アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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そろそろ帰ってこい良太郎。


Lesson401 激戦直前静止不可我突撃ス! 3

 

 

 

「……はい、事務所からの許可が下りたので言いますねぇ。今良太郎さんが話しかけたお二人は765プロの我那覇響さんと四条貴音さんですねぇ。どうやらプライベートでいらっしゃっていたようです」

 

「765の社長さんとプロデューサーさんが会場に来てくれてたから承認貰うのが迅速だった」

 

「本人たちのオッケーは貰ってないのにいいのかなぁ……?」

 

「無防備に会場に来てる二人が悪い」

 

「悪い要素何もありませんよ!?」

 

「いやでもホラこれ見て」

 

「え?」

 

「今回のライブの注意事項」

 

「……確かに、ちゃんと『ご来場のお客様の様子が各種メディア媒体に掲載される場合がございますので、予めご了承ください』って書いてありますねぇ」

 

「だからと言って実名を出されるのは違うと思いますよ!?」

 

「大丈夫ですよなのはちゃん、しっかりとお二人には出演料をお支払いする手筈となっていますのでぇ」

 

「そういう完璧な裏事情をこの場で話さないでくださいっ!」

 

「それにしても本当に現役アイドルも会場に来てるみたいだね。この調子で探せば765以外の事務所の子も見つかりそう」

 

「そうこうしている間に、良太郎さんがまた別のアイドルの方を見つけたみたいですねぇ」

 

「またぁ!?」

 

「よしそれじゃあ事務所の人に許可貰おうか。スタッフさん連絡よろしく」

 

「こ、これ本当にいいのかな……!?」

 

 

 

 

 

 

 続いて見つけたのは346プロのお二人である。

 

「あ、文香ちゃんと唯ちゃん、こんにちは。二人とも来てくれたんだね」

 

「あ、はい……こんにちは……え?」

 

「あっ、リョータローくんだ! ヤッホー!」

 

 一見正反対の見た目や性格ながらこの二人仲いいんだよなぁ。属性だけで見るとオタクとオタクに優しいギャルの構図。

 

「今日は頑張ってねー! 応援してるよー!」

 

「勿論、期待しててよね」

 

「うん! チョー楽しみ! ねっ、文香ちゃん!」

 

「え、えっ、私も楽しみに……しています……あ、あれ……?」

 

 ニコニコ笑顔の唯ちゃんと何故か終始困惑している文香ちゃんの二人に手を振ってその場を後にする。

 

 

 

 

 

 

「ビックリするぐらいアッサリしてましたね!?」

 

「勿論声は聞こえないんだけど、多分ツッコミが不在だとあぁなるんだろうね」

 

「許可を取る前に終わってしまったのでお名前は出せませんが、どうやらお一人は凄く困惑している様子でしたねぇ」

 

「まさか主演アイドルの一人からあんなに気軽に声をかけられるなんて思いもしないでしょうしね……」

 

「そして当然のように周りの人たちがリョウたちに気付く様子も無し」

 

「本当に凄いですねぇ、良太郎さんの変装は」

 

「なんで誰も疑問に思わないんだろう……」

 

 

 

 

 

 

「あれ、この法被見たことない」

 

 観客席の間を練り歩いていると、とある男性が羽織っている法被が目に入った。背中にデカデカとウィンクと投げキッスをするりんのイラストが描かれた法被だが……俺、こんなイラスト見たことないんだけど?

 

「すみません、公式にこんなグッズありましたっけ?」

 

「いえ、これ自作なんです」

 

「自作!?」

 

 思わず尋ねてみたら予想外の答えが返ってきた。

 

「えっ、ご自身で描かれたってことですよね?」

 

「はい、趣味でイラストを描いていて……」

 

「はぁ~凄いですねぇ」

 

 SNSでも見たことないから、これは相当『ガチ』な人だな?

 

「コレ、多分去年のファンミのときのりんちゃんですよね?」

 

「分かりますか!?」

 

「勿論、俺も同好の士(まおうオタク)ですよ」

 

 やはり去年のライブ中、カメラに抜かれたりんのファンサービスを描いたものだったようだ。

 

 ……ちなみになんだけど、コレ観客席にいた俺に向けての投げキッスなんだよね。妄言とかじゃなくてマジで。関係者席じゃなくて一般席にいたのによく見つけたよなぁと感心する。

 

「今日は我々もりんちゃんに負けないぐらい頑張りましょうね!」

 

「はいっ!」

 

 

 

 

 

 

「……かと思いきや、なんか普通に一般の方に話しかけてますねぇ」

 

「身バレとか怖くないんですかねぇ!?」

 

「多分だけど、そもそも今回の企画があーゆー風に一般来場のファンと交流したかったんだろうね」

 

「豪胆すぎません……!?」

 

「これに関して、佐久間流周藤良太郎学の第一人者であるところの佐久間さん、何かございますでしょうか」

 

「そうですねぇ、良太郎さんは普段からファンとの交流を重視されていますので、これもその一環でしょうねぇ。皆さんご存じのように、5thアニバーサリーでMC中にステージの端に腰を下ろして観客の方とお話をし始めたこともありましたねぇ」

 

「きっと皆さんはご存じではないと思いますよ!?」

 

「でもなのはちゃんは知ってるんでしょ?」

 

「……えっと……まぁ……」

 

「大丈夫ですよぉ、なのはちゃんが重症りょーいん患者だということは聞いていますから」

 

「まゆさんにそれを言われるのイマイチ納得出来ない……!」

 

「あ、また誰かに話しかけた」

 

 

 

 

 

 

「ご歓談中に失礼」

 

「「えっ?」」

 

 なにやらアイドルトークに熱が入っているカップルと思われる男女二人に声をかける。

 

「123プロのお話で議論になっていたようなので……そちらの方の言う通り、所恵美ちゃんと一ノ瀬志希ちゃんがスカウト組で、佐久間まゆちゃんと北沢志保ちゃんがオーディション組ですよ」

 

「えっ、そうなんですか!?」

 

「ほら私の言った通りでしょ!」

 

「すまんかった。……教えてくれてありがとうございます」

 

「いえいえ。俺も123推しなので思わず出しゃばっちゃいました」

 

「……あれ」

 

 女性が俺の顔をマジマジと覗き込んでくる。

 

(おっと……)

 

 流石に無防備に話しかけ過ぎたか……?

 

「その眼鏡、もしかして周藤良太郎君と同じモデルですね!?」

 

「分かりますか~? こだわりの逸品なんですよ~!」

 

 セーフッ!

 

「おかげで気分は周藤良太郎ですよ。実は自分でも結構周藤良太郎に似てると思うんですけど……どうですかね?」

 

「「はっはっはっ」」

 

 うーん乾いた愛想笑い。小指の先ほど信じちゃいねぇな。

 

「笑っていられるのも今の内ですからね! 俺は今日この眼鏡で良太郎君からファンサービスを貰うんですから!」

 

「おっとそいつぁ残念だったな! 良太郎君からのファンサービスを貰うのは『そろそろ笑って♡』応援団扇をこさえてきたこの俺だぁ!」

 

「聞き捨てなりませんね! 私なんて今日のためにこの胸が大きく見えるTシャツ着てきたんですから! これで良太郎君の視線は釘付けですね!」

 

 そう言って自信満々に自分が来ているTシャツを見せつける女性の横を、歩く上下運動だけで胸がゆさゆさと揺れる女性が通りすぎていった。

 

「「「………………」」」

 

 うーん……今のは変装してたけど間違いなく風花ちゃん。どうやら俺に気付かなかったらしい。

 

「……えっと、その」

 

「……涙拭けよ」

 

「ないてない」

 

 ……この仲良しカップルに幸多からんことを!

 

 

 

 

 

 

「……本当に身バレとか一切考慮せずに話しかけますよね、良太郎さん」

 

「楽しそうにお話されてますねぇ」

 

「このときリョウに話しかけられた人たち、見てる~? 会場で話しかけてきた赤眼鏡の男、実は『周藤良太郎』だったんだよ~?」

 

「驚きすぎてひっくり返っていないといいですねぇ」

 

「ひっくり返るだけで済んでればいいけど……」

 

 

 

「おっと、どうやらそろそろお時間のようです」

 

「良太郎さんも撤退するみたいですねぇ」

 

「なんか本番直前だっていうのに疲れちゃった……」

 

「一息ついてから、準備しよっか」

 

「そうですねぇ」

 

「というわけで、いかがでしたでしょうか特別企画『周藤良太郎を探せ』」

 

「皆さんはしっかりと見つけることが出来ましたかぁ?」

 

「もし分かりづらかったら、一時停止してゆっくりと探してみてくださいね」

 

「そう、周藤良太郎は意外と身近にいる存在……これを見ているアナタの隣人は、本当に一般人ですか……?」

 

「それホラーのオチなの!」

 

「実況はわたし、三条ともみ」

 

「解説は佐久間まゆ」

 

「ゲストの高町なのはでした。……自分でゲストっていうのなんか変な感じ」

 

「それではみなさん……ライブ本編映像でお会いしましょう」

 

 

 

「「「ばいばーい!」」」

 

 

 

 

 

 

 

「……それで、結局どうしてこんな蛮行に許可出したんですか」

 

 観客席から何事も無く帰って来た良太郎が東豪寺を中心とした真面目なメンバーに詰め寄られている光景を見つつ、ある意味で今回の騒動の()()とも言える人物に話しかける。

 

「普通はアンタが真っ先に止めるべきでしょ、社長」

 

「……あぁ、冬馬の言う通りだ」

 

 俺の意見を素直に肯定した社長は「だけど」と首を振った。

 

「お願いされちまったからな」

 

「お願い……?」

 

「アイツが『アイドルを続けている理由』って知ってるか?」

 

「は?」

 

 突然そんなことを尋ねられて、思わず呆気に取られてしまう。

 

「……いつも『アイドルの王様になる』って言ってますね」

 

「あぁ。でもそれは()()()()になって出来た理由だ」

 

「あ、僕分かった。あれでしょ、高町なのはちゃんとのやり取り」

 

 俺と社長の会話に翔太が割り込んできた。

 

「『泣いている子も笑顔に出来るアイドルになる』っていう素敵なエピソードですよね」

 

 ついでに北斗まで会話に入って来た。

 

「残念、()()()()()だ」

 

「「「え?」」」

 

 つまり……良太郎がアイドルを目指すきっかけになった原点と、現在進行形でアイドルの頂点に居続ける理由、()()()に何かあるってことなのか?

 

 

 

「良太郎は()()()を笑顔にしたいんだよ」

 

 

 

「………………」

 

 社長のその言葉に、何かが引っかかるような気がした。

 

「そのためにはお前たちの力も必要だ。……今日のライブ、頼んだぞ」

 

 そんな意味深なことを言い残し、社長は再び慌ただしく動くスタッフたちへの指示に戻ってしまった。

 

「……言われなくても」

 

 

 

 

 

 

 開演三十分前

 

 

 




・『ご来場のお客様の様子が』
フリー素材兄貴たち。

・唯&文香
現地参戦組。アイ転ではペア扱い。

・仲良しカップル
※実は以前Xに挙げた短編『推しに認知された上に祝福されたモブのお話』のカップル。

・『アイドルを続けている理由』
なんの話だって?
……実はこれLesson47のリインフォースとの会話から繋がるお話なんだよなぁ!
あーホント回収まで時間かかった!



 次回、本番前最終話。



『どうでもいい小話』

 すみません前回「学マスのゲームには手を出さないけど」とか言ってましたが、学マス始めました。



 ことねに完堕ちしました。
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