とかあるわけじゃないんだ」

 

「駐車場に車が停めてあるだけなんだな」

 

「ここは受付で、ここから飛ぶところまでは車で連れていかれるらしい。さて、受付に行く前に一つだけ用意しなければいけないことがある」

 

 なんですか?

 

「恵美ちゃん、りあむちゃん、今君たちの服装は何かな?」

 

 服装? ……普通の私服ですけど?

 

「ぼくもそうだけど……」

 

「そう、私服。大変可愛らしくて太ももが眩しいミニスカートだ」

 

 ……あっ、そーいうこと?

 

「そーいうこと。流石にそのまま飛ばせるわけにはいかないからね」

 

 ちゃんと用意してくれてるんですね! リョータローさん、やっさしー!

 

「あ、ありがとう良太郎君」

 

「はっはっはっ、もっと褒めてくれていいよ」

 

「せめて服装の指定ぐらいしときゃよかったんじゃねーか? 動きやすい服装にしてくるように、とかよ」

 

「だって俺がミニスカート見たかったし」

 

「完全に私欲じゃねぇか」

 

「というわけで、はい。この袋の中に入ってるから」

 

 ありがとーございます!

 

「俺と冬馬は車降りてるから、中見えないようにカーテン引いて着替えてね?」

 

 

 

 

 

 

「……リョータローさん」

 

 おっ、二人とも着替えてきたね。

 

「……アタシ、過去一でリョータローさんに失望してます」

 

 俺が言うのもなんだけど、これが過去一でいいの?

 

 

 

『123プロのここが凄い! その16』

 めぐみ 腰 E:ジャージ(赤)

 りあむ 腰 E:ジャージ(緑)

 

 

 

「ダッサイ! ダサイよリョータローさん! これはないって! 無しよりの無し!」

 

 そんなに?

 

「いやまぁ、楽だし家だとこーやってスカートの下にジャージ履くことあるけど……流石のぼくも外でこんな格好しないよ」

 

「良太郎、流石にコレは俺もないって思うぞ」

 

 おっと全員からの総スカン。知ってたけど。

 

「こんなことなら、途中何処かに寄って服を買うタイミングを作って欲しかったなぁ……」

 

 いやまぁ、俺もそれを考えたよ? 考えた末に実行しなかったってだけで。

 

「実行して!」

 

 まぁまぁ、これはこれで撮れ高だから。

 

「お前それで全部済ませようとしてるが、撮れ高は何でも許される万能の言葉じゃないぞ」

 

 はいはーい、受付するよー。

 

「せめて出来るだけカメラに映らないようにしよー……」

 

 恵美ちゃんとりあむちゃんは今回の旅の華なんだから、ドンドン映してくよ。

 

「リョータローさんのオニチク!」

 

 

 

 

 

 

「すみませーん、バンジーお願いしまーす」

 

『あ、はい……えっ、周藤良太郎!?』

 

「あっ、分かります? いやぁ俺も有名になったもんだなぁ」

 

 オメーが有名じゃなかったら日本のアイドル全員知名度地の底だよ。

 

『えぇ!? 天ヶ瀬冬馬!? それに所恵美!? そして……!』

 

「………………」

 

『……えっと、マネージャーさん?』

 

「知名度で負けてることは知ってるけど流石にこの対応はやむっ!」

 

 

 

『りあむちゃんのやむポイント その11』

 アイドルオーラ イズ ゼロ

 

 

 

「実はこっちの子もアイドルなんですよ。『夢見りあむ』ちゃんって言うんですけど、これからよろしくお願いします。ちょっと発言が際どくてSNSでよく炎上してるんですけど、それはそれで面白くてですね……」

 

 なんで他事務所のアイドルの営業みたいなことしてるんだよ。

 

「良太郎君にそうやって紹介されるだけでめっちゃやむんだけど!?」

 

「りあむちゃんの紹介はこの辺にしておいて……今日は動画の撮影をさせてもらいたくて、撮影の許可は出てるはずなのでちょっと確認してもらってもいいですか?」

 

『え、あ、はい、少々お待ちください……』

 

 ここはあらかじめ社長の手回しが済ませてあるのか。

 

「途中に気まぐれで寄ったサービスエリアはともかく、一応ここは目的地だからな。とはいえ現場の人間に知らされてないのはどうかと思うが」

 

 ここのトップもお前たち兄弟みたいな性格してるんじゃねぇか?

 

「それはなんとも言えないが……」

 

『お待たせしました! それではこちらで注意事項の説明と、ハーネスの装着をさせていただきたいのですが……』

 

「ん? 何かありました?」

 

『えっと、その……上の者から、出来ればサインを貰っておいてくれという指示がありまして……』

 

 ちゃっかりしてんなぁ。

 

「まぁそれぐらいは全然オッケーですよ。りあむちゃんにあげる奴の練習っていうことで、全員で書こうか」

 

「分かりました! ほら、りあむも一緒に書こ?」

 

「えぇ!? ぼ、ぼくも一緒に書いていいの!?」

 

『……勿論です!』

 

「ちょっと待ってぇ!? 一瞬躊躇しなかった!? もしかして『周藤良太郎と天ヶ瀬冬馬と所恵美のサインを貰ってくれ』としか指示されてないな!? ぼくのことアイドルだって伝えてない上にスルーしようとしたな!?」

 

『イエソンナコト』

 

「片言ぉ!」

 

 

 

『123プロのここが凄い! その17』

 対応するスタッフが色々な意味で空気読んでる

 

 

 

「いやぁ、ここはスタッフさんも愉快なんだなぁ」

 

 なんでこんなところに来てまでウチの事務所と似たようなノリの会話を見ることになるんだよ……。

 

「あ、アハハ……」

 

 

 

 

 

 

 はい、というわけで全員ハーネスを装着しました。ジャージにハーネスが良く似合ってるよ、恵美ちゃん、りあむちゃん。

 

「アリガトウゴザイマス」

 

「恵美ちゃんの目が死んでる……」

 

 ここで全員の意気込みを聞きたいところなんだけど、その前にもう一つだけ決めなきゃいけないことがあります。

 

「まだあるのかよ」

 

 あるよ。バンジーを飛ぶ順番っていう一番重要なことが。

 

「あー……それは確かに重要ですね」

 

 一番最初に飛ぶのも勇気がいるし、逆に一番最後となるとそれはそれでプレッシャーだよ。何せこれ撮影だからね。

 

「……え、オオトリなんだから、良太郎君じゃないの……?」

 

 公平を期すためにジャンケンにしよっか。

 

「ジャンケン!?」

 

 

 

『123プロのここが凄い! その18』

 結構重要なことなのにジャンケンで決めちゃう

 

 

 

「えっ、それでぼくが最後になったらどうするの!? 飛ぶ前から事故じゃない!?」

 

 勝った人から決めるとかじゃなくて、純粋に勝った人から順番に飛んでいくことにしようか。一番負けた人が最後ね。

 

「うーん、アタシ的には最初の方がいいかなー」

 

「最後じゃなけりゃどこでもいい」

 

「ぼくだって最後ヤダよぉ!」

 

 はい、最初はグー! ジャーンケーン、ポン!

 

「……ん、俺と所の勝ちか」

 

「りあむとリョータローさんが負けだね」

 

 ありゃ、負けちゃったか。

 

「うわぁぁぁなんかぼくがオオトリになるオチが見えてきたんだけどぉぉぉ!?」

 

 りあむちゃんは相変わらず元気だなぁ。その泣き顔も大分愛着が湧いてきたよ。

 

「嬉しいような嬉しくないようなぁぁぁ!」

 

 

 

『りあむちゃんのやむポイント その12』

 泣き顔に愛着が湧く(周藤良太郎談)

 

 

 

 それじゃありあむちゃん。華々しいオオトリのバンジーをかけた大勝負を始めようか。

 

「いやあああぁぁぁプレッシャーかけないでぇぇぇ!」

 

 そんなりあむちゃんに朗報だよ。

 

「え?」

 

 俺は絶対にグーを出す。だからりあむちゃんは安心してパーを出してくれればいいよ。

 

「え、えっ!? ここに来て心理戦なの!? そういう感じなの!?」

 

 いやいや、純粋な善意だから。それじゃあいくよ、りあむちゃん。覚悟はいい?

 

「えっ、あっ、ちょっ」

 

 最初はグー! ジャーンケーン、ポン!

 

「「「………………」」」

 

 ……うん。俺の勝ちだね。

 

「……えっとぉ……」

 

「夢見、お前……」

 

「……ほんっっっとぉにすみませんでしたあああぁぁぁ!」

 

 

 

『りあむちゃんのやむポイント その13』

 ガチでやらかす

 

 

 

「なんでよりにもよってチョキ出すんだよお前……良太郎が嘘吐いてチョキを出す読みのグーだったら、最悪アイコだったっつーのに……」

 

 逆だったかもしれねェ……。

 

 いやまぁ、色々と俺が意地悪しすぎたせいで疑心暗鬼になっちゃったんだよね、うん。

 

「生まれてきてごめんなさいいいぃぃぃ!」

 

「りあむ!? 流石に土下座は色々な意味でヤバいよ!?」

 

「どーすんだコレ」

 

 流石にコレは俺も擁護のしようがないから、罰ゲームっていう意味でも本当にりあむちゃんにオオトリで飛んでもらうことにしようか。

 

「もう最悪紐無しでも大丈夫ですうううぅぅぅ!」

 

「大丈夫じゃないよ!? ちょっとりあむ落ち着いてって!」

 

 ……なんだろう、本当にりあむちゃんって色々()()()()よね。

 

「アイドルとして必要なものでは一切ねぇけどな」

 

「ちょっとは二人とも慰める手伝いとかしてくれませんかぁ!?」

 

「誰かぼくを穴に埋めてえええぇぇぇ!」

 

 ガンバりあむ!

 

 

 

 

 

 

 ……え、えっと、あの、その……。

 

 ……だ、台本に『自由に感想を』と書かれても、非常に困るというか、その……。

 

 ……じ、次回、いよいよ本番ですね……! 良太郎君も、冬馬君も、めぐみちゃんも……り、りあむちゃんも、みんな頑張ってくださいね……! が、ガンバりあむ……!

 

 

 




・『バンジージパング岐阜』
※この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

・E:ジャージ
所謂イモジャー。こんな恵美とりあむ見たことねぇ!

・逆だったかもしれねェ……。
ナルトスのボルトVerってないんすかね?

・オオトりあむ
いやぁりあむは持ってるなぁ(白目)



 大先輩の言葉を信じなかった結果、本当にオオトリで飛ぶ羽目になってしまったりあむ。これは炎上不可避。……いやまぁ、今まで色々と良太郎がやらかしてきたせいもあるから……(擁護)

 次回いよいよラストぉ! 作者の悪ふざけにもうちょっとだけ付き合ってください!

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