モフモフ幻想郷ex   作:アシスト

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14.俺たち、恥ずか死。

 

 

 

 

ばんきさんとのデートから翌日。今日は喫茶店の通常営業日だ。さぁ、気持ちを切り替えていこう。

 

 

え? お昼以降のデートはどうなったかって? そりゃあもう、ラブラブでモフモフなデートをしましたよ。初デートとしては大成功。楽しかったよなーすくすく。

 

 

「きゅーっ!!」

 

 

河原で見つけたすくすくえいかも嬉しそうに「また行きたい!」と鳴いている。うん、俺も。

 

 

「よっすー。今日も働きにきたぞー」

 

 

開店時間の15分前、カランコロンと入り口の扉が開くと同時に、こころちゃんの声が聞こえた。

 

彼女は不定期のバイトだが、最近は毎日来てくれている。ここのところお客さんも多いし、とてもありがたい。

 

 

おはようこころちゃん。

今日もがんばろう。

 

 

「おっはー、ナナスケ。ゆうべはおたのしみだったらしいな」

 

 

ちょっと待ってこころちゃん。

誰から教わったのそのセリフ。青娥さん? 青娥さんなの?

 

 

こころちゃんからのいきなりの爆弾発言に流石に動揺する俺。すくなちゃんは「おたのしみ?……あっ! デートのことかぁ!」と納得したようにうなずいている。あぁ純粋。

 

 

「ん? 今日の新聞に書いてあったぞ。ほらコレ」

 

 

そう言われて手渡されたのは、今日付け発刊の文々。新聞。見出しは『必見! 喫茶店店主の彼女だけに見せる笑顔!』

 

 

 

 

……………おっおぅ。

 

 

 

 

——————

 

 

 

 

 

ザワザワ ザワザワ

 

 

「いやぁ、読みましたさとりさん? この新聞もといラブコメ小説」モフモフ

 

「もちろん。地底でも話題になっているほどですから」モフモフ

 

「見かけによらずやるねぇ店主さん。よっ、色男!」

 

「へぇー、ナナスケ先生もこんな笑顔できるんだなぁー。へぇー」ニヤニヤ

 

「いいなぁ……私もナナスケとこんなデートしたいなぁ……」

 

「今日彼女さんは来ないのかい? 君は笑うことが少ないからね。新聞の笑顔、ぜひ生で見てみたい」

 

 

ザワザワ ザワザワ

 

 

 

 

穴があったら入りたい。

 

来店した全てのお客さんが新聞を片手に持っている。話を聞く限り、今日の朝一、号外として人里中に巻かれたようだ。ホントにもう、恥ずかしいったらありゃしない。

 

どこで見てたのか知らないが、新聞には昨日のデートのことが、文さん(パパラッチ)の脚色をふんだんに交えた内容で書かれていた。

 

そんな新聞を読んで、生温かい目で俺を見るお客さんたち。

やめて、そんな目で俺を見ないで。

 

 

「きゅー」「きゅー?」「き、きゅー!」

「むきゅ」「きゅー!」「きゅー!?」

「きゅー…」「きゅ!」「きゅーっ」

 

 

すくすくたちも新聞を読んで、各々違った反応を見せている。没収したいが、たぶん今更だろう。

 

 

唯一の救いは、ばんきさんが来ていないこと。

新聞の内容が内容だしな。きっと今日は来ないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

そう思ってた時期が、俺にもありました。

 

 

「ささっ、ばんきちゃん。入った入った」

 

「ちょ、何で押すのよ二人とも」

 

「何言ってるのばんきっき。主役が一番に入らないでどうするのよ」

 

 

 

草の根の方に無理やり連れて来られるように、ばんきさんが来店してしまった。

 

 

 

ザワザワ ザワザワ

 

 

「おおっ! 主役がそろったぜ! ほら行ってこいナナスケ!」

 

「一見クールそうに見えるけど、彼氏の前ではきっとあんな顔やこんな顔になるのねぇ」

 

「こんな新聞が広まってるのに、何も知らないような顔で訪れにくるなんて。どこまでバカップルなのよ妬ましい」

 

「恥ずかしがる素振りすら一つも無しとは。まぁ、こんな甘々デートを日常茶飯事(文の脚色)でしてるぐらいなら当然なのかのぅ」

 

「ナナスケ、ラブラブするのは構わないけれど、するならブラックコーヒーを無料提供しなさい」

 

 

ザワザワ ザワザワ

 

 

 

 

 

「………え? なに? なんでめっちゃ見られてるの私?」

 

 

何故自分が注目の的になっているのか、いまいちわかっていない様子のばんきさん。

 

 

「ニヤニヤ」

「ニヤニヤ」

 

 

その後ろで、ニヤニヤを口に出しながらニヤついている草の根のお二方。

 

 

………なるほど。あの二人、わざとか。

 

 

「きゅー!」

 

「ん? どしたの私のモフモフ。 ……なにこれ、今日の新聞? そういえば今日うちには届かなかったのよね。どれどれ……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五分後、生温かい目線を背中に浴びつつも、真っ赤に染まった顔を両腕で隠しながら、机にうつ伏す2人の男女がそこにいた。

 

というか、俺とばんきさんだった。

 

 

『きゅーっ……』ナデナデ

 

 

励ますように、俺とばんきさんの頭をなでるすくすくたち。

 

気持ちは嬉しいが、今はそっとしてほしいなぁ……。

 

 

 





諸事情により更新ペースが少し遅くなりますが、ご了承いただけるとありがたいです……。



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