Fate/Duel Order 作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民
しかし、その行動の意味を理解しようとしているのだろうか
本当の意味は、全てが終わった後からついて来るのに
「シンクロ召喚! オレ自身! 『ドリル・ウォリアー』!」
『トァッ!』
ATK:2400
「オレ自身、だと――!?」
「先輩、この気配は!」
「ああ、分かってる!」
森の中に作られた安全地帯、セーフティキャンプに降り立つ敵モンスター。
右手首から先はドリルとなっており、黄色いマフラーが風に靡いているが、問題はそこじゃない。
「どういう事なんだ!」
「あぁ、何がだ?」
「“オレ自身”ってのはどういう意味だって聞いているんだ!」
その問いに対し、ランサーは鼻で嗤いながら答えた。
「ヘッ、坊主の中じゃあとっくに答えは出てるだろ? 何せつい数時間前、同じような奴がいたって話だからなぁ!」
「――『地獄将軍・メフィスト』!」
「ご名答」
更に解説するように、通信越しにダ・ヴィンチの解析が入る。
『これはどういう事かな。あの場に出ている「ドリル・ウォリアー」はただのソリッドヴィジョンだ。でも同時にマリー王妃とデュエルした「地獄将軍・メフィスト」と同じように、プレイヤーとリンクした反応を見せている』
「どういう事?」
『「メフィスト」の反応をデュエル後も調べていたけど、あの時に召喚された彼自身は、他のソリッドヴィジョンのモンスターと異なる反応があったんだ』
「それは、あいつ自身がプレイヤー兼モンスターとして場に出たから?」
『明確な事は解らない。でもハッキリと言えるのは、あのモンスターとプレイヤーは、とても深い関わりがある。自分自身という言葉から推測すると、恐らくは彼もまた「メフィスト」と同じようにモンスターと人間が融合した姿と考えるのが妥当だ』
つまり、あのランサーは『ドリル・ウォリアー』と封印された人間の魂によって生み出された存在、という事だろうか。
だがそれにしてはモンスターとしての見た目はデュエルディスクに変化した槍と、首に巻いていた黄色のマフラーのみ。マリーとデュエルをした『メフィスト』と大きく異なる。
「オレは『ドリル・ウォリアー』のモンスター効果を発動! 手札1枚を墓地に送り、このモンスターをゲームから除外する!」
「自分で自分のモンスターを除外しました!?」
「この効果で除外した場合、次の自分のスタンバイフェイズにフィールドに戻る。そしてその時、墓地のモンスター1体を手札に回収する」
地面に右手のドリルで穴を掘り、フィールドから消える『ドリル・ウォリアー』。
自身の効果でエクストラモンスターゾーンを空けられる上に、あのモンスターが帰還するのはスタンバイフェイズだ。ドローフェイズにチェックが発生する『先取りの宝札』のドロースキップには関与しない。
「更にカードを1枚伏せ、魔法カード『光の護封剣』を発動! 相手モンスターは今から3ターン、攻撃宣言できない!」
次いでランサーはフィールドに2枚のカードを出す。
1枚は裏向きに、もう1枚は輝く剣を場に刺して柵を作るために。永続魔法でも装備魔法でも無く、しかし場に残る稀有なカードだ。
光の護封剣
【通常魔法】
このカードは発動後、フィールドに残り続け、相手ターンで数えて3ターン後の相手エンドフェイズに破壊される。
(1):このカードの発動時の効果処理として、相手フィールドに裏側表示モンスターが存在する場合、そのモンスターを全て表側表示にする。
(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、相手モンスターは攻撃宣言できない。
「オレはこれでターンエンドだ」
ランサー:LP 4000
手札:1枚
フィールド
モンスター無し
伏せカード1枚、光の護封件(通常魔法・残り3ターン)
「俺のターン!」
改めて相手を見る。リベリオンのランサー、どう見ても普通の人間だ。いくら『ドリル・ウォリアー』が人型のモンスターとは言え、『地獄将軍・メフィスト』のモンスターそのものだったあの敵との差異はあまりに大きい。
加えて言えば、『メフィスト』の性格面はかなり悪辣だった。あの青コートのNPCと大差無いくらいに。となると奴の人格はNPC同様に後付で付与された可能性がある。
だが一方でランサーにその傾向は全く見られない。
(そこに何の差があるのか、このデュエルで見極める!)
「ドロー!」
引いたカードを含め、手札は合計6枚だ。どんな手でも打てるからこそ、初動はしっかりと見極めなくてはならない。
「俺は『デイブレイク・リコール』を発動! 自分の手札1枚を墓地に送り、デッキから『黎明の腕』と『黎明の手』を手札に加える! そしてこの『黎明の腕』を通常召喚!」
ATK:400
相手の戦術の軸にあるのは恐らく、自分自身でもある『ドリル・ウォリアー』と見て間違いない。
そのためにこちらの足止めを行う『光の護封剣』を発動したのだろう。
『ドリル・ウォリアー』にはダイレクトアタックする特殊効果があるが、攻撃力がダウンするデメリットがある。それのカバーをあの除外能力が兼ねており、場がガラ空きになる次の欠点を補うのがプレイヤーの務めだ。
なら、まずは3ターンも攻撃を遮断し続ける『光の護封剣』から排除するのみ。
「『黎明の腕』のモンスター効果、発動! 召喚・特殊召喚に成功した時、手札から“黎明”モンスターを特殊召喚できる! 特殊召喚するのは手札の『黎明の手』!」
「この瞬間、手札の『増殖するG』のモンスター効果!」
「何!?」
「手札からコイツを捨てる事で、相手がこのターン特殊召喚する度に1枚カードをドローできる!」
増殖するG(効果モンスター)
星2
地属性/昆虫族
ATK 500/DEF 200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できず、相手ターンでも発動できる。
(1):このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
このターン、以下の効果を適用する。
●相手がモンスターの特殊召喚に成功する度に、自分はデッキから1枚ドローしなければならない。
「さぁ、『黎明の手』とやらの特殊召喚が残ってるぜ?」
「……、来い!」
DEF:200
光の粒となって消えたランサーの最後の手札は、ドローソースであった。
特殊召喚を行う度に手札が増える効果は非常に強力で、相手に行動を躊躇わせる効力もある。彼は最初から、このカードを次のターンにサルベージするために『ドリル・ウォリアー』をシンクロ召喚したのではと思うと、どこまでが想定内かも分からなくなり得体の知れない恐怖すら感じた。
「『増殖するG』の効果で1枚ドロー!」
「こちらも『黎明の手』の効果! デッキから同名モンスターを手札に加える!」
互いに1枚ずつの手札補充だが、ランサーはこの後も更に補充する事が可能だ。
ここで踏み止まって被害を抑えるのも手だが――
「現れろ、未来を守るサーキット!」
そんな後ろ向きのデュエルでは、勝利は掴めない。
多少の損害は覚悟してでも前に進む、その先にこそ勝利はあるのだから!
「召喚条件は光属性モンスター2体!」
LM:右・下
「リンク召喚! 現れろ、『黎明の双腕』!」
「ドロー!」
ATK:1000
「このモンスターを特殊召喚した事で、墓地の『黎明の手』をリンク先に特殊召喚する!」
「ならその特殊召喚に対してもドローだ!」
DEF:200
白銀と赤銅が混ざった色の巨人が召喚ゲートから現れ、リンク先に球体を携えた腕が出現する。
相手にドローさせてしまうが、問題無い。特殊召喚は次で終わりだ。
「再び現れろ、未来を守るサーキット!」
「おっと、まだドローさせてくれるのか? これで4枚目だぜ?」
「5枚でも10枚でもドローすれば良いさ! アローヘッド確認! 召喚条件は効果モンスター2体以上! 俺は『黎明の手』と、リンク2の『黎明の双腕』をリンクマーカーにセット! サーキット・コンバイン!」
LM:右・下・左
「リンク召喚! 今回の一番槍を頼むよ! 『
「はいっ! 私の出番ですね、頑張ります!」
勢いよく召喚ゲートから飛び出したのは、海底油田で出会った特異なサーヴァント。他の世界の聖杯戦争には登場しないというエクストラクラス『アルターエゴ』の一員。
大人の頭より大きな胸部、人間くらい簡単に握り潰し引き裂けそうな金色の爪。そしてそれに不釣り合いな程のベビーフェイスの持ち主、サクラファイブが1人のパッションリップがエクストラモンスターゾーンに降り立つ。
ATK:2200
「……デケェな」
「だろう? 俺も古今東西色々な英霊を見たけど、未だにこのサイズは他に見た事ないよ」
「マスター!?」
「先輩最低です」
『若い男の子だねぇ、君も』
「爪の話だよ!?」
ギョッとするリップと冷たい視線を送るマシュ。そして理解したように通信越しに頷くダ・ヴィンチ。
確かにAUOすら「豊満は好みじゃないが逆に興味が出る」と言うレベルの巨乳ではある。そして彼女をそういう目で見た事が無いとは言えないが、少なくとも口に出した事は無い。ガウェインの二の舞はお断りだ。
と言うかマスター君は思春期を抜けきっていないので、このくらいのトークは許してくれないかと時々思う。
「ええい、リップの効果発動! 1ターンに1度、リップがいるモンスターゾーンを中心とした縦3列に位置する、相手のカード1枚を墓地に送る!」
「えっと、行きます! “トラッシュ&クラッシュ”!」
「対象は中央の魔法・罠ゾーンに配置された『光の護封剣』!」
リップが発動中の『光の護封剣』に向けて両手を前に、ボールを掴むようなポーズを取ると、眩い刀剣がスパークし始める。本体であるカードが受けた影響が伝播しているのだろう。
ゆっくり、しかし力強く手は閉じられていき、その手が閉じきると同時に『光の護封剣』による全てのソードはキューブ状に圧縮され、消滅した。
したがってランサーを守るカードは無くなり、ダイレクトアタックのチャンスである。
「良し、これでマスターは攻撃できる!」
「バトルだ! 俺はリップで――」
「永続罠『天秤の闘技場』、発動!」
「何!?」
ランサーが発動したのは、2つのコロシアムを吊り下げるスケールが描かれた赤いカード。マスターとランサーのフィールドが円形の陣で覆われたかと思うと、次の瞬間、リップとマスターのいる方の円陣がガクンと下に下がった。
「このカードが存在する限り、互いに相手より従えているモンスターが多い場合、攻撃宣言できなくなる」
「ランサーの場にモンスターは、ゼロ」
「マスターさんの場には
「そうだ、これでお前さんは俺を攻撃できないって事だ」
「クソッ」
天秤の闘技場(オリジナル)
【永続罠】
(1):このカードがフィールドに表側表示で存在する限り、お互いのフィールドにそれぞれ存在するモンスターの数を参照し、相手よりモンスターの数が多い方のプレイヤーは攻撃宣言できない。
(2):相手ターンのスタンバイフェイズごとに、このカードに闘技場カウンターを1つ乗せる。
このカードに闘技場カウンターが3つ以上乗っている場合、このカードを破壊する。
この闘技場では上から下へ攻撃する事はできても、逆は出来ないという事か。リップは腕を振ったり爪を飛ばしたりしているが、建設的な事は出来そうに無い。
自分の体重が1トンもある事を自覚しているためか(その殆どは両腕の爪の所為だが)、リップはかなりこの罠カードに対して不服そうな顔を表情を浮かべている。
「攻撃は出来ない、か。俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド!」
マスター:LP 4000
手札:2枚+『黎明の手』
我英霊 パッションリップ(ATK:2300)
メインモンスターゾーン無し
伏せカード2枚
「オレのターン! メインモンスターゾーンにカードが無いため、『先取りの宝札』の影響は受けない、通常ドローは可能だ!
そしてこのスタンバイフェイズ、墓地のカード1枚を伴って『ドリル・ウォリアー』がフィールドに戻る。戻すのは当然『増殖するG』!」
豪快な機械音と共に大地を砕き、除外ゾーンから螺旋の戦士が戻る。その左手には宣言した通り、暗闇で目を光らせる無数の黒い虫のカードがあった。
ATK:2400
「続けて手札から『クレーンクレーン』を召喚!」
『キュイィ!』
「この召喚に成功した時、墓地からレベル3のモンスターを特殊召喚する。蘇れ、『ドリル・シンクロン』!」
『ヤァッ!』
ATK:300
ATK:800
場に追加で2体のモンスターが出されると同時、先程までマスター側に傾いていたサークルが、今度はランサー側に傾く。
自分が重いのが理由じゃなかった、と密かにリップがガッツポーズしたのは――幸い誰にも見られなかったそうな。
「この瞬間、永続罠『天秤の闘技場』の効果で、今度はランサー、そっちが攻撃出来なくなる!」
「ならこうするまでだ。レベル3『クレーンクレーン』に、レベル3『ドリル・シンクロン』をチューニング!」
「またシンクロ!?」
「燃え盛る熱意よ、今ここに獣の力を得て灼熱の鉄槌と化せ!」
☆3+☆3=☆6
「シンクロ召喚! 来い、レベル6! 『獣神ヴァルカン』!」
『グガァアアアア!』
ATK:2000
「げ、まずっ!?」
緑のシンクロリングから呼び出されたのは、白虎の顔を持つ鍛冶師だ。右手に大槌を持つあのモンスターは、火力こそ低いが特殊な除去効果を持つ。
「『ヴァルカン』の効果。シンクロ召喚に成功した時、互いの場の表側表示カードを1枚ずつ手札に戻す。戻したカードはこのターン発動できない。オレは永続罠『天秤の闘技場』と、テメェの場の『我英霊 パッションリップ』を選択!」
「させるか! 永続罠発動、『霊体化』! 自分の場の“サーヴァント”を除外する! リップをこれで緊急回避させる!」
「チッ」
強力な除去を、素早くリップを光の粒子に変えて緊急回避。数瞬遅れて虎男が振り下ろしたハンマーが大地を揺らし、『天秤の闘技場』を衝撃で起きた風で巻き上げた。
「フン、対象カードの片方が消えても、もう片方は戻る。まぁ良い、『天秤の闘技場』を戻すのが目的だったからな。永続魔法『ドリル・クロウラー』を発動!」
手札に戻ったカードを確りと確認したランサーは、続けて永続魔法を場に放った。巨大なドリル付きビークルが描かれている1枚の発動を確認すると、男は続けて大きく手を振り被る。
「バトルだ! オレは『獣神ヴァルカン』で、ダイレクトアタック!」
唯一の壁モンスターであったリップが消えた事で、マスターのフィールドはガラ空き。そこを目がけ、巨大な火槌が再び振り上げられた。
「『霊体化』の次の効果! 相手の攻撃宣言時、これを墓地に送る! そして場を離れた事で『霊体化』で除外したモンスターはフィールドに戻る! 頼む、リップ!」
「はいっ!」
「そして『霊体化』の更なる効果で、ドロー!」
ATK:2200
霊体化(オリジナル)
【永続罠】
このカード名のカードは、自分フィールドに1枚しか存在できない。
(1):自分フィールド上「英霊」モンスターを任意の枚数選択し、表側表示でゲームから除外する。
(2):相手モンスターの攻撃宣言時、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送る事ができる。
(3):このカードがフィールドを離れた場合、このカードの効果で除外したモンスターを特殊召喚できる。
全て攻撃表示で特殊召喚した場合、カードを1枚ドローできる。
虎男の前にパッションリップが再び現れ、攻撃の手を阻む。
中央のメインモンスターゾーンに戻った彼女の方が、ほんの200ポイントだけだが攻撃力が高い。これで攻撃を防げるだろう。
だが。
「『ヴァルカン』、攻撃続行!」
「何!?」
「オレは墓地の『スキル・サクセサー』を除外して効果発動! 『ヴァルカン』の攻撃力を800アップさせる!」
スキル・サクセサー
【通常罠】
自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで400ポイントアップする。
また、墓地のこのカードをゲームから除外し、
自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択した自分のモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで800ポイントアップする。
この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できず、自分のターンにのみ発動できる。
「いつの間にそんなカード――、最初のターンか!」
「そうだ、『ドリル・ウォリアー』を除外するために切った手札がコイツだ! 喰らえ、“ウルカヌスの鉄槌”!」
ATK:2000→2800
燃え盛るハンマーが巨爪の少女に振り下ろされた。一瞬その灼熱の重量に怯んだリップだったが、素早く超重量の爪を構え、攻撃を受け止める。
ガキン!と甲高い金属音が周囲に鳴り響いた。
「だがリップは自分に向けられた攻撃、効果では1ターンに1度破壊されない!」
「ならダメージだけでも喰らいな!」
「っく!」
マスター:LP 4000→3400
「続けて『ドリル・ウォリアー』で追撃! ブチ抜けぇ!」
「罠カード、『マスターコードE-「騎士の誓い」』発動! 自分モンスター1体にガッツカウンターを乗せる! このカウンターが乗ったモンスターは破壊された時、墓地から復活する!」
マスターコードE-「騎士の誓い」(オリジナル)
【通常罠】
(1):自分フィールドのモンスター1体を対象として発動する。
そのカードにガッツカウンターを1つ置く。
ガッツカウンターが乗ったモンスターが戦闘によって破壊された場合、墓地から特殊召喚できる。
(2):墓地のこのカードを除外して発動する。
デッキから同名以外の「マスターコードE」カードを1枚手札に加える。
この効果はこのカードが墓地に送られたターンには発動できない。
我英霊 パッションリップ:ガッツカウンター 0→1
ドリルで抉られる直前、巨乳少女に外部からエネルギーを与え青いオーラを付与してやる。
幼い顔立ちながら力強く立つリップは真正面から攻撃を受け止め粉砕されるも、すぐにその砕けた破片は元の彼女の姿に戻った。
「っ!」
「ごめんなさい、マスター。またケガを……」
「かすり傷さ、平気だよ」
マスター:LP 3400→3200
「ほう、しぶといな」
「褒め言葉だよ」
「良い目だ、若いのに相当な場数を踏んだらしいな。永続魔法『ドリル・クロウラー』の効果。地属性シンクロモンスターが戦闘で相手にダメージを与えた時、1枚ドローする。
そして『ドリル・ウォリアー』の効果により、手札を1枚捨てて自身をゲームから除外する」
再び右手のドリルで穴を掘り、『ドリル・ウォリアー』は地面の奥底に姿を消す。
次の藤丸のターンで発動するつもりの『増殖するG』を回収するつもりなのだろう。
「カードを2枚セットしてターンエンドだ」
ランサー:LP 4000
手札:2枚
フィールド:
獣神ヴァルカン(ATK:2000)
メインモンスターゾーン無し
伏せカード2枚、ドリル・クロウラー(永続魔法)
「強いな、ランサー」
「当然だ。オレはこのキャンプにいる皆を守らなくちゃならねぇからな」
チラッ、とランサーが周囲を見る。デュエルの情勢を見守っているのは、女子供に老人や怪我人。真っ当なデュエリストとして戦えそうな者はいない。
文字通り、彼が孤軍奮闘しているのだろう。
「……どうして、ランサーしか戦える人がいないんだ? これだけ人がいるのに、ランサーだけってのは何かおかしい気がする」
「ほう?」
「だって、ここにいる人達って要するに処刑されかけた人達でしょう? ならその中に見込みがある人くらい――」
「いたさ」
「え?」
「戦士ならオレ以外にもいたって言ってんだよ」
フン、と不機嫌そうにランサーは鼻を鳴らした。
「この難民キャンプにオレが来てから、もう2ヶ月になる。その時には既にそれなりの数の難民がいてなぁ、オレはどっちかと言うと後の方で来た奴なんだよ」
クソッタレ、とランサーは毒を吐く。恐らく、その2ヶ月前から現在までの間に何かがあったのだろう。彼にとって、非常に苦い記憶が。
「当然、血気盛んな奴もいたさ。このままで良いのか、奇跡が起きるのを待っているだけで良いのかってな」
「じゃあ……」
「ああそうだ、腕利きの奴を集めて戦いを挑んださ。――そして、オレだけになった」
『負けてしまったのか』
「ああ、デタラメに強い奴がいてな」
何故彼だけになったか、なんて聞くだけ野暮に終わる。
負けたのだろう、手酷い形で。ランサーは、きっと殆どの仲間を敗死させてしまったのだ。
「ランサー……」
「フン、見りゃ分かんだろ。雑兵なら無限湧きするっつってもタイムラグがあるから問題無かった。だが雑兵じゃねぇ奴が出張った瞬間に壊滅だ。情けねぇ、オレが生き残ったのも偶然のようなモンだしな」
「…………」
「話はここで終わりだ、続きが聞きたいなら、お前のターンをさっさと始めろ」
「……分かった」
彼にとってこの話は辛いものだろう。それなのに最初のほんの僅かな部分でも語ってくれたというのは、彼なりにマスターを認める前振りのようなものなのだろうか。
なら、過去を打ち明けてくれる準備をしてくれた彼の期待を、裏切るワケにはいかない。
「俺のターン!」
彼の見込みに応えるためにも、マスターは力強くデッキトップのカードをドローした。
To be continued