モフモフ幻想郷ex   作:アシスト

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全力で書きました。




13.俺たち、デート。

 

 

 

 

―—— GSッター ———

 

 

@ビクトリーナナスケ

>急募・おすすめのデートスポット

 

@普通の魔法使い

>デートってしたことないけど

>天界はきれいな所だってきいたことあるぜ

 

@はらぺこ亡霊

>デートはしたことないけれど

>うちの桜はとってもきれいよー

 

@動きたくない大図書館

>ほとんど外に出ないけれど

>妖怪の山の畔にある山道はデートに向いてるって

>本に書いてあったわ

 

@ビクトリーナナスケ

>なるほど

>参考にします

 

@モフモフソムリエAQN

>がんばってくださいナナスケさん!!

 

@すくすく

>きゅーっ!!

 

 

―—————

 

 

 

ついに、デート当日である。

人生初のデート。すでにドキドキである。

 

 

喫茶店は休店日。すくなちゃんとすくすくにお留守番を任せて、やってきたのは待ち合わせ場所である人里の出入り口。

 

待ち合わせ時間10分前にも関わらず、俺がやってきたときには、見慣れた顔のばんきさんの見慣れない姿がそこにあった。

 

白を基調としたワンピースの上に、花びらの模様がおしゃれな薄紅色のカーディガン。首のチョーカーには、俺が付けているネックレスと同じ、黄色く煌めく宝石でできたアクセサリーが付いている。

 

 

柄にもなく見惚れてしまった。

ドキドキがさらに加速する。あばばばば。

 

 

ポーっと立っている俺に気づいたのか、ばんきさんが小走りで俺の方に近づいてくる。

 

 

イカンイカン。平常心を取り戻せ俺。

しっかりしろ。今日は大切な初デートなんだぞ。

 

 

おはようばんきさん。

お待たせしましたか?

 

 

「……ううん、私も今来たところ」

 

 

ほんのり顔を紅く染めて、微笑みながらそう答えるばんきさんの姿に、胸がキュンとする。

 

 

うむ。

 

 

俺の彼女が可愛すぎる。

 

 

 

 

——————

 

 

 

 

『ばんきっき! 30分前には待ち合わせ場所にいなきゃだめだから! そして「待たせちゃったかな?(イケボ)」「ううん、今来たところ♪(可愛く作った声)」ってやり取りをするのがラブラブデートへの第一歩よ!』

 

 

これは影狼のアドバイス。

30分どころか1時間前に来て待ってたけど、まずは第一歩成功。上々よ、私。

 

 

 

今日の私は一味どころか百味違う。

 

この日のために、紅魔館の大図書館まで行ってデートのイロハについて3人で勉強した。今日の私は孤高に生きる妖怪ではなく、恋に恋する一人の乙女。とにかく本気なのだ。

 

どれぐらい本気かって言うと、明日恥ずか死んでもいいように、遺書まで書くぐらい。モフモフの私にビリビリにされたけど。

 

 

ちょっとやそっとじゃ、今日の私は動じない。

ラブラブデート、やってやろうじゃないの!

 

 

そう心の中で硬く決意した瞬間

 

 

「その、今日のばんきさん。かわいいって言うか、綺麗って言うか、ええと………とても素敵です」

 

 

ピキッと、私の決意にヒビが入った。

 

 

 

………やややyやややっややややyやばい。

嬉しさのあまり発狂しそう。

 

 

 

『ばんきちゃん! 殿方はギャップに弱いの! 暗めの色がカッコいいと思ってるばんきちゃんが、明るめの可愛い服装に身を包んだ時、ナナスケさんの胸はキュンキュンが止まらないはずよ!』

 

 

これは姫のアドバイス。服は人形遣いに頼んだらノリノリで作ってくれた。

 

胸がキュンキュンしてるかはわからないけど、いつもは働かないトオルの表情筋が目に見えて仕事をしている。こんなに照れた顔見るの初めてかも。私の彼氏が可愛すぎる。

 

 

めちゃくちゃににやけそうな顔を何とか抑え、あたかも当然のように、私はトオルの腕に自分の腕を絡める。

 

 

『恋人繋ぎ? ばんきっき、貴方はそれで本当に満足なの?』

『知らないのばんきちゃん? ラブラブカップルなら腕を組むぐらい常識だよ?』

『きゅー!!』

 

 

これは2人とすくすくのアドバイス。

本当にこれが常識がは知らないけど、もう疑うことはやめにした。でないとたぶん、マジで恥ずか死ぬ。

 

 

「……今日、とっても楽しみだったから。エスコートよろしくね。トオル」

 

 

ちょっと上目遣いをしながらそう言って、私はトオルの腕を軽く抱きしめる。

 

 

恥ずかしい。でも、幸せ。

 

 

 

——————

 

 

 

 

 

俺たちがやってきたのは、妖怪の山の麓付近にある一本道の山道。文さんたち天狗の管轄のエリアであるが、一般の人に公開している珍しいエリアでもある。秋はキノコやタケノコが豊作なんだとか。

 

今は時期的に葉桜がきれいに咲いている。満開の桜もいいが、これはこれで風情があって俺は好きである。

 

この山道をまっすぐ歩いていくと、にとりさんもお勧めするほど澄んだ水が流れる河原に到着する。お昼ご飯はそこでマットを敷いてお弁当を食べる予定だ。

 

 

河原につくまでは、ばんきさんとのんびりおしゃべりしながらのんびりと歩く。平然を装っているが、胸のドキドキが最高潮に達しようとしている。

 

 

今日のばんきさんはもう、ね。かわいすぎでやばい。

一挙手一投足が俺のツボを正確に連打してくる。

 

 

「ねぇ。トオル」

 

「どうしましたばんきさん?」

 

「……えへへ、なんでもない」

 

 

ほらね。かわいい。

 

少しでも気を緩めると抱きしめたくなる衝動に負けてしまう。抑えろ俺。流石にまだそういうのは早い。

 

 

 

 

 

たわいもない会話をしながら歩くこと数十分。河原に到着した。

 

下見にも来たけれど、何度見ても絵になる場所だ。良いデートスポットを教えてくれてありがとうパチュリー(動きたくない大図書館)さん。

 

 

 

少し歩き疲れたのもあるので、さっそくマットを敷いて二人で座り込む。

 

ふむ。デートもそうだけど、こうやってばんきさんと2人だけになるのって、意外に初めてなんだよな。

 

いつもなら遊んでほしそうに「きゅー!」って寄ってくるすくすくがいるから心穏やかになれるけど、2人きりだとホントに良い意味で心臓に悪い。幸せなドキドキってやつだ。

 

でもたぶん。ばんきさんもすごいドキドキしてる。

抱き着かれている腕からすごい鼓動を感じるし。

 

今日は2人だけでデートって約束だったけど、こういう時、すくすくがいたら少しは和らぐんだけどなぁ。

 

 

「きゅー」

 

 

そうそう、こんな感じに。

 

 

 

………ん?

 

 

「トオル。あそこ」

 

 

俺の幻聴ではないらしく、ばんきさんも気づいたようだ。

 

 

「きゅー」

 

 

一匹のすくすくが石を積み上げて遊んでいる。

 

近づいて抱っこすると、毛並みはモフモフだが耳はモチモチしている。モフモチである。

 

 

「……きゅー?」

 

 

私、何かやっちゃいました?って感じに鳴くすくすく。

 

 

えーっと、ばんきさん。

2人きりのデートって約束でしたけど、この子も一緒でいいですかね?

 

 

「…当たり前。モフモフがいてこその私たちだから。ねっ? いっしょに遊んであげよ?」

 

「きゅーっ!」

 

 

そう言って、ばんきさんは俺の抱いているすくすくを優しくナデナデする。

 

 

うん。

 

 

俺の彼女がばんきさんでよかったです。

 

 

 

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