アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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ファッ!?(驚愕)

珍しく日付が変わる前に寝たから世界線を間違えたかと思った12月2日の朝のことでした。
今までもネット小説はちょくちょく書いていましたが、ここまで評価されたのは初めてです。本当にありがとうございます。

書き忘れてましたが、現在の時間軸はアニメ第六話後の話となっております。

あと感想でご指摘を受けたのでside表記を外してみました。


Lesson04 765プロ 2

 

 

 

 ドッキリ大成功! イエイ!

 

 

 

『えええええええええええええ!!!??』

 

 

 

 ……耳を塞ぎそこなったおかげで俺の鼓膜にダイレクトアタック。みんなアイドルやってるだけあって良い喉してるよ。

 

「す、周藤良太ろ、きゃあ!?」ドンガラガッシャーン

 

「……!?」

 

「え、えっと、お、お茶、お茶入れないと……!!」

 

「雪歩落ち着いて! まずは冷静にサイン貰わないと!」

 

「亜美、これ夢じゃないよね!?」

 

「真美こそ、これ夢じゃないよね!?」

 

「す、すごいです……!」

 

「ほ、本物……!?」

 

「あ、あら~……」

 

「け、ケーキ屋の兄ちゃんじゃなかったのか!?」

 

「面妖な……」

 

 以上765プロのアイドルの皆さんのリアクション。いやぁ、これだけ驚いてもらえると驚かし手として冥利に尽きるね。というか、一人何も無いところですっ転んでる子がいるけど大丈夫だろうか。……あれ? 十一人?一人足りないような気がする……。

 

 みんなが呆然としている中、いち早く立ち直ったりっちゃんが凄い剣幕で詰め寄ってきた。

 

「な、何で良太郎がここにいるのよ!?」

 

「だから激励のためだって言ったじゃないかりっちゃん」

 

「りっちゃん言うな!」

 

「トレードマークのエビフライが無くなるまで頑張ってたなんて……今まで気付いてやれなくてゴメンな」

 

「誰の頭がエビフライか!」

 

「今ではすっかりパイナップルになっちゃって……」

 

「人の頭を食べ物で例えるな!」

 

「頭? いや、今のはおっぱいの話で……」

 

「天誅!」

 

 ズドムッという音と共に重い一撃が肋骨の下から肝臓を持ち上げるように突き刺さる。一応こちらがアイドルだと言うことを考慮しての腹部への攻撃なのだろうが、その優しさがあるなら攻撃をしないという選択肢を是非とも選んでほしかった。

 

「てか、現役の頃より威力上がってないか……?」

 

「プロデューサー業もアイドルと同じぐらい大変だってことよ。そういうアンタも、何で今の一撃貰って平気そうなのよ」

 

「いや、見てよこの脂汗。今にも倒れそうなぐらい辛いんだけど」

 

 それでも辛うじて立ってられるのは麗華に殴られ慣れてるからだろう。きっと日本で一番腹パンされてるアイドルなんだろうな、俺。

 

「って律子さん何してんのさ!?」

 

「あ、相手は周藤良太郎なんだよ!?」

 

 ようやくショックから立ち直った子たちが慌てた様子で律子の両腕を抑えにかかる。

 

「あー、別に気にしなくていいよ。スキンシップの一環だから、これ」

 

「え? す、スキンシップ……ですか?」

 

「えっと、思いっきり殴られてましたよね?」

 

「世の中には肉体言語ってものがあってだな」

 

「うちのアイドルに変な言葉教えないでくれる?」

 

 

 

 そんな話し合い(物理を含む)を経て、ようやく全員落ち着いたようだ。

 

「改めて。周藤良太郎です。よろしく」

 

「以前律子君がアイドル活動をしていた時に交流があってね」

 

「今回りっちゃんがプロデュースした竜宮小町が頑張ってるって聞いて激励に来たってわけ」

 

「え、律子さんアイドルやってたんですか!?」

 

「真美達そんな話聞いてないよー!」

 

「そうだよー! しかもあの良太郎と知り合いだっての何で黙ってたのさー!」

 

「い、言う必要なかったからよ」

 

 りっちゃんの意地悪~、と双子の二人に両側からウリウリと頬をつつかれていた。

 

「ホント元気そうで何より。いきなり引退した時は心配したんだぜ?」

 

 本当にいきなりだったから逆に理由とか聞けなかったし。

 

「……何も言わなかったのは、悪かったわよ。……ごめん」

 

 ……おぉ。

 

「赤くなってるりっちゃんマジペロペロ」

 

「あんたがそんなんだから言いたくなかったのよ!!」

 

「だから律子さん落ち着いて!」

 

「仲が良いのはわかったけど周藤良太郎殴るのは不味いって!」

 

 ハッハッハ。麗華は弄りすぎて慣れちゃった感はあるけど、りっちゃんはまだまだ弄りがいがあるなぁ。

 

「まぁりっちゃん弄りはまた今度ということにしておこう。今日アイドルのみんなの激励でもあるんだから」

 

 また今度ってどういうことよ! と叫ぶりっちゃんは置いておいて、竜宮小町の三人に向き直る。

 

「竜宮小町の水瀬(みなせ)伊織(いおり)双海(ふたみ)亜美(あみ)三浦(みうら)あずささん……だね」

 

 俺が視線を向けると、三人はビクッと体を震わせて背筋を伸ばした。

 

「そんなに強ばらなくても。あずささんは年上なんですし」

 

「い、いえ~、いくら年上だからって、芸歴でも人気でも良太郎さんの方が大先輩ですし~……」

 

「基本的に年功序列がモットーなので、年上には敬語を使うだけですよ。俺は芸歴とか特に気にしないんで」

 

 だから新人が調子に乗って突っかかってきても基本的に気にしないよ? 勝手に競って勝手に打ちのめされてくだけだし。

 

「え、えっとじゃあ……良太郎くん、でいいのかしら?」

 

「もちろん。年上の綺麗で可愛いお姉さんになら大歓迎ですよ」

 

「そんな、綺麗で可愛いだなんて……!」

 

 恥ずかしそうに身を捩らせるあずささん。……写真でも見たけど、やっぱりデカイ(迫真)。他の二人が小乳だから、余計にデカく見える。これはりんをも超える大乳やでぇ……!

 

「……私も年上なんだけど」

 

「そういう説もある」

 

「事実よ!」

 

「はいはいりっちゃんは後回し後回し!」

 

「次は亜美とついでに真美の番だよー!」

 

 再び詰め寄ってこようとするりっちゃんを遮るように、二人の少女が目の前に飛び出してくる。同じ顔の二人、双海亜美と双海真美(まみ)だ。

 

「というわけで!」

 

「亜美です!」

 

「真美です!」

 

「「亜美真美でーす!!」」

 

 よろしくお願いしまーす! と二人でポーズを決める双海姉妹。アイドルの自己紹介というよりは若手芸人の挨拶のように感じてしまった。

 

「元気一杯でなによりだ」

 

「ねぇねぇ、りょーにーちゃんって呼んでいーい?」

 

「ん、好きに呼んでくれて構わないぞ」

 

 『にーちゃん』ってのはまた新鮮な呼び方だな。愛ちゃんは『りょーおにーさん』だし。

 

「じゃありょーにーちゃん、りょーにーちゃんはりっちゃんと恋人同士だったりするの?」

 

「ちょっと亜美!?」

 

 おっと、これはトンだ爆弾が飛んできたな。しかしこれぐらいの爆弾なら慣れっこさ!

 

「いやいや、俺とりっちゃんはそんな簡単な関係じゃないさ。そう……しいていうならカレーライスとらっきょうの関係!」

 

「おお! なくてはならない関係ってこと!?」

 

「ただ最近は福神漬けに走ってしまったため、りっちゃんはおざなりになってしまっていたのだよ……」

 

「そんな……可哀想だよ、らっきょうに全然会いにこないなんて!」

 

「カレーライスには絶対りっちゃんだよ!」

 

「だからこそ、今日はカレーライスにりっちゃん……いや、らっきょうに会いに来たんだ!」

 

「あんた達三人はもうちょっと自分の言葉を整理してから話しなさい!」

 

 多分この場合、福神漬けは髪の色的にも麗華に間違いない。

 

 ふむ、この双子とはなかなか波長が合う。今後とも仲良くやれそうだ。

 

(ギリギリギリ……!)

 

「わわ!? 律子さんが人様にお見せできない凄い形相に!?」

 

「落ち着いて! 三人共律子が大好きなだけだから!」

 

 さて、それじゃあ竜宮小町最後の一人かな。

 

「………………」

 

 おっと、何か既に警戒されてるご様子。ウサギのぬいぐるみを隠すようにして抱き締めながらジト目でこちらを睨んでいる。取らないって。

 

「竜宮小町のリーダーだよね。どう? 『こちら側の世界』に足を踏み入れた感想は」

 

「……っ!?」

 

 伊織ちゃんは再び体を震わせる。数瞬視線が宙を泳いだが、キッと睨むように再び視線をこちらに向ける。

 

 

 

「す、周藤良太郎だろうが何だろうが、絶対に負けないんだからっ!」

 

 

 

 そして大きく息を吸うと、叫ぶようにそう言い放った。

 

 

 

 

 

(言っちゃった……!)

 

 叫ぶように言った直後、思わずそう思ってしまった。本心に間違いはないのだが、それでも激しい後悔に苛まれる。

 

 周藤良太郎。あの伝説のアイドル日高舞の再来と称される、正真正銘のトップアイドル。テレビで初めてその姿を見て、これがアイドルなのかと感動した。アイドルを目指すようになり、いつかこうなりたいと目標にするようになった。今日実際に会ってみて、こんなのが周藤良太郎なのかと軽く失望した。

 

 そして目の前から声をかけられて……その存在に恐怖した。

 

 アイドルという同じ立場になったからこそ分かる迫力と威圧感。表情から何も読み取ることが出来ず、ただ自分を見ているという事実だけで震えが止まらない。

 

 

 

 敵わない。そう本能的に悟ってしまった。

 

 

 

(……何を考えてるの、私は!)

 

 アイドルになると決めたとき、誰にも負けないと心に誓った。

 

 『こちら側の世界』に、私はまだ足を踏み入れたばかりなのだ。こんなところで負けを認めたくない。諦めたくない。

 

 だから私は、気がついたら叫んでしまっていた。周藤良太郎に喧嘩を売ったのだ。もう後には引けない。

 

「………………」

 

 周藤良太郎は何も言わず、スッとこちらに手を伸ばしてきた。

 

「っ……!」

 

 何をされるのか分からず、反射的に目を瞑る。

 

 

 

 ポンッ

 

 

 

「……え?」

 

 そんな柔らかな衝撃に、思わず目を開く。

 

 こちらに伸ばされた周藤良太郎の右腕は、私の頭の上に乗っていた。

 

「……いい啖呵だ。その気概を忘れなきゃ、君はきっとトップアイドルになれるよ」

 

 君にはその素質がある。そう言いながら周藤良太郎は二度ポンポンっと頭を軽く叩く。

 

「っ~……!?」

 

 顔から火が出るんじゃないかと思うぐらい熱くなり、慌てて顔を俯かせる。いつもだったら手を退かそうと躍起になるが、それもできない。

 

 自分の全力の言葉をまるで子供の癇癪のように軽くあしらわれたことに腹が立つが、それ以上に嬉しかった。

 

(認められた……!)

 

 正確にいえば認められた訳じゃない。けれど、認められる位置に辿り着くことができると言われたのだ。喧嘩を売った相手に誉められて喜んでしまうとは、不覚以外の何物でもない。それでも、嬉しいと思ってしまった。

 

「あれれ~? いおりん、顔赤いよ~?」

 

「照れてるのかな~!」

 

「う、うるさいうるさいうるさ~い!!」

 

 

 

 

 

「……ありがとう」

 

「何が?」

 

「伊織、初めてのリーダーでちょっと気負ってたのよ」

 

「さてさて、何のことやら」

 

「こんな時じゃないとお礼なんか言ってやんないんだから、素直に受け取りなさい」

 

「……じゃ、お言葉に甘えて。ら……りっちゃん」

 

「あんた今らっきょうって言おうとしたわけじゃないわよね?」

 

 

 




・あれ? 十一人?
「……なの~……zzz」

・今ではすっかりパイナップル
あずささんがスイカで貴音がメロン。
千早? 板チョコじゃないっすかね。

・肋骨の下から肝臓を持ち上げるように突き刺さる。
まっくのうち! まっくのうち!

・日本で一番腹パンされてるアイドル
???「可愛いボクをお呼びですか?」

・肉体言語
由緒正しき魔法少女の言語。「サブミッションこそ王者の技よ!」

・これはりんをも超える大乳やでぇ……!
作中一のデカさ。ちょくちょく引き合いに出されるりんはそれだけ良太郎の一番身近の大乳持ちだということ。

・愛ちゃん
日高愛。DS版のアイマス『Dealy stars』のメインキャラ。セーブするよー!!
この子と知り合いということは既にあの方とも知り合いというわけで……。

・カレーライスとらっきょうの関係
「鼻水がない○ーちゃんなんて、福神漬けのないカレーライスと同じなんだぞ!」
「福神漬けがないなららっきょうを食べればいいだろ!」
という某五歳児の会話が元ネタ。
ちなみにこれを書いた日の夕飯がカレーでびっくりした。

・おっと、何か既に警戒されてるご様子。
「いおりんが こちらを ジトめでみているぞ!」
くぎゅううううううううううううううう

・水瀬伊織は恐怖する。
ちょっとしたシリアスシーン。ちなみに何故伊織だけがこんなに威圧されてしまったのかというと、最初から喰ってかかるつもりがあると、良太郎の無表情から勝手に威圧感をアイドルとしてのカリスマから感じ取ってしまうという、重要そうにも関わらずたぶん本編でそんなに使われないであろう裏設定。



とりあえずりっちゃん+竜宮小町+真美はクリア。こんな感じで各個クリアを目指していこう。

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