すくなちゃんがバイトを始めて数日。
「お待たせしましたー! こちら、ショートケーキとなります!」
「きゅー!」
「おぉー。こんな小さいのに働き者とは偉いねぇ。これ、あたいが上司からこっそりお借りしてきたキャラメルなんだけど、持っていきなよ」
「貰っていいんですか! やったー!」
「小人さん、私からもどうぞ。咲夜さんからひっそりお借りしているキャンディです。すくすくさんのもありますよ!」
「きゅーっ!」
「まぁ…! こんなにたくさん! あとで美味しくいただきますね!」
すくなちゃんの人気がすごい。
もともと人懐っこい性格に加えて、何事にも一生懸命な娘だ。その見た目の愛らしさと相まって、お客さんの母性本能をことごとく刺激しているのだろう。
そして、すくなちゃんは常にすくすくの頭の上に乗っている。その方が移動が楽なのだと。すくすくも上に乗られる分には構わない様子。
たまーにだけど、すくすくが5匹ぐらい積みあがった状態でお昼寝していることもあるので、上に乗られるのは慣れてるのだろう。
そして小町さんと美鈴さん。
後でバレてもうちでは匿いませんからね。
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「「」」
『きゅー?』ツンツン
同日の午後。
笏とナイフが頭に突き刺さった状態で床に大の字で倒れている2体の屍に、すくすくが不思議そうな顔で群がっていたときである。
「こんにちはーナナスケさん。このお店はいつもスクープの香りがしますねぇ」
文さんことパパラッチさんがご来店。
お出口はあちらですよ。
「あややー……私の信頼も落ちたものですねぇ……。しかし、今日は取材に来たわけではないので構いません。私の背中にいる方にご飯を出していただけませんか?」
「ご、ごはん……」グウゥゥゥゥ……
よく見ると、緑色の帽子をかぶったツインテールの女の子が、お腹からすごい音を鳴らしながら文さんにおんぶされている。
そういうことは早く言ってくださいな。
今すぐフルコースをお出ししますから。
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キュウリの浅漬け。
キュウリの酢の物。
キュウリのサラダ。
かっぱ巻き。
「ぷはぁー! いやぁ、助かったよ盟友! おかげで生き延びれたー!」
すべてを料理を平らげて復活したのは、かっぱっぱのにとりさん。無事で何よりです。死体が増えなくてよかった。
にとりさんが死にかけていたのは、飲まず食わずで5徹していたからなんだとか。理由は『納期がヤバかった』だって。お疲れ様です。たくさん癒されて行ってくださいね。
「きゅー」「きゅー?」「きゅー」
「いつも以上に辛い戦いだったよ今回はー。すくすくー、私を癒してー」
「「「きゅー!」」」
「はぁー……もふもふぅ……」
すくすく文、すくすくはたて、すくすく椛の3匹を抱き寄せて、頬ですくすくをすりすりするにとりさん。
「きゅー…!」
そんな様子を羨ましそうに見つめるすくすく阿求。
モフりたいのか、モフられたいのか。
たぶん、両方かな。
……あれ、向こうの席に文さんがいる。
まだ帰っていなかったのか。
ここからは聞こえないが、コーヒーを飲みつつ、メモ帳に何か書きながら、真面目な顔でブツブツと何かつぶやいている。
「『小人が働く喫茶店!』……これではインパクトに欠けますね。『喫茶店店主、今度は小人と熱愛か!?』……うん、こちらの方が良いです! あくまで『か!?』なので嘘は書いていませんよね゛ね゛ね゛いだだだだだ!?」
「ヤ メ ロ」
「きゅー!」
あ、ばんきさんが文さんの頭にアイアンクローを喰らわせた。すくすくばんきっきも文さんの顔をこれでもかってぐらいボカボカと叩いている。
痛そうだけど、まぁ文さんだし、いっか。