アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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ごはんをたべよう!


Lesson393 ここで舞台裏を覗いてみよう 3

 

 

 

 さて、僕たちも朝食を食べるために食事スペースへとやってきたわけなのだが。

 

 

 

 ――補給まだか!?

 

 ――まだです!

 

 ――ダメです! 間に合いません!

 

 ――諦めるな! ここで俺たちが諦めたら……!

 

 ――アイドルの胃袋は誰が守るんだ!

 

 

 

「いやなにこれ」

 

「戦場?」

 

「忙しそうですね!」

 

 僕の目から見た感想も絵理ちゃんのそれと同じで、流石に愛ちゃんほど純粋な目線で見ることは出来なかった。確かに忙しそうではあるけれど。

 

 アイドルたちが空腹を満たすための食事をするスペースでは、何故か多くのスタッフたちが慌ただしく動き回っていた。しかしよく見るとスタッフはスタッフでもライブ運営スタッフではなく、ケータリング業者のスタッフのようである。

 

「おっ、涼たちも飯食いに来たのか」

 

 近くのテーブルで食事をしていた輝さんが僕たちに気付いて声をかけてきた。

 

「はい。あと舞台裏の皆さんの様子を撮影しに」

 

「今の私たちはカメラマンでもあるんです!」

 

「おぉ! いいじゃん、俺も撮ってよ!」

 

 イエーイと子どものようにピースサインをする輝さんの様子を、ご要望に応えて撮影しておく。彼のファンはこういう子どもっぽい仕草をするところが好きなので、きっとコレを見ている人たちも喜んでくれていることだろう。

 

「ところで輝さん、これは一体なんの騒ぎなんですか?」

 

「……あー……」

 

 苦笑する輝さんが「あっちあっち」と指差すので、僕たちはそちらを向きつつカメラも向けた。

 

 

 

「朝からお腹一杯食べられるって幸せですね! 翼さん!」

 

「そうだね! 未来ちゃん!」

 

 

 

 そこには、ニコニコと満面の笑顔の春日未来ちゃんと柏木翼さんの姿があった。

 

「……フードファイトの撮影中?」

 

「そういう企画があるのであれば私たちが撮影するべきだったんじゃないですか!?」

 

「絵理ちゃん、愛ちゃん、そうじゃない」

 

 いや絵面は間違いなくフードファイトなんだけど。

 

 二人は『料理を食べる』→『料理を取りに行く』→『また料理を食べる』という一連の流れをハイスピードで繰り返しており、見る見るうちに用意された料理が消えていった。そんな消えていく料理を必死に補充しようとして、スタッフさんたちが慌ただしく駆け回っているらしい。

 

 翼さんが沢山食べることは知っていたけど、まさか春日未来ちゃんも同じだとは……。

 

「本番当日の朝に何やってるんですかあの二人は……」

 

「『大事なステージが控えているからしっかりとエネルギーを補充したい』んだと」

 

「詰め込みゃいいってもんじゃないでしょう……」

 

 仮にも本番のステージを控えるアイドルが取っていい食事量ではない。特にアイドルの衣装と言うものは結構スタイルがハッキリとするものが多いため、お腹がポッコリと目立ってしまうだけではなく、最悪ボタンやファスナーが留まらない可能性だってあるのだ。

 

「……キャンディーアイランドで同じ失敗をされた方がいらっしゃいましたね……」

 

 一緒に食事スペースに入って来た橘さんがポツリとそんなことを呟いた。

 

 キャンディーアイランドっていうと346プロのアイドルユニットで……。

 

(((……もしかしてあの人かな)))

 

 大変失礼なことだとは思いつつも、とあるアイドルの少女の姿を思い出してそんなことを考えてしまった。

 

 

 

 

 

 

「くちゅん」

 

「智絵里ちゃん、風邪?」

 

「今日は寒いからねー。しっかりと着込みなよー?」

 

 

 

 

 

 

「俺も周りの奴らもそういうことを言って止めたんだけど、二人揃って『今までそういうことで困ったことがないから大丈夫です』だと」

 

 どうやら僕たちが危惧していることはあの二人には関係なかったらしい。俗にいう『食べても太らない』タイプってやつだ。

 

 

 

『………………』

 

 

 

 なんだろう、少しだけ食事スペースの空気が低くなった気がする。

 

「換気してるんですかね?」

 

 そうだね愛ちゃん、そういうことにしておこう。何故か俯いているアイドルが数人いるなんてことはなかったんだ。

 

「いやぁ翼と張り合えるだけの逸材が765プロに二人もいたなんてなぁ」

 

「……え、二人?」

 

 あんな食事量の人が春日さん以外にもいるの?

 

「この前な、プライベートで翼がデカ盛りチャレンジをしたいっていうから一緒についていったんだよ。そしたらたまたま765プロの四条貴音ちゃんもいて、そのままの流れで一緒に挑戦することになったんだ。どうやら前に貴音ちゃんとは佐竹飯店っていうお店で共闘したらしいんだけど、今回はライバルとしての一騎打ちだな。そんでそのチャレンジを二人が軽くクリアしちゃったもんだから店長がムキになっちゃって……ん? なんだ桜庭? 確認したいことがある? 分かった今行く。それじゃあ涼、またな!」

 

「「「気になる情報を詰め込んだ後に投げっぱなしにしていくのやめてくれませんか!?」」」

 

 凄い気になる! 事の顛末というか、そのお店がどうなったのかが気になる!

 

「いずれ語られる日が来るのかな……?」

 

「番外編に期待したいですね!」

 

 ちなみに二人の食事シーンはしっかりとカメラに収めてある。多分需要はあると思う。

 

 

 

「ちなみにありすちゃん、良太郎さんも『食べても全然体重やスタイルが変わらないタイプ』ですよぉ!」

 

「はいっ! 佐久間流周藤良太郎学で知りました!」

 

 

 

 

 

 

「お腹いっぱいです!」

 

「結局僕たちもしっかり食べちゃったね……」

 

「あれだけ美味しそうに食べてる姿を見せられると、我慢できない?」

 

 当初の目的通り僕たちも朝ご飯を済ませたのだが、腹八分目にするはずが気が付いたら満腹になるまで食事をしてしまった。

 

 言い訳をさせてもらえるならば、絵理ちゃんの言う通り翼さんと未来ちゃんが色々な料理を美味しそうに食べるものだから、僕たちも色々と食べてみたくなってしまったのだ。

 

「でもでも、三人で分け合いっこしたおかげで全部食べることが出来ましたね!」

 

「……うん、そうだね」

 

「私たちからのあーん、美味しかった?」

 

「……美味しかったです」

 

 なんで人前でするかなぁ……受け入れた僕も僕だけどさぁ……すっごい目で周りから見られてたよぉ……。

 

「外堀は埋めるものだって教わりました!」

 

「絵理ちゃん、愛ちゃんになんてこと教えるの!?」

 

「断定されてしまった」

 

 否定しないってことはアタリじゃんかぁ!

 

「ほほーう……? なにやら甘酸っぱい空気を感じますなぁ?」

 

「っ!?」

 

 突然背後から話しかけられて、バッと勢いよく振り返った。

 

「あははっ、秋月さんめっちゃ焦ってますやん」

 

「えっと」

 

 イタズラっぽく笑うこの子は確か、310プロの八神はやてちゃんだったっけ?

 

「もう、ダメだよはやて、そういうのは……」

 

「そうだよ、そういうことばっかりしてると良太郎さんみたいになっちゃうよ」

 

「私は別にええんやけど、そういう扱いされてる良太郎さん可哀想だと思わん?」

 

「?」

 

「純粋な目で首を傾げてる……」

 

 なにやら面白いやり取りをしているのは、はやてちゃんと同じユニットを組んでいるフェイト・テスタロッサちゃんと高町なのはちゃん。三人揃って310プロダクション所属のアイドルユニット『Tri-Ace』だ。

 

「ごめんなさい秋月さん、はやてちゃんが失礼なことを……」

 

「あ、いや、大丈夫だよ」

 

「そうそう、寧ろもっと言って?」

 

「広めてもらえると助かります!」

 

「二人とも今は暴走するタイミングじゃないと思うよ!?」

 

 おかしい、どうして僕はこの小説でラブコメみたいな対応を迫られているのだろうか。神様(さくしゃさん)、恋仲○○シリーズと間違えてますよ。

 

「そ、それより秋月さん、カメラを持って何をされていたんですか?」

 

 なのはちゃんが気を遣って話の流れを変えてくれた。本当にいい子であると感心すると同時に思わず申し訳なくなってしまった。

 

「えっと、僕たち三人で舞台裏の撮影をしているところなんだ」

 

「123プロダクションから依頼された正式なミッションです!」

 

「ナイスタイミングだったから、三人からもお話を聞こうかな?」

 

「え、え、お話ですか?」

 

「私らは勿論オッケーですよ」

 

 フェイトちゃんは少し戸惑った様子だったが、はやてちゃんが快諾して高町さんも笑顔のまま頷いてくれた。

 

「えっと、それじゃあ自己紹介からお願いしようかな」

 

 

 

「はい! 私たちは!」

 

「310プロダクション所属!」

 

「と、『Tri-Aech(トライエーチュ)』です!」

 

 

 

「「「………………」」」

 

「……だ、大丈夫だよフェイトちゃん!」

 

「あぁもうそんなに落ち込まんで大丈夫やって!」

 

「うぅ……助けて……母さん……アリシア……」

 

 

 

 流石に可哀想なので撮り直すことにする。良太郎さんは年下の女の子には優しいから、流石にこの場面を使うことはないだろう。

 

 次は言う順番を入れ替えてテイクツー。

 

 

 

「私たちは!」

 

「310プドラクション所じょく!」

 

「『Tri-Ace』でっ……す……ふぐっ……!」

 

 

 

「「「………………」」」

 

「はやてちゃん!」

 

「ほ、ほんまゴメン……! つ、ツボってもうて……! プ、プドラクション……!」

 

「もうやだ……たすけて……リニス……アルフ……」

 

 

 

 なんだか可哀想だとは思うのだけれど。

 

(((真っ赤になった顔を抑えて蹲る姿がメッチャ可愛い……!)))

 

 金髪美少女が恥ずかしがっている姿は、なんというかそれだけで需要の塊だと心で理解(わか)ってしまった。

 

「えっと……テイクスリー、どうする?」

 

「しばらくフェイトちゃんが立ち直れないと思いますので……」

 

「すみませんが、私らはちょっと後回しにしてもらってええですか?」

 

「うん、そうだね……その方がいいかもね」

 

 折角出会えたのだから撮影しておきたかったが、流石に今の状況のフェイトちゃんに無理をさせるわけにはいかない。

 

「それじゃあ三人とも、また後でね」

 

「はい」

 

「ごめんなさい……」

 

「また後でここに来てください。……本当の照れ顔金髪美少女というものをお見せしましょう」

 

「はやてぇ!」

 

 三人とも仲が良くて何よりである。

 

 

 




・ニコニコと満面の笑顔の春日未来ちゃんと柏木翼さん
貴音がいないから安心だと思った?
残念! アイ転世界では未来ちゃんも大食い属性!

・キャンディーアイランドで同じ失敗をされた方
・「くちゅん」
ご飯食べ過ぎてステージ衣装がはじけ飛んだという智絵里の中の人の実話。

・翼&貴音
ここに未来ちゃんを足すだけで二三話書けそう。

・「と、『Tri-Aech(トライエーチュ)』です!」
・「310プドラクション所じょく!」
フェイ虐ではありません。愛です。愛ちゃんではありません。



 ちなみに時系列的に良太郎たちが食事するよりも前のタイミング。



『どうでもいい小話』

 前回触れるの忘れていましたが、デレステにて星街すいせい氏とのコラボが始まってますね。最初はノーコメントを貫くつもりでしたがガチの高垣楓担当Pだと聞いて話が変わりました。

 ソワレ……良い曲ですね……。
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