ある日の営業中、喫茶店が揺れた。
『『『きゅーっ!?』』』
「うおおおっ! 何事!?」
地震というよりは、大きなものが空から落ちてきたような衝撃。すくすくもお客さんもどよめくほどの大きさのだ。
そういう俺もかなりびっくり。
何事かと思って喫茶店の外を確認してみると。
「きゅー」
喫茶店サイズほどのすくすくが、そこにいた。
いやデカっ。
――――――
「きゅー」
「………なんか、すごいの来たね」
「『びっくり仰天』の表情」
ホントにびっくり仰天だよ。
こんなサイズのすくすくがいるとは。
お客さんには非常に申し訳ないけれど、本日はもう閉店。目の前のモフモフをどうにかしなければ。
「きゅーっ」
太い声で鳴きながら、喫茶店前に悠然と佇む黄土色の巨大すくすくを観察する俺とばんきさんとこころちゃん。
よく見ると、にょろっとした髭が2本生えている。ナマズのすくすくだろうか? でもなぜこんなにも大きいのか。
……ってあれ。さっきまで阿求さんも一緒に観察してたはずなのに、いなくなっている。
「阿求ならあっち」
「も、もふもふ———っ!」
「きゅー」
ばんきさんの指さす方向には、ハートマークを振り撒きながら巨大すくすくに抱き着く阿求さん。うん、いつも通り。
「きゅーっ!」「きゅー」「きゅ!」
「きゅー」「きゅー!」「きゅー」
他のすくすくたちも当然の如く、巨大すくすくに抱き着いたり登ったりしている。うん、いつも通り。
しかしどうしよう。保護しようにもこの大きさでは喫茶店に入らない。かと言って、ずっと外にいさせるのもなぁ。最低限、雨風を凌げるようにしないと。
そうだ。こういう時こそ紫さんに相談してみよう。亀の甲より年の功ってね。
——— GSチャット ———
@シン・ナナスケ
>紫さん、相談したいことがあるのですが。
@シン・ナナスケ
>あれ?
@シン・ナナスケ
>紫さーん?
@シン・ナナスケ
>…………………あっ。
@シン・ナナスケ
>紫さん。10歳前半にも関わらず
>圧倒的な才能と知識と美貌を携える貴女の力を
>お借りしたいのですが。
@ゆかりん(14)
>何かしら?
@シン・ナナスケ
>巨大なすくすくが降ってきたのですが
>どう対処したら良いでしょうか?
@ゆかりん(14)
>愛で受け止めてあげなさい
――――――
だめだ。紫さんの機嫌が悪い。
相談するのは諦めよう。
「いっそまた増築したら? モフモフたちもやる気みたいだし」
「「きゅー!」」
ばんきさんはすくすく萃香とすくすく勇儀を抱えながらそんな案を出す。
うーん、増築するにも土地がないんだよなぁ。
借りてる敷地はもう目一杯使っちゃってるし。
せめてもう少し小さければな何とかなるんだけど……。
「きゅー」クイクイ
お、すくすく永琳。何か良い考えがある?
ズボンのすそを引っ張るすくすく永琳の左手には、不思議な色のカプセルが握られていた。
なるほど。小さくなる薬か。
流石月の頭脳のモフモフ。早速試してみよう。
『きゅー!』『きゅー』『きゅー!』
「モフモフ……モフ……モフぅ………これが……幸せっ………!」
飲ませる前に、すくすくと阿求さんに巨大すくすくから降りてもらわないと。というか阿求さん、いつの間に頭の方まで登ったんですか。
――――――
「きゅー!」
「ほぅ………これはまた『良いモフ』ですね。ぎゅーっ………むふぅ………」
すくすくナマズに溺れる妖怪が一人。
モフモフソムリエ、さとりさんである。
すくすく永琳の薬のおかげで、巨大すくすくは小さくなったが、それでも尚、ほかのすくすくより二回りぐらい大きい。
おそらく、人をダメにするソファぐらいのサイズ。現にさとりさんがダメになっている。これでもかってぐらい口元が緩んでいる。おそるべしすくすくナマズ。
俺も仕事が終わったらダメになろう。