Fate/Duel Order   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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Turn:4 もう1人の僕(達)

「あいだだだだだだだ!!?」

 

 電脳世界から帰還したマスターを待っていたのは、全身を襲う激痛であった。

 まぁ当然である、残りライフ25という事は体力が160分の1、即ち99%以上を失ったという事。『痛い』で済んで寧ろ僥倖と言わざるを得ない。

 と言うか普通なら『痛い』じゃ済まないのだが。一定以上の痛覚を脳内麻薬で遮断している可能性を考えると、中々に笑えない状況だった。

 

「まったく、無茶するねぇ。デュエリストの矜持だか何だか知らないけど自分の身体は大切にしなさい」

「はい……」

 

 マシュと清姫に支えられダ・ヴィンチに叱られ、と見るからに情けない状態でコフィンから出て来るマスター。しかし彼が常に弱い存在ながらも頑張っている事を知っている皆としては、目立った外傷も無く『痛い』で済んでるのは微笑ましいと言える。

 取り敢えずナイチンゲールに診て貰おう、と鬼の婦長に四肢切断とかされないか戦々恐々するマスターだった。

 

 

 

『ビーッ!ビーッ!ビーッ!!』

 

 

 

「今度は何だ!?」

 

 再び鳴り響く警報音。敵の増援がやって来たのかと、ボロボロの肉体に鞭を打って管制室で状況の確認を青年は急かす。

 

「状況は!」

「マスター君、寝てなきゃ!」

「出来ないよ! こんな煩いアラートの中で寝られる程、神経太くない!」

 

 デュエルディスクにデッキをセットし、敵の襲撃に改めて備えるマスター。

 だがもし敵の援軍が再びカルデアのシステムを攻撃しに来た場合、このダメージを負った状態では勝てる保証が本当に無い。ホームズから怪しい薬でも貰うか、と自嘲したが、どうやら事態は攻撃では無いらしい。

 

「スタッフさん、何が起きてるんですか!」

「正体不明のアンサモンによるアクセスを確認! ドラゴンを遥かに超える大規模魔力によってファイアウォールが機能しません!」

 

 アンサモンと言うのは召喚の逆、つまりサーヴァントがマスターを自分の元へ呼び寄せる事だ。レイシフトにもこの技術が一部応用されている。

 しかしマスターである立香はアンサモンされようとしている気配は無い。こちら側に一体誰がやって来ようとしているのだろうか。

 

「アンサモンまで残り3秒、2、1、……来ます!」

 

 眩い光が周囲を照らし、白銀の電光が薄暗い管制室を昼間よりも明るく彩る。

 極めて強力なアンサモンだ。サーヴァントの召喚を何度もやって来た立香だが、ここまで強烈な光は神霊クラスの中でも最高レベルで無ければ見た事が無い。果たして誰がカルデアにアクセスを試みているのだろうか。

 

「――座標、確認。ああ、間違いなくカルデアだ」

「そう、か……」

 

 光の中から現れたのは、2人の男だった。だがよく見ればその背中には誰かをそれぞれ1人ずつ背負っているため、合計4人と言える。

 片方は亜麻色の髪を持つ大学生くらいの青年。これと言って特徴は見当たらないが、その瞳には如何なる絶望にも断じて折れないという、強固な意志が感じられた。

 もう片方は淡い栗色の髪を持つ高校生くらいの少年だった。ジャケットを脱いだ執事のような服装をしており、腰に佩いている剣が妙にミスマッチである。

 そしてカルデアのマスターには、後者の少年に見覚えがあった。

 

 

 

 

 

「じ、ジーク!?」

 

 

 

 

 

 そう、シャドウ・ボーダーで移動中にアンサモンで呼び寄せた邪竜の少年、ジークである。

 預かり物の大聖杯を守護し、世界の裏側でずっと誰かを待っていると言う、どこか儚い印象を与える少年。カルデアにも切り離した端末の個体がいるが、彼は本体の方か。

 

「あぁ、カルデアのマスター立香……、久しぶり、で良いのかな……。ふふ、こっちは何千か何万か何億年か分からないけど、結構な時間が経ってて、ね……」

「――レイシフト、したのか。自力で、独力で」

「ああ。ちょっと、ね……」

 

 事情を話そうとするジークは、しかし髪も服もどこもかしこもボロボロ。口の端から血を流してすらいる。

 彼と支え合う青年に至っては、額からの流血で顔の作りが殆ど分からない程であった。

 

「幸運にも俺と貴方には縁があった……。それを辿って、話に聞いただけのうろ覚えなレイシフトとやらを試してみたん、だ、っぐ……!」

「もう良い、喋るな! 誰か、医療班呼んで! 緊急治療を準備を! それとナイチンゲールさん抑える準備もね! コフッ!」

「マスターが沖田のお家芸を奪ったぞ!」

「言ってる場合ですか、マスターも搬送して下さい!」

 

 内臓にダメージを貰っていたらしく、病弱セイバーのように吐血するカルデアのマスター。人のふり見て我がふり直せ、である。

 取り敢えず男3人が担架によって運ばれるのであったが、運ばれるのは彼らだけでは無かった。

 用意された担架は全部で5本もしくは5台。右から順にカルデアのマスター、ジーク、血を流す青年、三つ編みの端正な顔立ちをしたピンク髪のサーヴァント、そして最後に紅衣を羽織った金髪の女性サーヴァントが乗せられる。

 カルデアの面々には、血塗れの青年に心当たりは無かったが、サーヴァントの2人に心当たりはあった。

 

「というか、アレは余と……」

「僕だよね……」

 

 困惑した顔で呟くのはローマの第5皇帝ネロ・クラウディウスと、シャルルマーニュ十二勇士が1人アストルフォ。

 そう、担架で運ばれた追加の2名こそ、別途に召喚された彼らであった。

 

 別にもう1人の自分と出会うのは珍しい事では無い。聖杯戦争に於いて、ケースとしては非常に稀だが『自分同士の別側面と出会う』という事象が発生する事があるからだ。複数のクラス適正を持っている場合にのみ適用されるが、少なくとも2人の記憶の中にはレイシフト先で出会った野良サーヴァントか、別の魔術師が召喚した程度でしか体験した事は無い。

 しかし今さっき搬送されたのは間違い無く別に召喚された自分だった。

 セイバー、ネロ・クラウディウス。

 ライダー、アストルフォ。

 自分の姿を見間違える程、2人は頭が粗末になった覚えは無い。例え頭痛や理性蒸発が酷くとも、だ。

 となれば彼らは先程やって来た2人が召喚したサーヴァントと見て良い。

 しかしサーヴァントがあそこまでボロボロになるものだろうか。恐らく霊核に手酷いダメージを負っている事は素人目でも分かるが、仮にも万能の皇帝特権持ちのセイバーと幸運値カンストのライダー。そう簡単にやられるような雑魚では無いのである。

 

「……キナ臭い感じがして来ましたね」

「ですね」

 

 医務室に去ったマスターを見送ったマシュと清姫が呟く。今頃きっとナイチンゲール達による治療が行われているだろう。自分達が入っても邪魔になるだけだ。

 清姫なら「愛妻が傍に居られないとはどういう事ですか!」と言いかねないが……、何故言わないのかは「クリミアの天使怖い」と過去にうなされた事がある、とだけここに記しておく。

 まあ何にせよ、キナ臭い戦いに巻き込まれるのはたまにある事なのだ、今更どうこう言うつもりは無い。

 

「あの人達が無事だと良いのですが……」

 

 

  ☆

 

 

 管制室はその後、てんやわんやの大騒ぎだった。

 何せマスターが戦っていたのだ、大なり小なり彼に信頼や好意を寄せていたサーヴァントにしてみれば気が気じゃない。

 やれ敵の目的は何なのかだの、我が子を狙うとは許せないだの、面白くなって来ただの、彼らは無事なのかだの、お腹空いただの、お見舞いに何を持って行こうだの……。

 数名のカリスマスキルを持つ者達が混乱を治めてくれなければ、暴動でも起きていたかも知れない。

 そんな中、特に彼らの心配をしていたのがオルレアンのルーラーことジャンヌ・ダルクと、彼女の別側面と言える存在のジャンヌ・ダルク・オルタナティブであった。

 

(ジーク君……、一体何が……。貴方の元に、まだ私は辿り着いていないのでしょうか? それとも悪竜にならなかったIFのジーク君でしょうか?)

(あれが白いアイツの気にしてた男よね? つまり今代のファヴニール。それがあんなボロ雑巾にって、何事よ?)

 

 ファヴニールはその特徴として、自身の存在を別の誰かに受け継がせる『悪竜現象』がある。ジークフリートが再臨を経て竜の角や翼を得るのも、この現象が原因だ。

 少年ジークはとある事情からジークフリートの心臓を移植され、ファヴニールの因子を受け継ぐ事になった。結果、彼もまた邪龍に転身する事になったのである。

 そしてファヴニールは数居るドラゴンの中でも破格の存在だ。英雄ジークフリートもどうやって勝ったのか覚えていない程の激戦を繰り広げ、気付けば勝っていたと言う程の驚異的な存在。それが敗北したとなれば、余程の――それこそ1つの時代を変えた程の――大英雄が相手であったか、或いは人質でも取られていたか。

 

「兎に角、話を聞かないいけませんね。アンサモンを用いてここまで来たという事は確実に救援を求めての事……、敵がカルデアにも現れた事を考えると、我々と無関係とは思えません」

「そうね。真実を知らないまま対応しても後手に回るだけだわ。何とかして敵の情報を聞き出し、こっちも対策を練りましょう」

 

 

 

 

 

「その必要は無い」

 

 

 

 

 

 どこからとも無く男の声が響いた。それと同時に黒いモヤのような、或いは長方形の何かの集合体のようなものが管制室に突如として現れる。

 黒い何かの塊は次第に一塊になって行き、やがて真っ黒な1人のヒトになった。

 ウニのように尖った頭、全く瞳の見えないサングラス、そして顔以外の全てを覆うボディースーツ。どこを取っても黒ずくめの男の登場に、一同は険しい顔で武器を手に取る。

 

「おっとやめてくれたまえ? 私は荒事は苦手でね、震え上がってしまうよ」

「しゃあしゃあと言ってくれるわね」

「君が第一声を発するまで管制室のセンサーには一切の反応が無かった、それだけで十分警戒に値するよ」

 

 ジャンヌ・オルタの吐き捨てるようなセリフに、ダ・ヴィンチが続ける。

 ダ・ヴィンチの言う通り、この新手の侵入者は事前に何の前触れも無く、本当に唐突にここに現れた。まるで霧か煙のように、本当に突然に。テレポートや高速移動なんてチャチなものでは無い、もっと恐ろしい何かがあると皆はそれだけで悟れた。

 

「それで、君は何者かな?」

「私かい? ふむ、名前が無いのは不便だな」

 

 そうだね、と考えるフリをする事暫し、サングラスの男はゆっくりを口を開く。

 

「真実を知る者、トゥルーマン。差し詰め、ミスターTとでも呼んで貰おうか」

「真実とは大きく出たね? では君はカルデアを襲った連中の事も、今さっきのアンサモンの事も全て知っていると?」

「無論だとも。だが、それを君達に知らせる事は無い。君達は真実に近付きすぎているのだからね」

「おいおい、何の事だい?」

「君達は意図せずして事件の真相のカギを握った、という事だ。それは私達にとって大きな障害になる」

 

 真相のカギとは何の事だろうか、グラサンウニ頭の言葉の真意には天才も鬼才も秀才も凡才も、全く見当がつかなかった。

 ただ一つハッキリしている事はアンサモンで現れた4人が何かの肝になっている、という事だけである。

 

「障害は排除せねばならない。そう……、デュエルによって!」

 

 ミスターTはいきなり語調を荒げると左手を手前に突き出した。

 すると突然、その腕から蝙蝠の被膜のようなデュエルディスクが生えた。転送されて現れたのでは無い、まさしくたった今、そこに生えたのである。

 二の句を上手く告げない状況は一瞬、技術スタッフが悲鳴のような解析結果を上げた。

 

「解析結果、出ました! この男は謎の物質で身体が構成されていますが、ディスクの方にサーヴァントを封印する機能を確認! 令呪に近いシステムが仕込まれています!!」

「更に解析結果です! これは……、マスター君の“Storm Access”の亜種か! でもこれはカードに封印して閉じ込めるタイプだ! 彼の、カードに召喚ゲートを転写する仕組みとは違う!!」

 

 ジャンヌ・オルタはそれを聞き、素早くデュエルディスクをどこからともなく呼び出すと腕に装着した。

 

「ふーん、よく分からないけど、負けたらカードにされて捕まるって事は理解したわ」

「ほう、カルデアの技術者は優秀だと知っていたが、君も中々どうして察しが良い」

「便利な機能があるのに不意打ちで狙わなかったって事は、その機能を使うには何か制限があるんでしょう? 恐らくはデュエルで勝てば、とかそんな感じかしら?」

「ご名答。正しくは『敗北していないデュエルディスクの周囲では使えない』のだよ。どういうシステムなのかと言われても、私にはサッパリでね。周囲というのもどのくらいの範囲なのか分からない。私がやる事はただ1つ、君を完膚なきまでに倒す。それだけだ」

「上等よ。マスターが血反吐を吐くまで頑張ったんだから、私もまた血反吐をブチ撒けるまで戦いましょう。さぁ、覚悟しなさい!」

 

「「デュエル!」」

 

 

ミスターT:LP 4000

ジャンヌ・オルタ:LP 4000

 

 

  ☆

 

 

「オルタ、頑張って下さい!」

「しっかりやれよ、突撃女」

「分かってるわよ。レディー・ファースト、私の先攻!」

 

 先攻と取った事で、5枚の手札を確認するジャンヌ・オルタ。

 手札のモンスターは貧弱なものばかりだが、性能は悪くない。まずは陣形を整える事から始めよう。

 

「私は手札から魔法カード『闇の誘惑』を発動。デッキからカードを2枚ドローし、手札の闇属性モンスターを1体除外する。除外できない場合、私の手札は全て墓地へと消える」

 

 魔法カードの効果で新たに手札に2枚のカードが加わる。同時に手札を1枚弾き、その闇属性モンスターが漆黒の次元の果てへと消え去った。

 入れ替わった手札を見た。成程、悪くない。

 

 

 

闇の誘惑

【通常魔法】

(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。

手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。

 

 

 

「モンスターを裏守備表示で召喚。そしてカードを1枚伏せ、ターンエンドよ」

 

 

 

ジャンヌ・オルタ:LP 4000

手札:3枚

フィールド

エクストラモンスターゾーン無し

裏守備モンスター1体

伏せカード1枚

 

 

 

 典型的なT字配列でターンを終えるジャンヌ・オルタ。初手の様子見としては十分である。

 え、ソリティア? そんなの最初のターンから始まるワケが無いでしょう。ファンタジーやメルヘンやガチじゃあるまいし。

 

「では私のターン、ドロー。出でよ、『ダーク・アーキタイプ』!」

『VOOOOOOOOO!』

 

 

ATK:1400

 

 

 ミスターTのターン、場に出されたのは奇妙な四つ足のモンスターである。

 蜘蛛のような不気味さに、ゾンビのような生気を感じさせない灰色のスキン、どこか機械染みた配線つきの肉体。見た事の無い怖気を対戦相手に与えるようなモンスターだ。

 

「『ダーク・アーキタイプ』……? 見た事の無いモンスターね」

 

 首を傾げるジャンヌ・オルタ。

 暇潰し程度に嗜んだとは言え、一応は己のデッキを組んだ身。見覚えの無いモンスターに反応の1つくらい返す。

 

「バトル。行け、『ダーク・アーキタイプ』!」

 

 裏守備カードに飛び掛かる蜘蛛型モンスター。カードが表になって現れた紫色の球体を前足で殴打すると、呆気無い程にそれは爆散した。

 

 

DEF:100

 

 

「このカードは『ジャイアントウィルス』よ。バトルで破壊された時、アンタに500ダメージを与える!」

「むっ!」

 

 

ミスターT:LP 4000→3500

 

 

「そしてデッキから同名モンスターを2体まで攻撃表示で特殊召喚できる! 増えろ、『ジャイアントウィルス』!」

 

 

ATK:1000

ATK:1000

 

 

 

ジャイアントウィルス(効果モンスター)

星2

闇属性/悪魔族

ATK 1000/DEF 100

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、相手ライフに500ポイントダメージを与える。

さらに自分のデッキから「ジャイアントウィルス」を任意の数だけ表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

 

 

 

 ミスターTが破壊したのは屈強な生命力を持つ病原体だった。爆散してもそれらは新たな群体となって場に生まれ変わる。

 しかしミスターTはそんな状況にも関わらず、不敵な笑みを崩さないまま手札を新たに1枚取り出した。

 

「手札から『予見通帳』を発動。デッキの上から3枚カードを除外し、3ターン後に手札に加える」

 

 

 

予見通帳

【通常魔法】

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分のデッキの上からカード3枚を裏側表示で除外する。

このカードの発動後3回目の自分スタンバイフェイズに、この効果で除外したカード3枚を手札に加える。

 

 

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

 

 

ミスターT:LP 3500

手札:2枚

フィールド

EXモンスターゾーン無し

ダークアーキ・タイプ(ATK:1400)

伏せカード2枚

 

 

 

「私のターン、ドロー! 『キラー・トマト』召喚!」

 

 敵の場には攻撃力1400のモンスターが1体。ここが好機と見たジャンヌ・オルタは新たなモンスターを呼び出す。

 

 

ATK:1400

 

 

「『キラー・トマト』は戦闘で破壊された時、デッキから攻撃力1500以下の闇属性モンスターを呼び出す事ができる。これでアンタの『ダーク・アーキタイプ』と相撃ちにして攻撃力1500のモンスターを出せば、アンタのライフ3500はキッチリ0になるわ」

 

 

 

キラー・トマト(効果モンスター)

星4

闇属性/植物族

ATK 1400/DEF 1100

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキから攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体を自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

 

 

 

「バトル! 『キラー・トマト』で『ダーク・アーキタイプ』を攻撃!」

「速攻魔法『パワー・ギフト』。手札のモンスターを墓地に送り、その攻撃力を場のモンスターに加える。私は手札から攻撃力100の『ダーク・トレジュラー』を捨てる」

 

 

 

パワー・ギフト(アニメオリジナル)(一部改稿)

【速攻魔法】

(1):相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、手札のモンスター1体を墓地に送って発動する。

選択した相手モンスターの攻撃力は、墓地に送ったモンスターの攻撃力の数値分アップする。

この効果で選択したモンスターが戦闘を行った場合、そのモンスターをダメージ計算終了時に破壊する。

 

 

 

「私はこれにより、『キラー・トマト』の攻撃力を100アップさせる」

「な!?」

 

 

ATK:1400→1500

 

 

 気色悪い怪生物に飛び掛かるお化けトマト。最初は互いに倒れる目算だったのが突如エネルギーを送られ、トマトが一方的に蜘蛛型クリーチャーを噛み砕くに終わる。不快な臭いを放つ体液を撒き散らしながら、クリーチャーはその場で息絶えた。

 

 

ミスターT:LP 3500→3400

 

 

「この瞬間、モンスター効果発動。『ダーク・アーキタイプ』は破壊された時、私が受けたダメージ以下の攻撃力を持つモンスターを特殊召喚できる。現れよ、『ラブラドライドラゴン』!」

 

 

 

ダーク・アーキタイプ(効果モンスター)(アニメオリジナル)(タッグフォース効果)

星3

闇属性/魔法使い族

ATK 1400/DEF 400

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、その戦闘で自分が受けた戦闘ダメージの数値以下の攻撃力を持つモンスター1体をデッキから特殊召喚する事ができる。

 

 

 

ラブラドライドラゴン(チューナー・通常モンスター)

星6

闇属性/ドラゴン族

ATK 0/DEF 2400

ラブラドレッセンスと呼ばれる特有の美しい輝きを放つウロコを持ったドラゴン。

そのウロコから生まれる眩い輝きは、見た者の魂を導き、感情を解放させる力を持つ。

――その光は前世の記憶を辿り、人々を巡り合わせると伝えられる。

 

 

DEF:2400

 

 

 入れ替わるように出て来たのは白く光る鱗を持つ龍。管制室の無機質なライトに照らされてなお、その美しさを一切失わない特徴には思わず溜息を吐きそうになった。

 攻撃力と効果を持たないが、高い守備力を持つチューナーであるため、悪用しやすいドラゴンである。

 

「これで相撃ちは失敗ってワケね。でもいくら敗北を防ぐためとは言え、2枚もカードを切るなんて常識的に考えて効率悪すぎじゃない?」

「ふふふ、常識に囚われないのが私のデュエルでね。『パワー・ギフト』のもう1つの効果、攻撃モンスターはダメージ計算終了時に破壊される」

「っ、効果破壊じゃ『キラー・トマト』の効果が使えない!?」

 

 クリーチャーと同様に爆発するトマト。これでミスターTが負ったディスアドバンテージは実質0枚になる。

 状況が一瞬で暗転した事で次の対処を余儀なくされるジャンヌ・オルタは、素早く場に残ったモンスターカードの向きを90度変更した。

 

「『ジャイアントウィルス』、態勢を守備に変更!」

 

 

ATK:1000→DEF:100

ATK:1000→DEF:100

 

 

「カードをセット。これでターンエンドよ」

 

 

 

ジャンヌ・オルタ:LP 4000

手札:2枚

フィールド

エクストラモンスターゾーン無し

ジャイアントウィルス(DEF:100)×2

伏せカード2枚

 

 

 

 幸いにも敵のモンスターの攻撃力は0、守備力たった100とは言え倒される事は無い。

 

「私のターン、ドロー。どうやらお互い闇属性のデッキのようだ、ならば私も全力で行こう。魔法カード『融合』を発動! 手札の『真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)』とフィールドの『ラブラドライドラゴン』を融合!

 融合召喚! 現れよ、黒き焔の破壊者! 『流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン』!」

『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

 

 

ATK:3500

 

 

 奇襲性の高い融合召喚により呼び出されるドラゴン。紫の鱗に燃え盛る炎を全身に纏い、堂々とした出で立ち。熱風と共に君臨した流星のドラゴンは威風堂々とした風体でジャンヌ・オルタを睨め付けた。

 

「攻撃力3500!?」

「モンスター効果、発動。デッキから『真紅眼の飛竜(レッドアイズ・ワイバーン)』を墓地に送り、その攻撃力の半分のダメージを与える。喰らえ、“カーマイン・バーン”!」

 

 

 

流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン(融合・効果モンスター)

星8

闇属性/ドラゴン族

ATK 3500/DEF 2000

レベル7「レッドアイズ」モンスター+レベル6ドラゴン族モンスター

(1):このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。

手札・デッキから「レッドアイズ」モンスター1体を墓地へ送り、そのモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える。

(2):このカードがモンスターゾーンから墓地へ送られた場合、自分の墓地の通常モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

 

 

 

「くっ、うぅううううううううううううううっ!!」

 

 

ジャンヌ・オルタ:LP 4000→3100

 

 

 放たれた灼熱の塊を真正面から受けて後退するジャンヌ・オルタ。ダメージそのものは大きくないが、全身を焼き尽くすような感覚には一種の恐怖にも似た感覚を覚える。

 

「バトル! やれ、『流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン』! その雑魚を消し去れ、“バーニング・ダークネス・メテオ”!」

「『ジャイアントウィルス』は守備表示! 私にダメージは無いわ!」

「永続罠『竜の逆鱗』! ドラゴン族モンスターに貫通能力を与える!」

 

 

 

竜の逆鱗

【永続罠】

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドのドラゴン族モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

 

 

 

 太陽のように煌々と輝く灼熱球を放つ流星のドラゴン。その攻撃力は3500、守備力100で受ければ彼女のライフは一瞬で消し飛んでしまうだろう。

 

「リバースカード、オープン! 罠カード『ガード・ブロック』! このバトルで自分が受けるダメージを0にし、カードを1枚ドロー!」

「ほう、躱したか」

 

 無論、対策の1つくらいある。瞬時に結界を張って熱気を防いだオルタは、敗北を回避する。

 後に残るのはミスターTが受ける効果ダメージのみになった。

 

 

 

ガード・ブロック

【通常罠】

相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。

その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 

 

 

ミスターT:LP 3400→2900

 

 

「バトル終了。墓地の『ダーク・トレジュラー』の効果発動。デッキから2枚ドローし、手札の闇属性モンスター1体を捨てる。私が捨てるのは『魂を削る死霊』だ」

 

 

 

ダーク・トレジュラー(効果モンスター)(オリジナル)

星1

闇属性/魔法使い族

ATK 100/DEF 100

(1):このカードがフィールドから墓地に送られた場合、デッキの1番上に戻る。

(2):墓地にこのカードと「ダーク・アーキタイプ」が存在し、自分の手札が1枚以下の時、このカードを墓地から除外して発動できる。

デッキから2枚ドローし、手札から闇属性モンスター1体を捨てる。

捨てられない場合、手札を全てデッキに戻す。

 

 

 

魂を削る死霊(効果モンスター)

星3

闇属性/アンデット族

ATK 300/DEF 200

このカードは戦闘では破壊されない。

このカードがカードの効果の対象になった時、このカードを破壊する。

このカードが直接攻撃によって相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、相手の手札をランダムに1枚捨てる。

 

 

 

「私はカードを1枚伏せて、ターンエンドだ。そして通常召喚を行っていないため、墓地の『真紅眼の飛竜』の効果発動。自身を除外し、蘇れ『真紅眼の黒竜』!!」

 

 

ATK:2400

 

 

 

真紅眼の飛竜(効果モンスター)

星4

風属性/ドラゴン族

ATK 1800/DEF 1600

このカードの効果を発動するターン、自分は通常召喚できない。

(1):自分エンドフェイズに墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「レッドアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

 

 

 

ミスターT:LP 2900

手札:0枚

フィールド

流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン(ATK:3500)

真紅眼の黒竜(ATK:2400)

伏せカード1枚、竜の逆鱗(永続罠)

 

 

 

 ミスターTの場に2体のドラゴンがこれで揃った。

 片やハイパワーな火力を持ち、片や多数のサポートカードを持つ闇の龍達。

 ライフはまだ上回っているものの、ドラゴンのパワーの前では200程度の差は無に等しい。

 

「上等じゃない」

 

 ここからが正念場だ。気合いを入れて臨まなければ、焼き尽くされるのは己となるだろう。

 

「私のターン!」

 

 

To be continued

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