Fate/Duel Order   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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数年ぶりの遊戯王二次SSです。
生温かく、長い目で見守って下さいませ。


プロローグ
Turn:1 イン・トゥ・ザ・ヴレインズ!


 南極に位置する人理を守る組織、カルデア。貴族主義の天体科アニムスフィア家が創立した研究機関のようなものであり、その実態は幾度にも渡って人理を守って来た国連に所属する組織である。

 時計塔と聖堂教会より資金を、アトラス院より技術の提供を受けているのだが、それはまぁさて置き。重要なのは、この機関が、もっと言えばこの施設の中にいるたった1人の一般人が中心となって、それらの未曾有の危機を退けてきた事である。

 

「んー……、おはよう」

 

 魔術王、クリプター、ビースト、マザーハーロット、金毛白面……、諸々の敵を退けた立役者は、ベッドの上で大きく伸びをした。

 彼の名は藤丸立香。どこにでもいる普通の青年である。普通の、青年である。

 大切な事なので2回言いました。

 

「はい、おはようございます、先輩」

 

 そんな彼に微笑みながら挨拶を返すのはマシュ・キリエライト。立香の後輩である眼鏡の少女。

 デミ・サーヴァントという特殊な生い立ちと戦う力を持つが、それを除けば気立ての良い可愛い女の子である。

 

 

 

 

 

 現在、カルデアはとてつもない微妙な立ち位置にあった。その原因は時計塔の派閥争いが大きく噛んでいる。彼らはカルデアを我が物にしようと、最低でも味方につけようと東奔西走し混沌を生み出していた。貴族主義か、民主か、中立か、もっと言えば教会に所属するか、別か、或いはこのまま維持するのかどうか。そんな論争が二進も三進もいかないまま、割と長めの時間が過ぎていたと言う。

 そしてその理由の中心に位置する者こそ、この一般人マスターの藤丸立香だ。

 カルデアの功績を普通に考えれば、取り潰すよりも教会やら院やらが人材を派遣して挿げ替えるなりササッと暗殺して替え玉を用意するのが良いのだろうが、困った事にそれが露見する可能性がある。

 それは現代の情報化社会だ。

 クリプター事件を発端に、解決に奔走したカルデアの名は世界中に知れ渡ってしまっており、表向きは『南極に作られた大規模なイギリスの天文台』程度にしか認知されていないものの、藤丸立香何某がそこにいる事は彼の地元の知人を始め、世界中の多くの人々に知られてしまっているのである。

 正直な話、数年前まで魔術世界のお偉いさん達の多くは科学の力をナメていた。確かに魔術は科学にできない事が多々できるし、科学と違って一般に流布されていないので、ハッキングや盗聴といった形で一般人が干渉をする可能性はほぼ無い。

 が、だからと言って魔術と科学は住む世界が分断されているワケでも無いのだ、どうしても接触する機会は生まれる。そしてそこから情報や神秘が漏れる可能性は小さくない。テキトーな事をして、藤丸立香という存在に紐付いた騒ぎを起こすのは得策では無いだろう、と判断されているという事だ。

 

 更に教会等が調査を進めた結果、藤丸立香には高いコミュニケーション能力やネゴシエーターとしての才能がある事、そして数多の英霊と縁を結んでいる事が発覚した。

 魔術師の基本は『自分さえ良ければ良い』『家と研究が続けば良い』なのだ。彼らにとって交渉とは力で脅すか、さもなければ表面的には平和に――そして裏では相手を落とすために謀略を練る。高潔な存在として名を馳せた者も多い英霊にとって、まさに噛み合わない存在の坩堝。

 仮に立香を挿げ替えて我こそが新たなマスターであると名乗り出た所で、カルデアのサーヴァントが味方になる可能性は低い。こぞって座に還り、折角の戦力がパーになる事は明白であった。

 

 話が長くなったが、つまる話、藤丸立香を消して替え玉を立てると、後々になって不都合が生じると彼らは考えたのである。

『そんな有名人をすり替えても、いつかボロが出ないか?』

『英霊の中には千里眼を持つ者や嘘を見抜く者もいるしなぁ』

『写真も動画も出回っている。全てを消すのは困難だろう』

『そもそも彼を殺せるのか、彼に与している英霊は多いぞ』

『英霊にも心はある。信頼されているか否かで戦果も変わる』

『マスターとサーヴァントの関係性は、切っても切れない命題』

『頭を変えて英霊という肉体も駄目になっては元も子も無い』

『ならいっそ、我々の側に引き込めば良い。所詮は小僧だ』

『敵に回るより首輪をつけて飼い慣らす、成程それは道理よ』

『一から新しいマスターを組織に送って仕込むより、効率的か』

『洗脳もタダじゃない、金を出して引き込めるなら安いか』

『上手く行くかどうかだが……、その辺は我々の交渉次第だな』

『そのためには餌が必要。取り敢えず資金と名声と……』

 とまぁ、こんな具合だ。

 

 そのため連日、あちこちからパトロンの話や懐柔の話が飛び回っており、新所長やら副所長やら何やらのお偉方はてんやわんやなのである。

 もっとも立香本人はそんな事に関わっておらず、「助けて欲しいなら正直に言って欲しい、こっちも全力で手助けしよう」というスタンスなのだが、魔術師にとっては「そんな奴がいるハズない、裏があるだろう」とあまり信じられていない。

 一方で「ただの一般人だろ、代わりなんざ腐る程いるし我々ならもっと良い成果を出せる」と鼻で嗤うような奴もいれば、「これだけの経験を積んだ奴を捨てるなんて勿体無い。同じ事をやるなんてゴメンだな!」と擁護に回る者もいる。

 つまりまぁ、要するに。

 勝手に汚い大人が勘繰って、余計な波乱の種を自分達で大盤振る舞いしているのであった。

 

 

  ☆

 

 

 と言う話は、本作ではそんなに関係が無い。ごめんね(〃'∇'〃)ゝエヘヘ

 

 

  ☆

 

 

 何やかんやあったが、再建されたカルデアの廊下。銃撃によって酷く荒らされ、ボコボコのボロボロになっていた設備も、ほぼ元通りになっている。

 クリプターの中心的存在であったヴォーダイム家とかから割と毟り取れたので、より豪華にしようと思えば出来たのだが、元の姿を保っている。これはここが生まれた家であるマシュの強い希望だった。

 

「おはよう」

「おはようございます、ますたぁ」

 

 そんなカルデアの食堂は、料理上手なサーヴァントが持ち回りで料理を担当している。

 今朝は名家の出身でありながら良妻賢母としての家事スキルを持つ、清姫が担当のようだ。

 

「おはようございます、清姫さん」

「はい、マシュさんもおはようございます。今朝のオススメは新鮮な焼シャケですよ」

「じゃ、それで」

「私もお願いします」

「はい」

 

 清姫。

 バーサーカーのサーヴァントであり、その狂化はEXランク。割烹着にお団子に結った髪がとても奥ゆかしい雰囲気を醸し出しているが、一度スイッチが入ると灼熱の炎を撒き散らすじゃじゃ馬娘である。

 とは言え、ちゃんと接してあげれば気立ての良い良妻賢母としての素質が充分な少女なので、かなり古い付き合いという事もあって立香も頼りにしていた。

 

「……(ギリリ)」

 

 その正体は恋する乙女。故にマシュと仲良く席に座るマスターを見て、笑顔を崩さずに歯を軋ませるのであった。が、仮にもキッチンの仕事は自分から引き受けた仕事。反故にするという事は自分が憎むべき嘘を吐いたにも等しい事なので、ここはぐっと我慢の時なのである。

 それに。

 

「清姫、この後ちょっと種火に行こうと思うんだけど、一緒に来る?」

「はい!」

 

 マスターも彼女のそういう特性を理解しているので、ちゃんと我慢すればご褒美が待っているのだ。清姫ちゃんは我慢の出来る良い子。

 

「清姫さん、良かったですね」

「ええ、ええ!」

 

 マシュに微笑まれ、清姫のテンションは更にアップ。

 チョロいとか言ってはいけない。いつだって恋する乙女は夢見気分なのだから。

 

 

 

 

 

 カルデアの戦闘シュミレーションシステムはとても不可解だ。何せシミュレーションをするだけで種火や再臨素材が落ちるのだから。一体どういう仕組みなのか、それを知る者は嘗てレフ・ライノールの仕掛けた爆破工作によって永遠に口を閉ざしてしまい、今はもう誰も分からない。

 兎にも角にも、ここで戦闘を行う事でお得なアイテムがドロップするのは確かである。

 特に度重なる事件で人員は基本的に不足しているカルデアにとって、シミュレーションという人的被害の(基本的に)出ないシステムで物資が手に入るのなら願ったり叶ったりなのであった。

 

「取り敢えず、今回はこのくらいかな」

「お疲れ様です、先輩」

「お疲れ様です、旦那様」

 

 箱に入った今回の成果物、種火をホクホク顔で持ち帰るマスターと、種火集めに随伴したマシュ&清姫。2人だけで種火モンスターくらいなら、もう彼は片付けられるようになっていたのだった。

 種火はサーヴァントに与えると、どういう理屈か霊基が強化される。如何なる仕組みなのかはチンプンカンプンなのだが、何年もこれにお世話になっているし、もう誰も気にしていない。気がかりなのはこれを落とす腕のようなエネミーだが、それももう慣れてしまっている。

 さて今日のマスターは午前だけの任務で、午後からは休み。部屋でゴロゴロするのも良いが、たまにはもっと有意義に使いたいと思っていた。

 はてさて何が良いだろうか。マシュとバックギャモンに興じるのも良いし、清姫の花嫁修業に付き合うのも良い。胤舜やスカサハの槍や、円卓の剣の鍛練に混ざっても良いだろう。人類に名を残す彼ら彼女らの手解きを受けられるとは、もしかすると世界一贅沢なのかも知れない。

 

「さーて、今日はどうしよっかな」

「まず種火を保管庫に収納する事が最優先では、旦那様」

「それもそうか」

 

 言われてみれば確かに、種火を持ったままだった。サーヴァントを育成するのに必要なエネルギーの塊を、雑に扱うのは良くない。

 

「今から保管庫に行くと……、お昼ちょっと前に食堂で集合かな?」

「ではそれで」

「はい、また後で食堂で」

 

 今日は回収できた種火が全て金の種火だった事もあって立香は上機嫌だ。今にもスキップしそうな勢いで、マスターはその場を去って行く。後に残されたのは、種火回収に付き合った2人のサーヴァントだけになった。

 彼が廊下の角で見えなくなった事を確認すると、デミ・サーヴァントの眼鏡少女はポツリと呟く。

 

「――清姫さん、もしかすると私と何か話したい事が?」

「ええ、ご明察です」

 

 にこりと笑って清姫は答えた。

 歩きながら話しましょう、と竜の少女は提案し、後輩少女もそれに同意する。

 廊下に足音を響かせながら、清姫は努めて真剣な口調でマシュに尋ねた。

 

「単刀直入に聞きます、マシュさん。貴方は安珍様と、……ますたぁとどうなりたいのですか?」

「どう、とは……?」

 

 要領を得ない清姫の質問に、マシュは首を傾いだ。

 清姫は、まるでそれが分かっていたかのように言葉を続けて紡ぐ。

 

「どうもこうも、マシュさん、貴女はマスターとの関係がこのままで良いのですか?」

「はぁ?」

「わたくしは以前、貴女に旦那様をどう思っているか問いました。貴女は、そう『頼りになる先輩』と答えた筈です」

「それは、まぁ、はい。そう答えた記憶は私にもあります」

「貴女はそれで良いのですか?」

「……仰りたい事の意味がよく分かりません」

「『頼りになる先輩』の先に行きたくないのか、と訊いているのです」

「…………」

 

 清姫の問いに、マシュは答えられなかった。

 ただただ彼女は沈黙し、その先について想像を巡らせようとしている。

 彼女の言いたい事は何となくだが分かる。多分、恋人や夫婦になりたくないのかと問うているのだろう。だがマシュにはそれに対する知識が、もっと言えばそういった妄想をするだけの経験値が足りていない。

 ブライダル誌、少女マンガ、学友との雑談、散歩先で見た光景……。そういった『何気ない日常』で蓄積される筈のデータが、彼女には無い。

 歩きながら深く深く考え続け、ただただ清姫はその間ずっと彼女の答えを待ち続けた。

 やがて、静かに後輩少女は口を開く。

 

「――分かりません」

「分かりません、とは?」

「私にとって先輩は、マスターは頼りになる私の大切な人です。でもその先と言われると……、正直、想像ができないのです」

「そうですか」

 

 分からないものは、分からない。

 数多の英霊と接し、数多の人生の先輩と語り合い、信じ合える仲間達もいて。それでも分からないものは分からない。どうしても。

 

「そうですか」

 

 何かを確認するように、清姫は同じ答えを繰り返す。

 その表情は恋敵が減った嬉しさなど微塵も無く、寧ろ強い憂いを帯びているようにすら見えた。

 

「しかし、どうしてそんな質問を?」

「……今はまだ、それを話す時ではありません」

 

 話は終わり、と言わんばかりに清姫はスタスタと歩みを早めて食堂へ向かう。

 こうなっては清姫はテコでも動かない。振れ幅の大きい狂化:EXを持つ彼女に対し、正攻法で正面から問い質す事は不可能だ。

 マシュは「いつか清姫さんから話してくれるって事ですよね」と独り言を零して、速足で彼女の後を追うのであった。

 

 

 

 食堂では既に立香が到着しており、隅っこの方で不思議な白い小動物のフォウと戯れていた。

 いつからかここにいたフォウが、実は第Ⅳの獣である事を知っている者は、精々サーヴァントの中でも神代に生きていた神そのものくらいだろう。

 彼の正体を知る者も特に指摘して事態を混ぜ返すつもりは無いので、現時点ではただのマスコット程度でしかない。

 

「フォウフォフォウ、ンキュウ!」

「ははは、くすぐったいよ!」

 

 マスコット君は立香がツマミ食いしたであろうオヤツの欠片を舐め取ろうと、彼の口の回りをぺろぺろと舐め回している。

 そんな彼らを、周囲のスタッフ作業を終えた英霊達は見守っていた。小動物とジャレるマスターの姿に癒されているのだろう、皆が皆、仕えるべき主の姿に微笑みを浮かべていた。

 こんな穏やかな時間がずっと続いて、誰もが笑って毎日を過ごせれば良いのに。

 皆がそんな事を考えていた時だった。

 

 

 

『ビィーッ!ビィーッ!!』

 

 

 

「警報!? でもこの音は一体!?」

「先輩、これは管制室からのXYZ(後が無い)コールです!」

 

 突如として鳴り響く、これまでに無い程の緊迫感を孕んだアラート。折角平和になったのに、また何かイベントもといハプニングが起きたのか。

 

「行くぞ!」

「「はい!」」

 

 カルデアに、そしてそれ以外の拠点で過ごしている時も、常々このような非常事態はよく起こっていた。日常茶飯事とかそれも非常事態じゃないが、ツッコミを入れてはいけない。

 中央管制室に到着したマスター達は、既に指示を飛ばしていた英霊レオナルド・ダ・ヴィンチに現状を問うた。

 

「現状は!?」

「システムが正体不明のクラッキングを受けている! 全員で対処に当たっているが、まるで効果が無い! 焼け石に水にすらなってないね!!」

 

 くっ、と苦悶の声を漏らすダ・ヴィンチちゃん。黒い一つ括りの髪を揺らしながら、見た目年下の少女は必死に対処に当たっていた。

 システム系か、と立香は苦い顔。

 基本的に現場職である彼らにとって、こういうサイバー方面のトラブルは対処に困る事柄である。ましてやカルデアのシステムに攻撃を仕掛けられるとなれば、敵の腕の高さもおのずと知れるというもの。

 どうすれば良いものかと歯噛みする少年の耳に、異様な言葉が届いた。

 

「……映像、出ます!」

 

 映像? と首を傾げる。

 クラッキングを受けていると言うのに映像なんてあるのだろうか。

 だが次の瞬間、その疑問は吹き飛んだ。

 

『GAAAAAAAAAAAAAAAAA!』

「く、『クラッキング・ドラゴン』!?」

 

 モニターに表示された映像、それは電子的な世界の中で暴れ回る機械の龍の姿だった。

 見間違える筈も無い、あの刺々しいフォルム、灰色のボディ、時折放つ光線。どれもデュエルモンスターズのカードにある、マシュと休日を過ごす際に使うカードゲームに登場する、『クラッキング・ドラゴン』のそれと一致している。

 

「マシュ、あれって――」

「はい、確かに先輩の言う通り、インターネット上の『クラッキング・ドラゴン』のカードイラストと特徴が一致します! それに、アレ!」

 

 マシュの指差す先、『クラッキング・ドラゴン』の額には、恐らく機械龍をコントロールしているであろうプレイヤーの姿が。

 モニターから音声こそ流れて来ないが、悪意を持って高笑いしているのが目に見えて分かる。

 今回の敵は電子世界からの侵略者か、と判断したマスターは素早く行動を開始した。

 

「ダ・ヴィンチちゃん、バベッジさんの作ったソフトはまだある!? アレを使って内部に乗り込むよ!」

「ホームズさんがシュミレーターの負の感情を倒すために開発を依頼したアレですね! 先輩、お供します!」

「オーケイ! 実はあれ、こっそりパワーアップしてあるんだよね! ヴレイン・システム起動! システム調整開始、シフトスタートまで186秒! マスター君は3分以内に随伴するサーヴァントを何人か呼んで来て!」

「分かった!」

 

 

  ☆

 

 

 システム内部に直接意識データを送る、チャールズ・バベッジのプログラミングしたソフト。これによる擬似的なレイシフトが、今回の移動手段だ。元々はモリアーティがシステム内部の蓄積したNPCの怒りをエネミー化させた際に、それを取り除く手段だったが、こうしてまた使う事になるとは人生何があるか分かったものじゃない。

 

「改めて手短に説明しよう。今回のこれはレイシフトに似ているが、違う。肉体はこっちに置きっ放し、精神だけがシステムの中に向かう。当然、向こうでダメージを受ければ肉体と精神に反映される。死ぬようなダメージを受ければショック死か、良くて廃人になるかもね」

 

 サラッとダ・ヴィンチが宣うが、何て事は無い。今までのレイシフトと同じ、あっちで死んだらこっちでも死ぬ、それだけである。

 腹を括り直し、立香は今回同伴を頼んだサーヴァントの皆を見た。

 

 まずは頼れる後輩、マシュ・キリエライト。

 敵がドラゴンならばと竜殺しの英雄、ジークフリート。

 数多の伝説を築いたイギリスの王、アルトリア・ペンドラゴン[ランサー]。

 機械関係ならと頼み込んで承諾を得た、BB。

 そして本人の強い希望によって選抜された、清姫。

 以上5名。

 

 本来のレイシフトでは無いためもっと人数を送れるのだが、3分ではこれが限界だった。マシュと清姫が最初からついて来ていなければ、BBの説得だけで全て終わっていた可能性もあったと言えば、3分間に何があったか大体想像がつくだろう。

 

「それじゃあ頼む、ダ・ヴィンチちゃん!」

「うん。取り敢えずハッキングに備えたダミープログラムと、大した実害の無いデータばかり今は破壊されてる。でもいつか必ず、もっと深い重要な所に来る。その前に倒してくれ!」

「了解!」

 

 プシューと廃棄音が鳴り、コフィンの中に乗り込む6人。

 また戦いの日々か、と溜息を吐きたくなるが、同時にこれが自分達の日常なのかも知れない。

 裏世界と密接に関係する魔術師や魔術使いとしては、それがきっと正しいのだ。

 腰のホルスターから愛用のデッキを引き抜き、カルデアが大急ぎで組み立てたデュエルディスクにセット。

 あれが本当に『クラッキング・ドラゴン』であるなら、これが役に立つ筈だ。

 

「皆さん、出発前にBBちゃんから1つアドバイスです」

「何?」

「もしかすると、デュエルに乱入するという手段を取る必要性が生まれる事があるかも知れません。しかしそれは最後の手段にして下さい。何故なら――」

 

 自称グレートデビルなラスボス系後輩なBBの言葉を聞きつつ、立香は緊張を解すために呼吸を整える。大丈夫だ、自分は数々の修羅場をくぐり抜け、経験を積んできた。それを仲間と共に活かせば良い。

 彼女の言葉を記憶に留めつつ、少年達はディスクを装備した左手を胸元に、準備完了の合図を送るのであった。

 

 

 

「イン・トゥ・ザ・ヴレインズ!」

 

 

to be continued




「ブレイン」じゃなくて「ヴレイン」なのは何となくですw
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