アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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今年もよろしくお願いします!


番外編79 もし○○と恋仲だったら 慶祝

 

 

 

 それは、あり得るかもしれない可能性の話。

 

 

 

 

 

 

 なんかウサミミが生えた。

 

 

 

 俺に。

 

 

 

「いやおかしいでしょ」

 

 人間の頭にウサミミが生えてくることもおかしいが、それ以上に男である俺の頭にウサミミに生えるんだ。この家には美女が三人もいるんだからそっちに生えるべきだろう。

 

「と~っても可愛いですよ! 良太郎君!」

 

「嬉しくないなぁ」

 

 男と言っても()()()()()なので見た目が可愛らしいことは認めよう。『妻』の菜々ちゃんがメロメロになる気持ちも分かる。

 

 俺を膝に抱っこして満面の笑みで頬擦りをする菜々ちゃんと、菜々ちゃんにされるがままになりつつ背中で大乳の柔らかさを堪能する俺。状況だけを見ればwin-winである。俺の頭にウサミミが生えてるけど。

 

「こら菜々、良太郎、遊んでいないでこっちを手伝ってくださいな」

 

「今晩はお鍋ですよ~!」

 

「わっ、ごめんなさい千鶴ちゃん、美奈子ちゃん! 良太郎君が可愛くてつい!」

 

「千鶴も美奈子ちゃんも、今の状況にもうちょっとだけ疑問というか反応を示してくれてもいいんじゃないか?」

 

 確かに晩御飯も大事だし手伝いもせずに菜々ちゃんの大乳を堪能していた俺も悪いけど、人間の頭にウサミミが生えているこの状況を何故スルー出来るんだ?

 

「お鍋食べませんの?」

 

「食べます」

 

 わーい! りょーたろー! おなべ! だいすき!

 

 

 

 

 

 

 時の総理大臣『杉崎鍵』が一夫多妻制を導入した世界に転生して早十年が経った。そんな世界で若干十歳でありながらトップアイドルとして活動しつつ、美人のお嫁さんを三人も貰いながら、俺は今日を生きている。

 

 

 

 四人で炬燵に入りながら、今日の晩御飯であるお鍋をつつく。

 

「はい良太郎君、あーん」

 

「あーん」

 

 頭にウサミミが付いていようが食事は自分の手でも出来るのだが、折角美奈子ちゃんがあーんしてくれるのだからそれを拒む理由はない。うーん、白菜が美味い。

 

「もう、美奈子も良太郎も、お行儀が悪いですわ」

 

「えへへ、ごめんなさい」

 

「ゴメン千鶴」

 

「そして貴方はいい加減その呼び方をやめなさい」

 

「だって千鶴はなんか千鶴って感じだし……」

 

 そう素直に答えると隣から千鶴の手が伸びてきて俺の頬を引っ張り上げた。クレヨンな幼稚園児のようなお仕置きである。イタイイタイごめんなさい。

 

「それにしても、一体どういうことなんでしょうね?」

 

 俺の頭の上に視線を向けながら炬燵の向かい側に座る菜々ちゃんが首を傾げた。

 

「思うに、ウサギ年だからじゃないかなぁと」

 

「ウサギの耳である理由ではなくてウサギの耳が生えたそもそもの理由について話してたんですけど……」

 

「何か変なものを口にした記憶はありますの?」

 

「変なものかぁ……」

 

 自分の箸でお肉を口に運びつつ、朝からの記憶を思い返す。

 

「えっと、今日の朝は千鶴の胸の中で目を覚まして……」

 

「そこから思い出す必要はないでしょう!?」

 

 なんか息苦しいなぁと思って目を開けたら、服越しとはいえ千鶴の胸の中に顔を埋めている状況だったのだ。大変素晴らしい状況であり起床予定時間まで時間もあったからそのまま二度寝してしまった。

 

「えー? 千鶴さんってばそんなに羨ましいことしてたんですかー?」

 

「ずるーい! 私も良太郎君抱っこして寝たーい」

 

 二人からの不平に千鶴は「うっ」と言葉を詰まらせる。

 

「い、いいじゃありませんの。普段は貴女たちの方が良太郎とくっついているんですから」

 

「起きてるときに抱っこするのと、寝ているときに抱っこするのはまた別問題ですよ」

 

「そうですよ。起きてるときの良太郎君はこっそりと胸の感触を楽しんでて可愛いですけど、寝ているときは無意識的に甘えてきてそれも可愛いんですから」

 

 え、寝てるときの俺ってそんな感じなの? ついでに起きてるときに楽しんでいることもバレバレなの? ……いや普通に気付くか。割と露骨だし。

 

「今はわたくしのことより良太郎のことですわ! ほら良太郎、貴方も余計なことを言わずにしっかりと思い出しなさい」

 

 変なことと言うと……。

 

「昨日美奈子ちゃんとポッキーゲームしてそのままチューしたこととか、その前の日に菜々ちゃんが膝枕の最中にウトウトして胸で窒息しそうになったこととか、そういうの?」

 

「「良太郎君!?」」

 

「貴女たちねぇ……」

 

 千鶴からジト目で見られた美奈子ちゃんと菜々ちゃんは、顔を赤くしながら反論する。

 

「わ、私はその、良太郎君にもっと大きくなってもらうため……!」

 

「どうしてその手段がポッキーゲームなんですの!? 大きくするの意味合いが違うのではなくて!?」

 

 一体どういう意味合いなんだろうなぁ……。

 

「そしてそのままキスをする意味もないでしょう!?」

 

「お言葉ですが、千鶴さんは意味が無かったら目の前に良太郎君の顔があってもチューしないんですか?」

 

「………………」

 

 そこで反論しない辺り、相変わらず俺のこと大好きである。俺も大好きだよ。

 

「わわわ、私に関しては本当に事故ですよ!?」

 

「良太郎」

 

「はい。先にウトウトして目を瞑っていたら頭上から『わ、わ~……なんだか私も眠くなってきちゃいました~……』という白々しい声が聞こえてきました。アイドルの演技としては赤点ですが、個人的には満点をあげたいです」

 

「起きてたんですかぁぁぁ!?」

 

 そもそも起きてなかったら「そういうことがあった」なんて報告出来ないじゃん。

 

「全く貴女たちは……いくら結婚しているとはいえ、相手は十歳なのですから少しは自重なさいな」

 

 そう言ってため息を吐く千鶴だが、美奈子ちゃんと菜々ちゃんは顔を赤くしながら不平を漏らした。

 

「べ、別にいいじゃないですか! 夫婦なんですよ夫婦!」

 

「そうですよ! 私たちが生まれた頃ならいざ知らず、今は『恋愛自由法』の時代なんですから、お互いの合意があるんですから! 良太郎君のご両親からも許可はもらっていますし!」

 

「だからと言って少しは自重をなさい。そして菜々、その発言は外ではしないように。『恋愛自由法』が出来たのは一つ前の世代ですわ」

 

「え? ……あ゛」

 

 自分の発言を思い出して冷や汗を流す菜々ちゃん。ウチならいざ知らず、外の菜々ちゃんは相変わらず大変だなぁ。

 

 お嫁さん三人によるちょっとした小競り合いも終わり、話を俺の頭上のウサミミに戻すことにする。

 

「とはいっても、別段変なことはしてないんだけどなぁ」

 

「……良太郎君、確か今日はお昼から346プロの子たちと一緒に収録したって言ってましたよね?」

 

「え、うん。『LiPPS』っていうユニットと一緒に」

 

「……一ノ瀬志希っていう子から、何か貰いました?」

 

「? いえ、貰ってないです」

 

「ほ、本当ですか? ジュースとか何か貰ったりしてません? もしくはその子の傍で何か口にしたりしてません?」

 

「しいて言うなら自分で持ち込んだ未開封の水を一口飲んだぐらいです」

 

 その水も現場に忘れてきたので、それ以上飲んでいない。

 

「一ノ瀬志希ちゃんに何かあったんですか?」

 

「い、いえ……なにも……」

 

 何故か顔を覆って「志希ちゃんごめんなさい……疑ってごめんなさい……」と落ち込んでいたので、ヨシヨシと頭を撫でておいた。

 

「でもなんとなくだけど、このまま放置していても問題ないような気がするんだよね」

 

「いくらなんでも楽観視しすぎではありませんこと? ……本音を言えば、何故かわたくしもそんな気がしますが」

 

「実は私も……」

 

「不思議ですね……」

 

 不思議なことに四人一致で『このまま放置』という方針に決まってしまった。本当に不思議だなー。

 

 

 

 さて夕飯も終わり、後は歯を磨いてお風呂に入って寝るだけである。明日も朝早くから四人それぞれアイドルとしてのお仕事が待っているため、余計なことをせずに寝るべきなのだが。

 

「それじゃあ良太郎君、お風呂入ろうか」

 

「「お待ちなさい」」

 

 自然な流れで俺の腕を掴んだ美奈子ちゃんの腕を千鶴と菜々ちゃんが掴む。

 

「どさくさに紛れて何をするつもりですの!?」

 

「そうですよ! 流石にその一線は越えないって約束したじゃないですか!」

 

「その……ほら、今の良太郎君にはウサミミが生えてるじゃないですか? きっと自分の頭を洗いにくいと思うんですよ!」

 

 美奈子ちゃんの言い訳は、パッと聞けば確かに一理ありそうなものではあった。確かに俺も「コレ頭洗うときどうしよっかなー」なんてチラっと考えたぐらいである。

 

 しかしそんなことを理由にして一緒にお風呂は……。

 

「「……確かに」」

 

「お二人さん?」

 

 納得しちゃうの?

 

「そ、そうですわよね。今の良太郎はウサミミが生えるなんてトラブルが発生している状態。いわば事故後」

 

「お風呂に入るなんてデリケートな行為を、一人にさせるわけにはいきませんよね」

 

「そうですよ! 私もそれが言いたかったんですよ!」

 

 おっと、なにやら雲行きが怪しくなってきた……。

 

 

 

「それでは良太郎」

 

「一緒にお風呂、入りましょうか!」

 

「お姉さんたちが優しく洗ってあげますよ~!」

 

 

 

「………………」

 

 いや、十歳とはいえ俺も男なのでそれが嫌だとは言わない。寧ろ願ったりかなったりだし、夫婦である以上そういう目で三人を見たことだって当然ある。

 

「でも、一緒にお風呂に入ることが恥ずかしくないかと言われれば、それとこれとは別問題なわけであって……」

 

「うふふ、良太郎君ってば恥ずかしがってる」

 

「安心なさい良太郎、何も恥ずかしいことはありませんわ」

 

「四人で仲良くお風呂に入りましょうね」

 

 あ、ダメだ、なんか三人揃ってスイッチ入ってる。

 

 ……古き良きラブコメの法則に従うのであれば、ここで「勘弁してくれ~!」なんて言いながら逃げ出して、三人から「待ちなさーい!」なんて追いかけられながら暗転していくのがオチなのだろうが……。

 

 

 

「……まぁ、たまにはそういうのもありかな」

 

 三人とも大好きだし、問題ないか!

 

 

 

 しいて言うならばウサミミであるオチがないところが気になる点ではあるが……なんというかこう『ウサギは寂しがりやだっていう話なのに、ウサミミが生えていない方が寂しがりやだった』みたいなオチで一つ。

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

 なんて、初夢にオチがついたところで目を覚ます。

 

「うん、まぁそんなものだよな……ん?」

 

 

 

 ……あれ、なんか頭の上に違和感が……?

 

 

 

 

 

 

世にも妙な物語

 

 

 

 




・周藤良太郎(10)
二年ぶりのショタ良太郎。今年はなんとウサミミが生えた。
生えた理由は、勿論ウサギ年だから。
性欲的なものは、年相応。

・二階堂千鶴(22)
建前上最年長なお嫁さん。実際にも一番年上なお嫁さんポジション。
実は赤ん坊の頃の良太郎の世話をしたことがあるので、実質逆光源氏。

・佐竹美奈子(20)
三人のお嫁さんの中でももっぱらお台所担当。
良太郎を大きく(意味深)育てることが目標。

・安部菜々(17?)
真面目にお嫁さんにしたいアイドルtier1常連筆頭だと思う。
年齢に関しては、流石に結婚している以上話している。

・千鶴の胸の中で目を覚まして
お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、作者の(へき)です。

・『恋愛自由法』
一夫多妻制に含まれる、まぁ自由に恋愛しようぜっていうアレ。

・未遂しきにゃん
この世界では123プロが存在しない。

・古き良きラブコメの法則
そういうのは矢吹先生に任せておこう。

・世にも●妙な物語
更新直前にこのオチを思いついた。



 新年のお約束、ハーレム型恋仲○○です。今年のコンセプトは『お嫁さん』でした。あとウサギ年。

 というわけで今年も一年よろしくお願いします。まだまだ続くよsideM編!
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