「来るっ……!」
「え、恭也君いきなり何?」
「ど、どうしたんですか?」
突然目つきが鋭くなった恭也に困惑する友紀と茄子。
「これは多分アレね、次に来るアイドルが誰なのかを『察した』んじゃないかしら」
「え、恭也君ってそんなことまでやれちゃうの?」
「そんな設定ありましたっけ?」
設定って言うのやめなさい。
「っていうか、恭也君がそんな反応するってことは……!」
「まさか……!」
それは『まさか』ではなく『やはり』だった。
『遥か
紅組ステージ中央のマイクスタンドの前に立つ金髪の少女。若干十三歳ながら『次世代の歌姫』候補とも称される歌声に観客たちは圧倒され、それに追従するように両脇に立つ少女たちが歌声を響かせる。
『『『祈りは 奇跡に』』』
ETERNAL BLAZE
『Tri-Ace』
高町 なのは/フェイト・テスタロッサ/八神 はやて
初めまして! 高町なのはです! 今回、310プロダクションから『Tri-Ace』として改めてデビューさせていただくことになりました!
――よろしくお願いします。
はい! よろしくお願いします!
――ではまず初めに月並みな質問ではありますが、アイドルになったきっかけは?
はい……リンディさん、これって言っても大丈夫でしたっけ?
……あ、えっと、すみません、アイドルになったきっかけですよね?
実は私……小学校に入る前、家庭の事情で他所のお宅に預けられることが多かったんですよ。お父さんもお母さんもお兄ちゃんもお姉ちゃんも大変で、私も幼いながらもそれを分かって『迷惑をかけちゃいけない』『いい子でいなきゃいけない』って、ずっと我慢してたんです。
でもある日、我慢しきれずに思わず泣いちゃって……そんなとき、とある人が私を笑顔にしてくれたんです。
今思えばきっと覚えたばかりの歌とダンス。でもそんなことを子ども心ながらにも感じさせないぐらい凄くて、本当自然と笑顔になったんです。これが本当の『泣く子も黙る』ってやつですね……なんちゃって、えへへ。
――その『とある人物』というのは、誰かお伺いしても?
信じられないかもしれませんが。当時まだデビュー直前で『伝説の夜』を迎える前の……周藤良太郎さんです。
――周藤良太郎!?
わっ!?
――失礼、取り乱しました。
にゃはは、大体みんな同じようなリアクションをします。
実は私の家族、昔から良太郎さんのご家族と仲良くさせてもらってて、私を預かっててくれたのも良太郎さんの家だったんです。
――そんな家庭環境だったからこそ、今の高町さんがあるんですね。
はい。本当は他にもフィアッセさんとかユーノ君とか色々きっかけはあるんだけど。
――どうかしましたか?
あ、いえ、なんでもないです。
ふぇ、フェイト・テスタロッサです。よ、よろしく、お願い、します。あ、み、310プロダクションから改めてユニットデビュー! です!
――はい、よろしくお願いします。
うぅ……最初からこんな……助けてアリシア……リニス……。
「フェイト頑張れ~!」
「ちゃんと出来てますよ頑張ってください!」
――それでは、アイドルを目指したきっかけをお伺いしてもいいですか?
……その、実は私、最初はアイドルになるつもりはなかったんです。
私の母さん、じゃなくて、母が女優で、母に憧れて、女優になりたかったんです。
でもある日、その、友だちになった子に「私と一緒にアイドルやろう」って誘われて、それが嬉しくて、私もその子みたいにアイドルになってみたいなって、思って。あと母もアイドルをやっていたことがあったから、そんな風になりたいなって。
……嬉しかったんです。日本に来て、まだ上手く喋れなくて周りに全然馴染めていなかった私に、なのはが「友だちになろう」って言ってくれたことが、本当に嬉しかったんです。
だからなのはと一緒にアイドルになりたいって思ったんです。
……友だちと一緒に、色々なことがしたかったんです。
――アイドルになろうと言ってくれた友人は、高町さんだったんですね。
……えっ!? 私なのはの名前言ってました!?
――本当にユニットメンバー同士で仲が良いんですね。
は、はいぃ……。
――あとお母様がアイドルをしていたことがあるとのことでしたが。
……あ゛。
――プレシア・テスタロッサさん、アイドルもやられていたんですか?
……お母さんごめんなさい……。
今回、310プロダクションから『Tri-Ace』として改めてユニットデビューさせてもらいます、八神はやてです。よろしくお願いします。
――よろしくお願いします。ではアイドルを目指したきっかけから。
えっと、私の前にフェイトちゃんのインタビューもしていると思うんですけど、私もフェイトちゃんと殆ど同じなんです。
私、ちっちゃい頃はずっと車椅子で生活しとったんです。足が動かなくて運動なんてやりたくても出来なくて。小学三年の頃にようやくフツーの生活出来るようになったんですけど、うち実家が本屋やらせてもらってて。お爺ちゃんみたいな映画監督になってみたいっていう夢も本気で叶える気がないただの夢で、フツーに暮らしとったんです。
でもなのはちゃんとフェイトちゃんに出会って、選ぶしかなかった道じゃなくて
――テスタロッサさん同様に、八神さんのきっかけも高町さんということですね。
なんかすんません、なのはちゃんみたいな衝撃エピソードとかフェイトちゃんみたいな可愛らしいハプニングとか、そーゆーおもろいの無くて。
――大丈夫ですよ。
ここらで小粋な小噺とかいります?
――大丈夫です。
……いや割と真面目に自分のキャラ的に強みがないことは結構気にしてたりするんですよ。なのはちゃんやフェイトちゃんと違って自分インパクト薄いですし……アイドルとしてどうなんですかね?
――いえ、そんなことはないと思いますが。
寧ろ貴方から見て私ってどんなアイドルになると思います?
――私がインタビューされるんですか?
「………………」
310プロダクションの新人アイドルユニット『Tri-Ace』のインタビュー記事を読み、俺はいつもの士郎さんお手製コーヒーを一口飲んでから素直な感想を口にした。
「君たち765プロの素質あると思うよ」
「どういう意味やねん!?」
「それは765プロの人に対しても失礼なんじゃないかな!?」
はやてちゃんとなのはちゃんが抗議の声を上げる。しかしデビューしたばかりだというのにこれだけ愉快なインタビューの受け答えが出来てしまう辺り、春香ちゃんとか響ちゃん辺りと同じ空気感を感じてしまう。アイドル活動としては正統派の女子中学生三人組ユニットのはずなのに、どうしてこうも芸人感が滲み出ているのか……。
「多分お前の悪い影響だぞ」
「異議を申し立てる」
「却下。懲役三年執行猶予五年」
雑に「死刑」とかじゃなくてガチな奴ヤメロ。……いやダメだな
ちなみにではあるが、この場にいつつ抗議の声を上げなかったフェイトちゃんはインタビューされたときのことを思い出してしまい顔を真っ赤にして机に突っ伏していた。うーん可愛い。
「それはさておき、改めてユニットデビューおめでとう」
「ありがとうございます」
「ぶっちゃけ映画のタイアップで組まれたユニットだとは思いますけどね」
はやてちゃんの言う映画というのは、なのはちゃんとフェイトちゃんのデビュー作である『魔法少女戦記リリカルサーガ~始まりの章~』の続編である『魔法少女戦記リリカルサーガ~夜天の章~』のことである。前作に引き続きなのはちゃんとフェイトちゃんが主演なのだが、今作から新たな魔法少女としてはやてちゃんが登場する。つまりこの『Tri-Ace』というユニットは、この映画の主演三人で組まれたユニットでもあるということだ。
「
良いことはあればあるだけいいからね。
「ちなみにこれが主題歌のデモです」
「……えっと」
「あ、
「ならいいか。……いやあんまりよくはないんだけど」
あんまりホイホイと部外者に発表前の曲を聴かせるのはどうなんだろうか。
「良太郎さん、『それ他事務所に自由に出入りしてるお前が言うな』って言われたことありません?」
「おパ数覚(『お前は食べたパンの枚数を覚えているのか』の略)」
ついでに歌詞も見せてもらいながら早速聞かせてもらうことにする。
「ふんふん。……ん?」
ねぇはやてちゃん。
「ここ歌詞間違ってない?」
「あってますよ。
「……ここは流石に間違いでしょ」
「光の
「夜!」
「
「悪夢!」
「
分からない……何も分からない……
「っ! 分かった! きっとこれは
「それは普通に
わかんない!
・ETERNAL BLAZE
『魔法少女リリカルなのはA's』の主題歌。
この世界では三人の楽曲となりました。
・ユーノ君
なんか迷子になってしまったペットのフェレット探しに付き合ったお礼に赤いペンダントをお守りとしてもらったら、その男の子が外国の有名子役とかだったりしたらしい。
・「君たち765プロの素質あると思うよ」
初期案ではシアター入りしてた。
・『魔法少女戦記リリカルサーガ~夜天の章~』
大物ゲスト敵役として女優のリインフォース・アインスさんも出演。
・「
奈々様の歌詞は難関。
前回の終わりで察したでしょうが、続いて赤組からのなのはたち三人娘の登場です。
……アイドルマスター……?(定期的に我に返る
『どうでもよくない小話』
なんと本日デレステ九周年。おめでとうございます!
……あとアイマスエキスポ初日参加決定です対戦よろしくお願いします。