アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

618 / 664
二番手はこの事務所のアイドルたち!


番外編93 帰ってきた志希ちゃんのオクスリパニック! 3

 

 

 

 それは、あり得るかもしれない可能性の話。

 

 

 

「123は強敵だった……」

 

「そりゃあ123プロは強敵だろう。他事務所のアイドルにとって」

 

「意味が違うんだよなぁ……」

 

 混迷を極めた打ち合わせを終えて命からがら123プロの事務所から脱出した俺は、護衛の恭也と共にダンスレッスンのためにスタジオへとやって来た。

 

「そういえば事務所にもスタジオはあったはずだ。何故わざわざ外部のスタジオを使うんだ? 自主練なんだろう?」

 

「いや、俺のレッスンを見学したいっていう子たちがいるんだよ」

 

「ふむ、つまり見取り稽古のようなものか……いやそれでも事務所のスタジオでいいことには変わりないだろう。そのアイドルを呼べばいいだけなんだから」

 

「いや……自分の都合で呼びつけるのって良くないと思う」

 

「正論だが今の状況と普段の言動をもう少し考慮しろ」

 

 そんなやり取りをしつつ更衣室でわざわざ用意した子どもの頃のジャージに着替える。

 

 それにしても、本当に母さんはどうしてこんなものまで取っておいたのだろうか。そしてマンション故に収納スペースが限られているはずの我が家の一体どこにこんなものをしまっておくことが出来たのだろうか。疑問は尽きない。

 

 着替えを終えてスタジオに向かうと、扉を開ける前から既に華やかな声が聞こえてきた。どうやら先に到着して待っていてくれていたようである。

 

「……む? 待て良太郎、お前自分の状況はちゃんと伝えて……」

 

「おはよーみんなー。お待たせー」

 

 ガチャリとドアを開く。うーん、我ながら挨拶がまるで小学生のようである。文字通り小学生なんだけど。

 

「って恭也、今何か言ったか?」

 

「……あぁ。『迂闊な行動をするな、このたわけ』と言った」

 

「ホントにそんなこと言った?」

 

 流石に文字数が違うということぐらいは分かる。

 

「「「「「おはようございまー……す?」」」」」

 

 室内に入って来た俺を認識したアイドルたちの挨拶の声が途中で疑問符に変わる。

 

「……あ、そういや小さくなったこと言ってなかった」

 

「たわけ」

 

 

 

「「「「「えええぇぇぇ!?」」」」」

 

 

 

 

 

 

「りょ、りょりょりょ、良太郎さん……なんですよね……!?」

 

「そうだよ。よく分かったね」

 

「いくら大きさが違えどその無表情は心当たりが一人しかいないにゃ……」

 

「よ、よもや禁断の呪術に手を出したというのか……!?」

 

「……うん、まぁ大体そんな感じかな。手を出したのは俺じゃないけど」

 

「ちょーかわいー! ねーねー、抱っこしていーい?」

 

「どうぞ!」

 

「どうぞじゃないこの馬鹿」

 

「ま、まるで物語の出来事のようですね……」

 

 

 

 というわけで、本日俺のダンスレッスンの見学をしたいと申し出たのは346プロから美波ちゃん・みくちゃん・蘭子ちゃん・唯ちゃん・文香ちゃんの五人である。シンデレラプロジェクトとプロジェクトクローネから、それぞれ不思議と仲が良い三人組と二人組で構成されたメンバーである。

 

 驚愕する美波ちゃん、呆れるみくちゃん、ちょっとテンションが高い蘭子ちゃん、さらにテンションが高い唯ちゃん、呆然としている文香ちゃんと、リアクションも様々である。

 

「というわけで、志希のバカがやらかしたせいでこんなことになっちゃってね」

 

「人体が縮むって一体どんな薬にゃ……」

 

 俺もそう思う。

 

「つ、つまりそれは時の摂理を打ち破る霊薬ということか……!?」

 

「いやそれは違……いや何も間違ってないな」

 

 現に俺の身体は過去に遡っているわけだし。行き過ぎた科学は魔法と変わらないっていうのは昔からよく言われていることではあるのだが、まさかこの身をもって体験することになるとは思わなかった。

 

「ぜ、是非我にもその霊薬を……!」

 

「流石にこれはやめといた方がいいと思うよ」

 

「ねーねー! リョータローくん! 一緒に写真撮っていーい!?」

 

 蘭子ちゃんがキラキラと目を輝かせながら詰め寄ってくるのを宥めていると、今度は唯ちゃんがキラキラと目を輝かせながらそんなことを尋ねてきた。

 

「SNSとかに挙げないって約束してくれるならいいよ」

 

「えー、それじゃあ他の人に個人的に見せるのはー?」

 

「んー……ギリオッケー」

 

「やった!」

 

「それは本当にいいの!?」

 

 123で既に何枚も撮ってきたし、唯ちゃんなら変なことに利用したりしないだろう。

 

「はいはーい! リョータローくん、目線くださーい!」

 

「ぴーす」

 

「あっ! わ、我も!」

 

「そういうことならみくも!」

 

 膝を付いて目線を合わせてくれた三人と共に、見上げように自撮りをする形になった唯ちゃんのスマホに視線を向ける。うーん、我ながら絵面が完璧におねショタ。

 

「にひひ、みんなに自慢しちゃおーっと」

 

「あっ! みくにも写真送って!」

 

「わ、我にも!」

 

「出来るだけ大事(おおごと)にしないようにねー」

 

 ……いやぁ、それにしても。

 

「圧巻だなぁ……」

 

 重ねて言うようだが、現在俺の身長は百センチちょっと。こうして唯ちゃんたちと並ぶと、少しだけ見上げる位置に彼女たちの胸が来るのである。先ほど同じ画角に収まるために身を寄せたときにも感じたことなのだが。俺が小さくなったことも合わせて迫力が凄い。めっちゃデカい。

 

「むっ、良太郎さんが変なところ見てるにゃ」

 

「なんてこと言うんだ! 全然変じゃないぞ! 自信を持っていい!」

 

「別に卑下したわけじゃないよ!?」

 

 是非ともそのトランジスタグラマーは誇ってもらいたい。

 

「あー、リョータローくんってばおませさーん」

 

「いや確かに見た目は小学生だけどね」

 

「え? ……あっ!?」

 

 ニヤニヤ笑う唯ちゃんと俺を見比べ、ようやく意味に気付いた蘭子ちゃんが顔を赤くして腕で自身の胸を隠すように抱き寄せる。

 

「蘭子ちゃん、そういう仕草は逆に喜ばせるだけだから後ろを向くといいにゃ」

 

「なんてことを!?」

 

 みくちゃんのアドバイスに従った蘭子ちゃんがこちらに背を向けてしまった。しっかりと危機管理を学べて偉いね。

 

 ……さて。

 

「それで、そっちはどんな感じ?」

 

「えっと……どうなんでしょう……?」

 

 先ほどから一切会話に参加していない二人に視線を向ける。

 

 そこには蹲っている美波ちゃんと、そんな彼女をオロオロと見守っている文香ちゃんの姿があった。

 

「……ダメ……ダメよ美波……相手は良太郎さんなの……落ち着いて……」

 

 ブツブツと何かを呟いているようなのだが、俺の位置からはよく聞き取れない。

 

「なんて言ってるの?」

 

「……すみません……よくわかりません……」

 

 様々な本で知識を蓄えているはずのFUMIXA(フミクサ)に分からないのであれば、俺には到底分からないようなことなのだろう。

 

「っと、そろそろレッスンしないとな」

 

 少し時間を使い過ぎた。この後の予定もあることだし、やることはしっかりとやっておかないと。

 

「……良太郎、ずっと思っていたことがあるんだが」

 

「悪い恭也、とりあえず一回通して踊ってみてからにしてくれるか」

 

 身体は小さくなってしまったが、それならそれでやりようはある。他のアイドルのレッスンを見てあげたときにも言ったように、ダイナミックに動くことで手足の短さをカバーする方法だ。これは逆に今まで説明してきたことを実践して証明するいい機会である。

 

「それじゃあ音楽流すよー」

 

 せーの!

 

 

 

 

 

 

「こひゅー……こひゅー……」

 

 

 

「だ、大丈夫にゃ!?」

 

「めっちゃ死にそうだよ!?」

 

 息が苦しい。身体が重い。関節が痛い。唯ちゃんの感想が冗談じゃなくなりそうなぐらい辛い。みくちゃん、心配してくれるのは嬉しいんだけど身体を揺さぶられると痛いから止めてほしい。

 

「やはりこうなったか……」

 

「は、覇王の身に起こりし呪いの正体を看破したというのか……!?」

 

「良太郎、お前は今、確か六歳か七歳ぐらいになってるって言ったな?」

 

「た……多分……身長的に……あっ」

 

 まさか。

 

「そうだ。今のお前は()()()()()()()()()()()の身体になっているということだ」

 

「なん……だと……!?」

 

 そういえば俺が恭也と出会い、そこから高町家と仲良くなったのは小学六年生になってからだった。今でこそ色々な人から体力お化けだのなんだの呼ばれているが、それ以前の俺はどこにでもいるただの小学生だった。

 

「か、完全に……失念していた……」

 

「そんな状態でトップアイドル『周藤良太郎』のときと同じ動きをすれば、身体が追い付かなくて当たり前だろう」

 

「うごごごご……」

 

 きっと界王拳を使った後の悟空はこんな感じだったんだろうなぁ……なんてことを考えながら天井を見上げていると。

 

「よ、よいしょっと」

 

「へ?」

 

 突然頭が持ち上げられたかと思うと、頭の下に何か柔らかいものが差し込まれた。そして視界の半分が何か丸みを帯びた膨らみで覆われて……。

 

 

 

「よしよし、無理しちゃダメだよ、良太郎君」

 

 

 

 ……み、美波ちゃん?

 

「にゃあ!? 美波ちゃん、いきなりどうしたにゃ!?」

 

「ひひひ膝枕ぁ……!?」

 

「あー! 美波ちゃんズルーい!」

 

「み、美波さん……?」

 

 蘭子ちゃんが思わず素に戻ってしまうほどの出来事が起こっている。具体的に言うと突然美波ちゃんが俺に膝枕をし始めた。

 

 ……つまり視界を覆うコレ、美波ちゃんの胸か。下から見上げると凄いなぁ……。

 

「えーっと、美波ちゃん? 膝枕してくれるのは嬉しいんだけど、いきなりどうしたの?」

 

「私、気付いたの」

 

「な、何に?」

 

 

 

「良太郎君は、私の弟だったんだなって」

 

 

 

 パターン(あね)! というかピンク! またこのパターンかよ!?

 

「美波ちゃんがぶっ壊れたにゃあああぁぁぁ!?」

 

「やはりここでもこうなったか……」

 

「えー!? それならゆいもリョータロー君のお姉ちゃんやるー!」

 

「はわわわ……!?」

 

「み、皆さん、落ち着いて……!」

 

 グルグルお目目で暴走する美波ちゃん、それに便乗しようとする天然の愉快犯唯ちゃん、プチ混乱している蘭子ちゃん……うーん、123に引き続きこちらでもこうなってしまったか。

 

 頑張れみくちゃん! 負けるなみくちゃん! 基本的に不干渉な恭也と、こういうノリについてこれない文香ちゃんには頼れないから、この場のツッコミ役は君一人だ!

 

 みくちゃんのツッコミが、次の予定(らいしゅう)までにこの場を収拾させると信じて!

 

 

 

「どないせぇっちゅーねん!」

 

 

 

 

 

 

「「……あ゛?」」

 

「誰だ!? 凛と加蓮に変なメッセージ送った奴!? というかどんなメッセージ送ったらこんなになるんだよ!? いや多分良太郎さん関係なんだろうけどさ!?」

 

 

 




・346プロ@二番手
まぁ当然この順番になるわけである。
ちなみにメンツは割とフィーリング。

・時の摂理を打ち破る霊薬
本家コナンでも似たようなこと言ってけど、結局あれ何がしたいんだか。

・行き過ぎた科学は魔法と変わらない
多分そこにいる恭也君ちの次女が別の世界で似たようなことしますよ。

・少しだけ見上げる位置に彼女たちの胸が来る
「身長比較したったー」でしっかりと確認済み。というかこの三人だと蘭子が一番身長高いってマジ?

・FUMIXA
声優CVのアレクサとか出ねぇかな。

・鍛錬をする以前の身体
ガチでただの小学生になっております。

・美波@お目目グルグル
アイ転のみなみんはいつもお目目グルグルしてんなぁ……。

・「「……あ゛?」」
オチ担当。



 二番手は当然346プロです。良太郎ガチ勢の加蓮が不参加の理由は、女の子としての尊厳を守ってあげるためです。直接目にしなくてよかったね、加蓮。

 あと二話続きまーす!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。