週に一度のお休みの日の出来事。
暇を持て余していた俺が、ダメになりながら猫じゃらし片手にすくすく橙とすくすくお燐の二匹と戯れていた時のこと。
「きゅー」「きゅー?」
「うわーっ!? ちょ、やめてー! 襲わないでー!」
玄関が妙に騒がしい。
お休みの日にお客さんが来ることは珍しくないけど、今はもうカラスが鳴く夕暮れ時。
こんな時間に誰だろうかと思い玄関を開けると、すくすく美鈴とすくすくあうんがお客さんで遊んでいた。
「「きゅーっ」」ツンツン
「やめてやめてつつかないで!……あ、でもこれ気持ち良いかも」
短いモフモフの手で、頭にお椀を被ったお客さんの頬をつんつんするすくすくたち。
これはまた、ちっちゃいお客さんだ。
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「少名針妙丸と申します。この度は助けていただきありがとうございます店長さん」
「きゅー」
すくすく白沢の頭の上で深々とお辞儀をする、小人さん改めすくなちゃん。
いろいろ話を聴いたところ、彼女は博麗神社からはるばる徒歩でやってきたらしい。霊夢さん経由で喫茶店の存在は知っており、一度来てみたかったのだとか。
「それはもう長い道のりでした……。猫に追われ、妖精に絡まれ、モフモフにつつかれ……たどり着いた時にはもうこんな時間になっていました。なのに今日は定休日だったなんて……グスン……」
「きゅー」
「うう……ありがとうモフモフ……ずずーっ!」
すくすく針妙丸がすくなちゃんの涙を拭き、鼻をかんであげている。他のすくすくたちも励ますようにキューキュー鳴きながら寄り添っている。
すくすくは小さいけど、すくなちゃんはもっと小さいからね。自分より小さいすくなちゃんに対して母性本能がすくすくにも働いているのだろう。
「ただいまー。って、うわっ。女の子泣かせとる……」
あ、お帰りなさいばんきさん。
そして誤解です。待って待って遠ざからないで。
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今日はもう遅いし、こんな時間に小人の女の子を一人で帰らせるわけにもいかないので、すくなちゃんは喫茶店に泊めることにした。
何より、せっかく来てくれたのだから、ちゃんとおもてなしをしないとね。腕によりをかけて料理を作ろう。すくなちゃんは小人だけど『私はたくさん食べる方です!』って満面の笑みで言っていたから、たくさん作るぞー。
「「「「きゅー!」」」」
すくすく咲夜とすくすく妖夢、すくすくアリスもやる気まんまん。頼もしい限りである。
珍しくすくすく美鈴も厨房にいる。よし、今日は中華中心にしようか。
ばんきさんも、お手伝いお願いします。
「うん。まかせて」
うん。まかせた。
――――――
「肉まん! シューマイ! かに玉! どれもおいしいです!」
「おお……良い食べっぷりね」
「きゅー!」
ばんきさんは少し驚いた表情で、料理を食べるすくなちゃんを見守る。
確かに、その小さい身体のどこに入っていくのかってぐらい、すくなちゃんはもりもり食べる。育ち盛りなのだろうか。たくさん食べて大きくなってね。
それにしても、美味しそうな顔で食べるなぁ。
おかわりいる? 小籠包もあるよ。
「たへまふ! ほれもおいひーれふ!!」
「口の回りが大変なことになってる」フキフキ
「んんー……ありがとうございますろくろ首さん!」
「ばんきでいいよ」
すくなちゃんの口の周りをばんきさんが拭く。
その様子はまるで親子。
……娘ができたらこんな感じなのかなぁ。
「えへへ……。お二人とご飯を食べてると、なんだかお父さんお母さんと一緒にいるみたいです」
「ぶっ!?」
あ、ばんきさんが吹きだした。
うわぁー。顔真っ赤。
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「針妙丸ー、迎えに来たわよー。って、あら?」
後日、すくなちゃんを迎えに霊夢さんがご来店。
が、店内に入ってすぐ、霊夢さんは目を丸くして立ち止まってしまった。
「霊夢!いらっしゃいませ!」
「きゅー!」
その理由は、霊夢さんを出迎えたのが、すくすくに乗り、小人用のエプロンを身に着けたすくなちゃんだったからだろう。
『一宿一飯の恩義! 私もここで働かせて下さい!』
昨日の晩ごはん後、すくなちゃんにそうお願いされたのだ。
人手が増えるに越したことはないので二つ返事で承諾。すくすくアリスにすくなちゃんのエプロンを作ってもらい、さっそく今日からお仕事してもらうことに。
「これまた小さい店員さんだこと。ナナスケさん、針妙丸のことよろしくね」
「店長さん! これからよろしくお願いします!」
「きゅー!」
うむ、よろしく。
これからまた賑やかになるなぁ。