アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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まだまだ続くよ説明回!

※今回からちょっと書き方が変わっております。


Lesson457 アイドル春の時代 3

 

 

 

「まさかお前と仕事現場で一緒になる日が来るとはなぁ……」

「良太郎って涙出るんだ」

「オイコラ」

 

 とある日、歌番組の収録現場で偶然にも美琴と一緒になった。あのレッスン狂いで一切表舞台に出ようとしない美琴と、こうして一緒に仕事が出来るなんて……と思わず目に光るものが浮かんでしまいそれを指で拭う。

 

 しかしそんな感動も美琴の無慈悲な発言によって引っ込んだ。人をなんだと思ってるんだ。

 

「社長とプロデューサーが『お前は現在283プロの看板アイドルなんだからもっとメディアに出ろ』って煩くて……」

「おかしい……アイドルとしては至極当然のことを言っているだけなのに、何故そんなにも『理不尽な要求をされた』と言いたげな不満顔になれるんだ……?」

 

 舞台裏に用意されたパイプ椅子で待機しつつ、美琴の現状に耳を傾ける。

 

 八事務所合同ライブに出演したアイドルは全員例外なく知名度が跳ね上がっており、そんな中でも『ほぼ無名』でありながら『周藤良太郎や魔王エンジェルと同期』という異質な存在に注目が集まらないわけないのである。

 

 283プロは天井社長が一代で築いた新興事務所のため、今が名を上げる最大のチャンスなのだろう。

 

「っと、そういえばプロデューサーさんが入ったんだったな」

「うん。スカウトもオーディションも色々頑張ってる」

「……一人で?」

「社長も一緒だよ」

「それはほぼ一人なんだよ」

 

 基本的に経営者はカウントしない。

 

 ……以前から常々思ってたんだけど、この世界における『プロデューサー』という職種に対する仕事量がおかしい気がする。765の赤羽根さんも346の武内さんもシアターの門司さんも、明らかに一人でプロデュースするアイドルの数じゃないのである。

 

 いや、もしかしておかしいのは俺の認識の方だったりするのか? あくまでも俺の認識は前世にのみ通用するもので、カラフルな髪色と同じようにこの世界だと一般的なことだったりするのか?

 

「それを言うなら、社長とプロデューサーとその他事務も兼任してる良太郎のお兄さんはどうなるの?」

「あれは別枠」

 

 バグキャラを人間と並べてはいけない。

 

「プロデューサーが張り切ってるっていうのもあるんだけど……今は『アイドルになりたい』『アイドルに興味がある』っていう子が沢山いるみたいで、凄く忙しそう」

「合同ライブから三ヶ月ぐらいしか経ってないっていうのに、あっという間に所属アイドルが九人らしいじゃないか」

「そこからさらに七人増えたよ」

「十六人!?」

 

 いや一気に増えすぎでは。本当にプロデューサーさん一人で大丈夫なのか心配になる。

 

「これが良太郎たちの言っていた『アイドル春の時代』ってやつなんだね」

「大体あってはいる……あってはいるんだけどなぁ」

 

 流石にこれは新興事務所である283プロに伸び代があっただけだと思う。そうでなければ765プロとか346プロとかが大変なことになってしまう。特にキワモノが多い346プロなんて一体どうなってしまうことやら。

 

「でも良太郎、私、思ったことがあるんだけど」

「どうした? さっきのリハで気になるところでもあったか?」

「いや、この話の流れでいきなりそんな話に飛ばないよ。『アイドル春の時代』で気になったことがあるの」

「っ!?」

「いやそんな息を飲まれても」

 

 あの美琴が自身のパフォーマンス以外に興味を持ったことに思わず驚愕してしまった。

 

「それで何が気になってるんだ?」

「……凄く単純な話で、多分私が気にするようなことじゃないとは思うんだけどさ」

 

 美琴はそう前置きをしてから、純真無垢な視線のままコテンと首を傾げた。

 

 

 

「アイドル、()()()()()ことは問題にならないの?」

 

 

 

「……………」

「あれ、やっぱり的外れだった?」

「いや、それを美琴から指摘されるとは思わなかったから純粋に驚いてる」

「失礼な」

 

 そう、俺や麗華たちが目指した『アイドル春の時代』にも懸念点が存在する。何事も全てが上手くいくなんていう美味しい話は存在しないのだ。

 

 先日ニコちゃんからも指摘された問題、それはズバリ『アイドルの飽和』である。

 

「お前の言う通り、アイドルの数が増えすぎるっていうのは良いことばかりじゃない」

 

 テレビ・ライブ・舞台・CM・その他、アイドルの仕事は多岐に渡る。そしてそれらに起用される『アイドルの枠』というものは有限である。そうでなければオーディションなんてものは存在しない。

 

 そしてアイドルの数が増えるということは、()()()()()()()()()も当然のように激化するのである。

 

「俺みたいな既に人気を確立しているアイドルはまだいいが、現在進行形で名前を売っている最中のアイドルにとってはなかなか厳しい時期かもしれないな」

「……それって、本当に春なの? なんだか就職氷河期みたいだね」

「まぁ実際お祈りメールも届くしな」

「良太郎にも届いたことあるの?」

「ない」

 

 基本的にオファーの方が多かった上に、俺がやりたい仕事っていうのはほぼ「え、貴方がこれやるの!?」みたいなやつばっかりだったから、幸い一度もお祈りされることはなかった。

 

 それだけ微妙な仕事ばかりしていても、それ以上に『周藤良太郎』が『周藤良太郎』として活躍出来るオファーが向こうから飛び込んできていたということだ。自慢に聞こえるかもしれないが、それがトップアイドルとしての人気というものなのである。

 

「でも俺たちだって考えなしに『アイドル春の時代』を目指したわけじゃないんだぞ」

「へぇ」

「よし、折角だから俺が説明しようじゃないか」

「……そういうのって経営戦略とかそういう話にならない? ここで話していいの?」

「そこまで大した話じゃねぇよ」

 

 手荷物の中から伊達メガネを取り出して装着する。デュワッ!

 

「『佐久間流周藤良太郎学~特別編・アイドル春の時代について~』はーじまーるよー」

「わー」

 

 美琴のパチパチと力無い拍手が響く。元々期待はしていなかったが『周藤良太郎本人がそれやるんかい』みたいなツッコミはやはりなかった。やっぱりツッコんでくれる人がいないとボケ甲斐がない。今からでもいいから志保ちゃん辺り来てくれないだろうか。

 

「指摘されたように『アイドル春の時代』にはアイドルの飽和という問題があり、それを解決するための策がいくつか考案、または実行されている」

「ふんふん」

「一番分かりやすいのは……コレだな」

「……りんのグラビア?」

「そっちじゃなくて」

 

 いやこれはスマホの待機画面を嫁のグラビアに設定していた俺が悪いな。

 

「アイドルの活動の場を『ネット配信』へと広げるっていう話だ」

 

 テレビやライブには全てのアイドルが出演出来ない最大の理由は純粋に『時間が足りない』というものだ。

 

 その点、ネット配信に時間制限という縛りは殆ど存在しない。生放送に拘らなければ、個人でも自由に動画を配信することが出来る現代において、これ以上ないアイドルの活躍の場であると言ってもいいだろう。

 

「そういえば最近、動画サイトでスクールアイドルをよく見るようになった」

「特にテレビやライブでの活動の場が殆どない学生にとって、一番簡単に自分たちを知ってもらえる手段だからな。利用しない手はない」

 

 昔はアイドルが『職業』である以上、金銭的な問題が常に付きまとうことになった。しかし今は『趣味』としてアイドルを楽しめる時代である。私服でもいい。他人の曲でもいい。歌って踊れば誰だってアイドルなのだから。

 

「ついでに言うと、そのスクールアイドルも()()()()()()()()だ」

「え? アイドルの飽和の一因じゃなくて?」

「それは否定しないが、それ以上に『アイドルを目指す学生の受け皿』として期待されてるんだよ」

 

 アイドルをプロ野球選手と例えるならば、スクールアイドルは高校球児。本気でアイドルを目指す人たちにとっての一つの目標として役割を期待しているのだ。

 

「……え、それじゃあ麗華がスクールアイドルの企画を進めてたのは」

「そう、()()()()()()()()()()()()んだよ」

 

 あいつは最初から『アイドルの飽和』という未来を見越していた。『冬』を超えるための行動であると同時に、『春』を迎えた先のことも見据えていたということだ。

 

「麗華、そんなことも考えてたんだ」

「本当にアイツ、トップアイドルではあるけど根っこの部分は経営者だよ」

 

 自分たち『魔王エンジェル』のセルフプロデュースだけでなく芸能科の運営や後進の育成まで行っているのだから、麗華も十分兄貴レベルのバグキャラだと思う。

 

「……けどまぁ、流石に経営者としては()()()()()()()がいたわけだけど」

「え?」

 

 以前、俺は『麗華のUTX学園だけではなく新たなアイドル養成学校の開校が迫っている』と言った。具体的にはLesson402。

 

 それは八事務所合同ライブ開催前の話であり、麗華が一歩抜きん出ていただけで、その時点でそういう動きが始まっているだけでも十分早い方である。

 

 ……しかし『彼ら』は俺たちの想像よりもずっと早く動いていたのだ。

 

「『初星学園』って知ってるか?」

「そりゃあ……」

 

 それは、あの美琴が即答するレベルで有名な中高一貫の私立の学園である。

 

「今年の春からアイドル専門コースが開校するんだと」

「へぇ。でもそれは別に今は珍しくないでしょ? アイドルスクールなんていろんなところにあるし、芸能科だってそれこそ……」

「そうだな、開校するのがアイドルコースだけだったら珍しくなかったんだ」

「?」

 

 

 

「アイドル専門コースと同時に()()()()()()()()()も創設しちまったんだよ」

 

 

 

「……えっ!?」

 

 思わず美琴が大声で驚いてしまうのも無理はない。俺もそれを知ったときは事務所で兄貴と一緒に絶叫してしまったほどである。

 

「いやまさか『アイドル専門コースを創る』っていう情報を隠れ蓑にして『芸能プロダクションを創設する』っていう本命の情報を隠しきるとは。恐れ入るよ」

「……先月、ともみから『多分ないだろうけど、今は麗華に用事があっても連絡しちゃダメだよ』ってメッセージが届いたときがあったんだけど」

「それ多分その事実を知って麗華が大爆発してた時だな」

 

 裏を探りきれなかった事務所の人間以上に、それに気付けなかった自分に対する怒りで荒れまくってたなぁ、あのときの麗華。ともみとりんは慣れたものでケラケラ笑ってたけど。幼馴染たちの距離感がちょっと怖くなった。

 

「ちなみに創設理由を聞いたらもっと驚くぞ。何せ一人の男の『孫娘をアイドルにしたい』っていう、それだけの理由なんだから」

「なにそれこわい」

 

 一度会ったことはあるが、ホントやってくれるよ十王(じゅうおう)の爺様。これはきっと倉本(くらもと)の爺様も一枚噛んでると俺は読んでいる。

 

 果たして、この100(じゅうおう)プロダクションと『私立初星学園』はアイドル界にどんな嵐をもたらすというのだろうか。

 

 

 

 ……まぁ、なんとなくこれはもう少し先の話になりそうだけど。

 

 

 




・「十六人!?」
初期人数+美琴=17人のはず。ということは……?
※誰かが未所属になるというわけではないのでご安心を。

・『アイドルの飽和』
アイドル増えたら仕事の方が足りないんじゃない? という単純な話。

・デュワッ!
モーロボシダンノー

・アイドル専門コースと同時に芸能プロダクションも創設しちまったんだよ。
シャニマス編にも関わらず突然生える学マスの設定。
※当初アイドル専門校という設定にしてしまっていましたが、普通科の存在を忘れていたため修正しました。

・十王の爺様
・倉本の爺様
アイ転世界ではこうなった。



 シャニマス編なのにラブライブと学園アイドルマスターの話しかしてねぇなぁ!

 というわけで学マス編への布石をここで入れておきます。果たして何年後になることやら。



『どうでもいい小話』

 一週間ずっと765ASのアーカイブを観て過ごしてきました。

 次の一週間はシャニのアーカイブを観て過ごします。(まだ観てない)
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