アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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イルミネ結成回スタート!


Lesson463 夜空を彩る星々のように

 

 

 

『アイドルに興味はないかな?』

 

『アイドルになって、新しい世界を見てみないか?』

 

 それが、突然私にかけられた言葉。

 

「私でも、新しい世界……見ることが出来ますか?」

 

 私は差し伸ばされた手を取った。

 

 それが、私の新しい世界の始まり。

 

 

 

 

 

 

「えっ!? 櫻木さん、本当にアイドルになるの!?」

 

 そう口にしてから私は慌てて自身の口を手で覆った。幸い私の言葉は他のクラスメイトの耳には入らなかったらしく、普段と変わらないお昼休みの風景が広がったままだった。

 

「そっか、決心したんだね」

「うん。相談に乗ってくれてありがとう、高町さん」

「にゃはは、私は何にもしてないよー」

 

 櫻木さんから一緒にお昼を食べようと持ちかけられたときはまた相談事かと思ったが、これは素敵な報告だった。

 

「……ちなみに『アイドルになる』っていう話をすること、許してもらってる?」

「うん。プロデューサーさんに『同じクラスにアイドルのお友だちがいるから、その子には伝えてもいいか』って話したら『いいよ』って」

「そっか、よかった」

「あ、ちゃんと高町さんの名前は出してないからね」

「うーん、ちゃんと配慮が出来てて櫻木さんは偉いなぁ……」

 

 その辺りの情報管理はしっかりとしているようで安心した。さらっと雑談の中で爆弾情報を落としていくどこかのトップアイドルもこうであって欲しい。

 

「何処の事務所なの?」

「283プロってところ。私、アイドルのことは不勉強で知らなかったんだけど……多分高町さんは知ってるよね」

「うん。『緋田美琴』の所属事務所で、最近だと『L'Antica』が人気だよね」

「ほわぁ……高町さん詳しい……283プロって本当に凄い事務所だったんだ……」

 

 たまたま知っていただけではあるが、それでも283プロが凄い事務所だということは事実だろう。先月までは美琴さんしか所属アイドルがいない事務所だったにも関わらず、僅か一ヶ月余りで『L'Antica』という新人アイドルユニットの知名度が伸びている。余程経営陣の手腕がいいのだろう。

 

「それにしても……そっかー、本当に櫻木さんもアイドルかー。これで私たちも『アイドル仲間』だね」

「あいどるなかま……?」

「うん。事務所は違うけど、一緒にアイドルとして活動していく仲間」

 

 アイドルとして活動していく以上、オーディションやコンテストで上下を決めなければいけないときは必ず来る。それでも私は『アイドル』はみんな仲間だと、そう思っている。

 

「わ、私なんかが、いいのかな……高町さんはもう凄い人気のアイドルなのに……」

「人気があるとか知名度があるとか、そんなの関係ないの!」

 

 なにせ一番人気も知名度も高いあの人があんな感じなのだから、私レベルがそんなことを気にしていたら笑われてしまう。あの人は笑わないけど。

 

「だからこれからもよろしくね、()()ちゃん」

「っ、うん、よろしくね、()()()ちゃん」

 

 

 

 

 

 

「シャオラッ!」

 

「うわビックリした」

「急に大声出さないでください」

「どうしたんですかぁ?」

 

 恵美ちゃんは驚き、志保ちゃんは苦言を呈し、まゆちゃんは首を傾げる。

 

 123プロのラウンジで突然ガッツポーズをしたのは、当然理由があった。

 

「実は明日の予定がリスケされて夕方に時間が出来たんだよ」

「へー、良かったですね」

「何がご予定でも?」

「実はずっとライブに誘われててね」

 

 しかし全く予定が合わずに観に行けなかったが、今回ようやくリスケに成功したため、夕方から開催されるライブに参加が出来るようになったわけである。

 

「ライブかー。そういやアタシたちも最近ライブって観に行けてないねー」

「そうですねぇ、良太郎さん以外のライブは殆ど参加出来ていませんねぇ」

「まゆさん、良太郎さんのライブには全通してるって冷静に考えると怖いですよね」

「私、リスケ得意なんですよぉ」

「それでリョータローさん、誰のライブなんですか?」

「この子たち」

 

 恵美ちゃんからの問いかけに、俺はライブの告知チラシを広げることで返答した。

 

「283プロの……」

「『L'Antica』さん、ですかぁ」

「美琴さんの事務所の新人アイドルユニットですね」

 

 三月にデビューをした直後から結華ちゃんのお誘いを受けていたのだが、ずっと「ごめんね」と謝罪をし続けなければいけないのが心苦しかった。しかしそんな日々にも今回でおさらばである。

 

 ちなみにみのりさんと亜利沙ちゃんとりあむちゃんはリリイベからしっかりと参加しているらしい。普通に悔しいし羨ましい。俺だってリリイベから参加の古参勢を名乗りたかった。

 

「三峰結華さんは良太郎さんのアイドルオタク仲間の集会メンバーですし、白瀬咲耶さんは良太郎さんの高校の後輩さんでしたねぇ」

「え、そうなん?」

「うふふ、良太郎さん関係でまゆの知らないことはあんまりないですよぉ」

 

 ……結華ちゃんの話はしたかもしれないけど、白瀬の話をしたことあったっけ。白瀬も既に高校卒業済みのため、制服から特定っていうことも出来ないと思うんだけど。

 

「……わっ、この子おっぱいスゴッ!?」

「なるほど、この方が目的ですか」

「純粋に友人と後輩を応援するために行くんだけなんです信じてください」

 

 当然信じてなんてもらえなかった。

 

 

 

 

 

 

「ライブ、ですか?」

「あぁ」

 

 放課後、『今から時間あるかな』という連絡を貰ったので事務所へ向かうと、プロデューサーさんから「実際のアイドルのライブを観に行こう」という提案を受けた。

 

「櫻木さんは今までアイドルのライブって直接見たことあるかい?」

「えっと……テレビでしか観たことありません」

「そうか、それなら丁度よかった。実はこれから『L'Antica』がライブをやるんだ」

「アンティーカ……」

 

 それはなのはちゃんの口からも出てきたアイドルユニットで、私が283プロというものを調べたときに『緋田美琴』の次に出てきた名前でもあった。

 

「一ヶ月だけだけど、一応先輩アイドルのライブだ。実際のライブがどんなものか、是非肌で感じ取ってほしい」

「は、はいっ」

 

 そうしてプロデューサーさんに連れられてやってきたのは、街中にあるライブハウスだった。当然こんなところには来たことがないので、ドキドキしながら地下へと続く階段を下りていく。

 

 受付とかチケットとかはどうすればいいのだろうなんてことを考えていると、プロデューサーさんから渡されたものは『関係者』のネームタグ。それを見て「あ、そうか、今は私も()()()()なんだ」と少し不思議な気持ちになった。

 

「後ろの方で見ることになっちゃうけど……」

「いえ、全然気にしません」

 

 会場に入ると、既にステージ前方は大勢の人たちが集まっていた。あの人たちの中に割って入っていくなんて、想像しただけでも目が回りそうである。

 

 関係者のタグも付けていることだし、私とプロデューサーさんは最後方の壁際からライブを見ることになった。ここまで後ろに下がると人だかりを嫌がるような人しかいないため、空間的にも大分ゆとりがあった。

 

 そして私たち以外にも、壁際からステージを見ている赤い眼鏡の男性がいた。

 

「お隣失礼します」

「はい。……あれ?」

「あっ」

 

 プロデューサーさんが声をかけると男性は首を傾げ、そんな男性を見てプロデューサーさんは驚いた様子で声を上げた。

 

「す、周藤さん……!?」

「お早い再会でしたね、夏目さん。お疲れ様です」

「お、お疲れ様です」

 

 どうやらプロデューサーさんの知り合いらしい。

 

「……もしかして、その子ですか? 『三人目』」

「っ」

 

 男性の視線がこちらに向いたので、思わずドキリとしてしまった。赤い眼鏡の向こうの瞳と視線が合う。何故かずっと無表情のままなので少しだけ不気味な印象を受けるが……不思議と優しい眼をしているような気がした。

 

「はい。先日283プロにアイドル候補生として入所した櫻木真乃さんです」

「さ、櫻木真乃です、よろしくお願いします」

 

 未だに男性の素性が分からないままではあるが、プロデューサーさんがこうして接しているということはきっとアイドル業界の人なのだろう。

 

『アイドル業界って、偉い人が結構その辺を歩き回ってたりするから気を付けて……って言っても気を付けようにないだろうから、心の準備だけはしておいた方がいいの』

『そ、そうなの?』

『そうなの。それはもうビックリするぐらいいきなり湧いて出てきたりするから』

『湧いて出てくるの……!?』

 

 なのはちゃんとした会話を思い出す。まさか早速こんなことになるなんて思いもしなかった。

 

「櫻木さん、この方は……えっと」

 

 次は男性の紹介の番になったのだが、何故かプロデューサーさんは男性に何かを窺うような視線を向けた。

 

「大丈夫ですよ。別に全員に正体隠してるわけじゃないので」

「分かりました。櫻木さん、多分ビックリするだろうけど、落ち着いて聞いて欲しい」

「は、はい」

 

 そんな前置きをされて身構えてしまった。

 

「……こちら、スドウリョウタロウさんだ」

「初めまして。スドウリョウタロウです」

「は、初めまして」

 

 ペコリと下げた頭の中で男性の名前を反芻する。

 

 『スドウリョウタロウ』と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、言わずと知れたトップアイドルの中のトップアイドル『周藤良太郎』さんである。しかしそんな人が小さなライブハウスにいるはずがないと、無意識の内に候補から除外しようとしてしまった。

 

『それはもうビックリするぐらいいきなり湧いて出てきたりするから』

 

 しかし、なのはちゃんの言葉を思い返してしまう。

 

「あ、あの、すみません」

「ん?」

「す、『スドウリョウタロウ』さんって、まさかあの『周藤良太郎』さんだったりするんですか……?」

 

 我ながらおかしな質問になってしまったと思う。しかしプロデューサーさんはそれを笑わず「あぁ、そうなるよね……」と優しい眼になった。

 

「うん。櫻木さんが真っ先に思い浮かんだ人であってるよ」

「……………」

 

 肯定されてしまった。それで間違いないと言われてしまった。

 

 つまり、今私の目の前で小さくヒラヒラと手を振っている男性が……!

 

 

 

 咄嗟に自分の口を手で押さえた私は、きっとこれまで生きてきた中でも五本の指に入るぐらい俊敏な動きだったと思う。

 

 

 




・さらっと雑談の中で爆弾情報を落としていくどこかのトップアイドル
聞いてるか主人公。

・名前呼びイベント
別に教室の入り口から悲しそうな目でこちらを見ている金髪少女とかは存在しません。

・「この子おっぱいスゴッ!?」
こがたんをこの子呼びするころめぐ。実はころめぐの方が年上の世界線になっています。



 ようやくシャニマスのセンターとの邂逅になります。いつものです。

 基本的にアニメのストーリーで展開しつつ、ちょくちょく多メディアの要素が混ざっていく感じで進行していきます。
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