アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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良太郎の目的。


Lesson374 学生偶像連合課題殲滅戦線 4

 

 

 

「えっと、それでここは……」

 

「……あー! なるほど! そういうことね! 分かった!」

 

「ほっ……」

 

 310プロダクションのフェイトさんの説明を聞き、ようやく未来は納得した様子で回答欄を埋めた。これで未来の国語の課題は完了である。

 

「いやぁ本当にありがとうねフェイトちゃん! 分かりやすい説明だったよ!」

 

「私からもお礼を言わせて。ありがとうフェイトさん」

 

「い、いえ……私も分かりづらかったところなので、未来さんが何処に躓いていたのか分かっただけです」

 

「……本当にありがとうございます……」

 

 お礼を言いながらも思わず頭痛を感じざるを得なかった。

 

 元々未来に勉強を教えるつもりで参加した私が、未来にも理解できるように説明できなかったことがそもそも悪いのだろう。それでも『年下』で『外国人』の女の子に『国語』を教えてもらうなんて……。

 

「いやぁ凄いねフェイトちゃん! まさか二つも上の学年の勉強も分かるなんて!」

 

「え? あ、その……い、一年生の範囲ですよね……?」

 

「えっ」

 

 未来ぇ……。

 

「未来、貴女今年は受験なのよ……? もうちょっと勉強頑張りましょう……?」

 

「……な、765プロに就職ってダメェ……?」

 

 翼の真似してもダメ!

 

「そもそも765プロへの就職は高校卒業資格が必要らしいわよ」

 

「私の唯一の逃げ道が!?」

 

 いくら身内に甘いことで有名な765プロであってもその辺りの甘えは許されていなかった。多分律子さん辺りが厳しく目を光らせているだろうから、765プロでアイドルを続ける以上高校への進学は絶対に必要である。

 

「あっ! そうだ! UTX学園とか……!」

 

「そんな理由で進学しようとする人をあの東豪寺麗華さんが認めると思う?」

 

「思わない……」

 

 諦めなさい。

 

「えっと……お二人は、ずっとアイドルを続けられるんですか?」

 

「もっちろん! 私と静香ちゃんは生涯現役だって約束したもんね!」

 

「約束はした覚えはないけど……そうね」

 

 許される限り、私たちの想いが続く限り……私は未来と共にアイドルを続けていたい。

 

「フェイトちゃんは? アイドル続けないの?」

 

「す、すぐにやめるってことは考えてないですよ。……でも、その……」

 

 未来からの質問をすぐに否定したフェイトさんは、少し恥ずかしそうに身を捩った。

 

「……わ、私……母さんみたいな女優にもなりたいんです」

 

「「女優?」」

 

「はい。今は引退してしまったけど、私の母さんは女優だったんです」

 

「えっとごめんねー……」

 

 フェイトさんに一言断りを入れてからスマホを取り出した未来は、フェイトさんの性である『テスタロッサ』で検索をかけ始めた。

 

「あった。『プレシア・テスタロッサ』さん? ……うわすっごい美人!」

 

「ホント……!」

 

 未来の手元を覗き込んでみたのだが、そこに写っていたのは煌びやかなドレスに身を包む美女の姿だった。

 

「美人と聞いて!」

 

 そして未来の『美人』という発言に反応して良太郎さんが飛んできた。

 

「フェイトちゃんのお母さんがすっごい美人なんです!」

 

「あぁ、プレシアさんね。確かに凄い美人だよね。流石フェイトちゃんのお母さんなだけあるよ」

 

「えへへ……」

 

「あと胸が凄い」

 

「聞いてません」

 

 どうやらプレシアさんはフェイトさんの妊娠をきっかけに芸能界を引退してしまったそうだ。そしてそのまま友人であるリンディ・ハラオウンと共に芸能事務所を設立。それが現在フェイトさんが所属している310プロダクションらしい。

 

(実は若い頃、プレシアさんとリンディさんはアイドルユニットを組んでて当時の映像を視ちゃったからフェイトちゃんはアイドルも目指すようになったっていう裏話もあるけど……プレシアさんとリンディさんから口止め(きょうはく)されてるから黙っとこっと)

 

「勿論、なのはやはやてと一緒にアイドルするのも楽しいけど……いつかきっと、母さんみたいな凄い女優になりたいんです」

 

「なれるよきっと! フェイトちゃん可愛いし頭いいし! 私が保証する!」

 

「貴女が保証してもどうにもならないでしょ……。でも、私もそう思うわ。きっと大変だろうけど、頑張ってねフェイトさん」

 

「はい! ありがとうございます!」

 

 

 

「なんやなんや~? 私ら抜きで楽しそうやん?」

 

「なに、きっとフェイトちゃんはお母さん似で大乳に成長するなって話をしてただけだよ」

 

「それはホンマにそうやな! 期待大やで!」

 

「良太郎さん……はやてちゃん……」

 

 

 

 

 

 

 拝啓、父よ、母よ、あとついでに一応姉よ。

 

「凄い、夢見さん! 分かりやすい!」

 

「サンキューな! 夢見サン!」

 

 ぼく、しぬんか? イケメン双子に挟まれて、ぼく、しぬんか?

 

「りあむさん、顔が気持ち悪いですよ」

 

「ありすちゃんってば、流石にお言葉が過ぎますよ。めっ」

 

 なんか魂が召されそうだったけど、ありすちゃん(ろりっこ)の罵詈雑言で目が覚めた。

 

 ありすちゃんは課題が残っていたわけではないらしいけど、よく分からなかったところを教えてもらうために参加したらしく、合同ライブでユニットを組む佐久間まゆちゃんが彼女の勉強を見てあげていた。

 

「いやぁホント助かったぜ」

 

「ありがとうございます」

 

「いやいやいやこちらこそありがとうございます!」

 

「「なんで?」」

 

 あのWの二人に勉強を教えられるなんて寧ろご褒美なんだよなぁ!

 

「……いやそもそもなんでりあむサンが教える側なんですか」

 

「りあむさんはそういうキャラじゃないでしょ」

 

「失敬だね君たち!?」

 

 ユニットメンバーの二人までジト目でぼくのこと見てくるし。なんでさ!?

 

「確かに専門学校は中退してるけど、別に学力には問題なかったわけで……」

 

「自分のキャラ考えてくださいよ」

 

「そこまで言われるぅ!?」

 

 ぼくが勉強出来ちゃ悪いかよぉ!? 絶対何か言われるだろうから黙ってたけど、これでも学力的には普通に優等生だったんだからなぁ!? ただ人間関係とかその辺りが絶望的だっただけでぇ! ……あ、やべ、思い出したら吐きそう。

 

「でも自分のやりたいことのためにその道を選んだってことなんですよね」

 

「オレたちもその気持ちわかるぜ!」

 

 あぁぁぁイケメンが全肯定してくれるぅぅぅ……! こ、このままじゃダメになるぅぅぅ……! ダメになっちゃうのぉぉぉ……!

 

 ……そうだ!

 

 

 

 

 

 

「ふぅ。……ん? なんだ?」

 

 会議室の片隅に設けられた給湯スペースでコーヒーを飲んでいると、りあむちゃんからのメッセージが届いた。未だに彼女の中では『周藤良太郎』と『遊び人のリョーさん』は別人としてカウントされてるから、これはここにいる俺宛ではなくて『遊び人のリョーさん』宛だな。

 

「なになに……」

 

 ――このままだとイケメンにダメにされちゃうから、なんか萎えること言って。

 

「何やってんだアイツ」

 

 視線をりあむちゃんの方に向けると、何故かダブルの二人に挟まれながら何やら顔を手で覆っていた。……どうせ変顔をしててそれを隠してるんだろうなぁ。それぐらいの理性は残っていたようだ。

 

「………………」

 

 

 

『去年のクリスマスの765劇場の生中継イベント、アレ静香ちゃんと未来ちゃんがお互いに「一緒にライブがしたい」っていう願いを叶えるために実施されたらしいよ』

 

 

 

「エモさでトドメを刺せとは言ってナァァァイ!?」

 

「ど、どうしたの夢見さん?」

 

「だ、大丈夫か?」

 

「コレこの人の平常運転なんでお気にならず」

 

 

 

「ふぅ……いい仕事したぜ」

 

「お疲れ様、リョー君」

 

「英語関係で引っ張りだこだったな」

 

「みのりさん、輝さん、お疲れ様です」

 

 達成感に満足していると、教師役として来てくれたみのりさんと輝さんも給湯スペースにやって来た。

 

「いやぁ俺にも分かる内容でよかったよ……流石に十五年近く前となると記憶が曖昧でね」

 

「分かります」

 

「リョーさんは分かっちゃダメでしょ」

 

 苦笑するみのりさんに同意したら、今度は輝さんに苦笑されてしまった。公には出来ないとはいえ俺も人生をリセットしている身故、二回目の中学校と高校はそれなりに苦労したものである。流石に十年以上も中高の勉強内容とか覚えてないって。

 

「でもそのおかげでみんな順調に課題が終わってるみたいで何よりだ」

 

「ぶっちゃけハイジョの三人の課題の進み具合を聞いたときは眩暈がしましたけど」

 

「「それな」」

 

 特に春名、お前はただでさえ留年してる身なんだから課題ぐらいしっかりやっとけよオラァ! アルバイトが忙しかったっていうのは言い訳にならねぇんだよ!

 

「ともあれ、このままなら無事に全員終わりそうだな」

 

 一安心である。

 

「……学生をやりつつアイドルを続けることの大変さは、身をもって知ってますからね」

 

「そういや、リョーさんはそうだったな」

 

「えっと、中学二年生からアイドルやってるもんね」

 

「リョーさん今大学行ってるんだろ? ってことはトップアイドルやりながら高校受験と大学受験もやってきたんだよな。そりゃすげぇや」

 

「ホント大変でしたよ」

 

 正直なことを言うと、きっと俺一人で勉強をしていたら大学どころか高校も合格しなかっただろう。

 

 恭也や月村、共に勉強をしたクラスメイトたちがいたからこそ、俺は学生でありながらアイドルを続けることが出来たのだ。

 

「……なるほどね、この勉強会はそういう理由もあったわけだ」

 

「今更俺が言うまでもないでしょうけど……俺たちは()()()()()()ですから」

 

 デビューして以来、ずっとステージの上で一人きりだった俺だからこそ……一人じゃないことの素晴らしさを、みんなに分かってもらいたいのだ。

 

 

 

「……そうだ、実はこのあと全員に小テストを受けてもらう予定なんですよ」

 

「小テスト?」

 

「はい。各学年ごとにレベルを設定した小テストなんですけど、もし良かったらお二人もやってみませんか?」

 

「おっ、面白そうじゃん」

 

「まっで、おれ今ぞれどごろじゃない」

 

 みのりさん、アイドルがしちゃいけないタイプの泣き顔になってる……。

 

「大丈夫ですって。本当に簡単なテストなんで気軽に受けてくださいよ」

 

 えぇ、本当に簡単なテストですよ。

 

 

 

 ――ただの()()()()()ですから……。

 

 

 

 こうして学生アイドルたちの夏休みの課題を終わらせるための勉強会は幕を閉じた――。

 

 

 

 

 

 

 【速報】夢見りあむ、イケメン双子に挟まれた写真を公開して炎上【またお前か】

 

 ――とある一人の少女の炎上芸と共に……。

 

 

 

「炎上オチなんてサイテェェェ!?」

 

「どーしてこんな写真上げちゃうんご!?」

 

「反省しなさい!」

 

 

 




・765プロへの就職は高校卒業資格が必要
当然のようにオリジナル設定。

・「私の母さんは女優だったんです」
アイ転世界なんだから当然こういう設定になる。

・実力テスト
めちゃめちゃイケてる。



 今回のお話の反省点としては、ちょっとりあむを便利に使い過ぎたかなって()

 とにかくようやく夏休みの終わりです。そろそろ本格的に合同ライブ本番が近づいてきました……。



『どうでもよくない小話』

 ミリオンライブアニメ放送開始!!! あああこっちのお話でミリオンライブ編書き直したいぃぃぃ!!!
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