アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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君たちがいたから始まった。


Lesson404 導く者 VS 拓く者 2

 

 

 

 一曲目が終わり歓声と拍手が鳴りやまぬ中、両側のメインステージからセンターステージに向かって良太郎さんと麗華さんが歩いてくる。他のアイドルはそれぞれ出てきたメインステージから裏へと下がってしまった。

 

「ねぇ凛……やっぱりさっきの良太郎さんのウインクって私に向かってやったよね……!? 私へのファンサだったよね……!?」

 

 どうやら加蓮は会場の熱気にすっかりと当てられてしまっているらしい。目を血走らせながら鼻息荒いその姿に、果たして誰が彼女が病弱少女だったと信じるだろうか。

 

「落ち着けって加蓮……そんなわけないだろ……」

 

「そうだよ加蓮、今のは私に向けてのファンサだから」

 

「凛も落ち着け!?」

 

 会場内で私ほど冷静な人はいないと思うよ。今だって良太郎さんの一挙手一投足に全力で集中してるし。

 

 

 

『ついにこの時がきたな、麗華』

 

『そうね、良太郎』

 

 

 

 さながら格闘技の試合前のマイクパフォーマンスのように、良太郎さんと麗華さんは舌戦を始める。

 

 

 

『アンタとこうしてやり合う日が来るとは思っていたわ』

 

『俺もだ。お前たちと出会った日から、いつかそうなるじゃないかって』

 

 

 

「………………」

 

 『周藤良太郎』と『魔王エンジェル』の関係は、ファンにとっては有名なものだ。四人がデビューするきっかけとなった事件と顛末。そしてそこから今日に至るまでの様々な出来事。決して因縁なんかではなく、言葉では表せられない不思議な絆。

 

 私たちは今、そんな絆の節目を目撃しようとしているのかもしれない。

 

 

 

『まさか紅白歌合戦形式になるとは思ってなかったけどね!』

 

『それはそう!』

 

 

 

 うん、それはそう。

 

 

 

『ともあれ勝負だ麗華! 負けねぇからな!』

 

『望むところ。返り討ちにしてあげるわ』

 

 

 

 世間的な知名度や人気度で言えば『魔王エンジェル』が『周藤良太郎』に挑む形になるのだろうが、それが『女性アイドル』と『男性アイドル』という構図になれば話は変わってくる。

 

 男性アイドルとは、主に『周藤良太郎』を示す言葉だ。

 

 勿論、良太郎さん以外の男性アイドルはいるし、今回のライブに出演する315プロの人たちの知名度も低くない。けれど厳しいことを言ってしまえば()()()()だけだ。

 

 ……だからこそ、良太郎さんは証明したいんだろう。

 

 ()()()()()()()と。

 

 

 

『というわけで待たせたわねアンタたち!』

 

『声出す準備は出来てるか!?』

 

 

 

うおおおぉぉぉっ!

 

 

 

 二人だけの会話は終わり、こちらへの呼びかけに対して歓声で応える。

 

 

 

『八つの事務所が集う合同ライブ!』

 

『俺と麗華が描いた一つの到達点!』

 

『精々声出して盛り上がりなさい!』

 

『置いていかれないように気を付けろよっ!』

 

 

 

うおおおぉぉぉっ!

 

 

 

「……なぁ、凛、加蓮、気付いてるか?」

 

「勿論。良太郎さんが付けてるピアスだよね」

 

「良太郎さんのイメージカラーの金と……銀装飾? ここから考えられる今日の披露楽曲は……」

 

「そこじゃねぇんだよなぁ」

 

 え? そこ以外に何かあるの?

 

「センターステージ最前列に変装してる友紀さんと茄子さんが座ってる」

 

「「え?」」

 

「さっきから割とガッツリモニターに映ってるのになんで気付かないんだよ……」

 

「「ステージを直接見てたからモニターなんて見てない」」

 

「っていうことは良太郎さんのピアス肉眼で確認したってのか!? 嘘だろ!?」

 

 

 

『それじゃあ赤組の先攻……行ってきなさい!』

 

 

 

 モニターで確認しようとするが、麗華さんの宣言と共に会場が暗転したため再びステージへと意識を戻す。

 

 ついに本格的にライブのスタート。果たしてハナを務めるのは……。

 

 

 

i(アイ)を歌うから』

 

 

 

(……あぁ、なるほど)

 

 聞こえてきた歌声に、赤組のメインステージに現れたその姿に、私は納得した。

 

 確かに『周藤良太郎』と『魔王エンジェル』が共演するような超大型ライブにおいて、ハナというトリに続いて重要な役割をこなせるのは()()()()ぐらいだろう。

 

 

 

『どんな自分にも』

 

 

 

 私たちアイドルの中では、こう称されている。

 

 

 

『ありのままずっと』

 

 

 

 もし『周藤良太郎』の『覇王世代』の次があるとするならば――。

 

 

 

『『『私たち LEADER!!』』』

 

 

 

 ――それは『765プロ世代』であると。

 

 

 

LEADER!!

 

 天海 春香/双海 真美/星井 美希

 

 

 

 

 

 

「やぁりっちゃん」

 

「時間を作ってもらって悪いわね」

 

「……えぇ、別に構わないわ」

 

 ちゃんとアポを取って来たというのになんでこの子は苦虫を噛み潰したような顔をしてるんでしょうかねぇ。

 

「いやなんというか……麗華はともかく良太郎がこうしてきちんと正式に事務所に来るっていう状況に慣れなくて」

 

「アンタ律子がこんなになるまで何してたのよ」

 

「酷い言われようだな」

 

 そんな、まるで俺が普段から無許可で上がり込んで事務所にいた子とお喋りしたりゲームしたりしているみたいじゃないか!

 

「あ……良太郎さん……」

 

「良太郎さん、こんにちわっ」

 

「おぉ、杏奈ちゃんに百合子ちゃん、こんにちは。後で用事が終わったら聖遺物周回手伝ってもらっていい? 残響の会心率の冠が出なくてさぁ」

 

「はい……大丈夫です……」

 

「お待ちしてますねー」

 

「「………………」」

 

「なに?」

 

「馴染んでるわね」

 

「まるで頻繁に足を運んでいるみたいね」

 

 そんなまさか。

 

「そういえば戸棚の奥に期限切れの紅茶あったから、定期的に整理した方が良いと思うよ」

 

「私より事務所に詳しいじゃないっ!」

 

 まぁ普通事務所の掃除とかその辺りの雑務は事務員(ことり)さんの仕事だろうし。

 

「そんなことはどうでもいいから話進めるわよ」

 

「とはいえ話を進めるにしても()()()()()がいないことにはなんとも……りっちゃん、春香ちゃんたちは?」

 

「もうすぐ帰ってくるわ……と、噂をすれば」

 

 衝立の向こうから春香ちゃんたちの声が。

 

「すみません、お待たせしま……」

 

 

 

「りょーたろーさん、ミキに会いに来てくれて嬉しいの~!」

 

 

 

 春香ちゃんの言葉を遮るように、金髪の大型犬が突っ込んできた。おーよしよし。

 

「ま~たミキミキ、りょーにぃに引っ付いてる……」

 

「真美ちゃんも来る?」

 

「結構ですぅ~!」

 

 うーん、反抗期か?

 

「あはは……え、えっと、私たち三人に用事があるんですよね? もしかして次のライブのことですか?」

 

「えぇ、話が早くて助かるわ。……オイ」

 

「はいはい。美希ちゃん、ちょっと真面目な話するから向こうのソファーに座ってね」

 

「だ、大事な話?」

 

「真面目な話」

 

 

 

 さて、俺と麗華の対面のソファーに春香ちゃんと美希ちゃんと真美ちゃんに座ってもらい、申し訳ないがりっちゃんには少々立っていてもらう。

 

 これは『周藤良太郎』と『東豪寺麗華』から、『天海春香』と『星井美希』と『双海真美』に対する正式なお願いなのだ。

 

「それじゃあ改めて、俺から口から言わせてもらう。……天海春香さん、星井美希さん、双海真美さん」

 

「は、はい」

 

「はいなの」

 

「はーい」

 

 

 

「貴女たち三人に、八事務所合同ライブのトップバッターを依頼したい」

 

 

 

「……え、えぇ!?」

 

「はいなのっ!」

 

「マジで!?」

 

 お手本のような驚き方をする春香ちゃんと真美ちゃんに対し、相変わらず美希ちゃんは平常運転。もうちょっとぐらい驚いてくれてもいいのよ?

 

「わ、私たちでいいんですか!?」

 

「な、なんで真美たちなの!?」

 

「これは良太郎たっての希望なのよ」

 

「良太郎さんの!?」

 

「りょーにぃの!?」

 

 その辺りもちゃんと説明するから一旦落ち着いてほしい。

 

 

 

「これだけ大きなライブとなるとトップバッターにはそれなりに大きな重責がかかると思うんだよ」

 

 全体曲の後なので厳密にはトップバッターではないのだが、それでもプレッシャーは大きいだろう。何せ『東豪寺麗華』からのバトンを受け取るのだから。

 

「だからこそ、その役目は春香ちゃんたち『765プロ』がふさわしいと思う……っていうのが、建前の理由」

 

「た、建前?」

 

 そう、建前と言う名のライブ運営首脳陣としての言葉。

 

 そして、ここからが『周藤良太郎』個人としての言葉。

 

「……俺にとって『765プロ』っていうのは第二のスタートのきっかけになってくれた事務所なんだよ」

 

 今から大体四年前。まだアイドルとしてがむしゃらに走り続けて周りなんて一切見えていなかった頃、俺はかつて同期のアイドル仲間だった秋月律子がアイドルのプロデューサーになっていたことを知り、そして彼女が所属する765プロダクションのアイドルたちを知った。

 

 出会った頃はまだまだ駆け出しのアイドルで、見ていてハラハラするようなことばかりで……そして自然と『彼女たちの助けになりたい』と思えるようになった。

 

 思い返せば、きっとこれが『王様』としての始まりなんだと思う。

 

「だから春香ちゃんたちに……765プロにお願いしたいんだ。凄く個人的で身勝手な理由ではあるけれど……君たちは、俺にとっての『導き手』でもあるから」

 

「「「………………」」」

 

 春香ちゃんたちは言葉を発さず……しかし、決して俺から目を逸らさなかった。

 

「この俺の身勝手な依頼……受けてくれますか?」

 

 

 

「……はいっ!」

 

「喜んで!」

 

「お受けします!」

 

 

 




・『LEADER!!』
ミリシタで実装された765プロASの楽曲。
文字通りの意味のリーダーであると同時に、シアターアイドルたちの『先達者』『先を往く者』としての意味でもある。

・聖遺物
・残響の会心率の冠
何故か英語表記にimpactって付くゲーム。
ナヴィアの……聖遺物厳選が……終わりません……。

・『王様』としての始まり
メタ的な意味でも、春香たちがいなければこの世界は始まらなかった。



 八事務所合同ライブのトップバッターは、当然765プロ! セトリ決めするためにメドレー聞いてたら真っ先に流れてきて運命を感じたよね。

 こんな感じに『ステージパート』『舞台裏パート』『過去回想パート』の三つぐらいが入り乱れる構成になっていきます。書き分けれるように頑張るので、皆さんも頑張って付いてきてください!



『どうでもいい小話』

 「ウメちゃん可愛いヤッター!」からの「ことね可愛いヤッター!」と学マス楽しんでます(二回目の天井目前)

 滅茶苦茶短いですが、ことねお迎え祈願の恋仲○○をXに挙げておりますので、よろしければどうぞ。
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