アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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作者による捏造回()


Lesson466 夜空を彩る星々のように 4

 

 

 

「今日はみんなに大事な話があるんだ。この三人で――」

 

 

 

 ――『W.I.N.G』に出場してほしいと思っている。

 

 

 

 それが、私とめぐるちゃんと灯織ちゃんの三人を会議室に呼んだプロデューサーさんの口から発せられた言葉だった。

 

「ほわぁ……!?」

「そ、それってつまり……!?」

「わたしたち三人でユニットを組むってこと!?」

「あぁ、そうだ」

 

 驚く私たちに対し、まるで悪戯が成功したようにプロデューサーさんは笑っていた。

 

「実は元々そのつもりで、真乃には二人と一緒のレッスンを受けてもらったんだ」

「そうなんですか……!?」

 

 てっきりレッスン体験みたいな、そういう感じなのかと思っていた。

 

「道理で、フォーメーションとかをしっかり意識するようなレッスンだと思いました」

「わたし、楽しくて何にも考えてなかった!」

「そこまで想定されていないのは逆に想定外なんだが……」

「「「?」」」

 

 プロデューサーさんはコホンと一つ咳払いをした。

 

「ともあれ、ここまでの三人の様子を見て俺の考えは間違いなかったと確信した。三人なら先輩アイドルにも負けないユニットになれる。いや、なる。どうだ?」

「勿論! やる! やりたい!」

 

 いの一番に手を上げたのは、めぐるちゃんだった。立ち上がって大きく身を乗り出しながら、これでもかというほどに目を輝かせている。

 

「やろうよ! 二人とも! ね!」

「……うん、私もやりたい」

「……………」

 

 灯織ちゃんは言葉にしなかったが、それでもしっかりと頷いてくれた。

 

「決まりだな」

 

 私たち三人の意思は揃い、その様子にプロデューサーは頷いた。

 

「283プロダクション四つ目のアイドルユニットを結成する。ユニット名は……」

「「「ユニット名は……!」」」

 

 三人固唾を飲む。

 

 

 

「これから考えてもらう」

 

 

 

 私は生まれて初めて『ずっこける』という行動を体験した。

 

 

 

 

 

 

「はぁ~……」

 

 物珍しそうにキョロキョロを周りを見渡す結華ちゃん。

 

「ここが『アイドルがお忍びで通う』と業界内で噂の喫茶かぁ……」

「今日から君も、そのアイドルの一人になるんだよ」

 

 先日のライブを労うという目的のもと、今日は結華ちゃんを『翠屋』へとご招待してみた。勿論名物はシュークリームなのだが、個人的にイチ押ししたいのはコーヒーなのである。

 

「そういえば、三峰のライブで隣にいた女の子覚えてる?」

「結華ちゃんが可愛すぎてちょっと記憶に自信ないなぁ」

「ぶふっ」

 

 先日のメールが尾を引いているらしく、ちょっとした軽口に対して結華ちゃんは過剰な反応を見せた。ういのぅ。

 

「今はそういうのよくて……その子がユニット組んでデビューすることが決まったの」

「おっ、正式に決まったんだね」

 

 プロデューサーさんも最初から『三人目』って言ってたぐらいだしそのつもりだったんだろうなとは思ってはいたが、意外に早かった。

 

「どんな子たち?」

「えっとねー」

 

 俺の問いかけに対してスマホを操作する結華ちゃん。三人の揃った写真はないが、事務所のアイドル全員で撮った写真があるらしい。

 

「この二人。金髪の子が八宮めぐるちゃんで、黒髪の子が風野灯織ちゃん」

「ほうほう、なるほどなるほど……八宮めぐるちゃん、なるほど……」

「今リョーさんが考えてること当ててみよっか?」

「それ例題だから解答しても配点ないよ」

 

 この二人に真乃ちゃんが加わるわけだ。

 

「……………」

「どうかしたの?」

「いや……なんとなく、ちょっと思い出したんだ」

「何を?」

「346プロの『ニュージェネレーションズ』」

「え?」

「あとは765プロの『ストロベリーポップムーン』」

 

 今やシンデレラプロジェクトを代表するアイドルユニットになった凛ちゃん・卯月ちゃん・美央ちゃんの三人組ユニット。そして765プロ劇場で一番の人気を誇る未来ちゃん・静香ちゃん・翼ちゃんの三人組ユニット。

 

「あとは315プロの『DRAMATIC STARS』とか。765ASの春香ちゃんと千早ちゃんと美希ちゃんはユニット組んでなかったか」

「リョーさんは何が言いたいの?」

「これは俺のちょっとした持論なんだけど」

 

 訝しげに眉根を潜める結華ちゃんに対し、俺はピッと三本の指を立てた。

 

「アイドルは大別して赤・青・黄の三色に分けることが出来ると思うんだ」

「……それは、アレ? 中学生がよく考える属性分けってやつ?」

「誰が蘭子ちゃん(ちゅうにびょう)じゃい」

 

 いやあんまり強く反論は出来ないんだけど。

 

「各アイドル事務所に所属する三人組アイドルユニットっていうのは、丁度この三色で構成されてる気がするんだよね」

「んー……言われてみれば、そんな気がしないでもないかな」

 

 覚悟を秘めた青。熱意に満ちた黄。そして、燦然と輝く赤。

 

 これまで交流してきたアイドルたちに見えたそれらの色が、真乃ちゃんとめぐるちゃんと灯織ちゃんにも見えた気がしたのだ。

 

「丁度色の三原色だね」

「残念、色の三原色はシアンとマゼンタとイエローだ。そこが適当だとマゼンタ警察が来るぞ」

「マゼンタ警察って何!?」

 

 よく分からないけど次元の壁を越えてくるらしい。

 

「でも厳密には違っても、混ざれば殆ど黒色になっちゃうのは変わりないじゃん? なんか良いイメージないなぁ」

「俺や君の衣装の色をお忘れかな?」

 

 俺は別に黒が悪い色だとは思わない。

 

「そもそも黒って三百色あんねん」

「白だけでなく黒にもそんなに種類が……!?」

 

 三色のバランスが変われば黒の種類も変わる。似たような色に見えていても厳密には違っていて、決して同じ色になることはない。

 

「それに黒って言うのは――」

 

 

 

 ――何にも染まらない強い色なんだよ。

 

 

 

 

 

 

「おぉ~!」

 

 ユニット名決めに困窮した私たちは、気分転換にと事務所の屋上へとやって来た。

 

 既に日も落ちて夕闇に包まれた夜空には、満点の星空が――。

 

「まぁ、見えるわけないよねぇ」

 

 めぐるちゃんと一緒に苦笑してしまった。

 

 山奥や人里離れたところならともかく、流石に街中からは一等星ぐらいしかまともに見ることが出来なかった。

 

「山に登ればもっと見えるのかなぁ」

「……はっ!?」

「えっ、なに、どうしたの?」

 

 真っ暗な空を見上げながらポツリと呟くと、突然めぐるちゃんが何かに気が付いたように声を上げた。

 

「何か今、こう、気付いたことがあるというか、上手く言葉に出来ないんだけど、閃いたことがあるというか……!」

 

 こめかみを人差し指で押さえながら苦悩するめぐるちゃんに対して、何処からかボールペンとメモ用紙を取り出した灯織ちゃんが「ま、任せて!」と身構えた。

 

「思っていること、全部口に出してみて……! 私がちゃんとまとめて見せるから……!」

「お願い! 灯織、任せた!」

 

 大げさな身振り手振りを加えつつめぐるちゃんは色々と話し、それを灯織ちゃんが真剣な表情でメモに取る。多分やっていることはブレインストーミングに近いような気がする。

 

 

 

「え、えっと、めぐるの言葉をまとめてみた結果……」

 

 どうやらめぐるちゃんは『アイドルの活動は山登りみたいに平坦な道のりではない』『それでも山の頂上では夜空に星が見える』『ここから同じ場所を見ているはずなのに、見える景色は多分違う』ということを言いたかったらしい。灯織ちゃんの要約力が凄い。

 

「……それ、ユニット名にいいんじゃないかな」

「「えっ」」

「今はまだ何も見えない夜空だけど、何も見えない夜空に満点の星を彩るのは私たち自身の力なんだよ」

 

 アイドルになればきっと何かが見えてくる。いつも見えている景色が変わるかもしれない。私は、そんな思いを胸にアイドルになる決心をした。

 

「私はアイドルになって違う景色が見たい。違う景色を見せられるアイドルになりたい」

「……いーじゃん! すごくいい!」

「うん、私もいいと思う」

「だから、こんなユニット名はどうかな」

 

 今はまだ何も見えない夜空(くろいろ)を彩る三色の(いろ)になりたい。

 

「ユニット名は――!」

 

 

 

 ――『イルミネーションスターズ』

 

 

 

 

 

 

「……すっごくいいユニット名だと思う!」

「ありがとう、なのはちゃん」

 

 最近、こうして真乃ちゃんと一緒にお昼を食べる機会が増えた。フェイトちゃんたちとクラスが分かれてしまい彼女たちもクラスメイトとの交流がある中、私も同じクラスにアイドル仲間がいることがとても嬉しかった。

 

 そんな中、今日はついに真乃ちゃんのデビューが決まったという報告を聞いた。

 

 三人組アイドルユニット『イルミネーションスターズ』。それが彼女がデビューするユニットの名前らしい。

 

 ……ちなみに全くの余談だが、310(うち)の新人アイドルたちのユニット名に少し似ている雰囲気だったりするのだが、まぁよくアイドルの世界ではよくあることである。

 

「……ようやく、これで本当になのはちゃんとアイドル仲間になれる気がするんだ」

「真乃ちゃん……」

「私ね、この『イルミネーションスターズ』で『W.I.N.G』に出場するの」

「……うん」

「なのはちゃんたちに勝てるなんて、まだ全然思えないけど……」

 

 手にしていたお箸をお弁当箱の上に置いて、真乃ちゃんは姿勢を正して真っ直ぐとこちらに視線を向けた。

 

「私、頑張るから」

「……うん、頑張ってねっ」

 

 そのときの真乃ちゃんの笑顔に――。

 

 

 

 ――私は、未来の強大なライバルの姿を見たような気がした。

 

 

 

「あ、ちなみに私たちはデビューして一年以上経っちゃってるから『W.I.N.G』には出場しないの」

「えっ、そういう条件あったの?」

 

 

 

 

 

 

 ちなみに。

 

「へー、廃校を阻止するための手段がスクールアイドルねぇ」

「リョウくんお願い! 協力してあげれないかなぁ!?」

「いや流石にそれは……」

「だめぇ?」

「ぐっ……」

 

 我が家のリトルマミーの上目遣いのおねだりに屈しかけたりしたのだが。

 

 それはまた、別のお話。

 

 

 




・「これから考えてもらう」
やっぱり名づけは自分たちにやってもらうのが王道かなって。

・「赤・青・黄の三色に分けることが出来る」
今更触れるのかって?
ほらナルトでも属性の話出たの二部からだったし。

・マゼンタ警察
おのディケ定期。

・「黒って三百色あんねん」
実際色って何種類あるんすかね。

・310の新人アイドルたちのユニット名
近日登場。

・ちなみに。
なんか講堂でライブとかするらしいですよ。



 ユニット名周りを堂々と捏造させていただきました。これにてイルミネ正式参戦です!

 次回は……どうしようかなぁ(未定)
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