モフモフ幻想郷ex   作:アシスト

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11.俺氏、モフりたい。

 

 

「き、きゅー……」ツンツン

 

 

すくすくの短くも可愛いおててに突かれて、ふと目を覚ます。

 

重い瞼をこすりつつ、スマホを確認すると深夜2時。草木も眠る丑三つ時だと言うのに、何かあったのだろうか。

 

 

俺を起こしたすくすくは半霊を抱いてぷるぷると震えながら「きゅーっ……」と怯えるように鳴き、俺の腕にすり寄ってくる。

 

 

どうしたすくすく妖夢。こわい夢でも見た?

お兄さんに話してみなさい。

 

 

「き、きゅーっ」

 

 

なぬ、幽霊が出たって?

その抱いている半霊ではなく?

 

 

意外にも幽霊が苦手だと判明したすくすく妖夢に引っ張られるように、連れてこられたのはすくすくのたまり場。

 

たくさんのすくすくと少名ちゃんがスヤスヤと眠っている中、その部屋の中心には確かに、赤色に淡く光る幽霊のようなものがいた。

 

 

「わおーん……zzz」

 

 

半透明な身体を丸めて寝ていたのは、触れられないのが実に惜しいほどの毛並みをもったオオカミの幽霊。

 

 

……特に無害そうだし、怖がる必要はないのでは?

 

 

「きゅーっ……」

 

 

正体がわかっても、すくすく妖夢は俺の腕から離れようとしない。

怖いものは怖いらしい。

 

 

仕方ないので、一緒に寝ることにしよう。

寝付くまでナデナデしてやるかね。もふもふ。

 

 

 

 

 

——————

 

 

 

 

 

「あっはっはっは! いやぁー悪いねぇ! うちの組のもんが迷惑かけた! ごめん!」

 

 

 

そんなことがあった同日の昼。漆黒の翼を背負い、カウボーイハットを被った女性が両手を合わせて謝りにやってきた。初めて見るお客さんである。

 

名前は早鬼さんと言うようで、勁牙組ってところの組長さんらしい。とても元気なお姉さんである。

 

 

「ぐるる……(すみません組長! 道に迷った挙句にこの店に入り込んだんスが、妙に居心地が良くてそのまま寝てしやいました………)」

 

「無事で何よりだが、謝る相手は私じゃないだろ?ほら」

 

「あおーん!(すんませんでしたモフモフのアニキ!すくすくさんたちも!)」

 

『『『きゅー!』』』

 

 

言葉はわからないが、謝っている気持ちはよく伝わった。

 

 

まぁ、うちとしても実害はありませんでしたし、すくすく妖夢を含めたすくすくたちも特に怒っていないようなので、気にしないでくださいな。

 

 

「そうはいかん。 部下の責任は上司の責任、落とし前はしっかりつけさせてもらいたい。というわけでナナスケ! 私にできることがあったら何でも言ってくれ!」

 

 

そう言ってバーンと自分の胸を叩く早鬼さん。

な、なんでもだって……!?

 

 

「わかってますねナナスケさん。願うべきことは、たったの一つ」

 

「そうです! 私たちのためにも、お願いします!」

 

 

どこからともなく現れて、俺の両脇に立って声をかけてくるモフモフソムリエの阿求さんとさとりさん。

 

一応俺もモフリストの端くれ。2人が願わんとしてることは理解できる。そして俺も、それを一目見た瞬間から。心のどこかでそれを望んでいた。

 

 

というわけで早鬼さん。

只ならぬモフオーラを放つその翼をモフってもいいでしょうか?

 

 

「おおっ! 私の自慢の翼に目をつけるとはなかなかやるね! じゃんじゃんモフれ!……って言いたいところだが、そっちの2人はともかく、ナナスケはやめておいたほうがいいかもしれないな」

 

 

なぬっ、なんでもって言ったじゃないですか!

 

 

「なんでもとは言ったが……後でそっちの嬢さんが怖そうだからな。それでもいいなら存分にモフってくれ」

 

 

そっちと言われて早鬼さんが指さす方向を見ると、見慣れたろくろ首さんが一人、すくすくパルスィを頭に乗せてこっちを見ていた。

 

 

 

………ばんきさん。違うんですよこれは。目の前にモフモフしたものがあるとモフリたくなるのは、当たり前のことなんですよ。下心とかは全くないで「えいっ」ブッ!?

 

 

俺がセリフを言い終える前に、ばんきさんが投げたすくすくが俺の顔面に直撃。モフモフのはずなのに、妙に硬かった気がする。痛い。

 

 

……あれ? よく見たら、初めて見るすくすくじゃないかコレ?

 

 

「きゅー」

 

 

鹿のような角に、カメのような甲羅を背負った淡黄色のすくすく。

硬かったのは甲羅の部分か。

 

 

「おおっ、吉弔かこれ? はっはっは! すくすくだと可愛げがあっていいじゃないか! 」

 

「きゅっ!」

 

「いたっ!?」

 

 

何故か早鬼さんにも体当たりをかます新すくすく。

 

元となった人物は早鬼さんの知り合いのようだが、すくすくの様子から察するに、あまり仲が良い相手ではなさそうだ。

 

 

「モフモフ…モフモフ……ほほう、これはなかなか……」

「モフモフ…モフゥ…圧倒的至福っ……しあわせ……」

『きゅー!』モフモフ

 

 

頬を擦る俺と早鬼さんを他所に、モフモフな翼をこれでもかとモフるモフモフソムリエとすくすくたち。

 

とても羨ましいが、俺は先にパルスィさんと化したばんきさんをどうにかせねば。どうしたものか……あっ、そうだ。

 

 

 

ばんきさんばんきさん。

 

 

 

「……なによ、私よりそっちの女の翼の方が良いんでしょ妬ましい。勝手にすればいいじゃない妬ましい。もっと私に構いなさいよ妬ましい」

 

 

 

 

週末、デートにいきましょう。

 

 

 

 

 





次回、ばんきっき回。

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