アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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今年こそ合同ライブを!(訳:あけましておめでとうございます)


番外編90 もし○○と恋仲だったら 慶春

 

 

 

 それは、あり得るかもしれない可能性の話。

 

 

 

「貴音ちゃん、抱っこ」

 

「はい、どうぞ」

 

 

 

 小学生男子からのおねだりを貴音ちゃんは快く了承してくれたので、遠慮なく真正面から抱き着いた。

 

 俺と貴音ちゃんには身長差があるため、当然のように俺の顔は彼女の胸に埋めるような形になる。しかし恋人である貴音ちゃんはそれを嫌がる素振りすら見せず、それどころか俺の身体をギュッと抱き寄せた。少々の息苦しさを感じるものの、逆にそれも幸せの苦しみである。

 

「………………」

 

「どうしたのですか響。羨ましいのですか?」

 

「う、羨ましくは……いや、正直に言うとちょっと羨ましい」

 

「良太郎、響も抱き着いて欲しいそうですよ」

 

「それじゃあ次、響ちゃん抱っこ」

 

「は、はい」

 

 少々名残惜しく思いつつも貴音ちゃんの胸から離れ、今度は響ちゃんに抱き着いて彼女の胸に顔を埋める。ふわふわとしていた貴音ちゃんとは違い、響ちゃんは弾力があってぷにぷにしている感じ。こっちもこっちでとても良い。

 

「ふふふ、こうしていると普通の小学生のように見えますね」

 

「いや、自分から抱き着いてきて胸に顔を埋めるのは普通の小学生っていうかエロガキだと思うぞ」

 

「わたくしは、そんな良太郎のことが大好きですよ」

 

「じ、自分だって良太郎のこと大好きだぞ!」

 

「俺もぉ……貴音ちゃんと響ちゃんのことが大好きぃ……」

 

「ちょっと、そろそろ準備出来るんだからこっちも手伝いなさいよー」

 

「あとりっちゃんも好きぃ……」

 

「はいはいついででも嬉しいわよ。私も大好き」

 

 

 

 

 

 

 この『未成年同士の結婚』や『重婚』が一般化した不思議な世界に転生して十年ちょっと、そんな世界でアイドルとして活動して数年、美人のお姉さんのお嫁さんを三人も出来て一年と少しが経ち、ついでに新年を迎えてから一週間が経った。

 

「お水おいしい……」

 

「そこはせめて料理を食べて言って欲しかったところだけど……」

 

「大分お疲れのようですね……」

 

「良太郎が一番忙しかったもんな」

 

 先ほど触れた『未成年同士の結婚』や『重婚』も合わせてこの世界の法律は少々歪であり、結婚をしている者は未成年であっても成人として扱われる。つまり例え現役小学生であっても結婚している俺は時間外労働が認められてしまうわけで、その結果トップアイドルであることも合わさって年末年始のスケジュールが酷いことになってしまった。

 

 だがこれは『四条貴音』『我那覇響』『秋月律子』という美人でおっぱいの大きなお嫁さんを三人も貰った俺に課せられた当然の試練であると割り切って頑張った。それはもう頑張りまくった。

 

「その結果がこれだよ……」

 

「小学生とは思えないぐらい憔悴しきってるぞ……」

 

 年も明けて一週間。帰宅したのは日付が変わってからになるが、ようやくお休みを貰えることが出来た。

 

「三人ともありがとう。わざわざ俺とオフを合わせてくれて」

 

「もう、何言ってるのよ」

 

「自分たちは、その……りょ、良太郎の妻なんだから」

 

「貴方と過ごすひと時を心待ちにしていたのは、わたくしたちも同じです」

 

 本当にありがとう……好き……。

 

 そんなわけで、一週間遅れにはなったがようやく四人で迎えることが出来たお正月休み。

 

 まずは貴音ちゃんと響ちゃんのおっぱいで英気を回復し、ついでにりっちゃんのおっぱいにもギューッとしてもらってから、四人で炬燵に入ってお節料理をいただく。

 

「りっちゃん、あーん」

 

「もう、しょうがないわね……」

 

 そんなことを言いつつも、まんざらでもない表情のりっちゃんは自分の箸で数の子を食べさせてくれた。

 

「良太郎、昆布巻きもどうぞ」

 

「あーん」

 

「良太郎、黒豆だぞ」

 

「あーん」

 

 貴音ちゃんと響ちゃんからもあーんしてもらう。我ながら良い御身分である。

 

「……あれ、この黒豆去年のやつと違うね」

 

「へぇ、よく分かったわね」

 

 響ちゃんに食べさせてもらった黒豆の味が去年のものと違うことに気付くと、りっちゃんは少し感心した様子で「今年はお義母さんがおすそ分けしてくれたのよ」と教えてくれた。

 

「違いが分かるのですね、流石良太郎」

 

「芸能界が長いと、色々なもの食べるから舌が肥えるんだよねぇ」

 

「あー確かになー、自分もだぞ」

 

 

 

「嘘は良くないよカンガルー響ちゃん」

 

「そうですよカンガルー響、嘘はいけません」

 

「見栄を張るんじゃないわよ、カンガルー響

 

「その呼び方やめろぉ!?」

 

 

 

「いやだって……ねぇ?」

 

 毎年元旦に放送される『一流芸能人チェックテスト』という番組がある。これは様々な分野における『高級物』と『安物』を見分ける問題に挑戦する番組で、今年は765プロから響ちゃんと伊織ちゃんとあずささんの三人が出演した。

 

 その中ですき焼きを食べて一番高級な牛肉が使われているものを当てるという問題があったのだが……。

 

 

 

 ――この間、伊織の家ですき焼きを食べたんだ。

 

 ――そのときのすき焼きがすっごく美味しくて。

 

 ――これを食べたとき、そのときの光景が目に浮かんだんだ!

 

 

 

 などと言って自信満々に選択したすき焼きが『カンガルーの肉』を使ったものだったのだ。

 

「伊織ちゃんにまで飛び火しちゃって可哀想に」

 

 後日、346プロの市原仁奈ちゃんにキラキラした目で「伊織ちゃんのおうちでは、カンガルーが食べられるってホントでごぜーますか!?」と尋ねられて口元を引き攣らせる伊織ちゃんの姿を目撃した。

 

「いやだってアレは本当に牛肉だったんだって! 何かの間違いだったんだぞ!」

 

 どうやら未だに自分の非を認めようとしない響ちゃん。

 

 高級和牛と同レベルの味に調理したシェフの腕前を褒めるべきなのだろうけど、それはそれとしてカンガルーの肉にもちょっとだけ興味が出てきたことも事実である。

 

「というわけで番組スタッフにお願いして本当にカンガルーの肉を貰って来たから、今晩のすき焼きで食べ比べしてみようね」

 

「「貰って来たの!?」」

 

 響ちゃんとりっちゃんには突っ込まれたが、どうやら貴音ちゃんも興味があったらしく少しワクワクとしていた。

 

 

 

 

 

 

「それはそうと、俺も出演したかったんだけどなぁ、『一流芸能人チェックテスト』」

 

「心配しなくても良太郎だったら数年後に確実に呼ばれるわよ」

 

 十歳という若輩と呼ぶにも分かる過ぎる年齢ではあるが、それでも前世の分の記憶も含めてそれなりに味覚には自信がある。味覚だけではなくアイドルとしての音感や審美眼だって、そんじょそこらの芸能人にだって負けてないはずだ。

 

「例えば貴音ちゃんの胸が一年前と比べるとちょっと大きくなっていることにだって気付けるぐらいだぞ」

 

「あら」

 

「深夜帯の放送枠でだってそんな問題出題されないわよ!」

 

 ただこれは見た目ではなく先ほど抱き着いたときに判断したものなので審美眼は関係なかった。

 

「ふふっ、それじゃあ一つ面白いげぇむをしましょうか」

 

「ゲーム?」

 

「貴音がそんなこと言い出すなんて珍しいな」

 

「大体そういう発案者って良太郎だものね」

 

 クスクスと笑う貴音ちゃんから突然そんな提案が出された。

 

 

 

「今から良太郎には目隠しをしてもらい……誰とキスをしたのか、当ててもらいましょう」

 

 

 

「貴音!?」

 

「何言い出してんの!?」

 

「何それめっちゃ俺得」

 

 やろうやろう、今すぐやろう、さぁやろう!

 

「もしかして貴音、酔ってる?」

 

「まだ未成年故、飲酒はしていませんよ」

 

 そもそも食卓にアルコールの類いは登っていない。

 

「それとも……響も律子も、良太郎とキス、したくないのですか?」

 

「「………………」」

 

 結局、満場一致となった。

 

 

 

 

 

 

「これ客観的に見ると結構危ない絵面になってない?」

 

「分かってても言うんじゃないの」

 

 朝食のお節料理を片付けてからゲームの準備。俺はアイマスクをしてリビングのソファーに座り、三人からのキスを待つ。

 

「……えっと、まだ?」

 

「お待ちください」

 

「今順番決めてるから」

 

「絶対に負けない……!」

 

 既に視界が塞がれているため詳しい状況は分からないが、どうやら三人はジャンケンで順番を決めているらしい。……そうか、一応これが新年初キスになるわけだ。三人が俺のことを好きすぎる件について。俺も同じぐらい好きだけど。

 

「っ!」

 

「「……~っ」」

 

 誰かがガッツポーズをして他の二人が悔しがるような、そんな雰囲気。どうやら順番は決まったらしい。

 

「それじゃあ、始めるわよ」

 

「始めるぞ」

 

「始めますよ」

 

 

 

「……んぅ」

 

 暖かく柔らかい感触が唇に当たる。三人と夫婦になってから何度もしてきた口づけだが、それでもやはりドキドキとしてしまう。

 

「……え、ちょっ」

 

 一人目とのキスが終わると同時に二人目のキス。余韻に浸って誰だったのか考える暇もなく立て続けのキス。そしてそのまま待ちきれなかったかのように三人目からのキス。

 

「……普通こういうのってシンキングタイム的なインターバル挟まない?」

 

「あら? そんなものが無いと良太郎は誰か分かってくれないの?」

 

「さぁ良太郎、当ててみてください」

 

「分かんないなんて言わせないぞ~?」

 

 そんな挑発的な発言が聞こえてくるが……ぶっちゃけ簡単に分かってしまった。だって三人とも匂いが違うんだもん。優しい匂い、甘い匂い、暖かい匂い、全部違って全部大好きな俺の愛する人たちの匂い。間違えるはずがなかった。

 

 けれど、まぁ。

 

「……いやぁ、自信がないからもう一回ずつお願いしたいなー」

 

 今回のコレは結局のところ全員でイチャイチャしたいだけのお遊びなので、俺はおかわりを要求する。

 

「ふふっ、勿論ですよ」

 

「しっかりと当ててくれるまで」

 

「何度でもっ」

 

 二週間近く休みなしで働いたのだから……今日は存分にイチャイチャしよう。

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

 という夢を見ましたとさ。

 

「毎年のことだが、何でいつも俺は子どもになっているんだろうか……」

 

 え? 趣味? ……それじゃあ仕方がない。

 

 

 

 今年もよろしくお願いします。

 

 

 




・周藤良太郎(10)
法律が歪んだことにより労働基準法もへったくれもなくなった結果、この歳にして深夜まで働くことになったトップアイドル。他世界線よりも激務。

・「お水おいしい……」
あじゅじゅ「水は水です」

・カンガルーの肉
一連の流れがコントとして完成されすぎていた……。



 毎年新年恒例のショタ化恋仲○○。ぶっちゃけネタ切れだったため初期恋仲○○出演メンバーに再登場してもらいました。……え、恋仲○○シリーズの初回って十一年前???

 去年宣言した通り、2024年はずっと合同ライブでしたが2025年も半分ぐらいは合同ライブになると思います。もう少しだけお付き合いください!
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