Fate/Duel Order   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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マスター君、何やらネジぶっ飛んで来たようです。
しかし何故でしょう。
そこに何の原因があるのでしょう。



Turn:17 何度出て来ても恥ずかしくはありません

「俺のターン!」

 

 状況を改めて確認する。

 ライフはマスターが僅かに減っている程度、モンスターの数は同数。ただし相手の場には伏せカードが2枚。

 戦況はほぼ互角だが、場の流れは相手が握っている。ここで何とかしなくては。

 

「先輩、私を呼んで下さい! ダメージと破壊を防ぎながら――!」

「無理だ! 『ドリル・ウォリアー』にはダイレクトアタックする効果がある! 守勢に回っても受けきれなくなる!」

 

 更に口には出さなかったが、相手の場に伏せられたカードを見て、マスターは眉を顰めた。

 恐らく、相手の場に伏せられたカードの内1枚は、先程手札に戻した『天秤の闘技場』だろうが、そこでは無い。

 問題はその2枚の伏せカードが、マスターから見て中央とその右隣の魔法・罠ゾーンにセットされた事である。

 パッションリップは一度除外、そして墓地からの蘇生を経て場に戻った。彼女が配置された箇所は中央のメインモンスターゾーン。ここならエクストラモンスターゾーンのどちらも“トラッシュ・アンド・クラッシュ”で狙える位置になる。

 永続魔法『ドリル・クロウラー』はこちらから見て左端で発動されたため、ここにリップを呼び戻せば相手の展開を牽制できると踏んだのだが……。

 

(逆に利用されたって事かな)

 

 それに対し、ランサーは敢えて場にある全てのカードをリップの射程圏内に入れて来た。リップの効果は1ターンに1度、狙いを分散させて心理的に揺さぶりをかける算段なのだろう。

 或いは、何かリップの効果に対して対策があるのかも知れない。

 

「でも、どんな罠でも進まなければ何も分からない! 中央の伏せカードを対象に、リップの効果発動! “トラッシュ&クラッシュ”!」

「行きます!」

 

 

 

我英霊 パッションリップ(リンク・効果モンスター)(オリジナル)

リンク3

地属性/天使族

ATK 2200

リンクマーカー:左/下/右

効果モンスター2体以上

(1):相手はこのカード以外の自分フィールドのカードを攻撃、効果の対象にできない。

(2):このカードは1ターンに1度、相手の攻撃、またはこのカードを対象とした相手の効果では破壊されない。

(3):1ターンに1度、このカードと同じ縦列、またはその隣の縦列に存在する相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。

そのカードを墓地に送る。

この効果の発動は無効化されない。

 

 

 

 グシャリ、とカードが潰れて墓地へと消える。

 1秒、2秒、3秒……。消えて数秒待っても何も無い事を確認したマスターは、次のカードを左手で持つ手札から右手で掴んだ。

 

「手札の『シャドウ・サーヴァント』は、前の相手ターン中に俺の“英霊”モンスターが破壊されている場合、手札の“黎明”モンスターと共に特殊召喚できる! 来い、『シャドウ・サーヴァント』、『黎明の手』!」

「チェーンブロックに乗らない特殊召喚か」

「効果でデッキから、最後の『黎明の手』をサーチする」

 

 

ATK:300

ATK:200

 

 

「そしてサーヴァントのリンク先に特殊召喚する場合、この効果は1ターンに2度使える! もう1度来い!」

「何!?」

 

 

ATK:300

ATK:200

 

 

 リップの両脇に現れる、影の固まったような人型。そしてそれに連れられて現れる紅色の宝玉を持つ人の手。影人は一瞬形が崩れると黒いリップの姿を模り、合計5体のモンスターの群れとなる。

 

 

 

シャドウ・サーヴァント(効果モンスター)(オリジナル)

星3

闇属性/戦士族

ATK 300/DEF 300

(1):前の相手ターン中に、自分の「英霊」モンスターが破壊されている場合に発動できる。

このカードと、手札の「黎明」モンスターを自分フィールドに攻撃表示で特殊召喚する。

この効果は1ターンに1度しか発動できない。

(2):(1)の効果でこのカードを「英霊」リンクモンスターのリンク先に特殊召喚した場合、このターン(1)の効果でもう1度だけ特殊召喚できる。

 

 

 

「チェーンに乗らない特殊召喚か、それなら『増殖するG』を発動できねぇな。ならここで発動させて貰う!」

 

 ランサーの手札から1枚のカードが消え、枚数が2枚から1枚に減る。

 だがここで怖気づくつもりは無い、ここで一気に畳み掛ける!

 

「俺は、レベル3の『シャドウ・サーヴァント』2体でオーバーレイ!」

「エクシーズか!」

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

 森の賢人よ、イチイより沸き立つ毒血の秘蹟よ! その一矢にて弔いの木と成せ!」

 

 

☆3×☆3=★3

 

 

「エクシーズ召喚! 皐月の王! 『弓英霊(アーチャー・サーヴァント) ロビンフッド』!」

「ほいよーっと! ってリップじゃねーか! マスター何でコイツと同じ場に並べるんだよ!」

「マスターさん、私も異議を申し立てます! こんな陰険で女の子のお尻を執拗に狙うサディストと同じ場所で戦えって言うんですか!」

「え、あ、ごめん?」

 

 右腕のクロスボウを光らせながら緑の外套を翻し、顔無しのレジスタンスがEXモンスターゾーンに降り立つ。と、同時に先に場にいた少女に対し苦虫を潰したような表情を作った。

 リップはリップで、現れたロビンに対して嫌悪感を微塵も隠そうとしていない。

 以前何かがあって2人の仲が悪いとは知っていた事だが、この2人を並べるのは少々考えなしだっただろうか。

 

 

ATK:1800

 

 

「『増殖するG』の効果で1枚ドロー!」

「チューナーモンスター『スターリィ・シンクロン』を召喚し、効果発動! 墓地から『黎明の腕』を特殊召喚!」

「ドロー!」

 

 

ATK:300

DEF:400

 

 

『マスター君、気を付けるんだ。また相手が何枚もドローしている!」

「分かってるよ、ダ・ヴィンチちゃん! 続けて魔法カード『波動共鳴』を発動。『スターリィ・シンクロン』をレベル4にする!」

 

 

☆1→4

 

 

 

波動共鳴

【通常魔法】

フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。

選択したモンスターのレベルはエンドフェイズまで4になる。

 

 

 

 通常のデュエルでは、ドローソースには大きなデメリットがあったり、1枚しか引けなかったりと強力なカードは少ない。そのため、『増殖するG』はとても強力なカードだ。

 ならばそれを補うように減った分だけまたモンスター達を増やす。手札はこれで尽きたが、攻めの手はこれで充分である。

 

「レベルの合計は、8!」

「レベル1の『黎明の手』2体と、レベル2の『黎明の腕』に、レベル4となった『スターリィ・シンクロン』をチューニング!」

「エクシーズの次はシンクロか!」

 

 ロビンを6番目のモンスターゾーンに配置した事で生まれた新しい空き。そこを存分に活用して呼び出されたモンスター達が光に解け、8つの輪へと姿を変えた。

 

「炎帝の光が集う時、焔の聖剣は抜き放たれる! 太陽の力宿し、燃え上がれ!」

 

 

☆1+☆1+☆2+☆4=☆8

 

 

「シンクロ召喚! 太陽の聖剣、『剣英霊 ガウェイン』!」

「お任せを!」

 

 

ATK:2800

 

 

「おお、パッションリップ殿! マスター! 彼女と共に戦わせて頂けるとは何と言う采配! この素晴らしき指揮に感謝致します! やはりパッションリップ殿は素晴らしい胸部の持ち主です!」

「マスターさん、ちょっと後でお話があります……」

「先輩、やっぱりそういう事なんですか……」

『やはり巨乳派だったんだね、君は。うんうん、そうか』

「味方3人の対応がドライアイス過ぎてマスター泣きそう!」

 

 戦線強化を狙い筋骨隆々の騎士を呼んだは良いが、またまた人選ミスをしてしまったらしい。

 円卓の騎士の中でも一、二を争う程に優秀な男だが、如何せん『年下の巨乳』が好み過ぎると言う危ない性癖を持つ、それがガウェインだ。誠実な騎士ではあるものの、公子を切り分け過ぎているのが欠点だろうか。本人的には堅物を名乗っているらしいが。

 取り敢えず数秒前の自分に『大半は呼び出せるんだから、もっと良い仲間を選べ』と小一時間くらいイチャモンをつけたかった。

 

「ガウェインの効果! シンクロ召喚に成功した時、デッキから2枚ドローし、その後1枚手札を捨てる」

「こちらも『増殖するG』の効果で1枚ドローだ」

 

 互いに山札からカードを引く。

 マスターは2枚の手札をじっくり見定めると、その内の片方、2枚目の『黎明の腕』を墓地に送った。

 

「更にガウェインの効果。自分フィールドにモンスターが3体以上いる場合、自軍の攻撃力と守備力を800ポイントアップさせる!」

「午前の光よ、良き営みを護りたまえ!」

 

 

我英霊 パッションリップ:ATK 2200→3000

弓英霊 ロビンフッド:ATK 1800→2600

剣英霊 ガウェイン:ATK 2800→3600

 

 

「チッ、攻撃力3600だと!?」

「あれだけの火力があれば、このターンで終わらせられる!」

「更にロビンの効果も発動! 1ターンに1度、モンスター1体の攻撃力を500ダウンさせる! 頼むよ、ロビン!」

「任せな、“イチイの毒刺し”!」

 

 

ATK:2000→1500

 

 

 ロビンの右腕のクロスボウから矢を放ち、虎面の鍛冶師に毒を浴びせる。

 これで彼必殺の毒爆弾の準備完了だ。

 

「まだだ! ワンショットでケリを付ける! 俺は墓地の『「騎士の誓い」』の効果発動! このカードを除外し、デッキから『マスターコードE-「勝利への確信」』を手札に加える!

 ロビンを対象にこれを発動! このターン、ロビンがモンスター同士の戦闘で相手に与えるバトルダメージを倍にする!」

「何!?」

 

 

 

マスターコードE-「勝利への確信」

【通常魔法】

このカード名の(1)の効果は、1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールドのモンスター1体を対象として発動する。

このターン、そのモンスターが相手モンスターとの戦闘によって相手に与える戦闘ダメージは倍になる。

(2):墓地のこのカードを除外して発動する。

デッキから同名以外の「マスターコードE」カードを1枚手札に加える。

この効果はこのカードが墓地に送られたターンには発動できない。

 

 

 

「そしてロビンフッドは元々の攻撃力から変化している数値の攻撃力を持つモンスターとバトルする場合、発生するダメージを倍にする!」

「ンだと!?」

「ロビンさんの攻撃力は今、2600!」

「『ヴァルカン』の攻撃力は1500、その差1100!」

「それがロビンフッドと『「勝利への確信」』の効果で倍の倍って事は、4400ダメージ!」

「凄いです、まさにワンショットキルです! トリメンダスです!」

 

 ロビンフッド自身の攻撃力は1800と低い。しかし自身の効果でダメージ倍の条件を満たし、火力を底上げしてやった事で、あっと言う間に破壊的なパワーを持つ大砲へ変わったのだ。

 

「バトルだ!」

「させるか! 永続罠『天秤の闘技場』発動! お前の方がモンスターが多くなっている事で攻撃宣言できない!」

「ロビンフッドの更なる効果! 相手が罠カードを発動した時、オーバーレイ・ユニットを1つ使って墓地の罠カードを除外! そして発動した相手の罠カードの効果を無効にして除外する! “破壊工作”!」

 

 バシュン!と緑茶アーチャーの背後を旋回していた光の玉が消え、墓地ポケットから『霊体化』が吐き出される。それによりランサーの発動した罠はフィールドの状態を変える事無く、姿を消した。

 

「ナイス、ロビン!」

「お安い御用さ!」

 

 

 

弓英霊 ロビンフッド(エクシーズ・効果モンスター)(オリジナル)

ランク3

風属性/戦士族

ATK 1800/DEF 600

レベル3モンスター×2

(1):X召喚されているこのカードは1ターンに1度、相手のカード効果でフィールドを離れない。

(2):1ターンに1度、相手モンスター1体を対象に発動できる。

そのモンスターの攻撃力を500ダウンさせる。

(3):このカードが元々の攻撃力と異なる攻撃力を持つモンスターと戦闘を行う場合、相手に与える戦闘ダメージは倍になる。

(4):相手が罠カードを発動した時、このカードのX素材を1つ取り除き、墓地の罠カードを1枚除外して発動できる。

その発動を無効にし、除外する。

 

 

 

「行くぞ、ロビンフッドで『獣神ヴァルカン』を攻撃! 一発で終わらせてやる!」

「食らいな! 弔いの木よ、牙を研げ!」

「「“祈りの弓(イー・バウ)!!」」

 

 神樹の力を得た矢が解き放たれ、一直線に獣鍛冶に向かう。ただ相手に間接的であっても触れれば良いというこの一矢は、まさに必殺の一撃だ。

 

「決まった!」

「これで先輩の勝ちです!」

「よっし!」

「甘い! 墓地の罠カード『スパイラル・リチャージャー』の効果発動! このカードと自分の場のシンクロモンスターを除外する!」

「何ぃ!?」

 

 あれはさっきリップの効果で墓地に送ったカードか。『天秤の闘技場』を排除できなかった時点で覚悟していたが、ここで効果を使われるのは正直痛い。

 

「その後、デッキの上からカードを5枚確認。その中にいる、除外したモンスターと同じ属性のモンスターを全て手札に加え、残りはデッキに戻す! 『ヴァルカン』は炎属性、よって手札に炎属性モンスターが加わる!」

 

 

【めくられたカード】

『クイック・シンクロン』

『ヴォルカニック・バレット』

『死者蘇生』

『ギャラクシー・サイクロン』

『スキル・プリズナー』

 

 

 毒を爆破させる矢が、対象不在ですり抜ける。

 手札に加わったカード『ヴォルカニック・バレット』はライフを500払えば、同名カードをデッキからサーチできるモンスターカードだ。『ドリル・ウォリアー』の除外に使うカードがこれで確保された形になる。

 

 

 

スパイラル・リチャージャー(オリジナル)

【通常罠】

(1):自分がダメージを受けた時、デッキの上からカードを5枚確認する。

その中から1枚を選択して手札に加え、残りをデッキの1番下に戻す。

その後、受けたダメージの半分だけライフを回復する。

(2):相手の攻撃宣言時、墓地のこのカードと攻撃対象になったモンスターを除外して発動する。

デッキの上からカードを5枚確認し、除外したモンスターと同じ属性のモンスターを全て手札に加える。

残りのカードはデッキに戻す。

 

 

 

「ならばダイレクトアタックだ! ロビン!」

「はいはい分かってますよ!」

「チィッ!」

 

 

ランサー:LP 4000→1400

 

 

 続けて第2射、今度は過たずランサーを撃ち抜く。

 大きくライフを削ったが、まだ残っている。ここで攻め抜かねば返しのターンが厳しい。

 

「ダメージが攻撃力分しか通らないです!? モンスター同士の戦闘じゃないから!?」

「だが今度こそ終わりだ! パッションリップでダイレクトアタック!」

「行きますっ!」

「させるか! 手札の『速攻のかかし』を捨てて効果発動! 直接攻撃を無効にして、バトルフェイズを終了させる!」

「くっ!?」

 

 

 

速攻のかかし(効果モンスター)

星1

地属性/機械族

ATK 0/DEF 0

(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時にこのカードを手札から捨てて発動できる。

その攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了する。

 

 

 

 リップの振るったヘビー級の拳は、届く前にブースターを蒸かして飛んで来たメカ案山子によって防がれる。

 『ドリル・ウォリアー』の“場に残らない”、“墓地のモンスターを回収できる”という性質を理解しているが故のモンスターのチョイスに、予想はしていたがマスターは顔を顰めた。

 

「その程度か? そんなんじゃオレは倒せねぇし、もっと言えば“オフィシエ・カトル”にも勝てねぇぞ!」

「お、オフィシエ、カトル……?」

「語って欲しいならオレに勝て、雑魚に用はネェんだよ!」

「……俺はリバースカードを1枚セットして、ターンエンド」

 

 

 

マスター:LP 3200

手札:0枚

フィールド

弓英霊 ロビンフッド(ATK:2600・ORU:1)

我英霊 パッションリップ(ATK:3000)、剣英霊 ガウェイン(ATK:3600、『我英霊 パッションリップ』の左側にリンク)

伏せカード1枚

 

 

 

 マズイ、とマスターは嫌な汗を掻いた。

 このターンで決めるためにカードを相当な枚数消費してしまい、今はハッキリ言って防御が手薄な状態だ。

 次の相手のターンを防げるかどうか。そこが勝負の分水嶺だろう。

 

 加えてランサーの言った“オフィシエ・カトル”という存在も気になる。

 そいつらがランサーの仲間を葬った奴らなのだろうか。それとも敵の教団の何か仕組みの事だろうか。

 いずれにせよ、次の攻撃を耐えなければ、それを聞く機会は永久に来ないだろう。

 

「オレの、ターン! 『先取りの宝札』の制約により、メインモンスターゾーンにモンスターがいないため通常ドローが可能! そしてその制約も切れる!

 更にスタンバイフェイズ、『ドリル・ウォリアー』がフィールドに戻る!」

『シュアッ!』

 

 

ATK:2400

 

 

「そして墓地のモンスターカードを手札に戻す。オレは『速攻のかかし』を選択」

「『増殖するG』じゃない!?」

「マスター、気を付けなさい、そろそろ決めに来るわよ!」

「分かってる!」

 

 ランサーの手札はこれで合計6枚、何をするにも充分な枚数だ。

 

「『ドリル・ウォリアー』の効果発動! 攻撃力を半分にし、このターンのみダイレクトアタックできるようになる!」

 

 

 

ドリル・ウォリアー(シンクロ・効果モンスター)

星6

地属性/戦士族

ATK 2400/DEF 2000

「ドリル・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。

このカードの攻撃力を半分にし、このターンこのカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。

また、1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。

手札を1枚捨ててこのカードをゲームから除外する。

次の自分のスタンバイフェイズ時、この効果で除外したこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する。

その後、自分の墓地のモンスター1体を選んで手札に加える。

 

 

 

ATK:2400→1200

 

 

「ここでダイレクトアタック用の効果を……?」

「先程のマスターのように、一撃の火力を高める戦法でしょうか」

「リップさんの攻撃対象を制限する効果も、直接攻撃では効果がありませんからね」

「はっ、甘いぜギャラリー。更にマジック発動、『月面削岩』! 自分フィールドに元々の攻撃力より低い攻撃力を持つモンスターがいる時、相手の場にいる、逆に元々の数値より高い攻撃力のモンスターの数だけ、自分フィールドに“ドリル・トークン”を特殊召喚する!」

 

 

 

月面削岩(オリジナル)

【通常魔法】

このカード名のカードはデュエル中に1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドに存在するモンスターが相手より少なく、その攻撃力が全て元々の攻撃力の半分以下の場合に発動できる。

相手フィールドに存在する、元々の攻撃力より高い攻撃力のモンスターの数だけ、自分フィールドに「ドリル・トークン」(機械族・地・星1・攻/守0)を攻撃表示で特殊召喚する。

このターン、自分は地属性以外のモンスターを特殊召喚できない。

 

 

 

ドリル・トークン ATK:0

ドリル・トークン ATK:0

ドリル・トークン ATK:0

 

 

「げっ」

 

 相手の場に現れる3体のトークン。ワンショットキルを狙って戦線を強化したのが、ここで裏目に出てしまったようだ。

 

「出でよ、天を貫くサーキット!」

「来るか!」

「召喚条件は地属性モンスター2体! 『ドリル・トークン』2体をリンクマーカーにセット! サーキット・コンバイン!」

 

 

LM:右下・左下

 

 

「リンク召喚! 出でよ、リンク2! 『ミセス・レディエント』!」

『クゥー!』

「このモンスターがフィールドに存在する限り、地属性モンスターの攻撃力は500アップする!」

「その効果に敵味方の区別は無い、こっちもパワーアップだ!」

「だが、そっちのクロスボウ使いは風属性! 攻撃力が400ダウンする!」

 

 

ミセス・レディエント ATK:1400→1900

ドリル・ウォリアー ATK:1200→1700

ドリル・トークン ATK:0→500

我英霊 パッションリップ ATK:3000→3500

弓英霊 ロビンフッド ATK:2600→2200

 

 

 

ミセス・レディエント(リンク・効果モンスター)

リンク2

地属性/獣族

ATK 1400

【リンクマーカー:左下/右下】

地属性モンスター2体

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドの地属性モンスターの攻撃力・守備力は500アップし、風属性モンスターの攻撃力・守備力は400ダウンする。

(2):このカードが戦闘・効果で破壊された場合、自分の墓地の地属性モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを手札に加える。

 

 

 

 豪奢な装飾を持つ金毛の犬が現れ、場のエナジーを地に染める。召喚された事で自身を含め、計5体の攻守を書き換えた。

 受けた恩恵は大きいが、ロビンの火力が下がった事は、彼の効果を考えると痛い。

 

「魔法カード『シンクロ・ギフト』! 『ドリル・ウォリアー』の攻撃力を0にし、元々の数値を『ミセス・レディエント』に与える!」

 

 

 

シンクロ・ギフト

【通常魔法】

自分フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスター1体とシンクロモンスター以外のモンスター1体を選択して発動する。

このターンのエンドフェイズ時まで、選択したシンクロモンスターの攻撃力を0にし、その元々の攻撃力分もう1体のモンスターの攻撃力はアップする。

 

 

 

ドリル・ウォリアー ATK:1700→0

ミセス・レディエント ATK:1900→4300

 

 

「攻撃力4300だと!?」

 

 続けて螺旋の戦士から力を受け継ぎ、金毛の獣が巨大化する。元々の数値を参照するが故に、数値が下がっていても強化値が安定して得られるのだ。

 まだ終わらないと言わんばかりにランサーは手札を1枚掴む。その目には先程のダメージもあってか、本気の熱意が感じられる。その心に秘めたのは情熱か、それとも在りし日の憎悪か。

 

「更に残ったトークンと『ドリル・ウォリアー』をリリースし、『創世神(ザ・クリエイター)』をアドバンス召喚!」

「な、『創生神』!?」

 

 更に場に雷鳴を伴って現れる橙色の巨人。仁王立ちしながら現れたその出で立ちは、対戦相手であるマスターに圧倒的な威圧感を与える。

 

 

ATK:2300

 

 

「オレは『創生神』の効果発動! 手札1枚をコストに、墓地のモンスターを復活させる! 『ヴォルカニック・バレット』を墓地に送り、復活しろ『ドリル・ウォリアー』!!」

『トァッ!』

 

 

ATK:2400→2900

 

 

「一気にモンスターが3体!?」

「まだだ、永続魔法『ドリル・クロウラー』の効果! 1ターンに1度、攻撃力1000以下の地属性モンスターを召喚できる! 来い、『シンクロン・エクスプローラー』!」

「っ、まだ展開する気か!」

「召喚に成功したこの瞬間、墓地から『ドリル・シンクロン』が、効果を無効にして特殊召喚だ!」

 

 

ATK:0→500

ATK:800→1300

 

 

 

創世神(効果モンスター)

星8

光属性/雷族

ATK 2300/DEF 3000

自分の墓地からモンスターを1体選択する。

手札を1枚墓地に送り、選択したモンスター1体を特殊召喚する。

この効果は1ターンに1度しか使用できない。

このカードは墓地からの特殊召喚はできない。

 

 

 

ドリル・クロウラー(オリジナル)

【永続魔法】

このカード名の(1)(2)効果は、それぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。

攻撃力1000以下の地属性モンスター1体を召喚する。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は地属性モンスターしか特殊召喚できない。

(2):自分フィールドの地属性Sモンスターが、戦闘で相手にダメージを与えた時に発動できる。

デッキから1枚ドローする。

 

 

 

シンクロン・エクスプローラー(効果モンスター)

星2

地属性/機械族

ATK 0/DEF 700

(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「シンクロン」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

 

 

 更に追加で赤い球状の機体とドリルを持つ球状の機体が召喚される。これで相手の場にいるモンスターは合計5体、旧式のルールだったら場が埋まっていただろう。

 

「レベル2地属性の『シンクロン・エクスプローラー』に、レベル3地属性の『ドリル・シンクロン』をチューニング!

 大地の咆哮! 其は天へ轟く地獣の爪牙! 怪異すら引き裂く密林の力、出でよ!!」

 

 

☆3+☆2=☆5

 

 

「シンクロ召喚! 『ナチュル・ビースト』!!」

『グガァァッ!!』

 

 

ATK:2200→2700

 

 

「くそっ、今度は『ナチュル・ビースト』か!」

「こいつの効果は知っているな? デッキを2枚墓地に落とし、魔法カードを無効にして破壊する。まだまだのオレのデッキは豊富に余ってる。お前の魔法カード全て無効にできるかもなぁ?」

「くっ!」

 

 

ナチュル・ビースト(シンクロ・効果モンスター)

星5

地属性/獣族

ATK 2200/DEF 1700

地属性チューナー+チューナー以外の地属性モンスター1体以上

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、デッキの上からカードを2枚墓地へ送る事で、魔法カードの発動を無効にし破壊する。

 

 

 

 新しく場に現れた緑の虎を合わせ、モンスターの数は合計で4体になった。

 マスターの場には3体、相手は4体。おまけに相手の手札にはまだ『速攻のかかし』が残っている。

 

「行くぞ、バトル!」

「だが、リップはその効果で、自分以外を攻撃対象にされず、また1ターンに1度、戦闘では破壊されない!」

「ガウェインさん、緑茶さん、下がって! 私が盾になります、頑丈さには自信があるんです!」

 

 一歩前に出て爪を構えるリップ。大の大人のように巨大な金色の両腕を盾代わりに前に出し、攻撃を受け止める準備をする。

 だがランサーはそれを鼻で嗤い、手を前に突き出した。

 

「甘い。墓地の罠カード『ブレイクスルー・スキル』の効果発動!」

「また墓地から!?」

「相手モンスター1体の効果を、このターン無効にする! 確かそのデカい女には、攻撃と効果の対象を自分に集約させる効果があったなぁ? ならそれを潰す!」

「く、ぅぅ……っ」

 

 墓地から除外されたカードのエナジーが、リップから力を削ぎ落とした。灰色の煙に覆われ、巨大な胸と爪を持つ少女はその場に片膝を付いてしまう。

 前に出ていた少女は盾としての役目をうしなった。これでは攻撃は全て相手の思うが儘だ。

 攻撃に対して無防備になった敵陣営の1人に向け、ランサーは遠慮容赦無く指を刺す。

 

「まずは雑魚からだ! 『創世神』で『弓英霊 ロビンフッド』を攻撃! “クリエイト・サンダー”!」

「畜生、やっぱオレからか、ぐぁあああっ!!?」

「ロビンフッド!」

 

 

マスター:LP 3200→3100

 

 

「これでお前のモンスターは2体に減った! 『剣英霊 ガウェイン』の効果による攻撃力アップは消える!」

 

 金色の雷で焼き払われる森の狩人。仲間モンスターの数が減った事で、この瞬間マスターの場の状況は更に変化が発生する。

 聖者の数字に起因する攻撃力アップの能力が、この瞬間消失するのである。さながら完璧なフォーメーションを崩され戦線が瓦解したかのように。

 

 

剣英霊 ガウェイン ATK:3600→2800

我英霊 パッションリップ ATK:3500→2700

 

 

 

剣英霊 ガウェイン(シンクロ・効果モンスター)(オリジナル)

星8

炎属性/戦士族

ATK 2800/DEF 2600

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードのS召喚に成功した時に発動する。

デッキから2枚ドローし、手札を1枚捨てる。

(2):自分フィールドに存在する闇属性以外のモンスターの数が3体以上の場合、自分フィールドの全てのモンスターの攻撃力と守備力は800アップする。

(3):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

 

 

「続けて『ドリル・ウォリアー』で『我英霊 パッションリップ』を、『ミセス・レディエント』で『剣英霊 ガウェイン』を攻撃ィ!」

「がはぁああああっ!?」

「きゃあああああっ!?」

「っ! っっ!!」

 

 

マスター:LP 3100→2900→1400

 

 

 続く敵の攻撃に、藤丸のサーヴァント達は成す術無く打ち倒されてしまう。

 砂のようにサラサラとした光の粒子に変わって行く仲間達を見て、マスターは舌打ちをした。

 

「『ドリル・クロウラー』の効果で1枚ドロー!」

「くそっ! ごめん、3人とも、俺が弱いばっかりに……!」

 

 無論、サーヴァント達への苛立ちでは無く、己の不甲斐無さ故に。

 もっと適切な判断が出来ていれば。

 自分がもっと優れたマスターだったら。

 彼らをカードという形に落とし込んだ時、もっと素晴らしい形にして共に在る事が出来たのではないか。そう悔んでやまない。

 

「後悔してる暇はねぇぞ! まだオレには『ナチュル・ビースト』の攻撃が残っている!」

『Gaaa!』

「先輩のライフは残り1400しかありません!」

「対し、奴のモンスターの攻撃力は2700! 受けきれない!」

「トナカイさん!!」

「これでトドメだ坊主!」

 

 鈍く光る爪牙で飛び掛かる『ナチュル・ビースト』を前に、マスターは半歩後退りする。

 今、防御に使える札は2枚。

 墓地の『デイブレイク・リコール』でダメージを減らすか。

 それとも伏せカードを使って壁モンスターを呼び出すか。

 どちらを取るにせよ踏み止まる事はできる。

 

「お前じゃオレは倒せない! オレですら倒せない弱い奴に、信は置けない!!」

 

 前者は、ライフが大きく減るが、戦術の幅が広くなる。

 後者は、ライフが1400そっくりそのまま残るが、戦術の幅が狭まる。

 たった900の差だが、『ドリル・ウォリアー』の直接攻撃を1度だけ受け止められるだけのライフにはなる。

 しかし追撃を受ければ終わりだ。

 なら、取るべき戦術は決まっている!

 

「墓地の『デイブレイク・リコール』の効果発動! このカードを除外し、墓地の『黎明の手』3体をデッキに戻す事で、戦闘ダメージを1800ポイント軽減させる!」

「ちっ、墓地で発動する効果じゃあ『ナチュル・ビースト』の効果は使えんか!」

 

 素早くダメージを緩和させるシールドを貼る青年。『ナチュル・ビースト』の攻撃力は2700、これで彼は辛うじてライフを残せる計算になる。

 

「だが0になるワケじゃねぇ、喰らいなぁ! “ナチュラル・ファング”!!」

「ぐ、がぁあああああああっ!!?」

 

 

マスター:LP 1400→500

 

 

 ゴキゴギィ、と肩を噛み砕かれる感触と共に悲鳴を上げる。

 現実に牙を立てられているワケでは無いのだが、電脳空間故にその痛覚は実際の物となってプレイヤーを襲う。実際のそれに迫った音と吹き出る血のエフェクトは無駄に凝っていて、リアルにこれだけ吹き出たら、気を失いそうだ。

 これまで砲弾で吹き飛ばされたり、腹を抉られたりと様々な痛みを経験して来たが、そう言えば獣の牙を肩に受けた事は無かったと、マスターは歯を食い縛りながら未知の痛みを必死に耐えた。

 

「バトル終了、メインフェイス2へ。墓地の『ヴォルカニック・バレット』のモンスター効果発動。ライフを500支払い、デッキから同じ名前のモンスターを手札に装填する」

 

 

 

ヴォルカニック・バレット(効果モンスター)

星1

炎属性/炎族

ATK 100/DEF 0

(1):このカードが墓地に存在する場合、1ターンに1度、500LPを払って発動できる。

このカードが墓地に存在する場合、デッキから「ヴォルカニック・バレット」1体を手札に加える。

 

 

 

ランサー:LP 1400→900

 

 

「そしてこれを捨て、『ドリル・ウォリアー』を自らの効果で除外」

 

 これで3回目の除外となる。

 場に出て殴り、地に潜ってカードを取り、あのデッキはまさに『ドリル・ウォリアー』を主軸に組まれたデッキと言って過言では無かった。

 

「ぜぇ、ぜぇ……っ」

「大丈夫か、坊主。大分グロッキーだが?」

「はぁ、はぁ……、問題無いよ……」

「そうか。永続魔法『棚岩の城壁』を発動。相手はオレの最も攻撃力の高い地属性モンスター以外を攻撃できない。ターンエンドだ!」

 

 

 

棚岩の城壁(オリジナル)

【永続魔法】

(1):このカードがフィールドに表側表示で存在する限り、相手は時分フィールドの最も攻撃力が高い地属性モンスター以外を攻撃できない。

(2):自分フィールドに地属性モンスターが存在しない場合、このカードを破壊する。

(3):時分の地属性モンスターが相手の攻撃・効果で破壊された時に発動できる。

破壊されたモンスターの攻撃力の半分LPを回復する。

 

 

 

ランサー:LP 900

手札:速攻のかかし

フィールド

ミセス・レディエント(ATK:1900)

創世神(ATK:2300)、ナチュル・ビースト(ATK:2700、『ミセス・レディエント』の右下にリンク)

ドリル・クロウラー(永続魔法)、棚岩の城壁(永続魔法)

 

 

 

 頭が痛い、フラフラする、肌寒い。失血による症状だとマスターは自覚した。

 何せ大型獣に肩口を噛まれたのだ、もしあの『ナチュル・ビースト』が本物の動物か、或いは敵魔術師の使い魔だったら、片腕はとっくに無くなっていただろう。

 無論、実際に血を流したワケでは無い。あれは飽く迄もそういうエフェクト表示だ。しかし、その特殊効果に沿ったバッドステータス、RPGで言う出血状態になっているのだろう、とマスターは努めて冷静に判断した。

 

『マスター君、大丈夫かい! 精神体のダメージは本体にフィードバックするんだよ、そのダメージは危険だ! 戻った君の身体に穴が開くぞ!』

「平気だよ、平気。……ああ、平気だ」

『平気なものか! 電脳空間だから実感が薄いだけで、君は今ガチで肉食獣に噛み付かれたんだぞ! 普通に考えれば致命傷にだって成り得る!』

「大丈、夫っ!」

 

 ゴキン、と痛んだ肩を回して整え、ディスクを構える。

 

「先輩、やめましょう! 私が交代します! カードで死ぬなんて、見てられません!」

「大丈夫だよ。まだ死んでない、命に別状も無い。それにここで退いたら、カッコ悪いよ」

「ですが!」

「大丈夫、俺を信じて。ちゃんと最後まで戦って勝つ」

 

 自分でも空元気だって事は理解している。

 だがそれでも、自分だっていっぱしのマスターであり男だ。情けない姿を、後輩に見せたくは無い。

 

 それに、ランサーの持っている情報を入手したいという理由もある。

 明らかに彼はこの電脳特異点の内情をよく知っている。彼の知っている事を共有されず敵に挑むのは無謀だ。

 

 現在掴んでいる断片的な情報を繋ぎ合わせると、敵の下には無限に増産できる雑兵がいくらでもいる事が見える。使用するデッキは恐らく、先日から何度も見せられている【アンティーク・ギア】だ。攻撃宣言時に魔法・罠カードの発動を封じ、また下級モンスターの『古代の機械猟犬』は召喚しただけで600ポイントのダメージを与えて来る。

 そして奴らは集団で襲い掛かって来る。初期ライフ4000に対し、一度に7人以上が襲って来れば、『古代の機械猟犬』を1体ずつ召喚されるだけで終わってしまうのだ。

 それは――数多のサーヴァントを率いるマスターとして、防がなくてはならない事である。

 

 ならば、ランサーの持つ情報は貴重だ。

 必ず何か、敵の全体像を把握したり、使用するデッキを推測する事ができるだろう。

 例えこの特異点では使えなかったとしても、今後の戦いに役立つものがあると考えて良い。

 

「行くぞ、これが俺のラストターンだ」

「来い」

『マスター君!』

「……ダ・ヴィンチちゃん、先輩を信じましょう。もう、テコでも動かない気迫を感じますよ」

 

 状況は最悪だ。

 ライフは残り500、魔法カードの発動は封じられ、攻撃対象も限定化させられている。

 次のターン、『ドリル・ウォリアー』が直接攻撃すればそこで負け。続編は無い。

 

(このドローが勝負だ)

 

 幸いにも伏せたカードは罠カード、『ナチュル・ビースト』に無効化はされない。後はもう1枚、追加のドローに全てを賭ける。

 

「俺のターン」

「……」

「――ドロー!」

 

 全てはこの1枚。

 吉と出るか凶と出るか、引いたカードは……。

 

「…………」

「…………」

「……ランサー」

「あ?」

「俺の勝ちだ!」

「何!?」

 

 引いたカードと伏せカードが光のラインで繋がり、次のカードへと結ばれる。

 結ばれたカードは別のカードと共に新しいカードへ、更に別のカードへ。その先にあるのは……、自分の勝利だ!

 

「まずは墓地の魔法カード『マスターコードE-「勝利への確信」』の効果発動! このカードを除外し、デッキから2枚目の『「騎士の誓い」』を手札に加える!」

 

 新しい手札が追加され、準備が整う。

 勝利への道を歩むべく、マスターは大きく手を前に出した。

 

「トラップ発動、『生存への慟哭』! 俺のライフが相手を下回っている時、墓地のモンスターを素材に、エクストラデッキから効果を無効にして、新たなサーヴァントを特殊召喚する!」

 

 

 

生存への慟哭(オリジナル)

【通常罠】

このカード名のカードは、デュエル中に1度しか発動できない。

(1):自分のLPが相手より少ない場合に発動できる。

自分の墓地のモンスターを召喚素材として除外し、その条件に合う「英霊」モンスターをEXデッキから正規の召喚扱いで特殊召喚する。

この効果でXモンスターをX召喚した場合、このカードをX素材としてそのモンスターの下に重ねる。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効となる。

 

 

 

「俺は墓地からレベル3の『シャドウ・サーヴァント』、レベル2の『黎明の腕』2体に、レベル1の『スターリィ・シンクロン』を除外し、チューニング!」

「墓地のモンスターを素材に!?」

 

 大地に紫のゲートが開き、黒いモヤで出来た人型、赤銅色の腕、地球儀に手足が生えたようなモンスターが光となって消える。

 光は輪となって一列に並び、新しい召喚ゲートとして輝きだした。

 

「雷鳴轟く山脈の竜よ! 鮮血の雨を浴びて彼方まで粉砕する歌声となれ!」

 

 

☆1+☆2+☆2+☆3=☆8

 

 

「シンクロ召喚! ON STAGE! 『槍英霊(ランサー・サーヴァント) エリザベート・バートリー』!!」

「呼ばれてやったわ、豚共~♪ サーヴァント界最高のアイドル・エリザベート様が登壇してやったわよ! この(アタシ)の登場に、泣いて平伏して喜びなさい!」

 

 

ATK:2500

 

 

「ってマスター大丈夫!? 肩千切れかけてない!? 総大将でディレクターのアンタが死んだら私らアウトなんだからね!?」

「大丈夫、大丈夫……。まだバッチリ生きてるよ」

 

 竜の角と翼、三叉の槍を持って現れる鮮血魔嬢だったが、自分を召喚ゲート越しに呼び出したマスターを見て思わずギョッとする。

 無理も無い。ただの一般人である彼が、肩から大きく出血している上に顔色も悪いのだから。それでも強がって足を踏み締め、デュエルディスクを構えている姿は、どこか死に急いでいるようにすら見え、エリザベートは、そして周囲の皆は背筋に寒気を感じた。

 

「それよりエリちゃん、状況は見れば……、作戦は分かるよね? ちょっと酷いやり方だけど、協力してくれる?」

「――ええ、マスターに勝利を。でしょ?」

「ありがとう」

 

 もう準備は出来ている。腹も括った。

 多少痛いのが何だ、苦しいのがどうした。

 サーヴァントの皆は、もっともっと痛くて苦しい思いを、自分達のためにしてきたじゃないか!

 

「行くぞ、バトルだ!」

「馬鹿が! お前のモンスターは、俺の『棚岩の城壁』の効果で『ナチュル・ビースト』にしか攻撃できないのを忘れたか! 『ナチュル・ビースト』の攻撃力は2700、そっちは2500! 攻撃しても返り討ちだ!」

「それはどうかな! エリちゃん、『ナチュル・ビースト』に攻撃!」

「ショックで死ぬんじゃないわよ子イヌ!」

「返り討ちにしろ!」

「「“竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)”!」」

「“ナチュラル・ファング”!」

 

 交錯は一瞬、牙と音波はすれ違い様に相手に向かい、しかしすぐに牙に軍配が上がった。

 

「ぐぅっ!」

 

 

マスター:LP 500→300

 

 

「坊主、何のマネだ!」

「こうするための布石だよ! 戦闘によって破壊されたこの瞬間、エリザベートの効果発動! 自身を墓地から攻撃表示で特殊召喚できる!」

「歌いきってないのに退場なんて出来やしないわ! 戦闘続行、アンコール上等、コンサート断固決行!」

 

 

ATK:2500

 

 

 一度砕け散ったエリザベートが、光の粒子から再び自分の身体を構築する。

 墓地から蘇生した事で、今度はモンスター効果が有効となった。

 

「そしてもう1度、『ナチュル・ビースト』に攻撃!

 この瞬間、エリちゃんの効果発動! 自分のライフを100単位で切り分けて支払い、その数値分相手モンスターの攻撃力を下げ、同じ数値だけ自身の攻撃力をアップさせる! さぁ、俺の血を持って行ってくれ!」

「アンタちょっとキャラ変わってないかしら!?」

 

 

マスター:LP 300→100

槍英霊 エリザベート・バートリー ATK:2500→2700

ナチュル・ビースト ATK:2700→2500

 

 

 ドクンドクンとマスターから流れる血が2体のモンスターの力を揺らす。

 攻撃力が逆転し、今度は勝敗が逆の結果が訪れた。

 

「「“鮮血魔嬢(バートリ・エルジェーベト)”!」」

「がぁっ!?」

 

 

ランサー:LP 900→700

 

 

 

槍英霊 エリザベート・バートリー(シンクロ・効果モンスター)(オリジナル)

星8

闇属性/ドラゴン族

ATK 2500/DEF 0

チューナー+ドラゴン族を含むチューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(1)(2)の効果は、それぞれ1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードが破壊された時に発動できる。

自分の中央のメインモンスターゾーンに、墓地から攻撃表示で特殊召喚する。

(2):このカードが戦闘を行うダメージ計算時に発動できる。

自分のLPを100の倍数払う(最大1000)。

バトルフェイズ終了時まで、払った数値分だけ戦闘を行う相手モンスターの攻撃力をダウンし、このカードの攻撃力をアップする。

 

 

 

「ち、ぃ! なぁんの! 永続魔法『棚岩の城壁』の更なる効果! 自分の場の地属性モンスターが戦闘で破壊された時、その攻撃力の半分ライフを回復する!」

 

 

ランサー:LP 700→1800

 

 

 削ったライフはすぐ回復された。

 しかしマスターは怯まずに、このターンにドローした手札を発動する。勝利への一歩を、過たずにしっかりと。

 

「速攻魔法『クラスチェンジ』! サーヴァントをリリースし、別のクラスの姿へと進化させる!」

 

 魔法カードの力を受け、エリザベートは自身を光に変えて新たな姿へドレスチェンジしていく。

 ピンクのシルクハットは黒い魔女の帽子に、赤い三叉の槍は橙色に、竜の尾は悪魔の尾に。

 これこそ、このデュエルの勝敗を分ける切り札、マスターがカルデア出身だからこそできる最高の裏ワザだ。

 このカードは魔法カード、故に『ナチュル・ビースト』は何としても除去したかった。なので、あちらから対象として絞り込んでくれるとは、非常に有り難い限りであった。

 

変生(へんせい)・融合召喚! 震えるパーカッション、熱く燃えるパンプキン! 『術英霊(キャスター・サーヴァント) エリザベート・バートリー〔ハロウィン〕』!」

「オッケー、第二幕行っちゃうわよ! カボチャの豚も鹿も犬も栗鼠も耳を傾けなさい!」

 

 

ATK:2500

 

 

「え、エリザベートさんがキャスターに変わりました!」

「成程、同じ英霊でありながら違う姿になるのか。噂に聞いたクラスチェンジって奴だな?」

 

 

 

クラスチェンジ(オリジナル)

【速攻魔法】

(1):自分フィールドの元々のカード名が「英霊」モンスター1体をリリースして発動する。

EXデッキから「英霊」以降の名前が同じで、同名以外のモンスター1体を特殊召喚する。

この特殊召喚は正規の召喚方法として扱う。

 

 

 

術英霊 エリザベート・バートリー〔ハロウィン〕(融合・効果モンスター)(オリジナル)

星8

闇属性/ドラゴン族

ATK 2500/DEF 0

ドラゴン族モンスター+魔法使い族モンスター

このカードは「英霊 エリザベート・バートリー」モンスターとしても扱う。

このカード名の(1)の効果は、1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードが戦闘によって破壊された時に発動できる。

このカードを中央のメインモンスターゾーンに、墓地から攻撃表示で特殊召喚する。

その後、自分のLPを500回復する。

(2):このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、このカードが相手に与える戦闘ダメージは倍になる。

 

 

 

「さぁ、続けてバトルだ! 『棚岩の城壁』の効果で、攻撃対象は強制的に『ミセス・レディエント』になる! ハロウィン・パワーで攻撃だ!」

「オッケー、セカンドナンバーはこの曲よ!」

「「“鮮血特上魔嬢(バートリ・ハロウィン・エルジェーベト)”!」」

「ハロウィン・エリザの効果で、モンスター同士の戦闘ダメージは倍になる! よってダメージは600の倍、1200ポイント!」

 

 放たれるのはカボチャの超音波。

 毛長の金犬は真正面からそれを浴び、まるで地獄の歌声を聞いたかのように苦悶の表情を浮かべて弾け飛んだ。

 

「う、ぐっ!」

「『ミセス・レディエント』、爆殺!」

「ちょっと倒され方に物申すんだけど! 私の歌を聞いて爆発するとか失礼じゃない!?」

「戦闘破壊された事でお前の場に地属性モンスターはいなくなった! よって永続魔法『棚岩の城壁』は自壊し、回復効果は使えない!」

「ちょっと聞いてる!?」

 

 

ランサー:LP 1800→600

 

 

 モンスター2体を粉砕し、ライフも削った。場の状況は1対1にまで持って行ったが……。

 破壊された『ミセス・レディエント』の能力で、相手の墓地から『クレーンクレーン』が回収され、状況はまだまだ動きを見せる。

 

「だがこれで、坊主のモンスターは攻撃終了! 残った1枚の手札はモンスターを蘇生させる罠カード! 次のターン、『ドリル・ウォリアー』が帰還してダイレクトアタックすれば、オレの勝ちだ!」

「いいや、言った筈だ! 俺の勝ちだって!」

「馬鹿な、もう使えるカードは無い筈!」

「あるさ! 散々そっちがやって来た事が! 墓地の罠カード、『リキャスト・アゲイン』を発動!」

「墓地からトラップ!? いつの間にそんなカードを!?」

「あるさ、たった1度だけ、このカードを墓地送るチャンスが!」

 

 地面に紫の魔法陣が開き、そこから2枚のカードが飛び出る。

 1枚は『リキャスト・アゲイン』、そしてもう1枚は――『クラスチェンジ』だ。

 

「あれは、まさか『デイブレイク・リコール』で捨てた手札!」

「その通りだよ、マシュ! こいつは最初のターンで捨てた俺の手札の1枚!

 『リキャスト・アゲイン』は、このターンに俺が魔法カードを1枚しか発動していない時、このカードとそのマジックを除外する事で、同じ効果をもう1度だけ発動できる!」

「って事は――」

「そう、アンコールのお時間さ! もう1度衣装替えだ!」

「アンコールには応えるのがアイドルの義務! 何度でも呼びなさい、何度でも出て来るから!」

 

 

 

リキャスト・アゲイン(オリジナル)

【通常罠】

このカード名の効果は、デュエル中に1度しか発動できない。

(1):自分が魔法カード1枚のみ発動したターンに発動できる。

墓地のこのカードと、このターンに発動された自分の魔法カード1枚を除外して発動する。

除外した魔法カードの効果を、このカードの効果として発動する。

 

 

 

 エリザベートは再び光へと消え、更なる姿へと昇華される。

 杖は剣に、カボチャの衣装は銀の鎧に。勇者として、炎を纏う竜の覇者として、ここに君臨する――!

 

「変生・シンクロ召喚! 逆巻くブレイブリー、光り輝くレトロアーマー! 上手い口上が思い付かないや、ゴメン! 『剣英霊 エリザベート・バートリー〔ブレイブ〕』!!」

「アンコールにお応えして――、いや待ちなさいよ、もう少し頑張りなさいよ!?」

 

 再び衣装替えの果てに、勇者として降り立つエリザベート。そしてその場のノリで召喚口上を考えていたという衝撃の真実が発覚するのであった。

 

 

ATK:2500

 

 

「正真正銘ラストバトル! ブレイブ・エリザで、『創世神』を攻撃!」

「攻撃力が足りねぇな! 攻撃力2500じゃ、2300の『創世神』を倒しても、ライフは400残る! お前の負けだ!」

「残らない! ブレイブ・エリザの効果発動! 攻撃宣言時に手札を捨て、500ポイント攻撃力がアップする!」

「何だと!?」

 

 

ATK:2500→3000

 

 

 最後の手札、『マスターコードE-「騎士の誓い」』を墓地に送り、勇者エリザベートを真紅のオーラが覆う。攻撃力の差はこれで700になった。

 

「これで、終わりだ!」

「行くわよ、必殺!」

「「“鮮血竜巻魔嬢(バートリ・ブレイブ・エルジェーベト)”!!」」

 

 状況を理解してエリザベートはニヤリと笑いながら走り出す。一歩前へ、二歩前へ、三歩前へと足を踏み出し、ドリルのように突き進む。燃えるが如し魔力のオーラは昂り、それはさながら魔王を打ち倒す、悪しき神を突き穿つ、勇者の必殺技のように!

 そしてそれは、過たず雷を操る巨神へと吸い込まれて行き――

 

「う、ぐ、ぅおおおおおおおおおおおおおおっ!!?」

 

 

ランサー:LP 600→0

 

 

 このデュエルの勝敗を決めた。

 

 

マスター:WIN

 

 

 

 

剣英霊 エリザベート・バートリー〔ブレイブ〕(シンクロ・効果モンスター)(オリジナル)

星8

炎属性/ドラゴン族

ATK 2500/DEF 200

戦士族チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードが戦闘を行う場合の攻撃宣言時に発動できる。

手札を1枚捨て、攻撃力と守備力を500アップする。

(2):このカードがカード効果でフィールドを離れる場合、代わりに自分のメインモンスターゾーンの右端か左端に移動できる。

更に相手のフィールドのカードを破壊する効果に対してこの効果を発動した場合、自分の墓地のカードを1枚手札に戻す。

 

 

 

To be continued

 




ランサー、キャスター、セイバー、アサシン、バーサーカー(CCC)、アルターエゴ、ライダーとほぼエリちゃんはクラスをフルコンプしましたね。
次はムーンキャンサーあたり行っちゃう?w


あっ、やめてBBちゃん。
ムンキャは専用クラスって、ジナコさんをガネーシャにした時にムンキャにしたじゃん!
あっあっ、やめて、注射器投げないで、痛い痛い!!
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