アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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割とネタ回。


Lesson511 The day will come 2

 

 

 

 

「第何回になるのか忘れたけどアイドルオタク集会~!」

 

「「「「イエ~イ!」」」」

「い、いえーい……」

 

 俺の掛け声に合わせてノリノリの反応を見せてくれる古株の四人に対して、やや遠慮しているというか若干引いているふゆちゃん。照れないで欲しいとまでは言わないが慣れては欲しい。寧ろ照れに関しては恥じらう姿が可愛いので、何時までもそのままの君でいて欲しい。

 

 ……あ、前回の引きがアレな感じだったくせにこんな始まり方で申し訳ないんだけど、うちはこういう作風で十三年近くやらせてもらってるんで……。

 

 

 

 というわけで。今日は久しぶりのアイドルオタク集会、しかもついにふゆちゃんが加わってから初めての全員集合というスペシャル特番である。

 

「改めて初めまして、黛冬優子です。『ふゆ』って呼んでくださいね」

「「ふゆぢゃあああん!」」

「はぁ~い」

「「うおおおぉぉぉ!」」

 

「すげぇ、アレを前にして一切臆さず笑顔のままだ」

「これは強い」

「アイドルの才能あると思う」

 

 相変わらず堂の入ったふゆちゃんの可愛さにあっさりと虜になってしまった亜利沙ちゃんとりあむちゃんが、目を爛々と輝かせながら濁声をあげていた。幸い先んじて『W.I.N.Gフェス』で顔合わせをしていた俺と去年の暮れからの付き合いらしい結華ちゃんは耐えることが出来ている。

 

「みのりさんは大丈夫?」

「うん、人差し指を折る勢いでひん曲げて痛みで耐えてる」

「随分と無茶しますねぇ!?」

「シカマルが幻術から逃れるときにやってたやつじゃん」

「幻術のように幻の美少女……ってことだよ」

「ダメだリョーさん、みのりさんもやられちゃってる」

 

 このままではみのりさんがふゆちゃんの可愛さのあまりに自分の指の骨を折るという悲惨(ゆかい)なことになってしまうので、一発後頭部を引っ叩いて正気に戻す。なおみのりさんは過去が過去(もとヤン)なので俺の一撃で足りるかどうか若干不安だったが、目を覚まさせるには十分だったらしい。

 

「いやぁ本当に凄い可愛さだった……」

「ありさ、アイドルちゃん以外にこんなに夢中になったの初めてかもしれません……」

「ぼくも……今すぐ何かにお金を払いたい気分……」

「そんなに褒められたら、ふゆ、照れちゃいますぅ」

「「「あ゛っ」」」

「再放送すな」

「ふゆちゃん、話が進まなくなるからちょっとだけ抑えて」

 

 再び心臓を射抜かれたようなポーズをする三人にクスクス笑うふゆちゃん。うーんこの子も案外悪い子だな。

 

「改めてよろしくね、ふゆちゃん」

「こんな感じだけど、基本的にはみんなただのアイドルオタクの集まりだから」

「はぁい、寧ろ本物のアイドルの皆さんと一緒にアイドルのことをお話出来る場を設けてもらって、本当にありがとうございますぅ」

「おっ、言われてるぞリョーさん」

「ほっとけ」

 

 俺と結華ちゃんが何度目かになる仕切り直しをしたところ、ふゆちゃんの言葉に反応したりあむちゃんがニヤニヤと笑いながらこちらを見てくる。彼女的には『アイドルの皆さん』の中に含まれていない俺を揶揄うつもりなのだろうが……。

 

(今日もりあむちゃんは墓穴掘りに精が出ますねぇ)

(どんどんリョーさんの愉悦ポイントが溜まっていくなぁ)

(流石にそろそろ止めてあげるのが優しさなんじゃないかな)

(いやぁ身バレする日がますます楽しみになってくなぁ!)

 

 アイドルとして身バレを楽しみにするのはどうなのかとも思わないでもないが、ここまで来ると一種のエンターテインメントに近い気がする。いっそのこと346プロと合同の動画企画として映像に残してみるのもありなんじゃないかと思えてきた。

 

 そんな未来への楽しみはさておき、そろそろ前置きを終わらせて本題に入ろう。

 

「いつもはアイドルのライブを観に行ったり、こうしてカラオケに集まってライブの鑑賞会をしたりするんだけど、今日は久しぶりに全員集まれるから『意見交換』をしようと思うんだ」

「意見交換……ですかぁ?」

「そーそー」

「最近こんなアイドルちゃんを見つけたーとか、今一押しのアイドルはこの子~とか」

「そういう意見や情報を交換し合おうってこと」

 

 特に今は『W.I.N.G』で頭角を現したアイドルたちや、来年の『W.I.N.G』に向けてスタートダッシュを決めるためにデビューしたアイドルたちといった注目株が増えている。アイドルを見守る立場から見ても、今のアイドル業界は活発なのだ。

 

「まぁ物々しい言い方しちゃったけど、要するにただのお喋り会だよ」

「分かりましたぁ」

 

 一番の新入りであるふゆちゃんがこの集まりの趣旨を理解したところで、早速俺は気になっていた話題をみのりさんに振った。

 

「それでみのりさん、315プロに新人が五人ほど入ったって聞きましたけど、どんな子たちです?」

「えっ」

「そうそうそれそれ! デビュー前だから詳しいプロフィールは伏せさせてもらうんだけど、それはもうすんごいよ! 涼君とユニットを組む予定の二人と、三人組アイドルユニットとしてデビュー予定の三人! しかもその三人の共通点っていうのがさぁ……おっとこれ以上はお口にチャック」

「えー聞きたーい!」

「是非デビューを待って欲しいかなぁ! ウチの事務所の新しい風って感じだから!」

「そういうりあむんは? ウチらの中じゃ唯一アイドルを常時募集してる事務所なんだから、粒揃いなんじゃないの?」

「えっ」

「んー実はまだぼくたちのところにはそういう情報あがってきてないんだよねー。やっぱり入るアイドルと同じぐらい辞めるアイドルもいるわけだからさー、ぼくが名前を聞く前に辞めちゃった子も結構いるんだよねー」

「ありさ好みの子はいなかったですか?」

「逆に亜利沙ちゃん好みじゃないアイドルっているの?」

「……殺人以外の犯罪を全てやってきたとか?」

「シーザーじゃん」

「外患誘致罪を犯したことがあるアイドルはちょっと」

「それじゃあ俺好みの(おっぱいおおきな)子はいなかった?」

「765プロは? そろそろ新しい子がシアターに入ったりしてない?」

「スルーされたんだが」

「あ、あの、ちょっと待ってください!」

「「「「「ん?」」」」」

 

 いつものようにスナック菓子を摘まみながらポンポンとお喋りをしていると、少しだけ引き攣った声でふゆちゃんが待ったをかけた。

 

「どうしたのふゆちゃん」

「あ、なにか注文する?」

「お昼は食べてきたけど小腹が空いたから、俺ももうちょっと何か食べようかなぁ」

「注文用タブレット取ってー」

「それデンモクだよ」

「そうじゃなくて!?」

 

 声を荒げるふゆちゃん。早速我々の悪い影響を受け始めているような気もするけれど、こっちの水は甘いので是非慣れていってほしい。

 

「い、いいんですか!? 自分の事務所の内部事情を余所の事務所のアイドルに話しちゃって……!?」

「まぁ良くはないよね、普通に情報狼影陣だし」

「今ユーリいた?」

「アルトリウスじゃないところに時代を感じる」

「TOVも十八年前になるのかぁ……」

「リョーさん本当に二十三歳?」

「……あ、でもTOZも十一年前らしいよ」

「結華ちゃん、それは流石に嘘だよ、TOZは去年のゲームだよ」

「TOARISEですら五年前という現実を見よう?」

「話がドンドン斜めにズレてますよぉ!?」

 

 いかん、集会メンバーは全員がネタに走れるからすぐ脱線してしまう。

 

「確かに本来はご法度ですけど、ありさを含め、ここにいるメンバーは他の誰かに話すようなことはしないという信頼がありますから」

「現在進行形で話しているというツッコミはともかく、少なくとも営利目的で誰かに話すようなことはしないよ」

「結局亜三峰たちが個人的に楽しむだけだからね」

「まぁその点、事務所所属してない人がいるわけだけどー?」

「おいおいりあむちゃん、いいのかなー? 確かに俺は事務所所属じゃないけど、業界の人間として123と1054のネタを提供してあげてるんだけどなー?」

(((白々しい……)))

「……でもそれは、皆さんの信頼関係で成り立っていることですよね?」

 

 俺の軽い脅しにりあむちゃんが安い頭を下げて土下座している傍らで、ふゆちゃんが先ほどまでとはうって変わって真剣な表情を見せていた。

 

「それじゃあ私はどうなんですか? まだ皆さんに会ったばかりの人間なんですよ?」

「そうだね、まだ会ったばかりで、ふゆちゃんがどんな人間か完璧には分かってない」

「だったら……!」

「だからふゆちゃんには信じてもらえないかもしれないけど」

 

 前のめりになるふゆちゃんを軽く片手で制してから、俺は自分の目をちょいちょいと指差した。

 

「俺、『人を見る眼』には自信があるんだよ。こう見えてこっちの業界(せかい)で長いこと生きてるから」

「……そんな曖昧なもので」

「少なくともありさたちはそれを信じて今日までやってきましたから」

「実はこのメンバーの中で一番信じていい人なんだよ、リョーさん」

「ま、普段の言動はちょっとアレだけどね」

「それに関しても全員の共通見解かな」

「………………」

 

 果たしてこれでふゆちゃんも納得してくれたのだろうか。

 

「……結華ちゃん」

 

 やがて何かを決心した様子で顔を挙げたふゆちゃんは、真剣な表情で何故か結華ちゃんの名前を呼んだ。

 

「ふゆ、やっぱり今日言うことにするね」

「……うん、いいと思う」

 

 どうやら何か事前に二人で話していたことがあるらしく、当然その内容を知らない俺とみのりさんとりあむちゃんと亜利沙ちゃんは首を傾げる。

 

「実は言うタイミングを見計らっていたんだけど……実は!」

「この度、ふゆは……私、黛冬優子は――」

 

 

 

 ――283プロでアイドルデビューすることに決まりました。

 

 

 

「「「「……マジで!?」」」」

 

 

 




・シカマルが幻術から逃れるときにやってたやつ
サスケ奪還作戦で将来の嫁さんに助けられたときのアレ。

・「シーザーじゃん」
揚げ足取りではあるんだろうけど、ありとあらゆる犯罪歴を捏造されるシーザーに笑ってしまう。

・情報狼影陣
この辺り全部テイルズネタ。
貴方のテイルズは、どこから?(私はシンフォニア)

・「結華ちゃん、それは流石に嘘だよ」
え、これも実際には言ってないセリフってマジ?



 前回とは全く空気感が違いますが、通常運行です。

 シャニアニ2期のお話と合流するように進んでおりますが……多分次話終盤辺りから少しだけ毛色が変わる予定です。ただちゃんとアイマスです。
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