・とある公園にて(Lesson335後のお話)
緊急ミッション
『行方不明となったあずささんを探せ!』
なんか収録後に『羨ましかったから』という理由で竜宮小町全員でお出かけしたら、あずささんが一人だけ迷子になったらしい。
「いつものことじゃん」
「反論出来ないわね……」
がっくりと項垂れるりっちゃんが流石に不憫だったので、俺も手伝ってあげることにする。こんな親切なトップアイドルなかなかいないぜ?
「報酬はあずささんの最新グラビア没写真でいいぞ!」
「え? なんですって?」
ポキポキと指を鳴らすりっちゃんが暴力系と難聴系の併発ヒロインになりかけてるから自重する。
とはいえ俺にも時間的余裕があるわけではないので、探し物の専門家に頼むことにしよう。詳細はLesson146を参照にしてくれ。
「そこの公園にいるらしい。良かったね、県外とかじゃなくて」
「それはそうなんだけど……え、今の一瞬で分かったの……? どういうこと……?」
俺も詳しく聞いてないから原理は知らない。きっとあれだよ、なんやかんやあるんだよ。
てなわけで公園に到着。そこそこ広い公園なので何処にいるのかな~と二人でフラフラと探していると、ベンチに座ってイケメンと談笑しているあずささんを無事に発見した。
……ん?
「美女とイケメン……絵になるなぁ」
「そうじゃないでしょ!? 誰!? すすすスキャンダル……!?」
りっちゃん落ち着いて。イケメンと話してるだけでスキャンダルにはならんよ。
「あずささーん、お迎えに来ましたよー」
「え? あら、良太郎君、律子さんも~」
声をかけると、相変わらずのほほんとしたあずささんの返事が返ってきた。
「ごめんなさいね~、気が付いたらこの公園にいまして~」
「そんなバカな」
「あるあるですよねぇ」
「あるあるなんですか!?」
なんとあずささんの発言にニコニコ笑顔で同意するイケメン。もしやコレは新手のナンパ……? 『うんうん分かる分かるそれは彼氏が悪いよ~』とかいう奴の派生……?
「俺もこの間コンビニに行こうとして雑木林の近くを歩いてたんですよ。そしたらいつの間にか森の中。いやぁ参ったよね」
「「なん……だと……!?」」
「私も、近所を散歩していたらいつの間にか海にいまして~」
「『あれ? いつの間に海辺に引っ越したっけ?』って思っちゃいますよね」
あずささんと異次元の方向音痴あるあるで談笑するイケメンに、りっちゃんと二人で戦慄する。まさかこのイケメン、あずささんと同レベルの方向音痴……!? そ、そんな人間がいたなんて……!
「っと、そろそろいかないと……」
公園の時計で時間を確認すると、イケメンはベンチから立ち上がった。
「俺はこの近くの喫茶店でオーナーをしている
「わぁ、ありがとうございます~」
「「ど、どうも……」」
途中から現れた俺とりっちゃんもサラッと加えているところにイケメン味を感じる。うーん立ち去り方も優雅だな……。
「……あれ、そういえば喫茶店のお名前を聞いてないわ?」
「あれだけスマートに決めておいて!?」
「まぁ彼があずささんレベルの方向音痴だと仮定すると……」
……多分、今彼が去っていった方向とは逆にお店があるんだろうな、と何となく思った。今度探してみよっと。
・とある河川敷にて(Lesson352後のお話)
「オマエには興味ないつってんだろぉがバァーカ!」
「んだこのクソ白髪ぁ!」
「オレ様のは銀髪だ! 白髪はオマエだろーがよぉ!」
「俺のはホワイトブロンドっつーんだよ〇ね!」
「ちょっとかっちゃんダメだって……!」
315プロの早朝ランニングに参加した帰り道、何やらそんな殺気に満ち溢れたやり取りが聞こえてきた。なんだなんだ不良の喧嘩か?
見てみると、白っぽい髪の青年が白っぽいの髪の少年を煽っているようで、白っぽい髪の少年は悪鬼もかくやという憤怒の表情で掴みかかろうとしていて、そんな少年を緑の縮れ毛の少年が必死に抑えていて……ってオイオイ。
「コラ、爆豪、緑谷」
「あぁん!? ……っ!?」
「え……え、えぇ!?」
白っぽい髪の少年は爆豪勝己。緑の縮れ毛の少年は緑谷出久。二人ともUAプロダクションに所属するスタント俳優で、去年放映していた覆面ライダー俳優。
俺を含め一度覆面ライダーとして名が知られた人間はずっとその肩書を背負って生きることとなる。そんな人間が変装もせずに街中で喧嘩のような騒動を起こすのは言語道断だ。
「ちっ……」
「す、すみませんでした!」
俺に気付いた二人は俺が何を言いたいのかすぐに気付いたようで、爆豪は舌打ちをしながらも気まずそうに視線を逸らし、緑谷は顔を真っ青にして何度も俺に向かって頭を下げていた。
「なんだぁ? オマエがコイツらの親玉か?」
そんな二人に絡んでいた白っぽい髪の青年は、まるで狼を彷彿とされる獰猛な笑みを浮かべていた。
「俺はこの子たちの仕事の先輩だよ。緑谷、今の状況を説明してほしい」
「え、えぇっとですね……」
「このクソ白髪狂犬が
「だから銀髪だっつってんだろうがこの頭爆発バァーカ!」
「んだゴラ爆〇してやろうかぁ!?」
「だからかっちゃんダメだって!?」
青年の煽り言葉に乗ってしまう爆豪を再び引き留めようとする緑谷。
「……ん? 新入り?」
誰のこと?
「俺だ」
「あ」
余りにも三人が目立ち過ぎていたので気付かなかったが、爆豪と緑谷の後ろにもう一人、藍色の髪の少年が立っていた。
「新入りってことは、UAの俳優さん?」
「あぁ。
「よろしく。俺は……」
「なぁに呑気にご挨拶してんだオメエは! そんなことしてる暇があったらオレ様と勝負しろっつってんだろぉがよぉ!」
「だからテメェはいい加減にしろっつってんだよクソボケがぁぁぁ!」
自己紹介が青年に遮られてしまった。
「緑谷、改めて現状の説明。簡潔に」
「は、はい!」
どうやら緑谷と爆豪が新人の大河を連れてランニングをしていたところ、突然この青年が「ようやく見つけたぞチビ! オレ様と勝負しやがれ!」と突っかかって来たらしい。
なんでも大河は元プロボクサーだったらしく、それを知ってか知らずか「オメエ強ぇんだろ!? でもオレ様の方がもっと強ぇ!」と度々勝負を仕掛けてきていたらしい。
「なんともまぁ発想と行動が蛮族……」
これには魔境校出身の俺もビックリである。
「何度も言っているだろう。俺はお前と戦わない」
「逃げんのか!?」
表情乏しく冷静に対応する大河に対して、さらに挑発するような発言をする青年。
「逃げているわけではない。俺にはやるべきことが出来た」
「やるべきことだぁ!?」
「あぁ。……俺は、
「……は?」
真顔でそう言い切った大河に、青年はぽかんとした表情になった。
「理由はお前に話す義理はない。だが、俺は本気で覆面ライダーになろうとしている。お前の相手をしている暇はない」
「………………」
大河がそうハッキリと宣言すると、青年は目に見えて(あ、怒りのボルテージが上がってるな)と分かる形相へと変貌していった。
「じゃあオレ様がお前よりも先に覆面ライダーになったら、オレ様の勝ちだなぁ!」
「「「……?」」」
何を言い出すんだコイツは。
「いや、そうはならないだろ」
思わず宇宙猫になってしまった俺と緑谷と爆豪に代わり、冷静なツッコミを入れる大河。
「いーやオレ様が決めた! お前より先に覆面ライダーになってやる!」
もしやコイツ……逆に愉快な人間なのでは?
「……なぁーに言ってんだこのクソボケ○○〇がぁ! その腐ったドタマ○○○○したろぉかぁ!? あぁ!?」
「ダメだよかっちゃんついにセリフが伏字になっちゃったよ!?」
とりあえず後で爆豪の教育に関してUAプロに一報を入れておこう。
「だから勝負だ! オレ様とオマエ、どっちが先に覆面ライダーになるか!」
「……別に勝負をするつもりはない。誰に何を言われようと、俺は覆面ライダーになる。ただそれだけだ」
「ハッ、負けるのが怖くて予防線張ってんのか? いいぜいいぜ好きなだけ言い訳しな!」
どれだけ挑発されても暖簾に腕押しな大河であるが、それを意に介さず挑発を続ける青年もある意味では暖簾に腕押しなのかもしれない。
「覆面ライダーになるのはこのオレ様、
その後、風の噂で彼もUAプロダクションに入ったと聞いた。はてさて、大河と牙崎、どっちが先に覆面ライダーデビューすることやら。
・とある休工中の工事現場にて(Lesson378後のお話)
さて、みのりさんの愉快な過去が判明したところで、そろそろ解散しないといけないのではないかという流れになった。
いくら喧嘩沙汰にはならなかったとはいえ、これだけの規模のバイク集団(しかも見た目ガラが悪い)が集まっていたら警察を呼ばれてしまう可能性が高い。早々に退散するべきであるという判断になったのだが……。
「やぁっと見つけたぜテメェら!」
『!?』
空気がビリビリと震えるような大声と共に、一人の男が工事現場に飛び込んできた。
「テメェらだな!? 最近この辺りをウロついてる族ってーのは!」
燃え上る炎のように派手な赤髪のその男は、長ランに腹巻というなんとも昭和チックな『ヤンキー』然とした格好で、ビシッと勢いよくこちらに向かって人差し指を突き付けた。
「カタギの人間を無意味に怖がらせるような悪人を見過ごすわけにゃあいかねぇ! テメェら全員まとめて、このオレがぶっ飛ばしてやるぜ! ……って女子ばっかり!?」
「……えーっと」
彼が何をしたいのかは分かったんだけど、どこから説明するべきなのだろうか。この場にいる全員から「なんとかしてください」という視線を集めているみのりさんからの「なんとかして」という視線を感じる。えー俺ー……?
「チクショウ、これは想定外だったぜ……こ、この場合どーすりゃいいんだ……」
「待て朱雀」
勢いよく飛び込んできた割に何故か怯んでいる赤髪の男の背後から、今度は黒髪オールバックに眼鏡をかけた短ランの男が現れた。……滅茶苦茶身長デカいな、目測だけど多分きらりちゃんより大きいぞ。
「お、おぉ玄武、オレはどーすりゃ……」
「だから待てって。何か様子がおかしい」
「へ?」
どうやら黒髪の方は赤髪よりも冷静らしい。まずはこっちに状況説明をするか。
……いやなんで俺がすることになってんの?
「え? もう終わった?」
「正確には『一触即発の空気だったけど未遂で済んだ』ってところかな」
「なるほどな……」
そもそもお互いに誤解だったとかその辺りの説明はややこしいかなーとは思ったのだが、黒髪の方は見た目通りのインテリヤンキーだったようでしっかりと状況を理解してくれた。
「……だぁ~なんだ~無駄足だったか~……」
そして何も無かったことを理解したらしい赤髪はがっくりと肩を落とすが……。
「……でもまぁ、何もなかったんならそれに越したこたぁねぇな!」
「そうだな。『
黒髪共々納得した様子で爽やかな笑みを浮かべた。二人とも見た目はガッツリとヤンキーだけど、どうやら
「おっと名乗るのが遅れたな! オレは
「
うーん、朱雀に玄武ときたか……そのうち新メンバーとして青龍と白虎が加わって四天王になるタイプのヤンキー漫画かな?
「いや、こちらこそ誤解を招くような状況でごめんね。今から解散するところだから、今回は見逃してほしいかな。……みんな、イベントが終わっても大人しくしてるんだよ」
『はい! 勿論です!』
みのりさんの呼びかけに、総長二人を筆頭に二つのグループ全員が一斉にいいお返事。うーん、これは王者の風格。これには赤井と黒野も驚いていた。
「すっげぇな……まさかアンタがコイツらの頭なのか?」
「『
「あ、いや、別にそういうわけじゃないんだけど……」
何やら誤解している二人に、みのりさんは苦笑しながら否定をするのだが……。
「なにせ渡辺さんは、あの『茨城の鬼神』だからな!」
「拓海ちゃん!?」
「うーんこれはワンコ」
まるで自分のことのように誇らしげな拓海ちゃんに、みのりさんの過去が盛大に暴露されていた。こんな無邪気な拓海ちゃん初めて見るなぁ……。
「は? い、『茨城の鬼神』……って、あの『茨城の鬼神』!? アンタが!?」
「これは驚いた……正真正銘の伝説じゃないか……」
どうやら彼らもしっかりと『茨城の鬼神』に反応するタイプのヤンキーだったらしく、再びみのりさんは頭を抱えることになってしまった。
「これぞまさしく『地獄への道は善意で舗装されている』ってやつだな」
「ヨーロッパの格言だな」
おっ、博識だな黒野君。
その後、みのりさんを見るキラキラした瞳が一対増えてしまい、彼の目はよりいっそう死んだものになってしまいましたとさ。
・神谷幸広
『アイドルマスターsideM』の登場キャラ。
ユニット『Cafe Parade」をまとめるリーダーな21歳。
極度の方向音痴ということで、奇跡的にあずささんとの邂逅を果たす。
ちなみ『翠屋のポジションが彼の喫茶店』という別案もあった。
・かっちゃん
多分原作ほどの罵倒は再現出来ていない。
・大河タケル
『アイドルマスターsideM』の登場キャラ。
ユニット『THE虎牙道』のメンバーで元プロボクサーな17歳。
本編だと弟妹を見付けるためにアイドルになったので、アイ転では同様の理由で覆面ライダーを志してもらった。多分殺陣とか凄い。
・牙崎漣
『アイドルマスターsideM』の登場キャラ。
ユニット『THE虎牙道』のメンバーで元拳法家な18歳。
アニメでも変わらずタケルに突っかかっていたみたいなので、アイ転でも同様につっかかってもらい、そのままの流れで覆面ライダールート。
・紅井朱雀
『アイドルマスターsideM』の登場キャラ。
ユニット『神速一魂』のメンバーで正義の熱血ヤンキーな16歳。
猫とバイクが好きで熱いヤンキーという、拓海と相性が良いアイドル。
・黒野玄武
『アイドルマスターsideM』の登場キャラ。
ユニット『神速一魂』のメンバーでクールなインテリヤンキーな17歳。
アイマス世界では貴重なきらりよりも高身長で190cm。
……え、それで体重65kgはちょっと不安になるんじゃが?
・クラスメイトのリーゼント
一人は現在教育実習中。
久しぶりの短編集、今回はついに男性アイドルオンリーです!
神谷に関しては先日のMOIWで知名度が上がったと思います。そうです、あの顔の圧が強い面白お兄さんが中の人。
虎牙道の二人に関しては……ぶっちゃけかっちゃんと口喧嘩させたかっただけ()
多分最後の一人は現在もラーメン屋やってる。
最後ヤンキーユニットの二人。……ガタイのいいインテリってのが地味に癖(突然のCO)(原神のアルハイゼンとか)
以上、今年最後の更新になります。それではみなさん、よいお年を……。