新キャラ!(実装済み)
新展開!(未実装)
Lesson79 123プロ
「はぁ……はぁ……!」
少女は肩で息をしながら膝に手を突く。
「グギャギャギャ! 『ジェミニ』に変身すら出来ないというのに、粘るじゃねーか!」
そんな少女の姿を嘲笑いながら、カマキリ怪人は自身の腕の鎌を振るう。
「諦めろ! 今頃貴様の双子の片割れも力尽きてんだからよー!」
怪人のその言葉の真偽は定かではないが、確かに先ほどから双子の妹と連絡がつかない。
「……は、はは、その冗談ツマンなすぎー。アミが、そんなに簡単にやられるはずないっしょ!」
しかし、少女には確信があった。双子の妹が、今までずっと共に戦い続けてきた最高の相棒が、こんなところで簡単にやられるはずがないと。
「ふん、強がりやがって。まぁいい、どーせオメーらは二人一緒にいねーと『ジェミニ』には変身出来ねーんだからな!」
怪人の言う通り、戦う力を手に入れるためには姉と妹、二人揃っていなければならない。
「変身さえ出来なけりゃ、オメーは所詮……只のガキなんだよぉおおお!」
叫びながら、怪人は再び衝撃波を放つために鎌を振り上げる。
(避けれない……!)
咄嗟に目を瞑り、衝撃に身構える。
「うぉおおおおおおお!!」
しかし、怪人が放とうとした衝撃波は、突如飛び込んできた青年の飛び蹴りによって阻止されることとなる。
「ぐぁっ!?」
大きく吹き飛び、壁に叩きつけられる怪人。
「ふぅ……何とか間に合ったな」
「……え? ……あ!?」
恐る恐る目を開ける少女。少女には飛び込んできた青年に見覚えがあった。
「リョ、リョーにぃ!?」
つい先日出会ったばかりの、喫茶店の店員であった。
「無事か? マミ」
「だ、大丈夫……で、でも、リョーにぃが何で!?」
「何でだ? んなもん、女の子のピンチに駆けつけただけに決まってるでしょ」
パンッと左の掌に右の拳を叩きつけ、青年は自身が蹴り飛ばした怪人を睨む。一切表情は変わらないが、少女を傷つけられたことに怒っていることだけは十分理解できた。
「マミ! お前は早くアミを助けに行け! ここは俺が引き受けた!」
「え、えぇ!? で、でもリョーにぃ!」
マミの焦りは当然のものだった。何故なら、自分たちの事情を知っているものの彼は全くの一般人。戦う力など持ち合わせていないのだ。
「き、貴様ぁあああああ!! 只の人間の分際でよくもぉおおおおお!!」
起き上がった怪人が激昂する。しかし青年は一切怯まない。
「確かに、俺は一度戦いの場から身を退いた」
「え?」
「でもな、人を護るために今更四の五のなんて言ってらんねーんだよ」
「リョ、リョーにぃ? 一体何を……っ!?」
「都合よく『戦う力』も手に入ったことだしな」
少女は青年が服の裏から取り出した『それ』を目の当たりにし、驚愕した。
「コ、『コスモドライバー』にペガサスの『スターライト・キー』!?」
「何っ!? テメー、それを何処で手に入れた!?」
少女と同じように怪人も驚愕の声を上げるが、青年は全く反応しない。
「全く……また『
大切な仲間との再会を慈しむかのように呟いた青年はコスモドライバーを腰に巻き、鍵穴にスターライト・キーを差し込んだ。
「――変身っ!!」
風が青年の身を包みこみ、彼を戦士の姿へと変貌させる。
変身ツールも、その姿も、以前とはまるで別物。
しかし――。
「……さぁ、行くぜ!」
――かつて覆面ライダー
「はいカットー!」
第三章から急展開かと思った? 残念! 今度は特撮でした!
「さっすが良太郎君! 一発オッケーだよ!」
「ありがとうございます」
周りのスタッフが撤収作業をする中、監督からお褒めの言葉をいただくという何やらデジャビュ感溢れるやり取りに内心で首を傾げる。あれ、使い回し?
今回は現在放送されている双海姉妹が主演の『覆面ライダージェミニ』の劇場版の撮影である。今作は主役がアイドルで女性の上に双子という類を見ないほどの異例な覆面ライダーと話題となっていた。(俺もアイドルで覆面ライダーだったが所謂サブライダー)
この『覆面ライダージェミニ』は以前俺が出演していた『覆面ライダー
「りょーにぃ! お疲れちゃーん!」
「おーう、真美。お疲れちゃーん」
主演の一人である真美とハイタッチをする。いつもならばもう一人の主演の亜美ちゃんも一緒なのだが、今回は竜宮小町の仕事に行っているらしい。
「ねぇねぇ! りょーにぃはこの後時間ある? あるんなら、マミとお昼食べに行こーよー!」
おっと現役JCアイドルからデートのお誘いだ。これに乗らねば男が廃る……と言いたいところなのだが。
「残念ながらこれから事務所に戻って全体ミーティングなんだ」
「えー!」
「ごめんごめん、お昼はまた今度ね」
「ぶー……絶対だかんねー!」
口を尖らせながらも手を振りながら見送ってくれた真美に手を振りながら、俺は撮影現場を後にする。
(……それにしても)
「事務所に戻って」という言葉に違和感が無くなってきたなぁ、としみじみ思う。
四月に123プロダクションが設立されて、既に七月。もう三ヶ月の月日が流れようとしていた。
無事大学受験を終えて晴れて大学生になったため芸能活動を再開し、それと同時に新事務所の設立&所属を発表したのだが……まぁ、一騒動起こったのは大方の予想通りだったので割愛。
以前から話していたようにジュピターの三人及び留美さんも事務所設立と共に合流。さらに新人アイドルの応募を行って(一万人を超える応募があった)俺と兄貴のお眼鏡にかなった娘一人、そして街でスカウトした娘一人を迎え、所属アイドルは六人となった。
現在、この六人の所属アイドルを兄貴と留美さんの二人でプロデュースする体制である。しかし兄貴は社長業を兼任、留美さんも社長秘書業を兼任しているので、少々厳しいのではないかと思われるが……何と言うか、流石は天才×2というか、それで問題なく事務所が回っているのだから末恐ろしい。まぁ、最近では俺一人でも打ち合わせやスケジュールの調整が出来るようになってきたし、多少の負担軽減にはなっていると思う。
ちなみに事務員として、兄貴の後輩で留美さんの同級生である
以上が、我らが123プロダクションの現状である。
とあるオフィス街の一角、高層ビルのワンフロア。ここが兄貴の新たな城、123プロダクションの事務所である。
そう、ワンフロア全てが事務所なのだ。
おいおいいきなり大きすぎるだろうと思われるだろうし俺も兄貴も思ったのだが、「周藤良太郎が所属する事務所はせめてこれぐらい大きくないと体裁が保てない」と周りの人間(投資してくれた企業及び普段からお世話になっている人たち)の勧めを受けた結果である。「うわーおっきいねー」とはしゃぐ母さんの傍ら、引き攣った笑みの兄貴がとても印象的だった。
「おはよーございまーす」
ガチャリと事務所のミーティングルーム(と言う名のラウンジ)の扉を開けるが、どうやら俺が一番乗りらしかった。まぁ集合時間の三十分前なのだから当然か。
「あら、良太郎君……おはようございます」
「おはようございます、美優さん」
事務員姿の美優さんのほんわりとした笑顔に迎えられ、あー事務所っていいなぁと間違った方向で事務所のありがたみを実感する。
「今日の撮影はどうでしたか……?」
「そりゃもうバッチリです。久しぶりの覆面ライダーの撮影で気合い入ってましたから」
ソファーに座り、美優さんが淹れてくれたコーヒーを飲みつつ全員が揃うのを待つ。
スマートフォンで「某赤白縞々を探さないで」の動画を見てほわーっ!? となりながら一人で暇を潰していると、ラウンジの扉が開いた。
「おっはよーございまーす!」
底抜けに明るい挨拶と共に入って来たのは、軽くパーマがかかった長い茶髪の少女。
「おはよう、恵美ちゃん」
「あ、リョータローさん! おはようございまっす!」
123プロダクション『スカウト枠』の新人アイドル、
年齢は十六の現役女子高生。化粧やオシャレに気を使う今どきのギャル風な見た目の子ではあるのだが、意外にも周りに気配りが出来るリーダー気質な性格。そして年齢にそぐわない大乳! ……べ、別にそこがスカウトした理由じゃないよ?()
「リョータローさん! 聞いてくださいよー! この間友達とファミレス行ったんです!」
「うん」
というか、そもそも恵美ちゃんはファミレス以外の場所に行くの? というレベルでファミレス好きである。
「それでー、ドリンクバーのミックスジュースの新しい組み合わせを色々と試してたんですよ」
あれ、もう嫌な予感しかしない。
「ピーチジュースが好きな友達とカフェオレが好きな友達がいて――」
「オチ分かった」
果物系とコーヒー系は混ぜてはいけない。(戒め)
「良太郎さんと恵美ちゃん、随分と仲良くお話してるわねぇ?」
「今度リョータローさんにもおすすめのミックスジュースを」「ヤメテ!」というやり取りをしていると、そんな声が。
「あ、まゆちゃん、おはよう」
「おはよー! まゆー!」
「うふふ、おはようございます。良太郎さん、恵美ちゃん」
やや明るい茶色がかった黒髪の少女。彼女こそ一万人以上参加したオーディションを勝ち抜いた123プロダクション『オーディション枠』の新人アイドル、
彼女は十五歳だが恵美ちゃんと同学年の現役女子高生。何でもあの『ビギンズナイト』に居合わせており、それ以来ずっと俺に憧れてアイドルを志してくれていたそうで、今回俺が所属する123プロダクションの応募を知って頑張ったとのこと。何とも嬉しい話である。
「まゆも一緒にお話しよーよ! ほらほら、座って座って!」
「それじゃあ、失礼して」
いつの間にか俺の隣に座っていた恵美ちゃんがポンポンと自分の横を叩くと、微笑んで了承したまゆちゃんは『俺の隣に』座った。……いやまぁ、別に何処に座ってもらっても構わないんだけどさ。ほら、恵美ちゃん苦笑いしてる。
「そういえばまゆー」
「なぁに? 恵美ちゃん」
そしてそのまま俺を挟んで会話を始める二人。
今でこそこうして仲が良い二人なのだが、所属してしばらくの頃は何故かまゆちゃんが恵美ちゃんを睨んでいる姿を何度か見た。仲が悪い、というか馬が合わないのかなぁとも思った時期もあったのだが、先月南の島で行われた音楽の祭典『シャイニーフェスタ』に俺の付き人として二人に参加してもらって以来、今のように仲良くなった。ホテルが同室だったし、その時何かあったのかな?
まぁ、新人アイドル二人が仲良くしてくれるのは大変良いことである。
「ただいま戻りました」
「うーっす」
「あー疲れたー」
「午後からも外だよ、翔太」
「ん、これでみんな揃ったかー?」
しばらく三人で話していると、どうやら営業に出ていたジュピターwith留美さんと兄貴がやって来た。
「それじゃ、全体ミーティング始めるぞー」
『はーい!』
俺、兄貴、留美さん、冬馬、翔太、北斗さん、そして美優さんに恵美ちゃんにまゆちゃん。
123プロダクションは現在この九人で絶賛活動中である。
・『覆面ライダージェミニ』
双子の姉妹アミとマミが星座の力を有する不思議な鍵『スターライト・キー』を神秘のベルト『コスモドライバー』に挿して二人で変身する覆面ライダー。
――という設定。当然オリジナル。
ライダー的にはWだが、作者的にはウルトラマンエースのイメージ。
・「お前は常に俺のところに来るってことか」
元ネタは運命のガイアメモリでT2ジョーカーメモリを手に入れた際の翔太郎のセリフ。
・有名になると殆ど再出演しない
オダギリ某さんしかり某ヒロさんしかり佐藤某さんしかり。
故に未だに本人役で熱く演じてくれるてつをさんの人気が高いのはそれも一つの要因だと思う。
・三船美優
『アイドルマスターシンデレラガールズ』の登場キャラ。クール。
留美さんと同い年の26歳で、現在時系列的に二人共25歳。
本当は新人アイドル候補の一人だったのだが、バックダンサーに組み込むには年齢的問題があったため(しかし個人的にはバックダンサー衣装を着せてみたかった)事務員として登場してもらうことに。
・高層ビルのワンフロア
とりあえず123プロはこれぐらいの規模に。765以上961以下。
・「某赤白縞々を探さないで」
ぎゃあああああああああああ!!?(初見時作者リアクション)
・所恵美
『アイドルマスターミリオンライブ』の登場キャラ。Visual。デレマス的に言えば多分パッション。
ランキング動画で彼女の曲に興味を持ったことがきっかけで、今ではミリマス勢で作者の推しキャラ。キャピキャピしつつも仲間からの感謝の言葉に感激して号泣できるめっちゃ良い娘。
なおミリマス勢は劇場版基準で年齢設定を行ったので、全員原作と同じ年齢です。
・果物系とコーヒー系は混ぜてはいけない。
止めた方がいい。……止めた方がいいですよ?(チラッチラッ)
・佐久間まゆ
『アイドルマスターシンデレラガールズ』の登場キャラ。キュート。
デレマス勢で随一の『愛の重さ』に定評があるが、プロデューサーが絡まなければ基本的に素直で良い子。
ゲームではプロデューサー一筋だが、今作では果たして……?
なお同じく新人の恵美と合わせるため年齢変更。
追記
誕生日の関係上年齢を更に変更し、結局他のデレマスキャラと同じ年代設定に。
・『ビギンズナイト』に居合わせており
今後、これが様々な人物のキーワードになる可能性が微レ存。
頭の片隅に留めておくと吉。
・『シャイニーフェスタ』
この作品では六月に行われていたという設定。シャイニーフェスタ編も恐らく外伝扱いでいずれ。
ついに始まりました劇場版編の第三章です! まさかここに辿り着けるとは執筆開始直後は思いもしなかった(驚愕)
今回からころめぐとままゆ&美優さんがそれぞれミリマスとデレマスから参戦です。アニメに出ていたままゆはともかく、ころめぐと美優さんを知らないって人は多いと思うので、これを機にミリマスとデレマスのキャラを知っていただければ幸いです。
(などとアイマスのゲームは何もやったことがない作者がステマしてみる)
ちなみに新人アイドルである二人は前々から決まっていましたが、事務員美優さんは「よくよく考えたらこの事務所って事務員いねぇ」と急遽決まりました。でも個人的にはハマっていると思っております。
さらにちなみに事務員としてこのみさんを引き抜く案もあったのですが、彼女がいなくなるとシアター組が成り立たなくなる可能性があったためボツに。
ジュピターの三人を含めた全員の近況など、描ききれなかった部分は次回以降となります。
というわけで、これからもよろしくお願いします。