アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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とあるキャラのサプライズ登場!


番外編95 帰ってきた志希ちゃんのオクスリパニック! 5

 

 

 

 それは、あり得るかもしれない可能性の話。

 

 

 

「765は強敵だった……」

 

「それはライブ的な意味か?」

 

「それもある……」

 

 混迷を極めた舞台裏での一件の後しっかりと公演を鑑賞した俺は、護衛の恭也とともに本日最後の予定である集会メンバーとのカラオケへと向かっていた。

 

「今度こそちゃんと状況を伝えたんだろうな?」

 

「一応伝えてはいるんだが……」

 

 今日はここまで『123での打ち合わせ』だったり『346とのダンスレッスン』だったり『765の公演鑑賞』といった予定をこなしてきたわけだが、今回の予定に関しては少々事情が違う。

 

 それは今から会う人物たちの内、俺が『周藤良太郎』だということを知っているのが()()()()()だけだということだ。

 

「それは別にお前が幼児化したことと関係無いんじゃないか?」

 

「俺が『周藤良太郎』だっていう前提がないと()()()()()()()()()()の説明が出来ないだろ」

 

「……確かに」

 

 俺が小さくなった原因は勿論、先ほど『今日のお昼はママさんと宅配ピザ~』なんて状況に反して緊迫感の欠片もないメッセージを送ってきやがった志希(バカ)である。いやアイツマジで何してるんだ。失踪していないこととリトルマミーが楽しそうなことは評価してやるがもっと真面目に薬作れ。

 

 そんな『一ノ瀬志希』との関係を説明するとき、俺が『周藤良太郎』ではなく『アイドルオタクのリョーさん』だと色々と面倒くさいことになるのである。

 

「そんなわけで、今回は『周藤良太郎』であることを隠すと同時に『アイドルオタクのリョーさん』であることも隠そうと思います」

 

「また色々と面倒くさいことになりそうなことを……」

 

 だってしょうがないだろ! 詳しく説明しない方が後々楽になるんだから!

 

「とはいえ全員に隠すっていうのも難しいから、俺が『周藤良太郎』だということを知っているみのりさんと亜利沙ちゃんの二人には先に話しておこうと思う」

 

 正体を隠すとなると、護衛としての恭也を同席させるわけにもいかない。今回の恭也はカラオケ外で待機してもらうことになるし、一応の護衛役をみのりさんにバトンタッチしてもらおうという魂胆でもあった。

 

「……まぁ、その辺りが妥協点だろうな」

 

 

 

 そんなわけで、集合時間前に二人と待ち合わせして合流。

 

「……という事情がありまして、この有様です」

 

「「……………」」

 

 絶句していた。正直この二人ならばとてもいいリアクションをしてくれるんじゃないかと思っていたのだが、予想外に静かな衝撃を受けていた。

 

「みのりさん? 亜利沙ちゃん?」

 

「はっ!? ご、ごめん! あまりの出来事に思わず……」

 

「こ、こんなことしてる場合じゃありませんでしたね!」

 

 俺が声をかけるとみのりさんと亜利沙ちゃんが我に返ってくれた。

 

「すみません、ぼーっとしてしまって……それで幾らですか?

 

「俺としたことが、支払いが先だったね

 

「ちょっと落ち着こう」

 

 流れるように財布を取り出した二人を制する。なんとなくこうなるような気はしてた。

 

「もしかして振り込みの方が良かったですか?」

 

「まずは金銭を支払うという発想を捨てよう」

 

「そんな! こんな素晴らしいコンテンツが無料だなんて勿体ないよ!」

 

「コンテンツって言うな」

 

 気軽にお金を出そうとする二人に対して「お金は大事なんだぞ!」と説教する。

 

「この番外編シリーズが始まる前の本編でお前が何をしていたのかを言ってみろ」

 

「あれは必要経費なのでセーフ!」

 

 十五分ほど説教と説得をしたことでようやく二人とも財布をしまってくれた。

 

「話が脱線したから本線に戻すけど、今回の集会で俺は『周藤良太郎』や『アイドルオタクのリョーさん』であることを他のメンバーに隠したいから、その手伝いをして欲しい」

 

「それは別にかまいませんが……その場合、リョーさんはどのような立ち位置で参加をするのですか?」

 

「リョーさんの親戚の子どもってことにしようと思う」

 

「なるほど、『アイドルオタクのリョーさん』が自身の後継者としての器を見出した子どもを自分の代わりに集会へと参加させる……そんなストーリーだね?」

 

「そこまでは言っていない」

 

 とりあえず二人の了承を得たことで、いよいよ集会メンバーとのカラオケ本番である。

 

「そういえば、正体を隠すとなるとお名前はなんとお呼びすればいいんですか?」

 

「そうだなぁ……」

 

 

 

 

 

 

「皆さん初めまして。侑斗(ゆうと)です。今日はリョーさんの代理として参加させていただきます」

 

「ショタだぁぁぁ!?」

 

 俺を見るなりいきなり叫びだしたりあむちゃんの後頭部を結華ちゃんが引っ叩いた。

 

「ごめんねー侑斗君、このピンク色の頭のお姉ちゃんは頭が悪いから気にしないでねー」

 

「頭は悪くなっ……! あ、いや……」

 

「りあむん、自覚出来て偉いよ」

 

「大丈夫です。自分にそういう需要があることは自覚しています」

 

「予想以上にサラブレッドね!?」

 

 しゃがんで俺と目線を合わせながら彼女は「初めまして」と挨拶をしてくれた。

 

「私は()()()。よろしくね、侑斗君」

 

「はい、よろしくお願いします冬優子さん。太もも素晴らしいですね」

 

「ま、間違いなくリョーさんの血縁者ね……」

 

 苦笑と共に「このおませさん」と額を人差し指でトンッとされてしまった。

 

 

 

「それにしても、リョーさんにこんな可愛い親戚の子がいたなんてねぇ」

 

「なにも無表情まで似なくてもいいんじゃないかなってぼくは思うわけよ」

 

 ムチムチした太ももの冬優子ちゃんとバインバインした胸のりあむちゃんに挟まれ、俺は今大変楽しいです。

 

(リョーさん、なんだかんだ言ってショタ化した今の状況を楽しんでるなぁ)

 

(うーん、リョーさんのポジションも羨ましいですし、冬優子ちゃんやりあむちゃんのポジションも羨ましい……)

 

(……いやいや、冷静になってみれば、どう見てもリョーさん本人じゃん。まーた変なことに巻き込まれてるのかこの人……なんだろう、志希ちゃんの変な薬でも飲んじゃったとか?)

 

 対面に座る三人からの視線が生暖かい。言っておくがその程度の視線で俺が怯んだり臆したりするとは思わない方がいい。

 

(それにしても)

 

 冬優子ちゃんとりあむちゃん、二人とも『リョーさん』と接するときと比べると少し印象が違った。

 

「侑斗君、何か食べる? お菓子でもなんでも好きなもの注文していいのよ」

 

 冬優子ちゃんは普段は少しだけ猫を被っていてあまり素の自分を見せてくれないが、年下の子どもに対しては少しだけ素の冬優子ちゃんが……面倒見のいいお姉さん気質な一面を見せてくれた。

 

「侑斗君はこのアイドル知ってる? ぼくはデビュー当時から好きでさぁ……侑斗君は今一推しのアイドルっているの?」

 

 一方のりあむちゃんはいつもと変わらない様子……と思いきや、普段の捲し立てるようなアイドルトークが鳴りを潜め、しっかりとこちらの言葉を待ってくれている。どうやらこう見えて年下には年長者らしい対応が出来るようである。

 

 総じて、二人ともお姉ちゃんヂカラが高い、ということだ。

 

(あぁ、本日四件目の用事にしてようやく心落ち着く展開に……)

 

 ……ん? あれ? なんだ? 急に嫌な予感がしてきた。フラグか? 今の思考がフラグだったか?

 

 首の裏辺りにチリチリとする感じを覚えていると、恭也からのメッセージが届いた。

 

『すまん。これは止められん。覚悟した方がいいぞ』

 

 怖い怖い怖い。何が起きるんだ。

 

 恭也が護衛を放棄するような発言をするということは、直接的な被害を被るような状況ではないだろう。それでいて恭也が見逃して、なおかつ俺が覚悟しなければいけないこととなると……考えられるのは――。

 

 

 

「お邪魔しまーす!」

 

 

 

 ――(りん)、だよなぁ……。

 

「あれ、リンさん!?」

 

「なんでここに!?」

 

 りんも『朝比奈りん』ではなく『リョーさんの恋人のリン』として既に全員と面識があった。そんなりんの登場に俺を含めてその場の全員が驚く。

 

()()()()()()()がこっちに来てるって聞いたから」

 

「あ、リンさんもご存じでしたか」

 

「勿論」

 

 結華ちゃんからの問いかけに、りんはニッコリと笑った。

 

 

 

「アタシとりょーくんの息子です」

 

 

 

『『『『『はぁ!?』』』』』

 

「ぶふっ」

 

 その場にいた全員がクソデカボイスで驚愕し、変な緊張感に喉が渇いてジュースを飲んでいた俺は盛大に噴き出した。

 

 りんさんや……すごく可愛い笑顔でとんでもない爆弾を落っことしてくれたな……そんなに連絡しなかったことが気に入らなかったんですか……?

 

「リョリョリョ、リョーさんの息子ぉ!? この子がぁ!?」

 

「た、確かに面影ある……というか言われてみればそうとしか見えないわね……!?」

 

(うわぁ、りんさん凄いことぶっこんで来るなぁ……)

 

(正直事情を知ってる亜利沙たちですら信じちゃうクオリティの嘘ですよねぇ……)

 

(え、もしかして本当に……? 正直リョーさんが小さくなったっていうよりはこっちの方が信憑性高いけど……)

 

 事情を知っている組ですら困惑する中、りんはりあむちゃんを押しのけて俺の隣に座った。ソファーから押し出されたりあむちゃんが「ぶぎゅつ」と無様な声で床に落ちる。

 

「ゆーくんってば、ママが大好きだからって綺麗なお姉さんにばっかり懐いちゃうんだから。きっとパパに似たのねぇ」

 

「ふむぐっ」

 

 反論や言い訳の言葉は全てりんの胸によって塞がれてしまった。いやまぁ今の俺が何を発言したところで俺が『リョーさんとリンの息子』という情報を訂正することは難しいんだろうけど。幼児化なんかよりもよっぽど信じられる話である。

 

(……しかし詰めが甘いな、りん)

 

 頑張ってりんの胸から脱出する。口さえ出せればこっちのもんだ。

 

 

 

「今日は早く帰ってこれたんだね、ママ

 

 

 

「ごふっ」

 

 

 

「血ぃ吐いたけど!?」

 

「息子にママ呼ばわりされて吐血するの!?」

 

「どんだけ息子のこと好きなんだこの人!?」

 

 結局最後もこうなるわけである。志希の怪しい薬の騒動に巻き込まれて、何事もなく終わるわけがないのであった。

 

 

 

 こうして、二度目になる『一ノ瀬志希による薬物騒動』は最後の混迷を深めていくこととなるが、翌日無事に完成した元に戻る薬によって騒動は幕を閉じることとなる。

 

 

 

「……良太郎さん、年下の姉というものをどう思いますか?」

 

 

 

「え、えっと……お、お姉ちゃんの膝枕は、いかがですか?」

 

 

 

「……ま、ママって、呼んでみてくれません……!?」

 

 

 

 ……一部のアイドルの脳に深刻なエラーを残したまま。

 

 はい、めでたくないめでたくない。

 

 

 




・集会メンバー@四番手
最後は事務所に属さない特殊組です。越境Pならば一度は夢見たメンバー。

・「侑斗です」
良太郎の親戚なら幸太郎かなって思ったけど兄貴の名前として使用してたから義兄の名前を使用しました。
無表情だけど伸びしろがありそうな侑斗をよろしく!

・「私は冬優子」
本編ではまだ集会未合流のふゆが先行登場!
果たして彼女は「ふゆ」なのか「冬優子」なのかは本編での本格登場を待て!

・嫁、襲来。
やっぱり最後は真の良太郎ガチ勢に来てもらわないと……。

・「アタシとりょーくんの息子です」
やっぱりりんじゃなきゃこういうことは言えねぇよなぁ!

・「ごふっ」
なお即行で返り討ちにあう模様。



 五週にかけてお送りしましたオクスリパニック編第二弾、これにて終了です! 久しぶりにショタ成分が書けて作者は満足しています!

 次回以降の予定ですが、申し訳ありませんがまだ未定です。シャニマス編のメインストーリーはだいたい固まって来たので、もう少しだけ肉付けしてから本編を再開させていただきます。

 もう少しだけ時間稼ぎにお付き合いください……。
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