アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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また四話に収まらなかったぁ!


Lesson479 わたしたちはみんなヒーロー! 4

 

 

 

「悪役を務めます! 周藤良太郎です! よろしくお願いします!」

 

「良太郎さんが悪役!?」

「プロデューサー貴方何考えてるの!?」

「流石にそれはダメだろ!?」

「違う誤解なんだ!」

 

 楽屋で元気よく挨拶をした途端、プロデューサーが智代子ちゃんと夏葉ちゃんと樹里ちゃんの三人から袋にされていた。

 

「え、ええ……」

「何故……周藤さんが、悪役を……?」

 

 果穂ちゃんがオロオロとする中、ただ一人マイペースに凛世ちゃんがコテンと首を傾げながら尋ねてきた。

 

 そもそも何故ヒーローが来れなくなったのに悪役が必要になったのかというと、なんてことはなく事故に悪役のスーツを着る人も巻き込まれていたというだけの話である。

 

「最初はプロデューサーがスーツ着て悪役のアクターをするつもりだったらしいけど、なんかサイズが合わなくて着れなかったらしくて」

「足が長くてスマン!」

 

 樹里ちゃん、俺の代わりに一発多く殴っといて。

 

「で、代わりに『悪役のスーツを着れる人を紹介してください』っていうお願いをされたんだけど、流石に今から呼べるような知り合いに心当たりがなかったんでね」

「なるほど……」

「『良太郎さんはバカみたいに知り合いが多いですから、困ったときに声をかけると誰かしらを紹介してもらえるかもしれませんよ~』ってはづきさんが言ってたから、もしかしたらって思ったんだよ……」

 

 ようやく袋から解放されたプロデューサーはそう言うものの、残念ながら今から呼んでもこれなさそうな知り合いしか思い当たらなかったのだ。

 

「だから代わりに俺が悪役のアクターになろうと」

「いやそれはおかしいだろ……」

「でも実際これが一番手っ取り早いんだよ」

 

 呆れた様子の樹里ちゃんだが、誰かを見つけるより今ここにいる俺が動いた方が簡単だと判断したのである。

 

「それに俺なら……声を変えることが出来るから中の人バレもしない

「しゃ、社長!?」

「良太郎さんの口から天井社長の声が出てきた!?」

「どうなってるんですか!?」

「なんと、奇怪な……」

「す、すごいです!」

「噂程度には聞いていたが、実際に聞くと凄いな……」

 

 そして最後に、俺が悪役のアクターを引き受けた最大の理由は……。

 

「可愛い可愛い甥っ子がヒーローとアイドルのステージを切望してるからね。叔父さんとしてはそれを叶えるために全力を尽くしたいんだよ」

「……ふふっ、なんですかそれ」

 

 思わずといった様子で智代子ちゃんが笑い、それに釣られて周りの人たちも笑い出した。先ほどまでトラブルの発生に切羽詰まっていた様子だったが、大分和らいでくれたようである。

 

「成り行きではありますけど、アタシたちもお手伝いします!」

「ビラ配りとか、劇場で良くやってるからたまき慣れてるぞ!」

 

 俺と一緒に付いてきた光ちゃんと環ちゃんも、そう言って手伝いを申し出た。

 

「い、いいんですか!?」

「……アタシたち、小宮さんと話がしてみたかったんだ」

「えっ」

「たまきと光は、ヒーローが好きなアイドル友だち! だから、果穂ともアイドル友だちになりたいんだ!」

「そうじゃなくても、人助けはヒーローの嗜みだからな!」

「~っ! はい! ありがとうございます! 嬉しいです! 光ちゃん! 環ちゃん!」

 

 ビシッと親指を立てる光ちゃんと、ニパーッと笑う環ちゃん。そんな二人に釣られるように、果穂ちゃんも満面の笑みとなった。こんな状況ではあるものの、果穂護(かほご)な放クラの四人もほっこりとした表情で見守っていた。

 

 ……うん、やっぱりこの三人が並ぶとあれだね、うん。詳しくどうとは言わないけど。

 

「それじゃあ早速動こう! あと二時間だ! みんな、頑張ろう!」

『はいっ!』

 

 

 

 

 

 

「というわけで、今からリョウはヒーローショーに出てくるからなー」

「りょう、ヒーローになるの?」

「ヒーローにはなれないんだけどね」

 

 元ヒーローではあるけど。

 

 一旦控室から離れてきた俺は、近くで時間を潰してもらっていた母さんと梓真の下に事情説明へとやって来た。

 

「リョウ君、大丈夫なの?」

「これでも実際にスーツ着て撮影もしたことあるんだ。その辺の素人に任せるよりはいい動きしてみせるよ」

 

 高町道場で体を鍛えた結果、何故か護身術だけじゃなくてアクロバティックな動きも出来るようになった。本当に何故か分からないけど、色々と役立っているのでヨシッ!

 

「しいて問題点を挙げるとすれば、悪役のアクターが俺一人ってことぐらいかな」

 

 やってやれないことはないと思うが、果穂ちゃんたちがやろうとしているショーの構成を考えると他にも一人か二人欲しい。特にアクション面では彼女たちが動けない分、派手に見せるためには悪役側が動けなければならない。

 

「ホント、スーツアクターが出来る人が二人ぐらいいてくれたら助かるんだけどなぁ」

「そうね~……」

 

 

 

「すまない、話が聞こえてしまった」

 

 

 

「「えっ」」

 

 突然聞こえてきた声に、二人揃って振り返る。

 

 

 

()()()でよければ、力になりたい」

 

 

 

 ……え、何で()()()がここにいんの?

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、まさかこんなところで輝と一緒になるなんてね」

「それはこっちのセリフですよ」

 

 とある日の日曜日。放課後クライマックスガールズのステージを見ようとショッピングモールへとやって来たら偶然にもプライベートの輝と遭遇した。どうやら彼は放クラと同じステージで行われるヒーローショーが目的らしい。

 

「俺、今日のステージに立つユウエイジャーのライオットレッドが好きなんですよ。なんかがいかにも赤っ! って感じで」

「なんとなく言いたいことは分かったよ」

 

 俺がアイドルのことに詳しいように、輝もまたヒーローのことに詳しかった。そしてリョー君ならばその両方に精通していることだろう。

 

「……って、あれ!?」

「どうしたの……え?」

 

 驚いた輝の視線の先を追うと、そこには『放課後クライマックスガールズ ヒーローショー&ライブ!』の文字が書かれた立て看板が……あれ、ユウエイジャーは?

 

「あれ、これなんか上から貼ってありますね……」

「ってことは、何かしらの事情で内容が変更になったと……?」

「ちょっと残念ではあるけど……これはこれでちょっと気になりますね」

「俺も」

 

 放課後クライマックスガールズ。センターの小宮果穂ちゃんがヒーロー好きっていうのはファンの間では周知の事実で、だからヒーローと一緒の仕事はきっと果穂ちゃん喜んだんだろうなぁっていうのは想像が容易かった。

 

 そして今回のこの状況、一体どんなステージになるのだろうか……。

 

 俺と輝はワクワクしながら十四時の開演を楽しみに待つのだった。

 

 

 

『我が名はモリサゲール! 吾輩がこの会場を盛り下げるでサゲ! サーゲサゲサゲ!』

 

 なんか出てきた。

 

 いや、放クラのメンバーがそれぞれのイメージカラーに合わせた私服風の衣装を身に纏って出てきて、それぞれ『ホウクラレッド!』『ホウクラピンク!』『ホウクライエロー!』『ホウクラブルー』『ホウクラグリーン!』と名乗りのポーズを決めたところも凄く良くて、彼女たちのことを知らないであろう観客の子どもたちも結構興味深々で、そこまでは良かったんだ。

 

 そしてホウクラレッドが『この街の平和はあたしたちが守る!』と宣言した後で出てきたのがこれである。

 

「……このスーツの悪役は、前にもユウエイジャーのステージに出てる定番の奴なんですけど、なんかあからさまにキャラが違いますね……」

 

 輝も困惑している様子だが、周りの子どもたちの反応は結構悪くなかった。

 

「なんか変なのー!」

「なんだアイツ!」

『変なのでもアイツでもない! モリサゲールだ! よく覚えておけ! 今からお前たちを盛り下げる悪の名前だ!』

「やっぱり変じゃないかー!」

『ええい盛り上がるなー! 盛り下がれって言ってるだろうがー!』

 

 ……何故だろう、絶対にありえないのに、脳裏にとある人物の無表情ダブルピースが浮かんだ。

 

『それはさておき放課後クライマックスガールズ! 知っているぞ! お前たちは五人いなければ力が出せないということを!』

『な、なんでそれを!?』

『お前たちが所属している283プロダクションのホームページでプロフィールを確認させてもらった! 気になるものは後で調べてみるといい!』

 

「なるほど、しっかりとアイドルのPRもするとは、完璧な構成だ……!」

「そうかなぁ……?」

 

『そこでだ! お前たちの中からちょっと一人捕まえさせてもらう!』

『な、なんだと!?』

『はーいちょっとごめんよー手ぇ結ぶねー痛くない?』

『はい……大丈夫です……』

『というわけで、ブルーは捕まえた!』

 

 やたらと渋い声でコミカルな言動をするモリサゲールは、ブルーの手を優しく縛り、その上でフカフカの座布団の上に座らせた。いや好待遇すぎる。捕まってないってそれ。

 

『あっ!? 待てっ! 卑怯だぞ!』

『卑怯もラッキョウもあるか! お前たち! 相手をしてやれ!』

 

 イエローの叫びに対してモリサゲールが指をパチンと鳴らすと、ステージの両脇から似たような格好の戦闘員が宙返りをしながら飛び出してきた。

 

「うわー! すげー!」

「めっちゃとんだー!」

 

 素人目に見ても凄いアクロバットを繰り出しながら、四人の周りを取り囲むように陣取る戦闘員二人。

 

 さてここから一体どうなるのかと見守っていると……。

 

『五人揃わなくても、アナタたち相手なら……!』

『邪魔すんじゃねぇ!』

 

「「おぉ!?」」

 

 グリーンがパンチを繰り出すと戦闘員Aが宙返りでそれを避ける。そして再び飛びかかって来た戦闘員Aをターンしてヒラリと避けながらその手を掴み、グリーンが大きく手を振り被るとそれに合わせて戦闘員Aの身体が宙に舞い、そのまま背中から叩き落された。

 

 一方で戦闘員Bはイエローとの拳劇を繰り広げていた。少々ゆっくりではあるものの、しっかりと拳と拳による攻防になっていて、最終的にイエローの回し蹴りを食らったようで戦闘員Bが大きく後ろに吹き飛んだ。

 

 突然始まった本格的な殺陣に子どもたちだけではなく、何事かと見守っていた通行人の大人たちも足を止めるほどである。

 

「いや正直ショッピングモールのヒーローショーでやる殺陣のレベルじゃないですよ……一体誰がスタントをやってるんだ……?」

「俺はそれよりモリサゲールの正体が気になって仕方がないよ……」

 

 そんな俺たちのズレた視点とは裏腹に、会場はしっかりと盛り上がっているのであった。

 

 

 




・果穂護
アイ転内ではこういう言葉で表現していこうと思う。

・え、何でお前らがここにいんの?
全然ヒントになってないヒント:既出キャラ

・みのり&輝
第三者視点役として抜擢。
そういやみのりさんって輝のこと呼び捨てだったな……と再認識した。

・『卑怯もラッキョウもあるものか!』
昭和特有の言い回しがまさか令和まで続く伝統になるとは……。



 シャニマス編は基本的に書きたい描写を書き足していくスタイルだから、どうしても文量が多くなる……無駄な場面が多い? それはそう。



『どうでもいい小話』

 千早単独公演アーカイブ買いました。やっぱりアイマス1の歌姫は伊達じゃねぇぜ……。
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