アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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次世代のエースたち。


Lesson417 Ace VS Joker 2

 

 

 

 なのはちゃんたちの新曲の歌詞の難解さに首を傾げた翌日、早速ボーカルレッスンが行われるということで同行させてもらった。

 

「……いやなんでさも当たり前のように付いてきてるんですか」

 

 ジト目のなのはちゃんの言うこともご尤もである。確かにこの場には似つかわしくない人物が交ざっている。

 

「言われてますよ、フィアッセさん」

 

「ダメだよ良太郎、部外者なんだから」

 

「二人に言ってるんですぅ!」

 

 なのはちゃんは今日も元気。

 

 

 

「なんやこの現場……アイドルの頂点(すどうりょうたろう)世紀の歌姫(フィアッセ・クリステラ)が揃っとる……」

 

「トレーナーさんが怯えきってるよ……」

 

「いや気持ちは分かるけど、そのダンストレーナーと見間違えるようなガタイの巨漢がビビって蹲るのはどないやねん」

 

 

 

 というわけでトライエースのレッスン風景with周藤良太郎&フィアッセ・クリステラである。勿論リンディさんとプレシアさんの許可は貰っているためなんの問題もない。

 

「見学は」

 

「オッケーですよね?」

 

「勿論ですぅ……」

 

 現場のトレーナーからの許可も得たことで大手を振って見学が出来る。

 

「それ、ほぼ脅しやないですか」

 

「ほらほらはやてちゃん、俺たちのことを気にしてる余裕はあるのかい?」

 

「ある程度のミスなら微笑ましく見ててあげるけど、一定のラインを下回ったら容赦なくダメだししちゃうわよ~」

 

「「「レッスン頑張ります!」」」

 

 俺とフィアッセさんの暖かい激励の言葉を受け取った三人は、粛々とレッスンを開始。少々プレッシャーを与えすぎてしまったような気もしたが、先ほどまで怯えていたトレーナーもちゃんと立ち直ってくれているので一安心。流石はプロである。

 

「「………………」」

 

 そして見学をさせてもらう以上、俺とフィアッセさんも先ほどまでとは違い真面目にレッスンの様子を見守りつつ三人の歌声に耳を傾ける。

 

「……普段からフィアッセさんにアドバイスを貰っているだけあってなのはちゃんは流石だなぁ」

 

「なのはは凄いよ。私が教えたこと全部吸収しちゃうんだもん」

 

 さらに小さい頃のなのはちゃんは暇さえあればアイドルの真似をして歌って踊っていた。常日頃から『世界トップクラスの歌声』を聞き続けていた環境というのは随分と大きいだろう。歌唱に必要な基礎体力も高町家ならば自然と身に着くので、アイドルとしては最高級の環境で育ったと言っても過言ではないだろう。

 

 そんな環境も相まって、なのはちゃんの歌唱力はかなり高い。これだけの歌唱が出来る同年代は決して多くなく、少なくとも俺がこれまで出会ってきたアイドルの中で今のなのはちゃんの年齢で同じレベルの歌唱が出来た子はいなかった。

 

 ……そう、()()()()()

 

 

 

「時空を超え刻まれた悲しみの記憶」

 

 

 

「……直接聞いたのは初めてですけど、まさかこんな子がいるとは思いませんでしたよ」

 

「私も初めて聞いたときはビックリしちゃった。この子も凄いよね……()()()()()()()

 

 

 

 フェイト・テスタロッサ。なのはちゃんと同い年で、イギリスからやって来た少女。今は引退してしまった元女優のプレシア・テスタロッサさんの娘であり、双子の姉にアリシア・テスタロッサがいる。彼女たちが生まれたのはプレシアさんが芸能界から完全に身を引いた後なので、世間からの知名度は低い。

 

 そんな双子に目を付けたのが、プレシアさんが友人である元女優のリンディ・ハラオウン。今は亡き夫の芸能事務所を復活させるために彼女たちをアイドルとしてスカウトし、そんな彼女たちを目に入れても痛くないぐらい溺愛しすぎているプレシアさんも『私の娘の可愛さを世界中に知らしめるため』と快諾。娘二人もそれを了承。

 

 『周藤良太郎』の活躍により今や世界的にもアイドル先進国として認識されている日本という新天地にて310プロダクションを設立し、その所属第一号アイドルがフェイト・テスタロッサである。

 

 ちなみに姉であるアリシア・テスタロッサもアイドルとして所属しているのだが、デビューするだけしておいてアイドルとしてはほぼ開店休業中。どうやら彼女としては母親と共に可愛い妹を全力で応援したいらしいのだが……まぁ、今は完全な余談である。

 

 以上が彼女の来歴である。

 

 

 

 そんなフェイトちゃん。歌唱力が()()()()()()()。同世代のアイドルで頭一つ抜き出ているなんてレベルじゃなく、既に新人アイドルの領域にいない。成長した暁には『次世代の歌姫』になることは間違いないだろう。

 

「フェイトちゃんのお母さんも女優さんだけど歌が凄い上手だったから」

 

「そうかフィアッセさんと同郷になるんでしたっけ」

 

 なるほど、遺伝か。……ということは、間違いなく将来はプレシアさんのような素晴らしい大乳になるに違いない。

 

「今からフェイトちゃんの成長が楽しみですね」

 

「……なんでだろう、何故か私の直感がここで同意してはいけないと言っている……」

 

 将来は女優志望とのことだが、少なくともアイドルとして大成する未来は明るいだろう。

 

 ……まぁ敢えて欠点を挙げるとするならば。

 

「………………」

 

(頑張れー)

 

「っ……!」

 

 こうして小さく手を振っただけで頬を赤らめて目を背けてしまうぐらいの恥ずかしがり屋だということぐらいだが、これはこれでチャームポイントだろう。

 

 

 

 

 

 

「良太郎さん、私は怒っとります」

 

 休憩中に何故かはやてちゃんが不満そうに唇を尖らせていた。

 

「はて? レッスン中にはやてちゃんの顰蹙を買うようなことをした覚えはないんだけどな?」

 

「あーゆーフェイトちゃんの可愛い仕草はライブとかステージとか、ファンの前でやらせるべきなんや。慣れさせないためにも多用厳禁!」

 

 人差し指を立ててメッとお叱りのポーズのはやてちゃん。なるほどそれは一理ある。

 

「でも適度に慣れた結果、ファンサを返そうとしてやっぱり照れちゃって顔を赤らめるフェイトちゃんも良くない?」

 

「それも勿論ええんですけど、段階ってもんがあってですね」

 

「二人揃って何の話してるの!?」

 

 議論が白熱し始めたところにフェイトちゃんの可愛いらしいお叱りの声が飛んできた。

 

「止めないでくれフェイトちゃん」

 

「今私たちはフェイトちゃんを如何にキュートアイドルとしてプロデュースしていくかの話し合いをしとるんや」

 

「せめて本人のいないところでやってくれない!?」

 

「フェイトちゃーん、その二人に巻き込まれると大怪我すると思うから一緒にジュース買いに行こー」

 

「もう既に大火傷だよぉ!」

 

 なのはちゃんから救いの手を差し伸べられたフェイトちゃんは、涙目になりながらフィアッセさんも一緒にこの場から離脱した。トレーナーは所用により席を外しているため、レッスン室には俺とはやてちゃんだけが取り残される。

 

 ……ふむ。

 

「前から思ってんだけど」

 

 この際、二人きりのときでしか聞けないことを聞いてみる。

 

「なんというか、はやてちゃんは自分よりもフェイトちゃんやなのはちゃんに気をかけてる感じだよね」

 

「……別に自分を蔑ろにしてるつもりはないんですけどね」

 

 壁を背にして二人並んでレッスン室の床に座る。

 

「アイドルとして活動すること自体、私も楽しんどるっていうことは前提に聞いてほしいんですけど」

 

 そう前置きという名の予防線を張りつつ、まるで俺の機嫌を窺うかのように言葉を選んでいるようだった。

 

「私、自分よりもなのはちゃんとフェイトちゃんがアイドルとして輝いてくれることが嬉しいんです。二人は()()()()()歌も上手いしダンスも得意。それに……ほら、同性の目から見てもめっちゃ可愛いやん? だから私は、今回のユニットの中でも指令塔……みたいな? そんなポジションを目指しとりましてね」

 

 

 

「生意気なこと言ってるんじゃないぞ! この美少女!」

 

「なんか今私怒鳴られながら褒められんかった!?」

 

「自分も可愛いくせして偉そうなことを言うな!」

 

「リアクションに困るから褒めるのか怒鳴るのかどっちかにしてくれへんかな!?」

 

 

 

 全く、このチビ狸は分かってないなぁ。

 

「そんな『誰かを輝かすためにステージに立つ』なんて考え方するなんざ十年早い。はやてちゃんがステージに立つ理由は『はやてちゃんのため』だけでいいんだよ」

 

「それはその……分かっとるつもりですけど」

 

「ん? どうやらこの巷で噂の『書店の美少女店主』は納得してないみたいだな?」

 

「私そんな呼ばれ方されとったんですか!?」

 

「俺が広めた」

 

「ちょっとぉ!?」

 

 

 

 

 

 

「……なんか良太郎さん、楽しそうだね」

 

「あらなのはったら、はやてちゃんに焼きもち?」

 

「そそそそんなわけないの!?」

 

「はやて、凄く楽しそう」

 

 

 

 

 

 

『君が君でいられる場所』

 

悪夢(まぼろし)にさらわれぬように』

 

『消えない雨の苦しみも』

 

『鍵を壊してぶつけてよ』

 

『隣にいるから』

 

 

 

『『『全てを信じて』』』

 

 

 

 ダンスを極力削ったボーカル全振りのステージ。なのはちゃんとフェイトちゃんの歌唱力の高さを活かすためのこの構成は、他でもない『はやてちゃんからの演出案』だった。

 

 これを聞かされたときは、再び褒め殺しの刑に処そうかとも思ったのだが。

 

 

 

 ――まぁ、見とってくださいよ。

 

 

 

 そう笑うはやてちゃんの言葉を信じてみたのだが。

 

(……流石だな)

 

 モニターに切り抜かれるたびに、はやてちゃんは()()()()()()()()()()()()()()カメラ目線になっていた。どうやら客観的にどのカメラからの映像に切り替わるのかを予測して、常に自分が映されるであろうカメラに視線を向けているらしい。自らを『指令塔ポジション』にしようとするだけあって、化け物じみた視界の広さである。

 

「なるほどね、ダンスを極力削った演出は『これ』をするためでもあったと」

 

 動き回っていてはこんな離れ業は出来ないだろう。なのはちゃんとフェイトちゃんの持ち味を活かしつつ、ちゃっかり自分も美味しい思いをしているらしい。これには俺も負けを認める他ない。きっとはやてちゃんは麗華のように『ステージ上に立つアイドルでありながらプロデューサー』になっていくのだろう。

 

 はやてちゃんだけじゃない。なのはちゃんも、フェイトちゃんも。

 

 

 

『『『深い闇解き放って』』』

 

『『『自由のトビラ開いてく』』』

 

 

 

 きっとアイドル業界の『次世代のエース』として、彼女たちは成長していくことだろう。

 

 

 

『『『強く果てない未来へ』』』

 

 

 

 

 

 

 ……ところで俺はスタッフに何処へ連れていかれるんだ?

 

 

 




・ダンストレーナーと見間違えるようなガタイの巨漢のボーカルトレーナー
世界線は違うけどEpisode53のボーカルトレーナ―と同一人物。

・フェイトちゃん@歌唱お化け
アイ転世界では中の人補正がかなり強めにかかる傾向にある。

・はやてちゃん@指令塔
アイ転世界におけるはやては『どうすれば自分がより魅力的に見られることが出来るか』を意図的に行うことが出来る策士タイプ。
原作における指揮官タイプをアイドルに落とし込んだらこうなるんじゃないかなって解釈。

・ところで俺はスタッフに何処へ連れていかれるんだ?
※ギャグ補正がかかり著しく察し能力が低下しています。



 このページ、とらハ時空のキャラしかいませんがアイ転はほぼアイマス×とらハと言っても過言ではないので平常運行です。

 ようやくまともにフェイトとはやての描写が出来た気がする。なのはが初登場してから一体何年かかったことやら。

 ……誰が何と言おうとアイマスの二次創作!



『どうでもいい小話』

 今週末はファンタジー公演ですね。久しぶりに自宅からのんびりとお酒を飲みながら配信を楽しもうと思います。
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