アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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授業のお時間です。


Lesson413 紅い想い VS 熱い想い 3

 

 

 

「いやぁ、凄かったですね亜利沙さん」

 

「流石といったところでしたわね、亜利沙」

 

「二人揃ってありさにコメントを求めるのはやめてもらっていいですか……!?」

 

 いつもこちらから聞かなくても長々と感想を感情をぶちまける亜利沙がしおらしいのが珍しくてついついニコと一緒になって弄ってしまった。

 

「友人の晴れ舞台だというのに、何をそんなに恥ずかしがることがありますの」

 

「共感性羞恥ってやつです……いくらりあむちゃんとはいえこんな大舞台でやらかすとは思わないじゃないですか……」

 

 両手で顔を覆う亜利沙の耳はこれ以上ないぐらい真っ赤になっていた。

 

「そうですわね」

 

 彼女がステージ上で発言した内容については武士の情けということで口を噤むが、きっと今頃SNSと配信のコメント欄は大変なっていることだろう。

 

「私も夢見りあむさんのお話は聞いていましたが――」

 

 

 

 ――まさか『周藤良太郎』と『魔王エンジェル』のファンに喧嘩を売るなんて……。

 

 

 

「違うんです……あれは喧嘩を売ったわけじゃないんです……りあむさん的には『貴方たちも虜にしちゃうゾ』的な、そんなアイドル的に可愛らしいことを言ったはずなんです……」

 

「それがどうして()()()()()になっちゃうんですか……?」

 

「そういう言葉に変換する呪いにでもかかっているのではありませんの?」

 

「全く同じことをリョーさんも言ってました……」

 

 一応りあむさんの発言の直後、モニターに『※今回のライブにおける夢見りあむの発言は全て周藤良太郎が責任を持ちます』というテロップが表示されていたが、果たしてどれほどの効果があることやら。あまりにも完璧なタイミングのテロップなので、恐らく幸太郎さんの仕事だろう。

 

「ああやってテロップも出ていたことですし、この後で良太郎からのフォローも入るはずですから、大火事にはなるでしょうけどちゃんと鎮火しますわ」

 

「そ、そうですよね、良太郎さんを信じましょう。民度の高さで有名なりょーいん患者ならばきっと分かってくれるはずです」

 

 なお、あの『周藤良太郎』に対してもバチバチの対抗心を燃やすことで有名な魔王軍一兵卒(魔王エンジェルのファン)は分かってくれるかどうか微妙なところである。

 

 さて亜利沙の切り替わりが終わり、そして次の曲が始まる。これで亜利沙の様子も元に戻る……かと思いきや。

 

 

 

『『『Dance in school,all classmates!』』』

 

 

 

「はへぇ?」

 

 

 

『『『Dance in school,whole course teachers!』』』

 

 

 

 白組のステージに現れた男性三人の姿に、再び亜利沙の動きが止まった。

 

 

 

『『『Dance in school,all weekdays!』』』

 

 

 

「今度は一体なんですの?」

 

 

 

『『『Dance in school,Wonderful prime time!』』』

 

 

 

「……元担任です」

 

 

 

Dance in the school!

 

 『S.E.M』

 硲 道夫/舞田 類/山下 次郎

 

 

 

 

 

 

「私たちがアイドルを志したきっかけ?」

 

「はい」

 

 受験生応援ライブの打ち上げの席で俺の悩みを聞いてもらった後、気になっていたことを道夫さんに聞いてみた。

 

「どうやら俺の知り合いが関わっているみたいなので、もうちょっとだけその辺りの話を詳しく聞いてみたいなって思ったんです」

 

「周藤君の知り合い?」

 

「もしかしてミスターりょー、ミスまつだのことを知ってるのかい?」

 

 答え合わせをするつもりで尋ねたのだが、類さんの口から早々に答えが出てきた。どうやら正解だったらしい。

 

「はい。実はみのりさんとも共通の知り合いで、よく一緒にアイドルのイベントに参加したり感想会をしたりしてるんです」

 

「……前にもちょっと聞きましたけど、『周藤良太郎』が主催となっているアイドルオタクの集いってやつですか」

 

 次郎さんの言う通り、そういう認識になってることが多いらしい。別に俺が主催ってわけじゃないけど、結果的にそんな感じにはなっちゃってる節はある。

 

「へー! 俺としてはそっちのMeetingの話も聞いてみたいんだけどな!」

 

「いや舞田君、先に聞かれたのはこちらなのだから、まずはこちらから話すべきだ」

 

「大丈夫ですよ、後でいくらでもお話しますから」

 

 

 

「松田君は彼女が一年生の頃、私が担任を受け持つクラスの生徒だった。……そうだな、一言で言えば『常に自分の好きなもののために全力を出せる』人物だ」

 

 普段の亜利沙ちゃんを知っている身としては、道夫さんはかなりオブラートに包んでくれたことがよく分かった。アレは全力というか限界というか。

 

 というか道夫先生、亜利沙ちゃんの担任だったんだ。

 

「普段のLesson中はalways seriousだけど、たまにvery sleepyなときがあったよね」

 

「チラっとクラスメイトとの話を聞いちゃったけど、夜遅くまでライブの感想会の通話してたかららしいね」

 

「すみませんでした」

 

 類さんと次郎さんからの目撃証言に俺は思わず頭を下げる。心当たりがありすぎるんだけど、どのライブのときだろうか……いや多分全部だな。

 

「そしてそんな『自分の好きを周りに広めることに全力になれる』人物でもあった」

 

 これも良い感じに言ってくれたけど、亜利沙ちゃんの場合は単純に『好きという感情が口から濁流のように溢れ出ている』だけなような気もする。多分語ることで身体から放出しなければ、きっと亜利沙ちゃんの身体は界王様の星で自爆したセルのように膨れ上がることだろう。そんな亜利沙ちゃん見たくない。

 

「私も度々、松田君からアイドルの素晴らしさについて語られたよ」

 

「俺も俺もー」

 

「おじさんも。アレ、放課後に捕まっちゃうと一時間は解放されないよね」

 

「本当にすみませんウチの亜利沙ちゃんが……」

 

 親でも保護者でもないのだが、思わず謝罪の言葉を口にしてしまった。

 

「いや、松田君の話はとても興味深いものだったよ」

 

「ミスまつだはとてもpresentationが上手だったね! 聞いてるだけで彼女のワクワクが伝わってきたよ!」

 

「ちょっと長文過ぎて聞きづらいことはあったけどね」

 

「けれど私がアイドルを目指すきっかけになった出来事と言えば……やはり文化祭のときのことだろう。今でも鮮明に思い出すことが出来るよ」

 

 

 

 

 

 

 ――みなさーん! こんにちわー!

 

 ――私たちぃ!

 

 ――『Peach Fizz』ですっ!

 

 

 

「これがアイドルか……確かに凄い熱量だ。見ているみんながこれほど夢中になるなんて……」

 

「………………」

 

「これが君がいつも見ているものなのだな。……松田君?」

 

「……あっ、ごめんなさい碇先生、ちょっとぼーっとしてました」

 

「ぼーっと? 君が? アイドルを目の前にして?」

 

「うぅ、アイドルちゃんを前にしたありさを見せるのは初めてのはずなのに、何故こうも先生からの理解度が高いのでしょうか……?」

 

「それで、どうしたのかな。人に打ち明けづらいことならば、無理には聞かないが」

 

「……実は私、人生の岐路に立ってたりするんです」

 

「人生の岐路?」

 

「はい。十五歳の小娘が何を言ってるのかって感じですけど……割と重要な選択肢を迫られている状況で」

 

「……それで、君がアイドルを前にして羽目を外さないほどに考えているのか」

 

「普段のありさは先生的に『羽目を外している』状態なんですか!? いや全くもってその通りなんですけど担任の先生からそういう反応をされると意外と心に来ますね……!?」

 

「けれど、私の目には()()()()()()()ように見えた」

 

「……え?」

 

「君がステージに立つアイドルを見る目は、まるで将来の目標を見つめるような、そんな強い意志を感じる目だった。悩んでいるのではなく、その先を考えていたのではないかな?」

 

「その先……」

 

「私の勘違いだったかな?」

 

「……いえ、全くもってその通りです! なんだかありさの心の中に『納得』という二文字がズドンと落ちてきたような気がします!」

 

「ふむ、どうやら普段の松田君に戻ったようだな」

 

「あ、ミスターはざまにミスまつだ、どーしたんだいこんなところで?」

 

「あれ? まつだ、随分と大人しいじゃない? アイドルが目の前にいるってのに、どうしたの?」

 

「これはこれは良いところに舞田先生と山下先生! ここは是非碇先生と一緒に今ステージに立っている『Peach Fizz』というアイドルちゃんについて存分に語らせていただこうとしていたところなんですよ!」

 

「おっとこれはマズいタイミングで来ちゃったかな……?」

 

「Wow! ミスまつだ、目がとってもSparklingしてるね!」

 

「ふむ、是非聞かせてもらおう」

 

「それではまず初めにこのお二人の馴れ初めからお話しましょうまず所恵美さんと佐久間まゆさんはそれぞれスカウトとオーディションという別々の入り口から123プロダクションに所属することになり――」

 

 

 

 

 

 

「……ここから先は、君もよく知っているであろう『Peach Fizz』の二人の来歴になるから、省略させてもらおう」

 

「おじさん、完璧に覚えちゃったよね」

 

「いやホント亜利沙ちゃんがごめんなさい……」

 

「その後すぐだったよね! ミスまつだがIDOLになったって聞いたのは!」

 

 なるほど、丁度765プロシアターのオーディションがあった頃の話になるのか。

 

「文化祭のステージ立つアイドル、彼女たちを応援する生徒たちの熱量、そして松田君の目の輝き……それらを見て、私は思ったのだよ」

 

 

 

 ――アイドルならばより多くの生徒を導くことが出来るのではないか、と。

 

 

 

「彼女の目は未来への希望に満ち溢れた目だった。私は、生徒たちみんなが彼女のような目で未来への道を歩いてもらいたいと、そう思ったのだ」

 

 道夫さん……。

 

 

 

「でも生徒が全員亜利沙ちゃんみたいだったら、熱量っていうか灼熱だと思うんですよ」

 

「すどうさん、そこで話の腰折っちゃうの?」

 

「それはそうだ」

 

「はざまさんも乗っちゃうの!?」

 

 

 




・周藤良太郎』と『魔王エンジェル』のファンに喧嘩を売る
ノ ル マ 達 成

・『全て周藤良太郎が責任を持ちます』
もしものときは周藤良太郎と冨岡義勇が腹を切ってお詫び致します。

・『Dance in the school!』
S.E.Mの楽曲からはこれをチョイスさせてもらいました。
踊るように楽しもう!

・界王様の星で自爆したセルのように
とはいえ悟空、もうちょっと別のところなかった?



 ユニ募と相対するは歌って踊れる俺たちの先生『S.E.M』のお三方です! 選ばれた理由は前回の後書き通り、両方とも亜利沙と繋がりがあるアイドルだからでした。

 ……余談ですが、りあむのやらかしはまだこの後も残されていたりします()
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