全力で書きました。
―—— GSッター ———
@ビクトリーナナスケ
>急募・おすすめのデートスポット
@普通の魔法使い
>デートってしたことないけど
>天界はきれいな所だってきいたことあるぜ
@はらぺこ亡霊
>デートはしたことないけれど
>うちの桜はとってもきれいよー
@動きたくない大図書館
>ほとんど外に出ないけれど
>妖怪の山の畔にある山道はデートに向いてるって
>本に書いてあったわ
@ビクトリーナナスケ
>なるほど
>参考にします
@モフモフソムリエAQN
>がんばってくださいナナスケさん!!
@すくすく
>きゅーっ!!
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ついに、デート当日である。
人生初のデート。すでにドキドキである。
喫茶店は休店日。すくなちゃんとすくすくにお留守番を任せて、やってきたのは待ち合わせ場所である人里の出入り口。
待ち合わせ時間10分前にも関わらず、俺がやってきたときには、見慣れた顔のばんきさんの見慣れない姿がそこにあった。
白を基調としたワンピースの上に、花びらの模様がおしゃれな薄紅色のカーディガン。首のチョーカーには、俺が付けているネックレスと同じ、黄色く煌めく宝石でできたアクセサリーが付いている。
柄にもなく見惚れてしまった。
ドキドキがさらに加速する。あばばばば。
ポーっと立っている俺に気づいたのか、ばんきさんが小走りで俺の方に近づいてくる。
イカンイカン。平常心を取り戻せ俺。
しっかりしろ。今日は大切な初デートなんだぞ。
おはようばんきさん。
お待たせしましたか?
「……ううん、私も今来たところ」
ほんのり顔を紅く染めて、微笑みながらそう答えるばんきさんの姿に、胸がキュンとする。
うむ。
俺の彼女が可愛すぎる。
——————
『ばんきっき! 30分前には待ち合わせ場所にいなきゃだめだから! そして「待たせちゃったかな?(イケボ)」「ううん、今来たところ♪(可愛く作った声)」ってやり取りをするのがラブラブデートへの第一歩よ!』
これは影狼のアドバイス。
30分どころか1時間前に来て待ってたけど、まずは第一歩成功。上々よ、私。
今日の私は一味どころか百味違う。
この日のために、紅魔館の大図書館まで行ってデートのイロハについて3人で勉強した。今日の私は孤高に生きる妖怪ではなく、恋に恋する一人の乙女。とにかく本気なのだ。
どれぐらい本気かって言うと、明日恥ずか死んでもいいように、遺書まで書くぐらい。モフモフの私にビリビリにされたけど。
ちょっとやそっとじゃ、今日の私は動じない。
ラブラブデート、やってやろうじゃないの!
そう心の中で硬く決意した瞬間
「その、今日のばんきさん。かわいいって言うか、綺麗って言うか、ええと………とても素敵です」
ピキッと、私の決意にヒビが入った。
………やややyやややっややややyやばい。
嬉しさのあまり発狂しそう。
『ばんきちゃん! 殿方はギャップに弱いの! 暗めの色がカッコいいと思ってるばんきちゃんが、明るめの可愛い服装に身を包んだ時、ナナスケさんの胸はキュンキュンが止まらないはずよ!』
これは姫のアドバイス。服は人形遣いに頼んだらノリノリで作ってくれた。
胸がキュンキュンしてるかはわからないけど、いつもは働かないトオルの表情筋が目に見えて仕事をしている。こんなに照れた顔見るの初めてかも。私の彼氏が可愛すぎる。
めちゃくちゃににやけそうな顔を何とか抑え、あたかも当然のように、私はトオルの腕に自分の腕を絡める。
『恋人繋ぎ? ばんきっき、貴方はそれで本当に満足なの?』
『知らないのばんきちゃん? ラブラブカップルなら腕を組むぐらい常識だよ?』
『きゅー!!』
これは2人とすくすくのアドバイス。
本当にこれが常識がは知らないけど、もう疑うことはやめにした。でないとたぶん、マジで恥ずか死ぬ。
「……今日、とっても楽しみだったから。エスコートよろしくね。トオル」
ちょっと上目遣いをしながらそう言って、私はトオルの腕を軽く抱きしめる。
恥ずかしい。でも、幸せ。
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俺たちがやってきたのは、妖怪の山の麓付近にある一本道の山道。文さんたち天狗の管轄のエリアであるが、一般の人に公開している珍しいエリアでもある。秋はキノコやタケノコが豊作なんだとか。
今は時期的に葉桜がきれいに咲いている。満開の桜もいいが、これはこれで風情があって俺は好きである。
この山道をまっすぐ歩いていくと、にとりさんもお勧めするほど澄んだ水が流れる河原に到着する。お昼ご飯はそこでマットを敷いてお弁当を食べる予定だ。
河原につくまでは、ばんきさんとのんびりおしゃべりしながらのんびりと歩く。平然を装っているが、胸のドキドキが最高潮に達しようとしている。
今日のばんきさんはもう、ね。かわいすぎでやばい。
一挙手一投足が俺のツボを正確に連打してくる。
「ねぇ。トオル」
「どうしましたばんきさん?」
「……えへへ、なんでもない」
ほらね。かわいい。
少しでも気を緩めると抱きしめたくなる衝動に負けてしまう。抑えろ俺。流石にまだそういうのは早い。
たわいもない会話をしながら歩くこと数十分。河原に到着した。
下見にも来たけれど、何度見ても絵になる場所だ。良いデートスポットを教えてくれてありがとう
少し歩き疲れたのもあるので、さっそくマットを敷いて二人で座り込む。
ふむ。デートもそうだけど、こうやってばんきさんと2人だけになるのって、意外に初めてなんだよな。
いつもなら遊んでほしそうに「きゅー!」って寄ってくるすくすくがいるから心穏やかになれるけど、2人きりだとホントに良い意味で心臓に悪い。幸せなドキドキってやつだ。
でもたぶん。ばんきさんもすごいドキドキしてる。
抱き着かれている腕からすごい鼓動を感じるし。
今日は2人だけでデートって約束だったけど、こういう時、すくすくがいたら少しは和らぐんだけどなぁ。
「きゅー」
そうそう、こんな感じに。
………ん?
「トオル。あそこ」
俺の幻聴ではないらしく、ばんきさんも気づいたようだ。
「きゅー」
一匹のすくすくが石を積み上げて遊んでいる。
近づいて抱っこすると、毛並みはモフモフだが耳はモチモチしている。モフモチである。
「……きゅー?」
私、何かやっちゃいました?って感じに鳴くすくすく。
えーっと、ばんきさん。
2人きりのデートって約束でしたけど、この子も一緒でいいですかね?
「…当たり前。モフモフがいてこその私たちだから。ねっ? いっしょに遊んであげよ?」
「きゅーっ!」
そう言って、ばんきさんは俺の抱いているすくすくを優しくナデナデする。
うん。
俺の彼女がばんきさんでよかったです。