Fate/Duel Order   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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本作は今回を始め、何かしらの要素・嗜好・コンテンツ・宗派等を悪し様に記述する事がございますが、不当な意志を以てそれらを貶めようと施策する意図はございません。
御了承願います。


Turn:13 地獄の救済

 ルーアンと言えば、フランスの中でも大都市から日帰りで行き来できる観光都市である。

 モネの名で知られている画家、クロード・モネの連作が展示されていたり、リチャード王の心臓が埋葬された大聖堂があったり、セーヌ川や豊富な食材を売る市場もある。売られているのはチーズ、鴨肉、牡蠣、リンゴ飴、何でもござれ。

 当然、ジャンヌ・ダルク関連の観光スポットもあり、美術館の作品やお土産品、聖ジャンヌ・ダルク教会という建物もある。

 日本での知名度は少々低いが、現地の人気は全く悪くないのだ。

 

「でも、それって近代の話だよね」

「そうですねぇ。火刑前に私の見たルーアンは、丁度こんな感じでした」

 

 一方でこちらに再現されているルーアンは中世のもの。昨今では人気の転生ファンタジーの舞台としてピッタリの都市だろう。

 石造りの家と石畳、行き交う人々の服はまさに中世の服らしく無地で簡素な造りだ。

 

 

 

 森の中でマリーの治癒を終えたマスター達は、現在ルーアンの中に潜入していた。

 とは言え、10人以上の大所帯で入れば確実に目立つため、今回はマスターを含め数名の潜入である。

 メンバーは現地を知るジャンヌ、高い機動力を持つアストルフォ、生涯無敗であったとまで言われる程の剣豪デオンの3人。と、マリーとのデュエル中は鳴き声1つあげなかったフォウ君1匹。

 最初はルーアンという土地を考え、皆はジャンヌの同行に難色を示したのだが、聖女の

 

「お願いです、どうしても私が行かなければならないんです。啓示がそう伝えて、いえ、私自身の直感がそう訴えているのです!」

 

という言葉に根負けした次第だ。

 ジャンヌの啓示はサーヴァントとして、しかも弱体化したルーラーである現状ではそこまでの性能は無い。精々が『よく当たる予測』ぐらいであり、未来を保証するものとは程遠い。

 しかし強情で頑固者ではあっても物分かりは(一応は)良いジャンヌがここまで強引に通るのは比較的珍しく、彼女の熱意に負けた形である。

 取り敢えずフード付きマントで顔は隠して貰っているが、果たしてどこまで隠せる事やら……。

 

「どう? 変なトコはある?」

「今の所は。ただ私も全てを覚えているワケではありませんし……」

「私はここより未来の存在ですし」

「僕なんて伝説の登場人物だしねー」

 

 今の時点で視界に入っているのは、取り敢えず何の変哲も無い中世の街並みである。別段奇妙な物は何も無く、言われなければここが電脳空間に創られた特異点とは誰も思わないだろう。

 ふと、近くの家の扉に手を掛ける。ギィ、と音が鳴って戸が開き、作り込まれているなぁ、と感嘆してしまった。

 

「ん、何か聞こえない?」

「え?」

「フォ?」

 

 不意にアストルフォの耳に何か聞こえたらしく、全員に注意を促す。

 音のする方向へ向かって道を曲がると、そこには大きな人混みがあった。

 

「何だろう、あれ?」

「行ってみよう」

 

 マスターの提案で、一同は人混みへと向かう。

 そちらへ近寄るにつれ、次第に人混みから聞こえる声が明確なワードとなって耳に届き始めた。

 

「良いぞー!」

「やっちまえー!」

「裁きをー!」

「――でダイレクトアタック!」

 

 全てが聞こえるワケじゃないが、どうやら人混みの奥の方でデュエルが行われているらしい。耳を澄ませば、小さく召喚やカード発動のサウンドエフェクトが聞こえて来る。

 

「――!」

「―――ドロー!」

 

 こんなにギャラリーがいるという事は、相当な有名人がデュエルをしているのだろうか。

 もしかしたら現地の協力者になってくれる人かも知れない。接触する価値はあるだろう。

 そう考えたマスター達は、取り敢えず更に人混みの奥の方へと進んで行く。

 

「更に―――」

「食らいやがれ――」

「――私は」

「ターン、エンド……」

 

 

「……ん?」

 

 だが、近付くに連れておかしな事にマスターは気付いた。

 デュエル関連と思わしき声は全部で6つ。組み合わせとして考えられるのは3vs3の変則タッグデュエルか、また青コート仮面のような袋叩きの状態だろう。それは見えないので置いておく。

 問題は、この内いくつかの声が異常なまでに元気が無い上に、殆ど声が発せられていない事だ。

 通常、デュエルを行う場合「ドロー」「ターンエンド」の2つに加え、更にカードの発動やセット、モンスターの召喚等が行われ、これらを行うには宣言が必要になって来る。

 

「私のターン、ドロー――。ターンエンドです……」

「ドロー、ターンエンド……ッ!」

「ドロー……、クッソ、ターンエンド!」

 

 が、この内、声の主の3人は「ドロー」と「ターンエンド」を先程から繰り返してばかり。

 やる気が無いのかと思うかも知れないが、それにしては当人達の声は妙に悲しそうだ。

 手札事故でも起こしたのだろうか、だがそれにしては何もせずターンを終わる行動ばかりが耳に届く。

 

「むぅ、これ以上は見えないな」

「どっかに踏み台でもあると良いんだけど……」

「マスター、私が肩車をしましょうか? 筋力ステータスなら高いですよ」

「踏み台なら兎も角、悪目立ちするから遠慮しておくよ」

 

 何が起きているか知りたいが、奥の方は人が邪魔で見えない。

 配置としてはデュエルが行われている広場とマスター達の間に、大量の野次馬がいる状況だろうか。野次馬の層はかなり分厚く、木箱か何かに乗っている人もいる。これだけ人の壁が分厚いと流石に奥の様子は見れないのだろう。

 

「ねぇ、これに乗らない?」

 

 その時、アストルフォが路地裏から古びたテーブルを持ち出して来た。傷だらけでボロボロだが脚はまだしっかりしているし、4人で乗っても大丈夫だろう。

 最初にマスターが、次に軽装のデオンが、最後に武装したアストルフォとジャンヌがテーブルに乗る。

 一瞬だけ、多少視線を引き付けたりはしたものの、同じような事をやっている人がいるので目立つような事は無いようだ。

 

「あ、見えた見えた」

「アスト……ライダー、もう少し左に頭を寄せて。見えない」

 

 敵陣である事を考慮し、真名では無くクラス名で呼ぶマスター。

 さて、ようやっと見えた奥の方には学校の朝礼台のような木製の舞台があり、そこでは聞こえて来ていた声の通り、デュエルが3vs3の複数人体制で行われていた。片や想像通り、青コートの仮面トリオ、片や年齢も性別も国籍もバラバラの3人組だ。

 

「ダ・ヴィンチちゃん、聞こえる? 奥の会話の内容をこっちに届けて欲しいんだけど、出来るかな?」

『まーかせて。電脳特異点なら声も1と0の集まりだ、造作も無いよ』

 

 ダ・ヴィンチに依頼して待つ事、数秒程。すぐに広場での会話が聞こえて来た。

 周囲に漏れていないか心配になったが、誰もこちらを見ていない所を考えると、恐らく自分達にだけ聞こえるようにしてくれているのだろう。流石は天才レオナルド・ダ・ヴィンチである。

 耳を澄ます4人と1匹は、しかしすぐにその会話の内容に顔を顰める事になった。

 

『これでテメェらのライフはゼロ。残念だったなぁ、最後の最後まで手札事故なんざよぉ?』

『ふざけんな、何が手札事故だ! こんなの……、こんなの八百長じゃねぇか! オレのデッキ返せよ!』

『あーん? ペイガン野郎が何か言ってるぞ?』

『ハッ、あんなカナン染みたデッキ、燃やしてやったよ。主の威光でな!』

(ペイガン? カナン?)

 

 耳慣れない単語にマスターは首を傾げた。

 それに対し、サーヴァントの3人が分かりやすく意味を説明する。

 

(ペイガンは異教徒、という意味です。ノンクリスチャン、と言えば分かりますか?)

(元来、我々の教義では古くより、異なる宗教や無宗教を否定しています。歴史には数多くの迫害としか取れない事もあるでしょう)

(カナンは確か、モーセと後のイスラエル人が、十戒で逃げた先のイスラエルで殺した民族の名前だった筈だよ。何でも神様の考えは人間と違うから理解できないけど、従わないと死ぬより酷い目に遭うって理由で滅ぼしたんだってさ)

 

 キリスト教の歴史には、常に迫害がついて回る。何があったかは、アパルトヘイトやホロコーストと似たような事態が起きた、と思い浮かべれば分かりやすいか。

 ローマ、ギリシャ、アメリカに日本。全世界に広まったキリスト教だが、現代に於いても他宗教や無宗教との対立の火種はそこかしこにあるのだ。

 これはカトリックもプロテスタントも『他宗教と無宗教に救いは無い』と掲げているためである。

 20世紀後半に『キリスト教以外でも救いはある』と見解を示すものの、依然としてキリスト教が優位なのは変わらない。

 無論、何もキリスト教だけが悪いワケではない。他の宗教も差別は行っている。この辺は非常にデリケートな、心の拠り所の問題なのである。

 

(――20世紀の学者が言うには、主を過度に神格化し過ぎている事が理由ではないかと言われています。あまりにもその位が違い過ぎて、主の威光を笠に他者に優位に立てるからではないか、と……。実際、主の名を勝手に使っての暴虐は歴史上、どの宗教でもあります)

 

 嘆かわしい、とジャンヌは呟いた。

 マスターはイエス・キリストがどのような人物かは知らない。声も姿も趣味も、何もかも。

 しかし実際に神託を受けたという彼女には、何か思う所があるのだろう。

 

『ふっざけんな! じゃあこのお前らがデュエルに使えって渡したこのデッキも、主の導きとか言うモンのなのかよ、これが!!』

『その通りだ。それこそが貴様らの罪。主の恩恵を受ける事無く今日まで薄汚い命を生き長らえさせて来た罪だ!』

『これが罪だと!? レベル5以上のバニラフルモン、儀式魔法オンリーの緑一色、“アンティーク・ギア”相手に攻撃反応罠だけの赤一色がかよ!』

『当然だ。それも理解できないとは、やはり異教徒に生きる価値は無いな。何故この場で自害しない?』

 

 さて前方の状況はよく分からないが、どうも八百長に近いデュエルだったらしい。

 飛び出して行くべきか、しかし目立つ行動は後々に不利になる可能性がある。

 どうするべきか考えていると、次の会話が耳に入って来た。

 そこで今度こそ、マスター達は耳を疑う事になる。

 

『さて、贖罪の時間だ。死んで生まれ変われ、ミュータント野郎ども』

『ま、待って下さい! 私のお腹には子供がいるんです! まだ性別も分からないけど、きっとシュのイコウという物に敬虔な信徒になる筈です! お願いします、どうかこの子は――!』

『いらねぇよ、そんなゴミの子供なんざ信徒になって貰っても迷惑なんだよ!』

(――妊婦がいるのか!?)

 

 遠目で辛うじて見える、必死に命乞いをする女性。顔つきからすると恐らく、中東系で20代半ばくらいの女性だろう。お腹は大きくなっていないが、彼女がそうなのだろうか。

 妊婦だから特段の配慮を、なんて発言こそした事は無いが、それでもあの身体には2つの命があり、母親の責任はとても重い。行動が制限される事を考えても、妊婦には多少なりとも優しくすべきだとマスターは思っている。

 

『どうか、どうか慈悲を――!』

『うるせぇ!』

『キャッ!?』

「あいつ!」

 

 だが仮面の青コートは、そんな事に何の関心も示さない。必死に頭を下げて許しを請う女性の、よりにもよって土手っ腹を蹴った。

 言うまでも無いが、女性の、しかも妊婦の腹を蹴るなど言語道断である。

 

『おお、そんな事をすればアンタ達の神さんも怒りますよ、生まれる前の子に罪は無いんです。やめんしゃい、やめんしゃい』

『黙れ、カスが主を語るな、ヘドが出る!!』

『ガッ!?』

 

 更に庇いに入った人の良さそうな老人まで、今度は顔を目一杯爪先で蹴り飛ばした。靴の爪先が老人の顔に派手にめり込み、折れた歯と鼻血が飛び散った(実物では無いが、現実世界でも同様のダメージが発生している事だろう)。

 信じられない、彼らは暴力を他人に振るう事に何の呵責も覚えないのか。それともそういう風にプログラミングされたNPCなのか。

 1つだけハッキリしているのは、奴らは倒れた老人や妊婦を見て、ゲラゲラ嗤うような下劣な品性の持ち主という事である。

 一頻り笑った仮面の男の内の1人が、やがて「やれやれ」と言わんばかりにディスクに手を掛けた。

 

『あーあ、靴が汚れちまったよ。こいつさっさとカードにしちまおうぜ』

『だな。クズは消すに限る』

『ま、待ってくれ。我々は全員、帰るべき家が――』

 

 命乞いは、最後まで放たれる事は無かった。

 仮面男のディスクから放たれる紫の光によって、老人は一瞬にして姿を消されてしまった。後にはそこに、1枚のカードが落ちるのみ。

 遠目からでも何が起きたか分かる、カードを拾ってゲラゲラという嘲笑が一層酷くなった連中を見れば。

 

『うっわ、クッセェ! このカード、ジジイクセェ!』

『ヒャハハハハ! やめろよ、こっちに近付けるなって! 異教徒臭が移るだろ、ヒャハハ!』

 

 その光景を見て、とうとうマスター達は決意を固めた。

 

「マスター、私はもう我慢できません。私の信じる主を、これ以上穢させませんっ」

「ああ、同感だ。タイミングを合わせて飛び込むよ。デオ――、セイバーとライダーはここで逃げる準備を。フォウ君はライダーと一緒にいて」

「フォウ!」

 

 今更遅いにも程があるだろう。

 いつだって自分達はそうだ、助けられる命を助けられない。未来を見れない事が死ぬ程悔しい程に犠牲が出る。

 嘗て異聞ロシアで言われた「自分達ならもっと犠牲は少なかった」という言葉が胸に突き刺さるようだ。

 グズグズしてるから犠牲者がまた出るのだ、とマスターは歯噛みする。

 いざ飛び出さんと思ったその時だった。

 

「「「うぉおおおおおお!!?」」」

「「「きゃあああああああ!!?」」」

 

 突然、周囲に悲鳴が響いた。と言ってもそれは恐怖によるものでは無く、寧ろ黄色い声の歓声に近しいものであった。

 

「おい見ろよあれ!」「マジか!」「初めて見たわ!」「何て神々しい!」「キャー、こっち向いてー!」「素晴らしい、素晴らしい……!」「何て綺麗なヒトなんだ!」「あれぞまさに地位に相応しいお方よ!」「ふつくしい……!」

 

 何だ何だと身を乗り出し、変化した状況を見るより早く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聖女ジャンヌ様がいらっしゃられたぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の瞬間、ルーラーことジャンヌ・ダルクは、強靭な脚力でその場を飛び出していた。

 

 

  ☆

 

 

 ダンッ!と処刑台のような高台に着地音が響く。

 否、それは最早砲弾の着弾の音のように、重く周囲に響き渡る、そんな重厚な音であった。

 

「貴様、何者だ!」

「オレ達が神の御使いであると知っての乱入かぁ!」

 

 仮面青コート達の言葉に、突如として現れた聖女は耳を貸さない。

 着地の衝撃で宙に舞った老人のカードを懐にしまい、ただ周囲をキョロキョロと、何かを探すように見渡し回るのみ。その瞳は普段のサファイアブルーから、淡く輝くスカイブルーへと変色していた。恐らく、彼女のスキル『真名看破』を最大出力で使用している影響だろう。

 

「――いた」

 

 やがて目的のものを見つけたのか、ジャンヌは頭を動かすのをやめ、一点を凝視し始めた。

 その視線の先にいるものは――

 

「何者であるか、小娘」

 

 先程のざわめきの原因である、『聖女ジャンヌ』がいた。

 

「我は聖女ジャンヌ、不躾な視線を向ける事はやめて貰おう」

 

 敵の『聖女ジャンヌ』は、ハッキリ言ってサーヴァントのジャンヌとは似ても似つかぬ姿であった。

 髪は金ではなく茶色だし、相当な癖毛だ。掘りもかなり深く、お世辞にも美人とは言い難い。身長も身体つきも全くの別物で、まるで教科書に描かれているジャンヌ・ダルクの肖像画からそのまま抜け出してきたかのようである。

 ふと、マスターはデュエルモンスターズになっているカードのジャンヌを思い出した。あれは色々と種類こそあれど、全て茶髪の、男装の麗人染みた姿だった。

 

(あれをもっと不細工にしたら、少しくらい似ているかな?)

 

 そう言えば史実のジャンヌはそこまで美人では無く(それでもそれなりに整った顔立ちだったらしいが)、今のジャンヌの姿はある召喚された世界での少女の容姿をそのまま利用していると聞いた事がある。

 となると、あちらの茶髪の『聖女ジャンヌ』の方がオリジナルに近い可能性はあるのだろうか。

 もっともそれだと、オルレアンでの兵士や生前のジル・ド・レェの反応が色々と腑に落ちないのだが。あれだろうか、アルトリアと似ていると言われる感じの、魂の形とかいう奴なのか。それともたまたま、生前のジャンヌとよく似た女性に憑依したのだろうか。

 ちなみにその豊満なお胸は生前から共通らしい。

 

「成程、そういう事ですか」

 

 一方のジャンヌは何かを確信したらしく、しきりに頷いていた。

 よく分からないが、相手の正体について掴んだようである。

 

「女ァ、そこをどけ! 我々は残った売女とチンピラにも誅さずばならんのだ!」

「我々の邪魔をすると言うのなら、神の裁きが下るぞ!」

「お断りします。これが神の裁き? 誅罰? 冗談や侮辱も大概にして下さい」

「この、ン無礼者がぁあっ!!」

 

 激昂した相手がディスクから放つ、カード化ビーム。

 しかしジャンヌは旗を一閃させ、それを打ち砕いた。

 

「無駄です。我々にそれは通じません」

「何ぃ!?」

「流石、BBお手製のプログラムですね。機械は私にはさっぱりですが、これが凄い事は分かります」

 

 ふふん、と不敵に笑うジャンヌ。

 そしてそれに追従するように通信が開き、システム開発者のBBが大きな胸を張って自慢して来た。

 

『ふっふっふ、ライフポイントと密接にリンクしたガードシステムがありますからね。1秒間に619回ぶっ放されてもピンピンしてますよ!』

「そういう事です」

『……だから旗で弾く必要も無かったんですよ?』

「気分の問題です」

 

 ちなみに以前、何故ライフに連結するのかとBBに聞いた所、「これが一番強くて破られにくいシステムになるからです」らしい。

 

「これ以上、貴方達が主の名を穢す事は看過できません。我が名はジャンヌ・ダルク! 裁定者の英霊にして、人理を守る者である!」

「ジャンヌ、ダルクゥ?」

「ははっ、おい小娘、吐くならもっとマシな嘘にしな。真の『聖女ジャンヌ』はここにおわすお方であるぞ!」

「然り。聖女ジャンヌは我である!」

「そうだそうだ! このペテン師が!」

「帰れ!」「殺せ!」「罰を!」「やっちまえ!」「火刑にしちまえ!」「殺せ!」「神罰を!」「消せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」

 

 啖呵を切ったジャンヌに対し、周囲の面々は厳しい目と言葉を向ける。

 だが彼女は意に留める事無く、強い目で『聖女ジャンヌ』を睨み付けた。

 

「真にジャンヌ・ダルクであると言うのなら、そこにおられる『聖女ジャンヌ』は、この問いに応えられる筈です」

「何?」

「『聖女ジャンヌ』、汝に問いましょう。――貴女は」

 

 

 

 

 

「×××××、違いますか?」

 

 

 

 

 

 遠くて何と言っているかはダ・ヴィンチの解析でも聞き取れなかったが、その言葉で周囲の空気は一変した。

 特に茶髪の『聖女ジャンヌ』の様子は明らかに豹変しており、焦点があちこちへ移ろいでいる。動揺している事は火を見るより明らかである。

 

「きさ、貴様はまさか――!」

「貴方のその反応で、確信に変わりましたよ。成程、ではこの地に召喚された者の名前もおのずと絞れますね。さて、ベッドフォード公か、アルテュール公か、それとも私の不当な裁判に関わった誰かでしょうか? 読み書きのできない私を『異端者である』なんて文書にサインさせるなんて、恨んではいませんが、今でも悪辣だと思いますよ」

 

 ジャンヌは確信を深めたらしく、不敵な笑みをより強くしていた。

 ベッドフォードとアルテュールは共に、生前の彼女を敵視していた者達の名である。即ち、彼女は既に敵の正体に察しを付けたという事だ。

 そしてジャンヌが正体に勘付いた事は、当然ながら『聖女ジャンヌ』も理解している。

 

「も、者ども、この女は魔女である! あらゆる主の威光を貪り踏み躙る悪魔である! 即刻処断せよ! 首を刎ねて火にかけるのだ!!」

「「「ハッ!」」」

 

 故に、分かりきっていた反応だ。仮面青コートが敵対する事など。

 

「ヒヒヒ、よぉく見ると良い女だなぁ。首を刎ねる前、いや後でも良いや、たっぷり貪ってやりてぇなぁ?」

「隊長、こんな奴さっさとノシちまいましょう!」

「当然だ」

 

「お2人とも、私の後ろに。この台座は広いですが、吹っ飛ばされれば落ちてしまいます」

「おお、有り難い……」

「あ、貴女は? 先程はジャンヌ・ダルクと、あの『聖女ジャンヌ』の名前を名乗りましたが……」

 

 怯えるように言う妊婦の女性に対し、ジャンヌはクスッと笑って答えた。

 

「私はジャンヌ。父ジャックと母イザベルの間に生まれた5人兄妹の1人で……、しがない村娘ですよ」

 

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

 

ジャンヌ・ダルク:LP 4000

青コート隊長:LP 4000

青コート部下①:LP 4000

青コート部下②:LP 4000

 

 

To be continued

 




Q.
【アンティーク・ギア】
vs
【レベル5以上バニラフルモン】
【攻撃反応罠オンリー】
【儀式魔法オンリー】


これで【アンティーク・ギア】に勝利する方法を述べよ。
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